救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

機ニ鳴鮮の食糧生産統計



3.メイズも100万トン水増し



メイズはとうもろこしの品種で、一般には飼料用とされ、スイートコーンより収穫量が多いデントコーン種であるが、北朝鮮では反収が多いことから食用とされたものと思われる。粘り気が強く、食べられなくはないが、うまいとはいえないものである。
今期のメイズは、ha当たり3.7トンの収穫で、収量が185.7万トンと報告された。この数値も、日本の約4.5トンと比較し、到底信用できない数値である。なお、世界のとうもろこしの平均反収は5.2トン(2010年)。

とうもろこしは比較的連作障害が起きにくい作物であるが、同じ土地に何10年も同じ作物を植えれば問題が起きる。しかし、「主体農法」では許可なく輪作できない。メイズに必要な肥料や微量元素が集中的に失われ、生産量が極端に悪くなる。
北朝鮮が1995年に「大洪水」による被害を訴え、国際社会に初めて支援を訴えた年、筆者は黄海北道銀波郡の銀波橋が崩壊したのを目撃した。その2年後に再び銀波橋を訪れた時、橋の端付近は護岸工事が行われており、その脇に植えられていたメイズは穂軸が40センチもあった。これは客土による効果と考えられる。メイズは普通穂軸が40センチ程度になる品種だが、北朝鮮の畑に植えられているメイズは、どこで見ても、25cm程度であった。連作の結果、収量が極端に落ちるのである。

日本で普通に食べられるとうもろこしはスイートコーンで、穂軸が25cmくらいになる。もしこれを北朝鮮で植えていたら、収量はさらに少なくなるので、北朝鮮がメイズのデントコーン種を使ってきた理由はそこにあるだろう。
さらに、北朝鮮ではコメだけでなく、メイズも3倍密植している。同じ土地に3倍もの苗を植えれば風通し、日照、虫害など問題が起きる。土への日当たりがよくないとかびがはえたり、また肥料も多く与えなければならない。
以上により、メイズも100万トン弱水増しと考えられる。
その他、北朝鮮が生産物を水増しするという報告は下記のように多数ある。

◆国連機関も統計に不審
国連児童基金(ユニセフ)平壌事務所のバラゴパル代表が、35〜40%の子供が栄養失調状態であることを指摘し、「北朝鮮当局の集計が間違っているのではないか」と主張した(「連合通信」2008.10.23)。
これは北朝鮮農業省が2008年の穀物収穫量を480万トン程度と推定したことに関するコメントであるが、同じ国連機関であるFAOやWFPがこの報告をほとんど受け入れていることへの間接的な批判にもなる。
この時、バラゴパル代表は、「5月に北朝鮮の2地域を訪問した際、食糧事情の悪化や配給システムが崩壊しつつある状況を知った」と紹介し、「今後も食糧事情はさらに厳しくなるとの見解を示し」ている。 実際に北朝鮮を見た人の実感とFAOやWFPの報告があまりにかけはなれていると思ったのであろう。
なお、FAO/WFPの報告でも、「配給制度がどのように機能しているかの詳細については把握していない」と述べている。

◆水増し
収穫後の生のメイズの皮をはぎ、吊るして自然乾燥すると、65〜75%ある水分を10%台まで少なくすることができる。日本では機械的に乾燥するので、粉末化する際、水分をほぼ0%にできるが、北朝鮮では乾燥機はほとんどなく、あっても電気が不足し機械的な乾燥はできない。
また、北朝鮮では、メイズは収穫後ほとんど乾燥せずに計量する。そうしないとノルマが達成されないからである。筆者は全量の約20%を占める芯も含めて計量していると脱北者から聞いたことがある。
脱穀して袋に詰め、倉庫で自然乾燥させるのが北朝鮮での一般的な乾燥法だが、この方法では、2011/12年度は、実質の生産量は185.7万トンの半分にもならないだろう。
また、トウモロコシはそのまま茹でて食べると消化がよくないので、製粉化することが必要であるが、その過程で皮膜と加工上のロスが出る。さらに貯蔵時に、水分を含んだメイズは、倉庫内で蒸れてカビが発生したりしてロスも出る。従って、メイズも約100万トンの水増しであると考えられる。
なお、メイズの芯は、飼料としては栄養価がほとんどないものの、動物に満腹感を与えられるのでスライスして混ぜるが、人間の食糧にはならない。

◆二毛作
2001年の春に100日間の旱魃があった。そのため、コメやメイズだけでなく、国連機関が薦めた二毛作のじゃが芋や麦に大きな被害があった。メイズの畑をじゃが芋や麦に変えたのだが、二毛作に挑戦して失敗したのである。二毛作には当然肥料も多く必要となる。韓国で簡単にできることが北朝鮮では全くできないことが多い。農業技術的にもできないし、農業基盤が整備されていない。少しの天候異変にも対応できないという弱点がある。つまり、リスクが高い地域で、国連機関がチャンジをしてしまったのである。

◆2006年には過大な食糧生産報告で多数の幹部を処罰
2006年には、過大な食糧生産報告の結果、多数の幹部が処罰された(「中央日報」2006.12.04)。この報告は、高麗大北朝鮮学科ナム・ソンウク教授が独占提供した「朝鮮労働党中央委員会秘書局決定第122号」(2006.11.03)に基づくものである。
「北朝鮮労働党中央委員会が最近、農業現況を集中検閲、13人の党と農業委員会所属幹部たちを含め、多数を処罰するよう指示したことがわかった。2006年秋穀生産量が210万トンだが、これを350万トンと虚偽報告した疑いだ(中略)、「少なくない農業部門関係者らは農業生産実積を虚偽で作成して報告し、個人搾取した」、「結果、今年度農業生産実積210万トンを350万トンに虚偽操作…人民経済計画樹立に混乱を造成した」。 これにより、黄海南道・平安南道の道党農業秘書、黄海南道・平安北道の農村経理委員会委員長、咸鏡南道道党経済秘書ら計13人を離党、撤直(職位解除)、革命化(教育)させることにした」。

「2006年秋穀生産量が210万トンだが、これを350万トンと虚偽報告した」ということは秋作だけで140万トンの水増しとなる。北朝鮮の精米・製粉値は国連機関のそれより甘いので、実際の収穫量は210万トンよりさらに少なくなる。
冬春作の食糧生産量(じゃが芋、麦類)は全体の概ね12.5%程度なので、2006/07年度の北朝鮮の精米・製粉値に基づく全生産量は240万トンになる。年間の虚偽報告としては400万トンとされていた筈である。不作の年とはいえ、少なくとも160万トンの水増し報告がなされたわけである。
2006年の食糧生産についてFAOは調査を実施していないが、推計値を発表し、「全生産量は380万トンで100万トン不足」と公表している(「読売新聞」2007.02.10)。
北朝鮮は2006年のミサイル発射と核実験で国際制裁を受けており、北朝鮮は国連機関の調査を拒否しつつ支援を訴え、国連機関もこれに応じたものと思われる。しかし2006年11月以降の輸入実績は国際支援を含めても1万トンにも達していなかった。また、2006/07年度は国連機関が設定した需要480万トンに対し供給は240万トンで、需要の半分またはそれ以下しか生産できていなかったのである。

210万トンを350万トンに水増ししたということは、収穫の実態は北朝鮮の精米・製粉値換算で60%になる。40%が水増しされている。これをFAO/WFP発表した最新報告(2010.11.16)と比較すると表8のようになる。約190万トン弱の水増しである。
また、コメで見ると、水田の面積は57.1万haなので、精米の反収は1.7t/ha、玄米なら1.9 t/ha程度(3俵強/10a)になる。

表8.60%換算値(2011/12)

※表は筆者作成

農業関連機関に勤め2000年に脱北した男性は、餓死者が発生した「苦難の行軍」中の90年代後半の1ヘクタール当たりの田畑の平均生産量は1.5トンと証言した(「連合通信」2008.06.17)。10a当りなら150kg(2俵半)で、この時期はさらに少ない収量だったようである。
水増しは、製品を製造する工場でも同じように起きている。「機械工場の責任者は7月、生産高を水増しして党に報告。ある朝鮮労働党幹部は同筋に対して、『生産目標を達成できなければ、ただちに職を退けという雰囲気なので虚偽報告は避けられない』と述べた」という(「朝鮮日報」2009.11.25)。北朝鮮ではノルマ達成のためにあらゆる経済分野で生産量が水増しされているのである。また、それぞれの立場の責任者が賄賂を受け取り、ノルマが達成されたように報告してきたのである。

「中央日報」(2011.03.28)によると、「世界食糧計画(WFP)がこのほど実施した北朝鮮の食糧実態調査結果の報告を受けた韓国と日米など西側諸国は北朝鮮の食糧難が深刻だとは判断しがたいという評価を下した」、「北朝鮮当局が(食糧状況が厳しいように見せようと)わざと配給量を減らした可能性が大きく、北朝鮮住民たちは市場などを通じて食糧を確保したりもし、配給量が減少したということだけでは食糧事情が悪くなったとは判断しにくい」と話したという。韓国政府では、「北朝鮮の食糧事情が最悪の状況ではなく、2012年強成大国建設を控え食糧を備蓄する狙いがあるのではないかという強い疑念を抱いている」との見方が強い(「連合通信」2011.03.30)。
北朝鮮は国際社会を騙してきたが、ここに至って、逆に国際社会に実態を誤解され、困っているというのが現状であろう。

目次


報告概要

I.北朝鮮の食糧生産統計
 1.毎年の調査基準が全く異なる国連機関の食糧生産統計
 2.コメは100万トン水増し
 3.メイズも100万トン水増し
 4.国際社会が実態を誤解
 5.不足しているから聞こえてくる悲鳴
 6.北朝鮮の1日一人当たり食糧は江戸時代より3割少ない

II.北朝鮮の人口統計
 1.不可解な国連機関の人口増加率訂正
 2.おかしな報告の数々−北朝鮮人口調査
 3.人口は300万人水増し

III.水増し統計を発表し続ける理由
 1.個人独裁の責任が問われる
 2.搾取と抵抗の朝鮮史
 3.人口の水増しで国際支援を訴え
 4.統計のからくりも限界に
 5.国連支援機関の問題点
 6.独裁国家への「人道支援」は非人道
 7.国連は家族農業を認めない国家には人道支援を行うな
  
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「もう我慢できない。今年こそ結果を!」。2月2日に家族会・救う会合同会議で決めた今年の運動方針です。 拉致被害者家族の高齢化が進み、「生きている間に被害者に会えないかもしれない」という言葉が出るようになっています。経過はすべて説明して頂くことはないと思います。しかし、今年中にぜひ結果を出して欲しいということが、家族会・救う会そして心ある日本人の心の底からの叫びだと思います
2014年4月27日午後2時午後5時 日比谷公会堂
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