救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

機ニ鳴鮮の食糧生産統計



5.不足しているから聞こえてくる悲鳴



食糧が絶対的に不足していることは、脱北者の証言で明らかであるが、その他北朝鮮当局の動きや、人民から聞こえる悲鳴の一端を知るだけで、誰でも認識できることである。また、北朝鮮の人々の身長が韓国の人々より10〜12cm低い等、様々な客観的データを見ても、食料不足は金氏王朝時代を通じた毎年のことでもあったことが分かる。
最近の情報には以下のようなものがある。

◆金正日「食糧80万トン確保せよ」、在外公館に指示
「北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)国防委員長が在外公館を通じ食糧80万トンを確保するよう指示を出したとインターネットメディアの「開かれた北朝鮮放送」が27日に報道した」(「中央日報」2011.01.28 )。
北朝鮮は、秋の収穫から間もないこの時期、早くも国際社会に支援を求める活動を始めている。同日の「東亜日報」は、「北朝鮮が最近、ニューヨークの国連代表部を通じ、2009年に中断した50万トンの食糧支援の再開を米国に要求し、米国も前向きに検討していると報じた」。これは、米国が約17万トンを支援した後、朝鮮語を話せる監視要員の追加配置をめぐり北朝鮮と意見が合わず、2009年9月に支援を中断したことがあり、残りの約33万トンを確保せよという命令が出されたものである。この日は韓国にも、3か国協議を打診している。

◆北、一転「食糧支援を」…国連が加盟国に要請へ
「国連は北朝鮮への食糧支援を加盟国に要請する方針を固めた。2月17日(日本時間18日)にニューヨークで米欧諸国や日本などを招いての緊急会合を開く。北朝鮮は近年、国連の人道支援を拒んできたが、今月に入り、国連に食糧支援を要請した。食糧難の深刻化が進んでいるとみられる」(「読売新聞」2011.02.18 )。

その後も北朝鮮は米国に食糧支援を要求している。「複数の外交消息筋は13日、『米国は来週中、北朝鮮の食糧状況を調査する評価団の派遣を決める可能性が高い』とし『その場合、今月中にロバート・キング北朝鮮人権問題担当特使をはじめとする国務省の要員と国際開発局(USAID)の職員で構成された評価団を北朝鮮に送ることになるだろう」と伝えた。消息筋は『そうだとしても、米国の北朝鮮人権特使に極度のアレルギー反応を見せてきた北朝鮮がキング特使に会い、訪朝を認める動きまで見せるのは二律背反的』とし『それだけ北朝鮮食糧事情が厳しいという傍証』と解釈した」(「中央日報」2011.05.14)。
北朝鮮は、「私たちの体制を転覆させようとする者」と非難していたキング特使に食糧支援を要求。なりふりかまわずという姿勢であった。
しかし、「米国政府が、ロバート・キング北朝鮮人権担当特使を団長とする食糧支援調査団の訪朝結果をもとに、『北朝鮮に食糧難の地域がある。しかし、全般的な食糧危機の状況ではない』という暫定結論を下した」(「東亜日報」2011.06.20)。
北朝鮮が食糧危機を訴えても、国際社会は反応しなくなった。
そこで北朝鮮は、12月28日の金正日総書記の葬儀前後に、国連代表部を舞台にした「ニューヨーク・チャンネル」を通じて米政府にコメ支援を要求(「産経新聞」2012.01.08)。「金正恩新体制が、『敵国』に位置付ける米国に臆面もなく食糧支援を仰いだ背景には、抜き差しならないほど逼迫した食糧事情がある」という。その結果、24万トンの栄養補助食品を確保できるようになったが、その直後(2012.04.13)にミサイル発射を行い、2年越しの要請であったが結局支援は得られなかった。

◆北朝鮮住民2000万人、地下経済で延命か
「脱北者による北朝鮮向けラジオ放送『自由北韓放送』のキム・ソンミン代表は、「韓国政府は、朝鮮人民軍約140万人と平壌市民約260万人が北朝鮮中央政府の配給に頼っているだけで、ほかの地域では正常な配給網が断ち切られたと分析している模様だ」と述べた。韓国政府も、「北朝鮮の人口2400万人のうち、平壌市民ら約400万人は中央政府からの配給で生活しているが、それ以外の2000 万人はほとんどが地下市場経済に依存し生活しているものと推定される」と「朝鮮日報」記者に語った(同紙2011.02.08)。
韓国政府も「北朝鮮の人口2400万人」と、国連のデータを使用している。

◆北朝鮮軍部隊が「反乱」=食料難で命令拒否
「韓国のYTNテレビは11日、北朝鮮で先月、採鉱現場に動員された軍部隊が食料難に抗議し、将官が中心となって作業命令を拒否する騒動を起こしたと伝えた」、「軍保衛司令部は鎮圧のため部隊を派遣したが、物理的衝突があったかは確認されていない。命令を拒否した将官は全員、反乱罪で処罰を受けたとみられる」(「時事通信」2011.02.11 )。
優遇されているとされる軍が食糧問題で様々な動きを示しているとの情報が多く、軍ですら厳しい状況と言えよう。
「平安南道・平城生まれで、先月11日に脱北したとされるある男性はインタビューで、『軍人は3食の配給を受けるが、少量のトウモロコシやジャガイモのみ』とし、量的にも質的にも一般住民より足りないと話した。また、栄養失調の軍人が多いとも補足した」(「連合通信」2011.03.07)。
米国自由アジア放送(RFA)によると、両江道甲山郡に駐留する第43軽歩兵旅団のある兵士は、「北朝鮮軍部隊の食糧難が深刻な状況になる中、飢えに耐えられず軍人がカエルの卵やオタマジャクシまでとって食べている」、「ネズミ、ヘビ、バッタ、カエルをはじめ、カエルの卵、オタマジャクシも食べている」と証言した(「朝鮮日報」2011.03.29)。
「北朝鮮軍人にとってネズミとヘビ、カエルは、不足するたんぱく質を補充してくれる食べ物だ。バッタとカエルの卵、オタマジャクシは、栄養失調の軍人の特別栄養食と考えられているという。ほとんどの人がオタマジャクシの料理法を常識として知っているほどだ」とも述べている。

◆人民軍が住民を相手に食糧を組織的に収奪
「ベク・ファソン氏は、『北朝鮮の住民が収穫した穀物の大部分は人民軍の兵糧として奪われる。このため住民は主のいない協同農場などを利用してトウモロコシや豆を裁培するが、これまでも人民軍に奪われている』と伝えた。ベク氏は『最近メディアは、北朝鮮軍が塩汁も食べれず栄養失調で餓死していると報道をしているが、そういうことは以前からあった』と話した」(「中央日報」2011.02.21)。
「米紙ワシントン・ポストは、支援物資を横流しする北朝鮮の食糧転用問題を指摘し、『正確な統計はないが、大半の食糧は軍隊に向かった後、再び市場に持ち込まれ、高値で取り引きされている』と伝えた。脱北者出身の金ソンミン自由北朝鮮放送代表は、同紙のインタビューに応じ、『以前、北朝鮮軍が各家庭をまわって、国際社会が支援した食糧を回収した。軍人が配給された食糧が100%回収されないことに怒っていたことを覚えている』と話した」(「東亜日報」2011.02.21)。

◆「明かりとコメを…」 北朝鮮で住民によるデモ発生
「金正日総書記の誕生日2日前に当たる今月14日、平安北道定州、竜川、宣川などで、住民たちによる政府への抗議デモが発生していた事実が明らかになり、この流れが各地に広まるかに注目が集まっている」、「北朝鮮内部の消息筋によると、一部の住民が午後8−9時ごろ、新聞紙を丸めてメガホンのようなものを作り『この野郎、もう生きていけない。明かりをよこせ、コメをよこせ』と叫び始めたという。消息筋は『初めは1人、2人だったが、次第に多くの人が家の外に出てきて、声を張り上げた』と語った」(「朝鮮日報」2011.02.23)。
 食糧不足に対する抗議行動はこれまでも多数起きている。今回は、電力不足への抗議もあった。北朝鮮では、1日2〜数時間程度しか電気がこない。そのため様々な生産が阻害されている。

◆路上で餓死者の遺体を目にすることも珍しくない
「北朝鮮の穀倉地帯といわれる黄海道の住民が最悪の飢えに苦しんでいる。 収穫した食糧を軍用米として取り上げられ、食べ物をめぐって住民の間で殺人事件まで発生しているという。28日の米国自由アジア放送(RFA)によると、最近、中国を訪問した黄海道沙里院付近の農村女性ムンさんは『黄海道はもともと作物がよく育ち、大量の軍用米を納める“90万トン地域”』とし『しかし昨年の洪水被害で作況がよくなかったにもかかわらず、収穫食糧の大半を軍用米として持って行かれて、住民は昨年秋から十分な食事ができずにいる』と伝えた」、「路上で餓死者の遺体を目にすることも珍しくない」という」(「中央日報」2011.03.30)。
文中の黄海道が「90万トン地域」というのはやや過大表現で、ほぼ豊作と言われた2011年産米は国連機関の報告では籾付で80.5万トン。精米では52.3万トンであった。
また、穀倉地帯ですら、路上で餓死者の遺体を目にするということは、近年の実態が隠されてきているということである。また、数年前に、北朝鮮人民が行き倒れ(餓死者)を発見した場合、直ちに人目に触れない所に移動するよう命令されているという報道があった。

◆平壌でも食糧配給減る、幹部もトウモロコシ粥生活
「北朝鮮内で比較的きちんとした配給が行われているとされてきた平壌市内でも、最近では15日に5日の配給となっていると伝えられた。米政府系放送局のラジオ自由アジア(RFA)が14日、中国に滞在している平壌住民との電話取材の内容を報じた。5月に入り配給が減り、幹部の家でもトウモロコシの粥を食べているという」(「連合通信」2011.06.14)。

◆食料難反映、同僚殺し肉売る
「北朝鮮の人民保安省(警察機関)が内部資料として配布した犯罪事例集に、同僚を殺害して一部を食べ、残りを市場に流通させた事件など、食料難、経済難を反映したケースが多数掲載されていることが分かった。犯罪事例集を入手した韓国のキリスト教団体『カレブ宣教会』が20日、明らかにした。『法闘争部門従事者のための参考書』と題した事例集は、721件の犯罪事例を紹介。2009年6月に作成され、全国の治安部署に配布されたといい、大部分が実在した事件とみられる。事例集には、工場の警備員が寝ていた同僚をおので殺して一部を食べ、残りを羊肉と偽って市場で売ったなど、人肉に関連した事件が5件。そのほか、トラクター工場の工員が部品を抜き取って農場で食料と交換した例なども紹介され、食料難による犯罪が多発していることをうかがわせる」(「時事通信」2011.06.20)。

◆北の経済深刻 ホームレス児童急増
「北朝鮮で一昨年に行われた貨幣改革以降、『コッチェビ』と呼ばれるホームレスの児童が急増するなど経済混乱が深刻化している。23日、アジアプレスの北朝鮮内部の取材協力者が今年1〜4月に平壌などで隠し撮りした映像で明らかになった。現在、体制を支える『核心層』の軍にさえ食糧が十分に行き渡っていないという」(「産経新聞」2011.06.24)。

◆北朝鮮軍、将校にだけ食糧配給
「上官のためにナズナを掘りに来た平安北道の軍官学校の学生(26)は映像で『将校にだけ食糧が配給されているが(内容は)よいものではない。(食べ物が枯渇する)春には100人がいる部隊の50%が栄養不足状態となる」と証言した』(「中央日報」2011.06.25)。
「北西部の平安北道で接触した20台の男性兵士は『配給はあるが、情けなくて何を食べているか言えない。春先になると50%が栄養失調になるだろう』と証言。この兵士は上官のために山菜採りをしていたという」(「毎日新聞」2011.06.28)。

◆兵士が栄養失調に、政権弱体化か 隠し撮りビデオに映る北朝鮮
「北朝鮮は軍兵士への食料供給もできなくなっている―新たに公開された北朝鮮の映像では、栄養失調で部隊が弱体化していると証言する兵士の姿が映し出されていた」(「AFP」2011.07.01)。
 クォン・テジン韓国農村経済研究院副院長は、「北朝鮮が軍用米として食糧100万トンを保管しているという一部の主張は、過剰な表現」、「1990年代の中・後半と類似の様相を見せている」と述べた。この頃ようやく韓国の専門家から食糧危機説が出てきた(「韓国のYTNテレビ」2011.07.013)。

◆北朝鮮貿易相、海外代表部に食糧確保を指示
「北朝鮮貿易省が海外の各代表部に対し『9月までに食糧を5000トンずつ調達せよ』と通達し、食糧調達に総力を挙げている」(「連合通信」2011.08.08)。
「穀物の収穫量が期待を大きく下回ったことが原因」で、農業相ではなく、李竜男貿易相がノルマ達成のため必死になっているということである。

◆北朝鮮 中国からの穀物輸入20%増加
「北朝鮮が昨年中国から輸入した穀物が37万6431トンだったことが分かった。2010年の31万3695トンより20.0%増加(金額ベースで44.3%増)した」(「連合通信」2012.02.01)。
国際社会の支援が得られず、結局輸入するしかなかったのである。しかし、その量は需要に対して非常に少ないものであった。

最後に、90年代の飢餓の時代を統一戦線部幹部として北朝鮮で暮らし、詩人でもあった張真晟氏の詩を紹介したい。同氏は、2004年に、当時の詩集だけを持って脱北した。その詩集「わたしの娘を100ウォンで売ります 」が刊行され、多くの人々が食糧不足の現実を具体的に知ることになった。以下にいくつかの詩を紹介したい。

◆張真晟氏の詩集から

わたしたちは ご飯を 食べる

とうもろこしの 何粒かでも あれば わたしたちは 言う
食事にしようと
えぐい 木の皮を 噛みながらも わたしたちは思う ご飯を 食べたと
塩を 入れた 真水 一気に 飲んで それすらも ご飯と 言う
ご飯 その 言葉さえ なかったら 食べたと 言うことも なくなるだろうに


ご飯と言えば

ご飯と言えば 緑の 草粥だと 思い込んでいた こども
誕生日に 白い米の ご飯を出したら いやだと ダダを こねる
ご飯を くれと わたしの胸 かきむしる


宮殿

その宮殿は 生きている 人のための ものではない
数兆ウォンを 稼ぐために 億万金を 投じた ものでもない
死んだ ただ 一人を 祀る ために
三百万人が 飢えて 死んだ まっただ中に 華麗に 屹立し
天を衝き 聳え立つ
だれもが 沈痛な 思いで 仰ぎ見る 三百万人の 墳墓

※宮殿とは、1994年に死亡した金日成のために8億ドルもの多額の外貨を使って作られた錦繍山(クムスサン)記念宮殿のことである。「宮殿」に代わり食糧を輸入していれば数百万人もの餓死は防げたと言われる。北朝鮮の人々が花を買わされ拝礼を求められる「聖地」には、人々の恨みが積み重なっている。なお、維持管理はロシアの機関に依頼しており年間維持費は1億ドルという。金正日のミイラもここに収められた。

なお、北朝鮮に向けて韓国から飛ばされるビラには次のように書かれている。
「300万人が飢えて死んだ『苦難の行軍』の時、3年間も北朝鮮人民らを養うことのできる8億9千万ドルを投じて自分の父の金日成の死体を飾るのに費やしました。このお金で食糧を買い、飢える人民に食べさせたら、数百万人が餓死はしなかったはずです。これがまさに人民の父母、人民の指導者と騒ぎ立てる金正日の正体です」

目次


報告概要

I.北朝鮮の食糧生産統計
 1.毎年の調査基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計
 2.コメは100万トン水増し
 3.メイズも100万トン水増し
 4.国際社会が実態を誤解
 5.不足しているから聞こえてくる悲鳴
 6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない

II.北朝鮮の人口統計
 1.不可解な国連機関の人口増加率訂正
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

III.水増し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.搾取と抵抗の朝鮮史
 3.人口の水増しで国際支援を訴え
 4.統計のからくりも限界に
 5.国連支援機関の問題点
 6.独裁国家への「人道支援」は非人道
 7.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな
  
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「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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