救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

非主体的農業で北朝鮮の食糧は常に不足
供ス駭機関の報告は約300万人水増し−北朝鮮の人口



 北朝鮮の食糧問題の前に、まず人口を見ておく必要がある。というのは、人口は一人当たり食料がどのくらいあるかを見る際に欠かせない要素で、それにより食糧の過不足を見る目安になるからである。しかし、北朝鮮の食糧問題に関する報道記事では、一人当たり食料に言及することはまずない。生産量の総計か、場合によって作物別の数値が何百万トンと報告されるだけである。これでは実感を持って不足かどうかが分からない。

 最近の例では、「レポート2012」の発表後に、韓国の「連合通信(2012.11.09)」が、「来年の北朝鮮住民1人当たりのコメとトウモロコシ消費量はそれぞれ74.4キロと80.3キロとなり、今年(コメ72.2キロ、トウモロコシ68.3キロ)に比べやや増加するとみられる」と報じた。
これは画期的な報告であったが、その内容に関する論評や韓国との比較には言及せず、数字を出しただけでに止まった。数値を見るだけでは理解できる人は少ないだろう。
これまで北朝鮮当局は、意図的に人口を少なくとも約300万人多めに報告してきているというのが本文の結論である。実は北朝鮮は食糧の生産量を多めに報告せざるをえない体制になっている。しかし、それでは国際社会に訴える支援の量が少なくなる。その分を、人口を多目に報告することで調整してきたのである。つまり、一人当たり食糧を少なく見せてきたのである。


1.「2008年人口調査」は虚偽調査



FAOとWFPは1995年に北朝鮮への支援に初めて入る際、北朝鮮政府から2003年末の人口を2,121.3万人と聞取り、この人口を基準にしつつ、飢餓の最中に、北朝鮮が伝えた人口増加率0.85%はさすがに多すぎると考え、0.85%より低めの0.7%を使用して毎年の人口を計算し、その人口を前提に食糧の不足量を計算し、支援を行ってきた。その計算の結果、2008年末の人口は2,355.3万人と推計していた(表1)。



なお、北朝鮮における人口一斉調査(センサス)は、北朝鮮政府が独自に1994 年1 月3 日〜15 日に行った「1993 年12 月31 日現在の人口」調査が1回目(「1994年調査」)で、2008年に国連人口基金(UNFPA)が一部関わったのが2回目(「2008年調査」)である。
人口という国家にもっとも必要なデータの一斉調査がこれまで2回しか行われなかったこと自体が異様な印象を与えるが、これは人口だけでなく、北朝鮮にはあらゆるデータがないのが実情で、公表されている基礎的データは気温や降水量に至るまで不正確である。

国連機関は2008年まで、上記各12月31日現在のデータを前提に、人口増加率を0.7%とし、12月末現在の人口に4か月の増加分を追加して、食糧年度(11月から翌年10月まで)の年央である5月1日現在の人口を推計してきた(「レポート2008」)。
例えば2008/09年度の年央(2009.05.01)人口は、2355.3万人(2008年末)+(2,355.3万人×0.7%×4/12か月)で約2360万人と推計した。

しかし、国連人口基金(UNFPA)による「2008年調査」の結果によれば、2008年10月1日現在の人口は2,405.2万人であった(表2)。



UNFPAが2009年12月18日に発表した「北朝鮮人口調査報告書」は、「今回の人口調査は、2008年10月1日から15日間にわたりUNFPAの後援の下、現場調査・指導員約42,700人を投入し、全世帯を戸別訪問し、住民にアンケートする形で実施された」と報告された。
従って正確な数値と思われがちだが、UNFPA自体が、「詳細な調査方法などは不明」と報告している。これは、「関係当局が世帯訪問調査結果を市・郡単位で集計した後、各道で半年余りにわたりコンピューターに入力し、これを再び中央で取りまとめたもの」という北朝鮮当局の報告をそのまま採用せざるをえなかったことを意味する。

人口調査には、韓国政府が400万ドル(約4億2820万円)の資金を出し、UNFPAが後援した。実際に北朝鮮に入ったUNFPAスタッフはわずか10人でモニタリングの役にはたっていない。実施は北朝鮮当局がすべて行ったもので、それゆえにどこまで正確な数値なのかは国連機関も知りようがない。しかし、建前上国連機関が関わった調査だけに、以後国連機関も各国もこのデータを北朝鮮の人口として採用している。
「朝鮮日報」は調査員の数について、「作為的な虚偽報告に対する検証は不可能な体制だった」とし、「人口2,405万人」も「水増し」ではないかと報じている(2009.02.25)。

驚いたことに、UNFPAが報告した数値は、FAO/WFPの1995〜2008年の推計値より約50万人多いものだった(表3)。「2008年調査」は北朝鮮が設定した人口増加率0.85%とほぼ見合う数値で、しかも1.8万人上回っていた。そして国連機関は「2008年調査」の結果を受け入れたのである。



ではこの間、北朝鮮が報告してきた人口はどうだったか(表4)。以下は「朝鮮中央年鑑」が公表してきた北朝鮮の人口データである。北朝鮮も人口統計を出してはいるが、その内容は信じがたいものである。この間、国連機関はこのデータを無視して人口増加率0.7%をもとに支援を続けてきたわけである。国連機関は北朝鮮で大量餓死があったことを理由に支援に入っただけに、餓死がほとんどなかったというこのデータを信用するわけにはいかなかったのであろう。



しかし実際には、1995年に始まり、96年、97年、98年の「苦難の行軍」の3年間で大量の餓死が発生し、99年まで続き、その数は約300万人とされる。それにも関わらず、北朝鮮が独自に発表したデータ(表4)では、多数の餓死者が発生した90年代後半の人口は減少どころか増加しており、しかも飢餓を脱したとされる1999年以降の増加率よりも多くなっている。仮に、餓死者数の最小数値をとっても、この時期の人口が1999年以降よりも増加したとの報告はおかしいことになる(韓国統一省報告、「大水害があった95年から97年にかけ年間7万〜8万人が死亡」、「共同通信」2013.06.13)。
詳しく見ると、「苦難の行軍」を含む1999年までは0.85%をはるかに超える増加率で、飢餓が収まったとされる1999年の人口は2,275万人。これは0.85%増の場合の2,232万人を43万人も上回る。しかも、飢餓が収まった筈の2000年以降は、飢餓の時期より人口増加率が少ない。水増し人口数値を意図的に調整したような感じである。2003年分は人口統計すら出さなかった。
しかも北朝鮮は驚くべきことに、「2008年調査」の後、FAOとWFPに対し、2009年からは人口増加率を0.6%にしてほしいと言ってきた。飢餓の時期よりはるかに低い増加率にしてくれと言ってきたのである。
そして国連機関は、北朝鮮に言われるままに0.6%に変更した。なぜこのことについておかしいと言わないのか、それが不思議である。それとも、少しずつでも人口の実態に近づいていくことを歓迎したのか。
そして国連機関は「2008年調査」の人口2,405.2万人(2008年10月1日現在)を元に、2010年の報告から2011年5月1日現在の人口を2,442.7万人と訂正した(表5)。同じ国連機関であるUNFPAが人口調査を後援したため、訂正せざるをえなかったのであろう。
なお、韓国統計庁は、1995〜2000年の北朝鮮の餓死者数を33万6000人と発表した(2010.11.22)。この餓死者数は、全体の死亡数から平時の死亡数を差し引いた数である。



実は北朝鮮にはまともなデータが一つもないのである。人口は最も重要な指標の一つであるが、この国では人口ですら人為的に作られている。食糧生産等も同じで、生産現場には計量器すらない。この信じられないことを信じることから北朝鮮が見えてくる。北朝鮮の統計は、そもそも1993年の人口調査の数値が水増しで、2008年の人口調査の数値も水増しなのである。



目次


※ 北朝鮮食糧問題最新事情(2015.03.26)

はじめに

機ァ嵋鳴鮮の食糧事情は安定」報告と北朝鮮から伝わる多くの悲鳴
 1.北朝鮮の食糧事情は安定したのか
 2.不足しているから聞こえてくる悲鳴

供ス駭機関の報告は約300万人水増し−北朝鮮の人口
 1.「2008年人口調査」は虚偽調査
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

掘ス駭機関の報告は水増し−北朝鮮の食糧生産
 1.米は10a当たり180kg程度
 2.メイズは約100万トン水増し
 3.国連機関の報告は毎回基準が異なる
 4.飢餓を無視して核・ミサイルを開発

検タ總し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.人口の水増しで国際支援を訴え
 3.国連による食糧支援の問題点
 4.独裁国家への「人道支援」は非人道
 5.米よりご飯を(配給のモニターより消費のモニターを)
 6.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな

資料: FAO/WFP「北朝鮮の穀物および食糧安全保障調査団特別報告」
 1995年〜2012年(英文)
資料: FAO/WFP北朝鮮食糧事情合同調査報告書2013
  
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国民大集会「もう我慢できない。今年こそ結果を!」
「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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