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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

最新の北朝鮮情勢と拉致問題-東京連続集会報告1(2020/01/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.01.27)

■最新の北朝鮮情勢と拉致問題-東京連続集会報告1

 令和2年1月24日、東京・文京区民センターで、「最新の北朝鮮情勢と拉致
問題」のテーマで、109回目の東京連続集会が開催された。北朝鮮は年末、朝
鮮労働党中央委員会総会で、経済制裁により「普通なら一日も持ちこたえられな
い非常に厳しく危険極まりない難関」に直面していると認め、「世界は新しい戦
略兵器を目撃する」と威嚇しつつもミサイルも人工衛星も撃てなかった。米国が
ドローンを使ってイランの司令官を殺害したことにも怯えている。

 今回は金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)自由北朝鮮放送代表をソウルか
ら招き、最新北朝鮮情勢について報告を聞き、西岡力救う会会長と共に拉致の観
点を含め報告した。家族会の横田早紀江さん、横田拓也さんも報告した。

◆予告していた軍事挑発はなく、異例の中央委員会総会、新年の辞はなし

西岡 力(救う会会長、麗澤大学客員教授)

 みなさん、こんばんは。去年に引き続き金聖●(王へんに文)さんに来てもら
いました。去年も北朝鮮の内部情勢について、特に経済制裁がどの程度平壌に影
響を与えているか。そしてその経済制裁で苦しい中、中国が観光客を大量に入れ
て事実上の制裁破りをしていることの実態について話をしてもらいました。

 去年の12月から1月にかけて、北朝鮮を巡る情勢として3つのことがありま
した。1つは北朝鮮が繰り返し言っていたアメリカとの交渉の起源は年末までで、
アメリカが北朝鮮側の計算法に合わせないのならば「クリスマスプレゼントをす
る」と言っていました。

 ミサイルを発射するのではないか、核実験をするのではないか、あるいは人工
衛星を発射するのではないかと言われていましたが、まずそれがなかった。軍事
挑発をする、すると言いながらなかった。できなかったのかやらなかったのかは
ともかく、予告していた軍事挑発はなかった。

 一方、年末の28日から31日まで4日連続で労働党の中央委員会総会が開か
れました。特徴は中央委員と中央委員候補2百数十人が集まる集会なのですが、
韓国の言論機関が北朝鮮が公開した映像を数えたところ千人以上だった。

 北朝鮮の報道でも、地方の党の幹部、行政機関の幹部、軍の幹部等が傍聴した
とのことです。千人くらいの人数を集めて4日間会議をした。そして最初の3日
間で金正恩氏が計7時間演説をした。31日には多分、「金正恩は正しい」、
「その通りに行こう」というような演説を色々な代表がしたと思われます。

 4日間やるというのは異例です。過去に中央委員会拡大会議というのをやった
ことがありますが、今回は拡大会議ではないのに中央委員会総会で千人も集まっ
たのも異例です。

 一方、金正恩は1月1日に毎年テレビの前でやってきた「新年の辞」はなかっ
た。従って中央委員会総会での7時間の演説が「新年の辞」の代わりで、今北朝
鮮の全国でそれを学習する運動をしています。

 その3つのことを踏まえて、そこから何が分かるのか。私もそのことについて、
今日発売の「Hanada」に書きましたので、資料としてお配りしています。金聖
●さんは昨日も、「北朝鮮の内部から電話がかかってきた」と言っていますので、
内部がどうなっているのか伺い、またその内部の状況を踏まえて拉致被害者救出
や制裁の効果につき考えたいと思います。

◆「夜明け前の夜が一番暗い」

金聖●(自由北朝鮮放送代表)

 ありがとうございます。皆さんにお会いできて嬉しいです(拍手)。

 明日から韓国ではお正月になります。韓国は旧正月を大々的にやります。そう
いう日にも関わらず西岡先生が「来い」と言ったので来ました(笑)。

 実は韓国の脱北者にとって一番寂しいのがお正月です。今韓国では、お正月を
故郷で過ごすために、高速道路が大渋滞しています。それを見て我々脱北者は、
「道はつながっているのに我々の故郷に行くことができない」と言って寂しい気
持ちになるので、今日ここにこれてよかったです(笑)。

 そのような気持ちは、北朝鮮に捕らわれている拉致被害者の人たちにはもっと
強いのではないかと思います。私たちは韓国に来て10年とか、最近来た人たち
もいるのですが、拉致被害者はもう40年も両親に会えないような暮らしをして
いると思うと、そしてご両親が歳をとられて寝ておられるという話を聞くと、私
も言葉がありません。

 しかし、拉致被害者家族の皆さんと、またずっと支援をしてくださった皆さん
にお会いできて大変嬉しいですし、あきらめることなく金正恩政権を倒せば全員
帰ってきます。強い圧力をかけて全員を取り戻すことは我々脱北者の願いでもあ
りますし、皆さんと共に最後まで一緒に行きたいと思っています。

 「夜明け前の夜が一番暗い」という言葉があります。これまでずっと被害者を
助けよう、金正恩政権を倒そうと努力してきましたが、今の金正恩政権はびくと
もしない状況ではありますが、いつかその日が近づいているという希望を皆さん
と共に持ちたいと思います。

◆北朝鮮の漁民2人をろくな調査もしないで北に強制送還

 最近の事例を一つ申し上げます。昨年11月に北朝鮮の漁民2人が韓国の海軍
に保護されて韓国に入りました。しかし、まともな調査も受けないまま2日間で
北朝鮮に強制送還されました。

 それを見ていて、我々脱北者は金正恩が要求すれば今の文在寅政権は、我々も
送ってしまうのかと心から怒りが湧いてきました。韓国の中では我々脱北者を保
護するという立場の人たち、韓国の憲法を守るという良識ある人たちは、これは
明確な憲法違反であると国際社会や国連に訴えようと様々な活動をしましたが、
とにかく2人は北朝鮮に送られてしまいました。

 状況を詳しく説明しますと、北朝鮮の漁船が韓国の水域に入ろうとした。とこ
ろが韓国の海軍がそれを阻止して追い返そうとした。しかし彼らは、どうしても
韓国に入りたいと何回も入ってくる。2日間そのような攻防が繰り広げられた後、
韓国の海軍はしかたなくという感じで2人を連れてきた。私は脱北者者だからよ
く分かるんですが、脱北者が来たら合同調査団が作られます。国情院や警察など
5つの機関の合同調査団の調査を受けます。少なくとも1週間以上かかります。

 動機は何なのか、北朝鮮で何をしていたのかというようなことを調べられるわ
けですが、その調査も簡単に済ませて非公開で北朝鮮に送ろうとした。

 しかし、たまたま国会で国情院に関する国政監査をやっていて、そこに出てき
た政府関係者が国会の議場でスマホを開いて見ていた。それを望遠レンズで韓国
の通信社が撮ったところ、「今日の昼2人の漁民を板門店から北朝鮮に送ります」
という文字が見えて、「これはどういうことなんだ。説明しろ」ということになっ
て、2人を送ることが発覚し、大問題になったのです。

 それについて統一部の代弁人が次のように説明しました。それを我々脱北者が
聞いていて、「本当にこれはめちゃくちゃな話だ」と思ったわけです。

 その2人は殺人犯である。実は犯人は3人いたが、1人は逃げた。そして彼ら
が乗っていた17トンの船に彼らの他に16人が乗っていて、鈍器で殴り殺した。
そして韓国に逃げてきたが、殺人犯だから送り返した、と。

 脱北者の中に北朝鮮でほぼ同じ大きさの漁船に乗っていた人が2人いましたの
で、私はすぐ2人に聞いてみましたが、17トンの船だと船室に寝られるのは9
人くらいだそうです。代弁人の説明によると、1人ずつ呼び出して40分かけて
鈍器で殴って海に放り投げたそうです。では1人ずつ殺していた間に他の人が順
番を待っていたのか。もう話にならない説明をしたわけです。

 そして犯人は統一部の説明では3人だった。3人は殺した後韓国に逃げようと
したが、旅費が必要なので一度漁港に戻って、魚を売ってお金に代えようとして、
そこで一人捕まった。それで2人は漁船に乗ってもう一度逃げた、と。

 しかし、北朝鮮の海洋警察に勤めていた脱北者に聞いてみると、漁船が自由に
港を出入りできない。特に犯人が捕まったということであれば、漁船は出られな
い。そんな甘い警備はしていないとの話をしていました。

 調査もまともにしないで2日で北朝鮮に送ってしまったのですが、その送り方
も我々脱北者からすると、あまりにも残忍で口に出すのもいやな程のことでした。

 具体的には、本人たちには北朝鮮に送るとは言わないで、別の機関に行くと行っ
て、目に眼帯をして縄で縛って、車に乗せて行き先を継げないで板門店に連れて
行った。着いたら北朝鮮に着くすぐ前のところで眼帯をとった。目撃した記者の
証言によると、目の前に北朝鮮の兵士がいるのを見て、その2人は膝の力がなく
なって、その場にしゃがんでしまった。

◆脱北者は国際刑事裁判所に提訴

 実は私も脱北して中国の公安に捕まって調査を受けました。「お前は北朝鮮人
民軍の大尉だったから、北朝鮮に送り返したら殺されるのはよく分かる。北には
送り返さないから中国で何をしたか全部自白しろ」と言われて、私はそれを信じ
て7日間、徹底的に中国で自分がやったことを話した後、7日目に私は眼帯はさ
れませんでしたが縛られて北に送られてしまった。

 その時の自分の気持ちを思い出すのですが、彼らは中国ではなく自由の、自分
の祖国である韓国に来たのに、縛られて送り返されてしまった。その彼の気持ち
を思うと言葉もありません。

 我々脱北者は国際刑事裁判所にこれを提訴しました。書類を受理したという返
事をもらいました。また韓国内の人権団体は国連にこのことを告発しました。

 私は脱北者として、大韓民国が私たち脱北者を韓国の建設に貢献したわけでも
ないのに温かく迎えてくれて、生活をさせてもらっていることに感謝をしており、
特に外国に来て自分の政府や大統領について批判的なことを話したことは今まで
ないのですが、韓国に来てから5人目の文在寅大統領は今までとは全く違う人だ
と思います。

◆文在寅政権になって、脱北者のNGOを支援する予算をカット

 文在寅大統領は選挙公約で、「まったく違う新しい世の中を作る」と言ったの
ですが、まさに新しい世の中になった。その新しい世の中で、北朝鮮人権問題を
これほど無視するのかと言わざるを得ない気持ちです。

 金正恩政権がいかに悪辣な政権であるかは韓国人も国際社会も分かっていると
思いますが、その政権と戦うために我々脱北者の役割があると信じて今まで活動
してきました。

 しかし、文在寅政権になって、脱北者のNGOを支援する予算が今まで109
億ウォンあったのが、100億ウォンカットされて9億ウォンになってしまった
という報道があります。そしてその9億ウォンがどこに使われているか調べるた
ところ、親北系のNGOに支援されており、北朝鮮に対する人道支援に使われて
いました。

 このような例を挙げるときりがないんですが、もう一つ言うと、北朝鮮人権法
という法律は本来韓国が先に作らなければならなかったのですが、アメリカが作
り、そして日本が作った。

 韓国でも金文洙議員等が発議をして、ずっと議論をしてきて、13年かかって
朴槿惠政権の時にやっと人権法が通過したのです。そして人権法の目玉は、人権
財団を作ることでした。また理事長や理事の選任は与野党推薦の枠があるのです
が、文政権になってその推薦をしないので人選が進まず、財団が動かない。

 そうしたら人選がされていないので財団の活動ができないと言って、事務所も
閉鎖された。文在寅政権になって、北朝鮮人権ということ自体がなくなってしまっ
た。

 しかし我々脱北者は、政権がどんな政権であろうと、故郷につながる道を開か
なければならないという決意で今も活動しています。我々自由北朝鮮(北韓)放
送も活動しています。

(2につづく)


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