救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79報告1(2014/05/26)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.05.26)

 以下は、5月23日に、東京・文京区民センターで実施した東京連続集会79
のご報告です。

 北朝鮮は4月、最高人民会議を開き、大幅な人事を行い、張成沢派をほぼ一掃
しました。その後、事実上のナンバー2とされた崔竜海に代わり、黄炳瑞が登場
したと言われます。ジャーナリストの惠谷治さんに北朝鮮は今どうなっているの
か分析。また、いろいろ報道されている集団的自衛権を拉致問題の観点から見る
とどうなるのか、評論家の潮匡人さんが解説。西岡力救う会会長が総合司会、ま
たスウェーデンのストックホルムで5/26-28日に行われる予定の日朝局長級協議
についても解説。概要以下の通り。数回に分けて発信します。


■北朝鮮は今どうなっているのか?東京連続集会79報告1

平田 今日の司会の西岡会長が5分ほど遅れてきますので、まず惠谷さんに、北
朝鮮をめぐる最新情勢について少し説明をしてもらいます。宜しくお願いいたし
ます。

◆今年初め異常なほどのミサイル発射

惠谷 治(ジャーナリスト)

 数日前、北朝鮮が砲弾を撃って、韓国側が負けじと打ち返した小競り合いがこ
のところ数回続いてはいます。しかし、延坪島砲撃や天安艦爆沈のような局地戦
的な様相に至るほどではありません。個人的には楽観しています。

 しかし、3月の米韓合同軍事演習の期間、今年は異常なほど北朝鮮がミサイル
を発射しました。過去に例がないほどの回数、発射数で、配布資料を見ていただ
ければ分かると思いますが、これほどのミサイル発射はかつてありません。

 米韓合同軍事演習はもう何十年来、毎年3月、4月にやっています。その間ミ
サイルを発射したこともありました。昨年も過去と同様3発くらいしか撃ってい
ないんですが、金正恩が最高司令官と同時に第一書記という本当の意味の権力者
になってから初めての米韓軍事演習だったものですから、非常に気負ったという
か、騒いだわけです。

 「休戦協定の白紙化」、これは一方的にできることではないのですが、勝手に
言い始めて、そこからどんどん言葉がエスカレートしていって、いかにも戦争が
起きるような状況が去年ありました。

 結果的には何も起こりませんでしたが、その理由の一つは2月に実験した核実
験の結果、中国から文句を言われたというか、報道ベースですが(中国にある北
朝鮮の)口座が凍結されたり、中朝関係がうまくいっていない状況になりました。
これに加えて、去年の暮の張成沢粛清で中朝関係がさらにおかしくなった。

 今年に入って、ごく最近ですが、この1月から3月にかけて中国からの石油の
輸入が一切行われてないと、韓国のKOTRAという貿易投資振興公社が発表してい
ます。これは一体どういうことなんだろう。3か月も油を中国から入れていない
となれば当然ながらどこからか入れているはずです。

 だいたい謎が見えてきたんですが、それをお話しする前に、今お話ししたこと
をもう一度言いますと、今年の在韓米軍の合同軍事演習では言葉上ではおとなし
いというか、ほとんど騒いでいませんでした。しかし、ミサイル発射については
過去にないほどの実験を行っています。

 では西岡さんが来ましたので、いったん戻します。

◆北朝鮮は今不安定だから日本に接近してきたのか

西岡 今日やることの全体を整理し、各論に入りたいと思います。救う会の連続
集会ですので、拉致の観点から考えたいと思っているんですが、北朝鮮の金正恩
政権が今どういう状態にあるのかということが分からないでは、交渉に臨んだり、
我々の運動を進めることができません。

 この4月に最高人民会議があって、かなりの人事がありました。張成沢処刑後、
金正恩が任命した人間たちによる政権になりつつあります。これを安定してきた
と見るのか、不安定だと見るのか。

 そのことと、張成沢処刑後突然日本に急接近してきたこととの相関関係をどう
見るのかというのが一つのテーマです。

 まずファクト(事実)として、この4月に行われた人事、そしてミサイル発射
です。また、安定か不安定かのもう一つの要素として中国との関係があります。

 その上で、来週(5/26-28)日朝協議がもたれることで惠谷治さんに来てもら
いました。

 もう一方で、今日本の政治の大きなテーマが集団的自衛権に関する憲法解釈の
問題で、総理のもとで、私的懇談会である安全保障の法的基盤の再構築に関する
懇談会、安保法制懇が報告書を出しました。

 かなり長いものですが、ちょっと読むと、これは拉致問題のことを言っている
のではないかという部分があるんです。つまり、安全保障に関する法制、憲法解
釈が今後どうなるかということと拉致問題は無関係ではないのです。

 先ほどの話とつなげて言いますと、金正恩が不安定であるという前提に立つな
らば混乱自体が起きる。混乱自体が起きた時にどうやって被害者を救うのか。我
々家族会・救う会は、「圧力によって北朝鮮を交渉の場に引き出す」、そして
「安全に生存者を取り戻す」ということを戦略にしてきて、それが今始まったと
いう評価をしていますが、一方で北朝鮮の混乱事態はいつ起きてもおかしくない
という状況で、米韓軍はそれを想定して、数年前から軍事演習をしていますし、
そのもっと前から混乱事態に備えた作戦計画を立てています。

 あとでまた惠谷さんにも紹介していただきたいと思いますが、米軍は混乱事態
を作り出すための作戦計画さえ持っています。心理戦ですが。こういう状況の中
で混乱事態になった時に、今の憲法解釈や、自衛隊の法令上の枠組みの中で安全
に被害者を救い出すことができるのか。

 あるいは今議論されている、憲法解釈が変わったあとにはそれがどう変わるの
か。これは我々の拉致救出運動の観点からも重大な関心事であり、その問題の第
一人者である潮匡人さんに来ていただきました。

 私たちの日程のこともあり、また家族会の方々の個人的な事情もあって今日は
家族会の方は来られていませんが、冷静になって、状況を見て、そして日本が何
ができるかということを考えたいと思います。

 また来週月曜日からスウェーデンのストックホルムで始まる日朝局長級協議の
見通しも踏まえて3人で議論したいと思います。

 どうしても惠谷さんも潮さんも専門家ですから、話し始めると話が難しくなっ
て、拉致ではなく北朝鮮人事そのものとか、安全保障の法制そのものになってい
くと思いますので、私は救う会の運動家の観点からストップをかけて、それが我
々にとってどういう意味があるのかと途中で質問したりさせていただきます。

◆泥棒と一緒に合同調査をするのか

 そして各論に入る前に、昨日あったことについて少しお話をさせていただき、
そこからもう少し引いた話にしたいと思います。

 昨日の『日本経済新聞』をお配りしていますが、ストックホルムで局長級協議
が開かれることを受けてどういうことになるのかという解説記事ですが、私はこ
れを読んで驚きましたし、このことが事実なら安倍政権は裏切ったのかと思いま
した。

 記事には、「北朝鮮が拉致被害者の安否に関する再調査に応じる場合でも、日
本側は再調査の実施状況を確認するために、調査に日本政府関係者を加えるよう
求めている」とあります。これは日本側が交渉で既に求めていると書いてありま
す。

 安倍総理は、第一次安倍政権の前、小泉政権時代に、日本の外務省の一部から
「北朝鮮で調査のやり直しをさせる場合に、日本も入って合同調査委員会を作る
べきだ」という議論が出た時大反対したんです。

 「泥棒と一緒に調査をしても真相なんか分からない」と安倍総理は当時オフレ
コではなく、オンでおっしゃったのを覚えています。私もまったく同じ考えです。

 日本が調査に入っても調査の権限がないわけです。自由に書類を見ることもで
きない。そういう中で合同調査委員会を作って調査結果が出たら日本の責任にも
なるわけです。

◆申告と検証こそを行うべき

 そして調査の進め方で絶対もめます。合同調査委員会がもめていれば、その間
時間稼ぎになってしまう。それは絶対認められない、と。拉致をした北朝鮮が調
査をして、既に分かっていることが多いと思いますが、日本に申告をする。その
申告をこちらが検証する。検証して納得できなければ、申告のやり直しを求める。
こちらがすべてのデータを検証した上で、これが全員の真相だと納得できるまで
何回も申告、検証のプロセスを続けるべきだ、と主張しました。

 それは国際社会が核問題で北朝鮮に要求している、「すべての核物質を国外に
出しなさい。そして核爆発物質の量を申告しなさい」と同じです。そして6か国
協議の北朝鮮を除く5か国が検証するプロセスと同じです。

 その検証の中では、例えば核技術者に自由にインタビューできるということも
国際社会は求めているわけですが、日本も彼らが出してきた申告の中で、工作機
関に勤めていた人間と家族を第三国に出して、インタビューできるように求める
べきです。

 これは国連安保理事会がイラクに求めた化学兵器を作っているかどうかを検証
するのと同じです。そういうことを言っていたわけですが、安倍政権は今、「調
査の中に日本政府関係者を入れるよう求めている」と書いてあります。

 これはどういうことかと思って対策本部の方にいろいろ聞きました。大変偉い
方にも聞きましたが、みなさんが「誤報だ」ということでした。「そんなことは
ない」、「申告させて検証するのが日本の考え方だ」とおっしゃっていました。

 ではなぜこんな記事が出たのだろうかという次の疑問になるわけです。そして
この記事は、「合同調査委員会設置か」とはなっていないんです。見出しは「正
恩氏直轄組織が接触」で、それは国家安全保衛部と書いてあります。

 つまり、今行われている交渉は、表向き北朝鮮外務省の大使が出てきて、日本
はアジア局の局長が行って外務省同士の交渉となっていますが、この記事による
と、北朝鮮で交渉を仕切っているのは国家安全保衛部だと書いてあります。

 国家安全保衛部は政治警察です。そして、国家安全保衛部が仕切っていると聞
くとみんな思い出すのは「ミスターX」です。この記事にも「ミスターX」と書い
てあります。

 田中均局長が、小泉訪朝の前に交渉していた相手は「ミスターX」と言われた。
その人が保衛部の人だったと言われています。今回同じことが起きているのであ
れば、小泉訪朝の時のように大きな進展が起こり得るのではないかという見立て
もありますが、一方で合同調査委員会を作れば時間稼ぎだけで終わってしまうと
いうことにもなります。

◆一番強く制裁している安倍政権になぜ接近し始めたのか

 そこで今日の疑問にもなるわけですが、張成沢処刑後突然安倍政権に接近し始
めた。安倍政権はけしからんと言っていたわけです。一番強い制裁を加えている
政権です。それに急速に接近をし始めた。

 なのに日本側の一部が要求を緩めて合同調査委員会でもいいですよと言ってい
るから向こうがそれに乗ってきたのか、あるいは不安定になって困って、「制裁
を緩めてほしい、拉致問題を動かします」というところまで追い込まれているの
か、ということがこの記事の背景にあるわけです。

 今日本政府の中でこういう記事をリークする人たちがいる。そしてそれを誤報
だという人たちがいる。対策本部は拉致のことを考えていますが、外務省は外交
全体のことを考えているわけですが、スタンスの違いがあるのかないのか、とい
うこともこの記事から透けて見えるわけです。

 そこで、救う会の昨日のメールニュースを見ていただいた方はご存知と思いま
すが、2008年の交渉がどうだったのかということを検証してみました。20
08年も北朝鮮側は宋日昊大使だった。福田政権の時です。「再調査」を約束し
て、ドタキャンされた。

(2につづく)






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