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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の再調査結果、予想される問題点2(2014/09/02)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.09.02)

◆被害者を返す決断の証があれば制裁解除も納得できるが

西岡 合意文書に戻りますが、1行目の「日朝平壌宣言にのっとって」というと
ころが問題だということでしたが、それ以外に前文で問題と思われるところはど
こでしょうか。

中山恭子 そうですね、「日本が独自に取っている北朝鮮に対する措置を解除」
というところがありますが、これは北朝鮮が何をしたら制裁を解除するのか。調
査委員会を立ち上げた段階で日本側は制裁を解除する。どう考えてもバランスが
とれていないと思いませんか。

 「調査委員会を立ち上げました」、「ああそうですか。では解除しましょう」
ということですが、解除する行動を取るのであれば、北朝鮮側もそれに対応する
何らかの行動を取ってもらわなければいけない。

 この制裁は、北朝鮮側、当時は金正日総書記、今は金正恩第一書記が被害者を
解放するという決断を迫るために、決断してもらうためにかけています。解除す
るのであれば、「調査委員会を立ち上げました」ではなくて、北朝鮮側が何らか
の形で「解放する決断をしました」という証が必要と考えていました。

 ところが、北朝鮮側がそういう行動を何もせず、「調査委員会を立ち上げまし
た」という連絡があっただけ。どういう人がなったかということは書いてあると
思いますが、それだけで制裁解除というのはあまりにもバランスが悪い、やって
はいけないのではないか。何らかの決断の証があるのでしょうね。例えば被害者
のリストを政府はもう入手したと考えていいのか。そういう心配です。

 被害者のリストがない限り制裁を解除してはならない。決断がなされたという
証を確実に取って制裁を解除するというのなら納得できますと申し上げてきまし
た。

西岡 しかし、表向き、リストがあるとは政府は言っていませんよね。日本経済
新聞はリストが来たようだという報道をしましたが、「それはない」と言ってい
る中で制裁が解除されてしまったということですね。

◆交渉継続のための制裁解除は許されない

中山 そうですね。交渉を続けるためにこの制裁解除を使ったということが許さ
れるのだろうかと、そんな心配もしています。私自身は、政府は何らかのリスト
を入手しているに違いない。そうでなければ制裁解除はしないはずだと考えてい
るんですが、それが¥もしなかったら、何と言っていいのか分かりません。

西岡 政府の説明は、解除した制裁は大変小さいものだと言っています。それか
らもう一つ。「北朝鮮が出してくる調査結果がひどいものだったらもちろん制裁
をかけなおすんですよね」と言ったら、伊原局長は、「今交渉が進んでいる最中
に北朝鮮が変なものを出してきた場合という仮定で話をするのはよくないと思い
ます」と言われました。

 安倍総理は読売新聞とのインタビューで、「当然制裁は北朝鮮が肯定的反応を
するために使うので、変なことになれば制裁をかけなおすことは十分ある」と。
そして、「人道支援は一度取られてしまったら帰ってこないが、制裁は解除して
もまたかけなおすということで使える」とおっしゃっていまして、少しほっとし
ました。

中山 私が参加したのは2002年ですが、安倍総理は家族会結成の頃から被害
者に対して非常に暖かい目で対応してくださった。何としても取り戻すとの強い
意思をお持ちだということは、私は側でおつかえしてよく分かって、強くそれを
感じていますので安倍総理を信じています。西岡先生もそうだと思いますが、そ
れと事務方の動きがしっくりせず、ちょっと違っているかなという心配がありま
す。

西岡 制裁を先に解除してしまったという部分についてですが、最初私は北朝鮮
の船が入ってくることを許したこと、人道物資を持っていくことが前提で万景峰
号はだめということですが、しかし人道物資ということで朝鮮総連がお米などを
大量に買って北朝鮮に持っていくことが起きるのではないか(と心配しました。

 1995年のことをすぐ思い出しました。当時加藤紘一自民党幹事長が主導し
て、50万トンの食糧支援をしたんです。その時実は3年くらい経っている古古
米を出した。倉庫代がかかるということで、日本としても経済的にプラスになる
ようなことを人道支援としてやりました。そして、「運送費もかからない。北朝
鮮から船が来るんだ」と。

 北朝鮮の船が日本の港に来て古古米を積んでいってしまったんです。どこの誰
に配ったのはモニタリングしなかった。それで日本からの米を中国に売ったので
はないかという転売疑惑が起きました。とにかく分からないわけです。

 人道支援をする場合は、モニタリングが絶対必要なわけです。今回は貨物船が
来るということで聞いてみたのですが、そういうことはしていないそうです。個
人が個人に送るもの、そういう人道物資の運搬だけを許しているということでし
た。セーターなら何枚ということになっています、という説明を受けました。

 ではコメは何トンならいいのかという規準について決まっていると聞いていま
すが、公開されていません。そういう心配なところはありますが、今の所北朝鮮
の船は来ていない。つまり実際に北朝鮮に何も物は運ばれていない。これを北朝
鮮がだまされたと思っているのかよく分からないのですが、解除したのに船が来
ていないということは、彼らに実質的な利益はまだいっていない。

 あとは朝鮮総連の幹部が北朝鮮に行けるようになった。9月9日(の行事のた
め)に許宗萬(ホ・ジョンマン)議長が行くようですが、それが唯一のプラスで
す。

 万景峰号を含めて人道支援物資を認めようとした2008年の福田(康夫)政
権の時よりはましとは思っていますがどうでしょうか。あの時は中にいらっしゃ
いましたよね。

◆被害者解放の証なしで人道支援をする可能性がある

中山 今回の合意文書で、日本側の措置として7番目に、「人道的見地から、適
切な時期に北朝鮮に対する人道支援を実施することを検討することとした」と。
非常に回りくどい言い方ですが、「人道支援はいつでもやれますよ」と。何も拘
束や制限がなく、いつでもやれる。

 逆の説明では、「そう書いておけばやらなくていいんだ」というのもあります
が、今回これが入っているということは、どこかでまた交渉を続けるに当たって、
決断させるためではなく、交渉を継続させるために人道支援を行うことも使えま
すということを宣言しているのであろうと読めます。

 これは、人道支援をするのであれば、北朝鮮側がきちんと拉致被害者を解放す
るという証をとってからしてほしいということをみんなで監視してほしいんです。

 アメリカは人道支援をしたりしています。私たちも本当に困っているのであれ
ば人道支援はしたいと普通に思いますが、なぜこれまで人道支援を止めたかと言
えば、これは西岡先生の説明の方がいいかもしれませんが、横田めぐみさん骨と
いわれて差し出されたものが全く違っていた。

 人の道に反することまでして、1200度で焼いて出してきたことがどれほど
むごいことなのかということをみんなで感じて、もう人道支援は止めましょうと
いうことにした制裁措置ですので、そこはしっかりと政府の動きを見ていただき
たいと思っています。

◆残留孤児帰国で「人道支援」の危険性も

西岡 今回北朝鮮がいつ報告を出してくるかまだ分からないのですが、北遺族会
が15日から、墓参のため平壌を訪問することを決めました。一度、日朝合意が
できたのだから墓参はしないと言っていたのですが、やることになった。そして
テレビカメラなどがたくさん付いていくようです。

 一部流れている情報によると、残留日本人孤児が出てくるのではないかと言わ
れています。残留孤児は、親が連れて帰ることができなくて、北朝鮮の親に育て
ていただいたという北朝鮮が大変人道的立場に立てる問題です。

 拉致問題で成果がない中で、北朝鮮が人道的なことをするかもしれない。その
場合、「人道的見地から、適切な時期に北朝鮮に対する人道支援を実施すること
を検討する」という文章をどう考えるのか。

 先ほどの中山先生の説明を補足しますと、2004年に、5人の被害者の家族
を小泉総理が取り戻した時に、25万トンの食糧支援の約束をしたんです。そし
て12万5千トンは実施したんです。そして、8人とそれ以外の方々の再調査の
結果を待っていたんですが、その結果があまりにひどかったので、残りの12万
5千トンは、約束したものさえ止めたんです。

 約束したものさえ止めたほど北朝鮮が非人道的なことをしたというのが日本の
今のスタンスですから、残留孤児の人たちが出てきて、日本に帰ることができる
というのは非常にいいこと、歓迎すべきことだと思いますが、そのことで食糧支
援が再開されると、国際社会は、「日本は横田めぐみさんの骨が偽物だったとい
う主張を降ろしたのか、『ネイチャー』という雑誌で批判されたので降ろしたの
か」と思われる危険性がある。

 止めた理由が偽の死亡診断書などで偽の遺骨さえ出てきた、そこまで非人道的
なことをやっているから人道支援さえできないんですよと国際社会に言っていた
のに、それも約束したものさえ止めているのに、別のことで動いてしまうとそう
いう危険性がある。

 この合意文書の危険性を私たちは分かっておいて、いつ政府が人道的な見地か
ら人道支援を実施しようとするのか、拉致被害者全員が帰ってくるというめどが
たつのでなければ、この第7項目を実行させてはならないということをまず確認
しておきたいと思います。

◆国交正常化したら被害者は帰ってこない

中山 ちょっと話が元に戻るかもしれませんが、当時、国交正常化をするのであ
れば、日本という国家として、自国の国民が拉致されて監禁状態に置かれている
のに、それを放置したまま国交正常化をするというのは、国家としてやってはい
けないことです。

 ただその時に、「国交正常化をすれば人の行き来が多くなるわけですから、情
報も入ってくるし、拉致被害者にとってもよい結果が出る」というようなことを
言われたことがあります。

 私自身は、北朝鮮の動きを見ていて、国交正常化してしまったら日本から色ん
な支援が入っていく中で、拉致被害者がいましたと言ってわざわざ出してくるこ
とはありえないことだと思います。「被害者はいません」という形が作られる可
能性が強いと思いましたので、国交正常化をして人の行き来が多くなれば被害者
が帰ってくるというのは幻想にすぎないと考えて、被害者が救出された後に国交
正常化を進めることの方が普通のことのように思いました(拍手)。

西岡 帰国された被害者の方から話を聞いたことがあります。金丸訪朝の後、国
交正常化交渉が始まった。その時大変不安だった、ということです。「国交正常
化されてしまったら自分たちは平壌にいられらくなる。山奥に隔離されるだろう
と思っていた」と。

 つまり、北朝鮮に住んでいる人たちの実感からすれば、国交正常化すれば、今
中山先生がおっしゃったことを感じているわけですね。

◆国交正常化すれば拉致情報が出てくるというのは幻想

中山 当時その考え方というのが、国交正常化してから拉致被害者が出てくると
いう考えですが、それはありえませんと言いました。当時小泉総理が「拉致問題
の解決なくして国交正常化なし」とよく発言してくださいました。

 拉致問題の解決にも色々な解決がありますので、どういう意味にとるかはそれ
ぞれの部署によって違ったかもしれませんが、いずれにしても「拉致問題の解決
なくして国交正常化なし」というフレーズを繰り返し言ってくださいました。

 その後、この考え方はすーっと消えてしまい、安倍政権では総理は当然のこと
としてお考えになっているということですから、言わずもがなという雰囲気であ
ろうかと思いますが、私は大臣の皆様にはこれを繰り返し言ってくださいとお願
いしています。

 拉致被害者が監禁された状態に置かれているのに国交正常化するということ、
国交正常化してしまえばすべてが消えてしまうという非常に危険な可能性がある
ということを考えれば、このフレーズを多くの皆様にも言っていただきたいと思
います。

 拉致被害者全員が救出される、帰国することが前提条件なんだということを繰
り返し伝えていかなければいけないと思います。私もそのつもりですし、皆様に
もそのことをお伝えいただきたい。やはり言ってないと、国交正常化を先に進め
てもいいと考える方々が増えてきますので。

 西岡 イギリスは国交正常化して、平壌に大使館があります。平壌にいるイギ
リス大使が時々東京に来るんですが、「平壌にいたら北朝鮮のことが分からない」
と。イギリスは拉致問題に大変同情的ですから、ある時イギリス大使館が家族会
・救う会を呼んでくださって、平壌駐在の大使と懇談の機会を作ってくださいま
した。

 その時、「自分たちは外交の場では拉致を含む人権問題をいつも北朝鮮に提起
しているが返事は全くない」と言っていました。そして、「どこに行くにも監視
がついている。北朝鮮の住民の普通の生活を見ることはできない。北朝鮮の政治
状況は平壌では分からない。東京の方が情報がある」と言っていました。

 国交正常化しても、そういう日本の大使がいるということだけなのです。そう
いう中で情報が出てくるだろうというのは全くの幻想だと私も思います。

(3につづく)



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