救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

機ニ鳴鮮の食糧生産統計



1.毎年の統計基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計


◆ミサイル連射・核実験と国連機関の食糧統計

北朝鮮外務省が、「国連機関の人道援助は要らない」などと開き直り、事務所や人員の撤退を求めたのが2005年9月下旬で、国連機関は2005/06、2006/07、2007/08年度は、北朝鮮の食糧生産量の報告を行っていない。
なお、北朝鮮は2006年のミサイル連射、核実験に先立つ2001年から2005年までの5年間、国連機関最大の被支援国で、穀物換算で年平均110万トン以上、計550万トン以上を受け取っていた(「レポート」2006)。

そして取れるだけは取った後の2006年7月、10月に、北朝鮮はミサイル連射、核実験に踏み切った。北朝鮮が国連機関に撤退を求めた時、「モニタリングの監視要員を嫌ったため」との説明がなされた。もちろん北朝鮮はモニタリングを快く思わないが、敢えて受け入れて食糧支援を得てきた。ミサイル連射、核実験による国際制裁、支援量の急減を想定した措置であろう。
北朝鮮の地下核実験に対し、国連安保理事会は制裁を含む1718決議を採択し、国際社会は厳しい制裁を発動したが、韓国の盧武鉉親北政権と中国が北朝鮮を全面的に支えており、国連機関が撤退しても両国からの一定の支援が得られることを織り込んだ上で、06年のミサイル連射、核実験が強行された。

韓国は、2005年に50万トンを支援し、2006年こそ10万トン以下に減らしたが、2007年には40万トン以上を支援した。そして李明博政権が成立した08年から支援を行わなくなった。中国は、2005年は50万トン以上、06年と07年でも30万トン前後、08年は10万トン余りを支援した。これ以外にも裏ルートでの支援があったと想定される。

そしてミサイル連射と核実験を行った翌年2007年に洪水が発生した。北朝鮮はこれを理由に2008年5月、国連機関に緊急支援を要請した。国連機関も、2007年の洪水を名分として再び北朝鮮に入った。WFPは2008年9月に、2010年6月までに190万トンの支援をアピールしたが、国際社会の反応は厳しく3万トンの支援しか得られなかった。
国連機関は2008年に調査を行い、2008/09年度の予測値を公表した。2008年は北朝鮮にとって国際支援を訴えざるをえない厳しい状況だったのである。

しかし、2009年、北朝鮮は再び調査を拒否し、北朝鮮は再度ミサイル連射と核実験に踏み切った。その結果、再び制裁を含む安保理1874決議を受けて国際社会の支援が激減し、北朝鮮は国連機関の支援を要請せざるをえなくなり、2010年に調査を受け入れ、国連機関は2009年分の結果と2010年分の予測を報告した。
北朝鮮はミサイル連射と核実験について国連安保理により二度の制裁決議を受けたが、他方国連機関は、政治と人道は別と言わんばかりの姿勢ですぐに支援に入り、国際社会に支援を訴えた。北朝鮮による国民への人権侵害や、外国に対する主権侵害、外国人に対する人権侵害という深刻な事態には目をつむり、そこに支援を求める人がいれば「人道支援」を行うという国連機関の姿勢は問題である。

国連機関による08/09年度の食糧生産量の報告はかなり異常な数値であった。精米・製粉値を大幅に変更し、食糧生産量を少な目に、不足量を多めに報告した。これは北朝鮮に有利な報告になる。その理由として、北朝鮮政府が従来精米値を75%、メイズ(とうもろこし、一般には飼料用品種)の製粉値を85%に設定してきたことだけを上げているが、「レポート」2008では、製粉値の変更やその割合について報告すらない。
そして、コメ、じゃが芋は従来通りとし、メイズ85%、雑穀92%、麦類92%、傾斜地・自留地75%という製粉値を一方的に設定し、2008/09年度の食糧生産量を334.3万トンと従来の基準より28.7万トン少な目に報告し、その分を不足量に上乗せさせた。このように、国連機関が業務確保を優先し、北朝鮮に迎合的な報告をしたことは大きな問題である。

ところが、北朝鮮が2009年4月にミサイル連射、5月に地下核実験を行ったことから、2009年は再び調査ができなくなり、ようやく許された2010年の調査で2009/10年度の結果と、2010/11年度の予測報告を行った。そしてこの報告では、さすがに後ろめたい思いがあったものか、異例な2008/09年度の製粉値は引き継がず、再び従来の製粉値で報告するようになった。
そして、元に戻した理由は説明せず、「精米値は65%、他の穀物は製粉値に換算していない」とだけ述べている。そして年により基準の異なる数値を同じ表やグラフで報告したのである。

◆毎年の統計基準の変化

北朝鮮の食糧生産量に関する国連機関の報告が、専門家の論文やメディア等で、そのまま引用されているのをよく見かけるが、国連機関の食糧報告は、国際社会に緊急支援をアピールすることを優先しており、客観的な報告とは程遠いものである。実際、毎年の調査基準が全く異なっており(表1)、また北朝鮮当局提供の数値をそのまま掲載してもいる。従って、もし利用するとしても、基準を補正して論ずべき代物だと知るべきである。

表1.FAO/WFP北朝鮮の食糧生産量統計基準の変遷


上記表1に明らかなように、国連機関が報告する北朝鮮の食糧生産量は毎年基準が異なるデータとなっている。国連機関が北朝鮮の食糧事情の調査に入った1995年、支援を開始した96年と翌年の97年は、コメとメイズ(一般には飼料用として生産されるトウモロコシ)の合計値だけで、他の作物は含まれていなかった。
国連機関は毎年のように統計の項目を増やしている。そのため見た目の生産量が増加し、その分、国際社会に支援を訴える量が少なくなる。

1998年報告からじゃが芋を穀物換算25%重として報告するようになった。この時、麦類と雑穀も統計に追加した。追加した分、国際社会に訴える支援量が少なくなった。
さらに、2002年度報告から自留地における食糧生産を100%換算で追加し、2003年報告では、傾斜地における食糧生産を100%換算で追加した。これらは、政府の配給の対象にはならないので、別枠で計上している。また、大豆は2010年報告では100%換算、2011年報告では、はカロリーが高いからと120%換算で報告した。

同じ基準で統計を見ると、2000/01年度の257.3万トンは、麦類、雑穀、じゃが芋を除くと、餓死者が多発した90年代後半よりも生産量が少ない。
なお、コメの精米値を65%としたのは1997年で、これは調査団にコメの専門家がいないことを示すと同時に、調査を重ねた結果の学習効果による訂正と考えられる。

◆食用以外の数値も変化
国連機関は、飼料、種子、加工等の食用以外に必要な食糧に関する需要も大きく変化させてきた。これは北朝鮮農業省の報告をそのまま受け入れた数値とされる。全生産量からこれらを差し引いて食用の量を出し、不足分を計算するが、この数値が大きく異なると、差し引きの不足量が大きく変化し、その分国際社会に支援を訴える量に影響する。しかし、国連機関の報告は、豚・鶏等の穀物飼料が必要な数の変化がそれほど大きくないのに、飼料の量は大きく変化しており、その説明では北朝鮮の提供資料に対し特別の疑問を表明していない(表2)。
また、飼料の他、「その他」として食用以外に必要な種子等を含む項目の数量と内容が年々変化しているがこれにも疑問を表明していない。

国連機関が支援に入った1995年の報告では、飼料140万トン、その他90万トンと食糧以外の使用に230万トンを計上していた。これが1996年報告では飼料60万トンと急減、その他67.5万トンと計127.5万トンとし、1997年報告では飼料30万トン、その他44万トンと計74万トンにさらに急減、1998年報告では飼料は30万トンと変わらないが初めて収穫後ロスに着目し、その他61万トン(種子と収穫後ロス)と計91万トンに急増した。

餓死者が大量に発生したこの時期に、最大230万トンから最小67.5万トンと、これほど報告基準が大きく変化すれば、訴えるべき支援の量に大きな差が出る。何度も調査を進めるうちにより詳しく実態が分かってきたという学習効果もあろうが、それだけではすまされないほどの大きな変化である。飼料に関しては1995年の140万トンから2011年の7.5万トンに急減した。

1998年報告後3年間はほぼ同じ基準であったが、2001年には飼料30万トン、種子14.4万トンと種子を独立させたにも関わらず、その他は63.8万トン(収穫後ロスを含む)とわずかに減らし、計108.2万トンと増加した。
さらに2002年には、飼料17.8万トンと激減、種子16万トン、その他69.1万トン(収穫後ロスを含む)とそれぞれ増加、計102.9万トンと報告された。2003年には、飼料は17.8万トンと変わらず、種子は23万トンに増加、その他74.8万トン(収穫後ロスを含む)、計115.6万トンと報告された。

表2.家畜数と飼料・その他用途の穀物の変化

※表は筆者作成。出典は各年度国連機関報告
※家畜は草食動物である牛、羊、山羊などは省略し、飼料として穀物が必要な豚と鶏とした。
※上段は年度、豚は万頭、鶏は万羽、飼料・その他は万トン。


2004年は、飼料18.1万トン、種子は23万トンに増加、その他76.2万トン(収穫後ロスを含む)、計117.3万トン。以後3年間報告はなく、2008年は、飼料22.4万トン、種子16.4万トンとした上で収穫後ロスを独立させ67.8万トンとし、その他2万トン、レストランなどの公共サービス1.3万トン、計約109.9万トンとした。
2009年は調査がなく、2010年調査で事後報告したが食糧以外の報告はなく、2010年は、飼料15万トン、種子21.9万トン、収穫後ロス55.4万トンとし、その他とレストランなどの公共サービスの項目を削除し、新たに備蓄を項目に追加して17.7万トンとし、計約110万トンとした。2011年は、飼料を7.5万トンまで減らし、種子24.3万トン、収穫後ロス62.4万トン、備蓄17.8万トン、計約112万トンとした。

このように国連報告には、客観性、統一性はまったくない。
本来、飼料需要は家畜数の増減で異なるのが当然のため、国連機関の報告の方式が実態に近くなるが、しかし家畜数の増減に対し、飼料の増減はまったく比例していない。それならば、韓国政府の統計数値のように、飼料、種子、加工、その他利用を一貫して100万トンとする方が、正確ではなくても客観的な比較を行うにはよりましな表記と言えよう。
このように、国連報告に基づいて安易に生産量の増減を論ずるのは問題がある。

以下に、北朝鮮の2008/09年度以降の食糧生産量を具体的に見てみたい。

表3.FAO/WFPが報告した2008/09年度の食糧生産量(万トン)

※出典「レポート」2010、表は筆者作成

表3に見られるように、国連機関は、2008/09年度の食糧生産量を334.3万トンと報告した。2008/09年度は従来とは全く異なる精米・製粉値を使用した。メイズ(とうもろこし)の製粉値を85%に、麦類と大豆を含む雑穀は92%とした。その結果、国際社会に訴えた不足分が多くなった。しかし、この精米・製粉値を使用したのは2008/09年度だけで、次回報告以降は従来の製粉値に戻した。

表4は国連機関が報告した数値を筆者が表にしたものである。下記のグラフ1は、これとは全く異なる数値であるにも関わらず、その理由を説明していない。

表4.年度別の食糧生産量(万トン)

※出典=「レポート」2003の図4及び、その後の各年度報告、表は筆者作成

下記のグラフ1を見ると、1995/96年度と1996/97年度は、生産量は表の方が上回っており、以後はグラフの方が上回っている。特に、2005/06年度以降はかなり多目の数値になっており、例えば2008/09年度のコメの生産量は、表4では精米・製粉前が165.7万トンで、精米後が107.7万トンであるが、グラフ1はコメだけで約300万トンとしている。従ってグラフの根拠となる数値は籾付き重ですらなく、精米・製粉値とも思えない。

グラフ1.北朝鮮の食糧生産量(単位千トン)

※出典「レポート」 2011
※このグラフは自然災害の結果、1996年、97年、2000年、2007年の生産量が少ないことだけを説明したもの。国連機関が毎年の支援を訴える時に根拠とした数値を並べただけもので、客観的な数値ではないという断り書きはない。

グラフ1の2008/09年度のコメの生産量300万トンに対し、これを食糧とする人口は、2008年11月〜2009年10月の年央値として2009年5月1日付で計算するが、北朝鮮の12/31現在の人口2275万人(「朝鮮中央年鑑」)を参考に一人当たりコメの消費量を計算すると、一人当たり年132kgになる。玄米重とすれば日本人の2倍以上。「死ぬまでにコメを腹一杯食べたい」という北朝鮮の人々にとって、生産量が少ない表4の数値ですら多すぎる量であり、日本人の2倍以上のコメを食べていたというようなグラフが正しいはずがない。

「苦難の行軍」後のデータを、じゃが芋、自留地・傾斜地の生産量、精米・製粉値の変更なしのグラフにすれば、実はそれほどの変化はなくなり、北朝鮮が今も厳しい食糧不足の下にあることがわかる筈である。

さらに驚くべきことに、このグラフには、国連機関が支援に入った1995年以前のデータ、即ち北朝鮮当局から提供された根拠のないデータがそのまま掲載されている。1993年に、ジャポニカ米1期作で世界最高レベルの日本の反収よりはるかに高く、500万トンのコメがとれたというようなデータを信じ、掲載し続けているのは、ジョークではありえても、国連の報告ではあってはならないことである。

北朝鮮当局のデータは共同農場等での収穫時に相当水増しされた計量値を合算しただけのものである。これを見ると、いかにも従来は生産量が多かったのが急減したかのように見える。国連機関もそれを強調して支援を訴えた。しかし、90年代後半の極端な食糧不足の時期を別とすれば、北朝鮮の食糧事情は昔からそれほど変わっておらず、生きているのがやっとというレベルが続いていたのである。

それは、北朝鮮の全世代の人々の身長が低く、あのファミリー以外に太った人がほとんどいないのを見るだけでも明らかではないか。
しかも、国連機関は、「グラフに明らかなように(2000年代の)生産量は450万トン前後に低迷しており、1980年代に経験した600万トン台の潜在能力に挑むべき」などと、北朝鮮提供の数値を今も能天気に引用している(「レポート」2010)。
ということは、国連機関は北朝鮮当局が提供した過去の数値も現在の数値も疑っていないということになる。調査団は一体何を調査してきたのか。

筆者が1995年12月に、北朝鮮の農政局長から直接聞いた数値では、「豊作時のコメのha当たりの反収は籾付きで7トン、メイズ(とうもろこし)は6トン」とのことであった。籾付きでha当たり7トンというのは、玄米では約5.6トンである。10a当たりの反収で見ると9.3俵(1俵は60kg)となり、様々なロスで実際の収穫値がそれより減少するとはいえ、山に有機物が少なく、数十年も同じ畑に同じ作物を植え続けた連作障害等で土壌が劣化し、肥料が不十分で品種改良がなされていない北朝鮮で、日本の平均収穫量(8.5俵強)以上の収穫をあげたという報告は到底信用に値しない。

じゃが芋の収穫では、今でもヘクタール当たり10トンとしているが、土壌が豊かで肥料もあり、ウィルスがない日本の本州でさえ7.5トン程度、北海道でようやく10トンという日本の状況と比べれば、ウィルスが蔓延している北朝鮮で10トンなど夢の報告としか思えない。
筆者は、北朝鮮のじゃが芋を専門とする農業試験場の担当者から、全国に広がる土壌ウィルスのため、国連機関が提供する種芋は大きいが、結果としての収穫は約2.5トン/haと聞いたことがある。

国連の担当官からは話を聞いたことはないが、業務を増やし維持すること、ひいては高給を取り続けることだけを目標とした人道支援であり、その報告であるとしか思えない。これはそれほどいい加減なグラフである。国連機関の人道支援は、人道が目的ではなく手段に成り下がっているのではないか。

国連機関は、北朝鮮で餓死が大量に発生した時期の内、95〜97年にはじゃが芋を統計にのせていなかったが98/99年度に42.5万トンとした。以後増減はあるが、2010/11年度は58.5万トンと報告された。じゃが芋は特に国連機関が二毛作を奨励し、種芋を持ち込み、生産を奨励したものであるので、計上したものと思われる。

また、当時、金正日は、「じゃが芋は白米と同じである」、「われわれは、すぐに白米と同時にじゃが芋を主食とする人民となる」と言った。しかし、人民は誰もそんなことを望んでいない。金日成の有名な公約は、「お腹一杯のご飯と肉のスープ」であったが、北朝鮮の人々が食べたいのは米である。調査すれば誰に聞いても分かることだ。

なお、国連機関が推奨したじゃが芋は、原産地は中南米の3000m以上の耕地で、北朝鮮にとっては飢饉の時の荒救作物ではあっても、北朝鮮人民の主食とすべきものではない。またじゃが芋はナス科で連作障害が起きるため輪作が必要だが、北朝鮮では輪作も容易ではない。メイズも南北アメリカが原産地で、国民はコメを食べたいと熱望しているが、国連機関はコメの増産には全く意欲がなく、専門家も送っていない。人道支援であっても、その地域の人々が求める食糧に留意すべだ。

さらに、問題は、先述した換算値の変更に加え、自留地・傾斜地(5〜22.5万トン)の食糧統計への追加計上、じゃが芋(40〜60万トン)の食糧統計への追加計上など、時期によって異なる統計が報告されてきたことである。そして国連機関は次々に新たな項目を追加するようになった。それを根拠に国際社会に支援を訴えてきたのである。

さらに、年度ごとに根拠の異なる統計が同じ表やグラフに、年度ごとの変化として表記されているのが問題である。

なお、WFPは2011年5月に、「常駐職員59人のうち、12人は韓国語が可能で、職員の6割以上を現場監視業務に配置する」と伝えた(VOA 2011.05.03)が、韓国語を話せるスタッフの同行は初めてとのことである(「レポート」2011.11)。これは北朝鮮がこれまで拒否してきたこともあるが、同時にコメの専門家を加えるべきである。

以下は、米農務省のデータである。まず、精米、メイズ、麦類のみのデータであることで、より客観性がある。また、90年代後半に麦類や雑穀を含まなくても300万トン強程度としているのは国連機関の報告とかなり異なり、比較的実態を反映したものとなっている。また、コメだけで300万トンとれたというような報告はしておらず、最大でも100万トン台後半となっている。しかし、全体としてまだ多目である。韓国政府や専門機関の報告も未だに多めに報告している。

グラフ2.北朝鮮の食糧生産(米農務省)


◆わかりにくい国連機関の食糧統計

以下に、2009/10年度以降の食糧生産を見てみたい。なお、2009年の秋は北朝鮮が調査を拒否したため事後報告しかなく、2009/10年度分は、北朝鮮当局の報告値をそのまま受け入れたものと想定される。

表5. 2009/10年度の食糧生産量(万トン)

※出典出典「レポート」2010、表は筆者作成(以下同じ)

国連機関は、この報告以降、トウモロコシ、麦類・雑穀を100%換算に戻し、大豆を雑穀から独立させ100%として報告するようになった。

表6.FAO/WFPが報告した2010/11年度の食糧生産量(万トン)

※出典「レポート」2010

2009/10年度報告と合わせて上記20010/11年度報告がなされたので、精米・製粉値は上記と同じ。なお、国連機関の報告は、精米・製粉前、精米・製粉後の合計値だけを出し、作物毎の精米・製粉値は出さないので、各表は筆者が作成せざるをえなかったものである。つまり、国連機関の報告は、実態がよく分からないように作られた報告となっている。

また、例えば2011/12年度の食糧生産量は8.5%増と発表するが、これは精米・製粉前のデータで、精米・製粉後であれば、11%増となる。11%増では支援が得にくいからか。コメなら国際基準は玄米重であるが、国際支援を訴える以上人々の口に入る量で表記するというやり方は、それはそれで意味があるが、増減については精米・製粉後を使わず、精米・製粉前のデータで報告をし続けている。

表7.FAO/WFPが報告した2011/12年度の食糧生産量(万トン)

※出典「レポート」2011

2011/12年度分は、2011年11月に報告されており、冬作・春作については予測値となる。
なお、大豆はカロリーが高いからとして2010年11月の報告以降、換算値を120%に変更した。生産量は同じなのにみかけの報告量を多くし、国際支援を訴える際の不足量を少なくしたことになる。
他方、国連機関は一人当たり1日167kgの食糧を基準として、国際社会に支援を訴えてきたが、大豆分として7kgを増加し174kgに変更したた。また増加の言い訳として、北朝鮮が176kgを基準としており、それよりは低いと説明している。これにより国際支援を訴える際の不足量を多くしたことになる。しかし、大豆は元々雑穀として計上されており、項目を独立させただけで生産量に変更はない。
この増減の結果どちらが得になるかは書かれていないが、少なくとも今回も基準の異なるデータを報告したことになる。

また、国連機関は、毎年観点を変えて調査し、その結果を報告していると弁解するかもしれないが、毎年報告する収穫量の表の形式が一定しておらず、よほど過去の経緯を細かく見てきた者しか分からない。
なお、国連機関は、2011/12年度の北朝鮮の食糧需要を精米製粉値で539.6万トンとしている。また不足量は73.9万トンで、北朝鮮政府が32.5万トンを輸入するので、41.4万トンが不足と訴えた。2011/12年度の人口は2457万人とした。

目次


報告概要

I.北朝鮮の食糧生産統計
 1.毎年の調査基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計
 2.コメは100万トン水増し
 3.メイズも100万トン水増し
 4.国際社会が実態を誤解
 5.不足しているから聞こえてくる悲鳴
 6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない

II.北朝鮮の人口統計
 1.不可解な国連機関の人口増加率訂正
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

III.水増し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.搾取と抵抗の朝鮮史
 3.人口の水増しで国際支援を訴え
 4.統計のからくりも限界に
 5.国連支援機関の問題点
 6.独裁国家への「人道支援」は非人道
 7.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな
  
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国民大集会「もう我慢できない。今年こそ結果を!」
「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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