救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

機ニ鳴鮮の食糧生産統計



4.国際社会が実態を誤解



韓国や米国では、2011/12年度は北朝鮮の食糧生産は順調でほとんど不足はなく、支援をアピールしているのは、備蓄のため、あるいは2012年4月15日前後の金日成生誕100年行事と強盛大国の出発を祝うために必要な配給を確保するためと見ている。

「韓国統一省当局者はほぼ例年並みで極度に逼迫した状況ではないとの考えを示した」、「韓国内では、北朝鮮が『強盛大国の大門を開ける』と位置付ける来年に備え『住民らに贈り物として与える食糧を備蓄するのが目的ではないか』との声も出ている」(「共同通信」2011.02.28)。

「朝鮮日報」記事2011.02.25は、「昨年、北朝鮮では過去最高の豊作となった上に、備蓄された食糧も十分にある。それにもかかわらず、北朝鮮当局は世界中にコメの支援を求めている。その理由は」、として2012年の強盛大国実現に向けて備蓄のため、軍に優先的に配給するためではないかと推測している。

元世勳・国家情報院長は3月初頭、国会・情報委員会で、「北朝鮮が食糧援助を受けるため躍起になっているのは、来年の政治イベントに備え、住民に提供するばら撒き性物資を調達し、3代世襲基盤の構築に向けた軍糧米を確保するためである」(「東亜日報」2011.06.09)と述べた。

米国政府も韓国政府も、北朝鮮が今も食糧支援を求めているのは、2012年4月の「金日成生誕100周年行事」で、人民に配給をするためで、食糧がそれほど不足しているわけではないと見ているが、これは大きな間違いである。既に述べたように、国連機関の報告が200万トン以上多めに推計しているのを根拠にしていると思われる。

「新米国安全保障センターのパトリック・クローニン研究員は韓国の情報を基に、北朝鮮の食糧問題は喧伝されているほど深刻ではないと分析。本当に深刻な状況になれば難民の発生を恐れた中国が行動に移るはずだと指摘した」(ヘリテージ財団のシンポジウムで、「ボイス・オブ・アメリカ中国語サイト」2011.05.14)。
「韓国政府の関係者は『米国も、WFPなどの北朝鮮食糧評価は誇張されたもので、北朝鮮の食糧難はそれほど深刻ではないとみている。米国が韓米共助を脅かすほどの大規模な食糧支援を行う可能性はない』と説明した」(「朝鮮日報」2011.05.25)

しかし、金正恩自身が、「人民たちに供給する祝賀物資も、ろくに準備できていない」と悲観し、「工場や企業が十分に稼働せず、人民の消耗品に生産保障がきっちりなされていないため、人民にあれこれ生活上の不便を与えている」と経済不振に危機感を抱いているようである(「毎日新聞」が入手した1月28日付の金第1書記の発言録、2012.04.16)。

◆飢餓を無視して核・ミサイル開発

問題は、北朝鮮が先軍政治を優先し、飢餓を無視して核・ミサイル開発をしていることにある。
韓国政府の推計では、「これまでに北朝鮮が長距離ミサイルや核兵器開発・試験に投資してきた費用は約30億5000万−31億5000万ドル(約2500億−2590億円)」で、2012年4月の「光明星3号」なるミサイル発射には「8.5億ドル(約700億円)がつぎ込まれる見通し」(「朝鮮日報(2012.04.04)」で、その内訳は、「東倉里の試験場建設費用(4億ドル=約326億円)と衛星製作費(1億5000万ドル=約122億円)を除いても3億ドル(約244億円)に達する(「朝鮮日報(2012.04.10)」という。3億ドルはミサイル製作費用。

この8.5億ドルでどのくらいの食糧を輸入できるか。韓国の「連合通信」(2011.08.14)の記事によると、北朝鮮が2011年に中国から149,173トンの穀物を輸入し6,031万ドルを支払った(韓国農村経済研究院のクォン・テジン副院長が韓国貿易協会の中朝貿易動向などを分析した結果)という。これは貿易統計に基づくデータなので正確なものと考えられる。また、「穀物全体に占める割合はトウモロコシ38.2%、小麦粉37.5%、コメ16.9%、豆7.2%、他0.2%」であった。つまり平均して1トン当たり404.3ドルとなる。
この数値を当てはめると、ミサイル関連経費8億5000万ドルで210万トン輸入できる。8.5億ドルには発射場建設費4億ドルも入っているが、この発射場ではまだ1発しか発射していないので、たった1発で8.5億ドル使ったとも言えよう。この失敗に終った「たった1発」の代わりに210万トンの食糧を輸入していれば、北朝鮮の住民は飢餓に直面することもなく、金正恩政権は住民に大歓迎され、三代世襲が当面の間受け入れられたかもしれない。

北朝鮮が、国際社会に、それもアフリカ諸国にまでなりふり構わず食糧支援を要請していることについて、日米韓等のメディアの多くは、「2012年の強盛大国に際し、より多くの配給が必要なため」と分析しているが、それは間違いで、実態は食糧の絶対的不足である。

さらに、2012年4月の約1週間にわたる金日成生誕100年祝賀行事には、「総額11億6000万ドル(約933億円)をつぎ込んだ」(「朝鮮日報」2012.04.17)。これだけの外貨があるのなら、いくらでも民生向上の方法がある筈である。また同紙によると、北朝鮮は4月15日に全国で、「大規模な花火打ち上げ行事「祝砲夜会」を実施したが、この行事には190億ウォン(約13億円)が費やされた」、「これは中国産トウモロコシ5万トンが買える金額」と言う。

そして、この日、金正恩は肉声で、「人民生活向上を目標にする党と政府にとって平和は貴重だ」と前置きした上で、「民族の尊厳と国の自主権がさらに貴重だ」(「産経新聞」2012.04.16)と述べ、先軍政治を民政より優先する姿勢を明らかにした。いわば、核・ミサイル開発等先軍政治のためには国民の餓死も止むを得ないと宣言したも同然である。
国連機関が、このような国家の政治姿勢を無視し「人道支援」を行い続けるのは問題ではないか。国連機関の人道支援は、むしろ北朝鮮がますます民政をないがしろにすることに加担しているとも言えるものである。

目次


報告概要

I.北朝鮮の食糧生産統計
 1.毎年の調査基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計
 2.コメは100万トン水増し
 3.メイズも100万トン水増し
 4.国際社会が実態を誤解
 5.不足しているから聞こえてくる悲鳴
 6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない

II.北朝鮮の人口統計
 1.不可解な国連機関の人口増加率訂正
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

III.水増し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.搾取と抵抗の朝鮮史
 3.人口の水増しで国際支援を訴え
 4.統計のからくりも限界に
 5.国連支援機関の問題点
 6.独裁国家への「人道支援」は非人道
 7.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな
  
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2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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