救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

非主体的農業で北朝鮮の食糧は常に不足
掘ス駭機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産



4.飢餓を無視して核・ミサイルを開発



韓国政府の推計では、「これまでに北朝鮮が長距離ミサイルや核兵器開発・試験に投資してきた費用は約30億5000万〜31億5000万ドル(約2500億〜2590億円)」で、2012年4月の「光明星3号」なるミサイル発射には「8.5億ドル(約700億円)がつぎ込まれる見通し」(「朝鮮日報(2012.04.04)」で、その内訳は、「東倉里の試験場建設費用(4億ドル=約326億円)と衛星製作費(1億5000万ドル=約122億円)を除いても3億ドル(約244億円)に達する(「朝鮮日報(2012.04.10)」という。3億ドルはミサイル製作費用。

ほぼ近い額の国防省の専門家の推計もある。
韓国国防省の専門家は、「北朝鮮はミサイルと核技術の開発に32.4億ドル(約3,222億円)超を投じた」、「北朝鮮はミサイル技術の改良やそのインフラ整備に約17.4億ドルを投じたほか、核計画と2013年2月に実施した第3回地下核実験に15億ドルを費やした」、「うち、8.4億ドルを弾道ミサイル、6億ドルを長距離ミサイル発射装置に投入。さらに約1.5億ドルを関連の研究機関の建設に投じた」との分析を明らかにした。
「韓国国防省は、北朝鮮が核技術とミサイル計画に費やした資金で、北朝鮮国民の3年間分の食糧に相当する1066万トンの穀物を調達できると試算している」(以上「中央日報」2013.04.12)。

この報道より1年前の、「2011年の北朝鮮、中国からの食料輸入量・額は、37.6431万トン、1億6619万ドル」という趣旨の報道がなされた(「連合通信」2012. 02.01)。
 それによると作物別の食料輸入量・額は以下のようになる。



 表21は、「3年間分の食糧に相当」との記事の1年前のデータであるため、この間の食糧価格の変動はなかったものとして推計すると、以下のようになる。

 1万トン当たりの価格は、1億6619万ドル÷37.6431万トン=441.5万ドル

 北朝鮮は食糧の大半を中国から輸入しているので、表21の作物の量と金額は北朝鮮の需要を一定程度反映したものと考えられる。また北朝鮮住民にメイズだけ食べさせるわけにはいかないので、メイズの価格だけで計算するのはおかしい。中国からの輸入であれば輸送費などが安くつく。
 北朝鮮は、必要な食糧を1万トン当たり441.5万ドルで輸入していた。これは1kg当たり2.265ドルに相当する。2012年4月のミサイル発射費が8.5億ドルであった場合、192.5万トンの食糧を輸入できる。「連合通信」の「1066万トン」はかなり過大な数値である。

8.5億ドルには発射場建設費4億ドルも入っているが、この発射場ではまだ1発しか発射していないので、たった1発で8.5億ドル使ったとも言えよう。この失敗に終った「たった1発」の代わりに192.5万トンの食糧を輸入していれば、北朝鮮の住民は飢餓に直面することもなく、金正恩政権は住民に大歓迎され、三代世襲が当面の間受け入れられたかもしれない。北朝鮮における核・ミサイル開発は飢餓が多発する原因でもある。

北朝鮮が、国際社会に、それもアフリカ諸国にまでなりふり構わず食糧支援を要請していることについて、日米韓等のメディアの多くは、「2012年の強盛大国に際し、より多くの配給が必要なため」と分析しているが、それは間違いで、実態は食糧の絶対的不足である。

さらに、2012年4月の約1週間にわたる金日成生誕100年祝賀行事には、「総額11億6000万ドル(約933億円)をつぎ込んだ」(「朝鮮日報」2012.04.17)。これだけの外貨があるのなら、いくらでも民生向上の方法がある筈である。また同紙によると、北朝鮮は4月15日に全国で、「大規模な花火打ち上げ行事「祝砲夜会」を実施したが、この行事には190億ウォン(約13億円)が費やされた」、「これは中国産トウモロコシ5万トンが買える金額」と言う。

そして、この日、金正恩は肉声で、「人民生活向上を目標にする党と政府にとって平和は貴重だ」と前置きした上で、「民族の尊厳と国の自主権がさらに貴重だ」(「産経新聞」2012.04.16)と述べ、先軍政治を民政より優先する姿勢を明らかにした。核・ミサイル開発等先軍政治のためには国民の餓死も止むを得ないと宣言したも同然である。

国連機関が、このような国家の政治姿勢を無視し「人道支援」を行い続けるのは問題ではないか。国連機関の人道支援は、むしろ北朝鮮がますます民政をないがしろにすることに加担しているとも言えるものである。
このような非人道の政権に、国連機関が無条件で人道支援を行うのは非人道的行為だと言えるであろう。

なお、2013年時点で金正恩が世界の多数の銀行に預金している秘密資金の総額は40〜50億ドルとの報道がある。「韓米両国は北朝鮮が中国、ロシア、シンガポール、スイス、オーストリア、ルクセンブルク、リヒテンシュタインをはじめ、世界数十か国の銀行に別人名義で数百の口座を保有し、総額40億〜50億ドル(現在のレートで約3860億〜4830億円、以下同じ)の秘密資金を管理していることを11日までに確認した」(「朝鮮日報」2013.03.12)。
 貿易収支が常に赤字の北朝鮮で、この40億〜50億ドルがいつまで金正恩政権を支えられるだろうか。
 なお、「北朝鮮が今月初旬、訪朝していた中国共産党の王家瑞中央対外連絡部長に、経済開発目的として10億ドル(約790億円)規模の中国元での借款供与を要請したと報じた。王氏は『検討する』と応じた」(「共同通信」2012.08.14)という「消息筋の話」もあり、外貨資金がかなり切迫している可能性もある。

 北朝鮮は、1993年5月に初めてノドンミサイル1号を発射した。その翌年、94年10月には米朝枠組合意で、核開発プログラムを凍結する代わりに、北朝鮮に軽水炉を提供することになった。また、北朝鮮は無償で毎年50万トンの重油を受け取っていた。2002年10月に重油の提供が中止されるまで、各国は北朝鮮に重油代をただ取りされた。軽水炉の建設工事代15億ドルも無駄になった。
 1998年8月に、北朝鮮はテポドンミサイル1号を発射した。
 2006年7月には、北朝鮮はスカッド、ノドン、テポドン2号の弾道ミサイルを連射し、10月に核実験を行った。
 その後2009年4月には、テポドン2号の改良型とみられるミサイルを発射し、5月に核実験を行った。2012年には4月と9月にミサイルを発射し、2013年2月に核実験を行った。北朝鮮は人工衛星と称しているが、他の国はミサイルとしている。
 このミサイルと核技術の開発費32.4億ドルが妥当とした場合、そして核・ミサイル開発をしていなければ、近年穀物価格が上昇しているので、北朝鮮は約744万トン以上の食糧を輸入できたのである。

 なお、中国の農産物についてであるが、北朝鮮に「安全性が検証されていない遺伝子組み換え食糧による援助を行っている疑いがある」との報道もある(「連合」2013.01.08)。中国では遺伝子組み換え作物栽培面積が390万ha(2013年)にもなっており、支援も輸入も遺伝子組み換え作物の可能性がある。

◆支援食糧を確保した後、核・ミサイル実験
北朝鮮外務省が、「国連機関の人道援助は要らない」などと開き直り、事務所や人員の撤退を求めたのが2005年9月下旬で、国連機関は2005/06、2006/07、2007/08年度は、北朝鮮の食糧生産量の報告を行っていない。
なお、北朝鮮は2006年のミサイル連射、核実験に先立つ2001年から2005年までの5年間、国連機関最大の被支援国で、穀物換算で年平均110万トン以上、計550万トン以上を受け取っていた(「レポート」2006)。
上記744万トンと比較すると、北朝鮮がいかに巧妙な手段で国際社会の善意を騙し取ったかが分かる。
そして取れるだけは取った後の2006年7月、10月に、北朝鮮はミサイル連射、核実験に踏み切ったのである。北朝鮮が国連機関に撤退を求めた時、「モニタリングの監視要員を嫌ったため」との説明がなされた。もちろん北朝鮮はモニタリングを快く思わないが、敢えて受け入れて食糧支援を得てきた。ミサイル連射、核実験による国際制裁、支援量の急減を想定した措置であろう。
北朝鮮の地下核実験に対し、国連安保理事会は制裁を含む1718決議を採択し、国際社会は厳しい制裁を発動したが、韓国の盧武鉉親と中国が北朝鮮を全面的に支えており、国連機関が撤退しても両国からの一定の支援が得られることを織り込んだ上で、北朝鮮は2006年のミサイル連射、核実験を強行したのである。

韓国は、2005年に食糧50万トンを支援し、2006年こそ10万トン以下に減らしたが、2007年には40万トン以上を支援した。そして李明博政権が成立した08年から支援を行わなくなった。
中国は、2005年は50万トン以上、06年と07年でも30万トン前後、08年は10万トン余りを支援した。これ以外にも中国は裏ルートで、年により変動はあるが、食糧10万トンと重油50万トン程度の無償支援を続けていたと想定されている。
「中国が、北朝鮮に対し、食糧10万トン、石油50万トン、北朝鮮が要求した2000万ドル相当の品目を、毎年無償で援助してきたことが明らかになった」(「東亜日報」2012.06.25)。2013年度は、「米20万トン」を送ったとの情報もある(「ANN」2013.05.30)。
「中国の北朝鮮への原油供給量は毎年100万トンに上る。このうち50万トンは正常な貿易取引として北朝鮮が中国から輸入しており、50万トンは中国が北朝鮮に支援している」、「中国が北朝鮮に支援している原油50万トンは、無償支援または長期低利借款として提供されているという。この場合、原油輸送は遼寧省・丹東と北朝鮮・新義州をつなぐ送油管が利用される」(「連合通信」2013.04.01)

そしてミサイル連射と核実験を行った翌2007年に洪水が発生した。北朝鮮はこれを理由に2008年5月、国連機関に緊急支援を要請した。国連機関も、2007年の洪水を名分として再び北朝鮮に入った。WFPは2008年9月に、2010年6月までに190万トンの支援をアピールしたが、国際社会の反応は厳しく3万トンの支援しか得られなかった。
国連機関は2008年に調査を行い、2008/09年度の予測値を公表した。2008年は北朝鮮にとって国際支援を訴えざるをえない厳しい状況だったのである。
「レポート2008」の精米・製粉値等が異常であったことは既に述べたが、北朝鮮がのどから手が出るほど食糧がほしい時期に、国連機関は調査を3年ぶりに許され、北朝鮮に迎合する報告をしたのがこの時期である。

しかし、2009年、北朝鮮は再び調査を拒否し、北朝鮮は再度ミサイル連射と核実験に踏み切った。その結果、再び制裁を含む安保理1874決議を受けて国際社会の支援が激減し、北朝鮮は国連機関の支援を要請せざるをえなくなり、2010年に調査を受け入れ、国連機関は2009年分の結果と2010年分の予測を報告した。
そしてこの報告では、さすがに後ろめたい思いがあったものか、異例な「レポート2008」の製粉値は引き継がず、再び従来の製粉値で報告するようになった。そして、元に戻した理由は説明せず、「精米値は65%、他の穀物は製粉値に換算していない」とだけ述べている。さらに年により基準の異なる数値を同じ表やグラフで報告し続けているのである。
北朝鮮はミサイル連射と核実験について国連安保理により二度の制裁決議を受けたが、他方国連機関は、政治と人道は別と言わんばかりの姿勢で再び支援に入り、国際社会に支援を訴えた。北朝鮮による国民への人権侵害や、外国に対する主権侵害、外国人に対する人権侵害という深刻な事態には目をつむり、そこに支援を求める人がいれば「人道支援」を行うという国連機関の姿勢は問題である。



目次


はじめに

機ァ嵋鳴鮮の食糧事情は安定」報告と北朝鮮から伝わる多くの悲鳴
 1.北朝鮮の食糧事情は安定したのか
 2.不足しているから聞こえてくる悲鳴

供ス駭機関の報告は約300万人水増し−北朝鮮の人口
 1.「2008年人口調査」は虚偽調査
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

掘ス駭機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産
 1.米は10a当たり180kg程度
 2.メイズは約100万トン水増し
 3.国連機関の報告は毎回基準が異なる
 4.飢餓を無視して核・ミサイルを開発

検タ總し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.人口の水増しで国際支援を訴え
 3.国連による食糧支援の問題点
 4.独裁国家への「人道支援」は非人道
 5.米よりご飯を(配給のモニターより消費のモニターを)
 6.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな

資料: FAO/WFP「北朝鮮の穀物および食糧安全保障調査団特別報告」
 1995年〜2012年(英文)
資料: FAO/WFP北朝鮮食糧事情合同調査報告書2013
  
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「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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