救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

非主体的農業で北朝鮮の食糧は常に不足
検タ總し統計を発表し続ける理由



6.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな



◆なぜ家族農業を勧めないのか

国連機関は2002年の報告以降、北朝鮮の統計にはない自宅に付属する自留地(家庭菜園、20坪程度)を、2003年以降傾斜地(隠し畑)の収量に関する生産量を統計に載せるようになった。これも食糧生産量が多めに、不足量が少なめに見える原因となる。
なお、自留地と傾斜地の2つは、筆者が「統計に乗らない自衛食糧」として1998年11月に韓国で農業専門家たちにより開催された「北朝鮮農業基盤国際セミナー」で報告した論文で既に指摘したものである。政府による配給の対象にはならない食糧ではあるが、旧ソ連や人民公社時代の中国のような全体主義国の農業生産については、見逃せない食糧である。

◆自留地を増やせば食糧問題は改善される

北朝鮮が自留地の割合を増やせば食糧問題はかなり改善される。中国では自留地の割合が耕地面積の5%と多く、国家の農業生産のかなりの割合を自留地が占めていたが、これが改革開放政策により、土地の使用権を家族単位で認めた結果、一気に生産量が増え、数年で食糧輸出国に転換した。ロシアも家族農業になり小麦の輸出では世界3位になった。しかし、北朝鮮では逆に、政府が自留地にさらなる規制をかけようとしているとの報道があり、生産量を増やすべき目標に対し、逆行した政策をとろうとしている。
北朝鮮の自留地面積は、「レポート2012」によると2.5万haで、穀物用の全耕地面積202.5万haの約1.2%に過ぎない。これは北朝鮮の農民世帯数に自留地の法律上の面積30坪をかけたものと思われる。しかし、30坪というのはあくまで法律上の面積で、筆者が観察した自留地はほとんど20坪程度であった。従って、実際は1%にも満たない面積になる。自留地を5%程度にするだけで、北朝鮮の食糧問題はかなり改善されることになる。

農業の楽しみは、自らの創意、工夫で消費者に喜んでもらえる作物を生産することである。ところが北朝鮮にはそういう喜びが全然ない。「主体農業」という名の非主体的農業を強制されている。
家族農業をすれば生産量が増えることを北朝鮮の専門家が知らないわけではない。また、韓国より北にある吉林省の延辺朝鮮族自治区の米の反収は日本や韓国並み、または超えるものもあることを聞いているだろう。
北朝鮮の農業改革について問題提起がなされ、90年代の後半の一時期、ごく一部で分組請負制が試験的に実施されたことがある。また、金正恩政権になっても、改めて実験的に行われて入る。しかし実験止まりで実施には至っていない。分組請負制は、家族農業ではなく5家族程度まで規模を小さくして、一定の農地を割り振るというものであったが、結局、その程度の小規模化すら金正日政権は許可しなかったし、金正恩政権もできないだろう。
集団農場の規模を小さくするというだけでは、土を愛し、土を育てる農業にはならない。北朝鮮は一党独裁ではなく、個人独裁であるため、家族農業を認めれば、個人独裁の崩壊につながりかねないことを危惧し、政権が採用できないのである。北朝鮮の人民が戦後一貫して飢えに苦しんでいるのは、外部の支援がないからではなく、家族農を認めないからである。

なお、国連機関は自留地を生産量に計上したが、その反収に関する理解が少ないようだ。表22にあるように、自留地の生産は3t/haとしている。協同農場におけるメイズの実際の反収はこの半分、じゃが芋の反収はこの1/5程度である。しかし、国連機関は自留地の反収は文字通り3t/haまたはそれ以上あるということを理解しているだろうか。
筆者も自留地を何箇所も観察したが、例えば自留地のとうもろこしの生育具合は協同農場とは比べ物にならない。収穫した中で最もよい種子を来年のために選別保存するなど、自分のものになる食糧には格別の努力もしている。
自留地の土から、蔓をはって豆類が高い壁をつくり、かぼちゃは屋根の上をはっている。小さな土地で最大の収穫をあげているのが自留地なのである。北朝鮮の農地をすべてではなくとも一定程度自留地にすれば、食糧問題はかなりの程度解決できるのである。



◆家族農を勧めるべき
本来食糧支援のような人道支援は、いつまでも食糧の現物支援を行うのではなく、食糧を多く獲得する方法を伝え、手段を与えるべきである。
これに対し、北朝鮮は調査を拒否する理由として、食糧の現物支援よりも基盤整備やそれに必要な設備・施設などを支援する「開発援助」を求めたことがある(「朝日新聞」2005.09.23)。これは北朝鮮が現物より作り方を教えてほしいと言ったわけではなく、より高価な設備投資を求めたに過ぎない。
そのような時、国連機関は、旧ソ連、中国の事例を紹介し、家族農を勧めるべきではなかったか。設備・施設がなくても、家族農こそすぐにでもできる食糧増産方法である。その実施が見られたならば、設備・施設の支援を行うことを約束すればよかったのではないか。

先祖代々耕作されてきた土を愛し、土を守り育て、次代に受け継ぐことができる仕組が北朝鮮には必要である。農業は土づくりである。しかし北朝鮮では、農地に所有権も使用権もない。だから土を大事にしない。生産された食糧を粗雑に扱う。農業に最も基本的なことが実現できていないのである。結局、農業問題ではなく、政治問題である。国連機関の、「政治には一切関与せず人道支援に徹する」という姿勢には、このような重大な問題がある。農民にとって一番嬉しい収穫の時を、収奪の時にさせないために、本当の人道支援を行えるよう国連機関は努力すべきである。

また韓国も、南北統一後の農業支援の方法の一つとして、国家の所有になっているすべての土地をどのように農民に分け与えるかという問題と共に、家族農業(自作農)の実現に向けてどのような政策が必要かを今から検討しておくべきであろう。

国連機関は北朝鮮への人道援助の事例を深刻に反省し、人道援助の原則を再検討すべきである。人道支援については、少なくとも家族農業を認めない国家や均等に分配されない国家には消費のモニターを原則とした食糧支援を行うべきである。それを拒否するなら支援をすべきでない。

日本に関して言えば、北朝鮮への食糧支援は、北朝鮮の政権強化、北朝鮮住民への弾圧機関の復活、強化をもたらしただけで、拉致問題でも、何の解決にもつながらなかったばかりでなく、拉致問題を解決しなくてもいいとの間違ったメッセージになった可能性がある。逆に、北朝鮮への人道支援は、日本を攻撃対象に含む核開発やミサイル開発を間接的に支援したことにもなる。加えて、継続的な大量の食糧支援は、拉致問題の解決を遅らせ、核・ミサイル開発に余力を与えた原因になったと考えられる。
独裁国家への食糧支援、自由な家族農業ができない国への食糧支援は、住民への弾圧を持続させ、独裁を長引かせる効果しかないことに気づくべきである。
拉致被害者家族会・救う会・拉致議連が北朝鮮への食糧支援に一貫して反対の姿勢を示してきた根拠もここにある。

(了)




目次


※ 北朝鮮食糧問題最新事情(2015.03.26)

はじめに

機ァ嵋鳴鮮の食糧事情は安定」報告と北朝鮮から伝わる多くの悲鳴
 1.北朝鮮の食糧事情は安定したのか
 2.不足しているから聞こえてくる悲鳴

供ス駭機関の報告は約300万人水増し−北朝鮮の人口
 1.「2008年人口調査」は虚偽調査
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

掘ス駭機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産
 1.米は10a当たり180kg程度
 2.メイズは約100万トン水増し
 3.国連機関の報告は毎回基準が異なる
 4.飢餓を無視して核・ミサイルを開発

検タ總し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.人口の水増しで国際支援を訴え
 3.国連による食糧支援の問題点
 4.独裁国家への「人道支援」は非人道
 5.米よりご飯を(配給のモニターより消費のモニターを)
 6.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな

資料: FAO/WFP「北朝鮮の穀物および食糧安全保障調査団特別報告」
 1995年〜2012年(英文)
資料: FAO/WFP北朝鮮食糧事情合同調査報告書2013
  
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国民大集会「もう我慢できない。今年こそ結果を!」
「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
東京都
千代田区
日比谷公園1-3