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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

韓国から見た拉致問題?東京連続集会報告3(2013/10/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.10.15)

◆当時の警察が犯人を逮捕しようとしなかったから拉致が連続して起きた

 ぼくは若い頃、70年代初めに警察担当で、警視庁公安部、警備部を担当して
たんです。外事課というところでは、北の対日工作をチェックし、阻止しますが、
拉致問題はその時の取材経験があります。

 古い話でいまさら言ってもしかたがないんですが、拉致問題はなぜ起きたのか
ということです。拉致問題が存在するということは「産経新聞」が最初に報道し
た。その時私はまだ「産経」にいなかったんですが、ぼくは日本の警察に問題が
あったと思います。

 今は教訓になっていると思いますが、日本の警察、特に公安警察というのは国
民を保護する仕事じゃないんです。拉致問題が後で公表されて分かるんですが、
なぜ連続して起きたかということです。

 北から潜入した工作員が暗躍したわけですが、警察の方はそういうのを捕まえ
ることはしないんです。それを泳がせておくんです。そして、どういう動きをし
ているか、どういう活動をしているかをウォッチングします。そこに力を入れちゃっ
て、日本国民が拉致され、連れ去られているとすれば、それを2回やらせてはい
かんとか、そういう発想じゃないんです。次はどういう行動をするんだろうとか
情報収集に力を入れる傾向がありました。

 だから警察が早くあの問題を世論にアピールしておれば、そんなに犠牲者は増
えなかったんじゃないかと思っています。そのことは当然、日本の治安当局の教
訓になっているとは思います。日本の治安当局の考え方も拉致問題によってずい
ぶん変わった。つまり、国民を保護するという本来の姿に発想が変わったんじゃ
ないかと思います。犠牲のおかげでです。

 拉致は70年代後半に多いんです。ぼくは70年代前半に記者として取材しま
したが、金大中拉致事件がありました。これは韓国の情報機関が、野党政治家の
海外での反政府活動はけしからんと言って、金大中が日本で反政府活動をしてい
るので困ると言って、韓国の情報機関が日本の東京のホテルから秘かに韓国に連
れ戻したということで大問題になりました。

 韓国も北朝鮮も、なぜそういうこと(拉致)をするのかと思うじゃないですか。
金大中の連れ去りは自国民同士の話ですが、舞台は日本という外国ですから、不
法に、ひそかに船に乗せて連れ帰った。

 今振り返ると、奇しくも70年代に南北双方の情報機関、工作員等による事件
があったわけです。なぜ隣の国はそういうことをするのかと思うでしょう。色々
考えたんですが、一つは日本は島国で、海で国境を守られている。国や社会が保
護されている状況があって、日本人が外に行くのは基本的に難しいですね。

 隣の朝鮮半島、韓半島の皆さんというのは、やはり大陸に繋がっている人たち
で、昔から国境意識があまりないように思いますね。今でも中朝国境では、北朝
鮮から中国への往来をかなり勝手にやっていますね。むこうの皆さんの国境意識
のなさは大陸系の人たちという印象を持ちます。

◆当時の日本の植民地支配のツケを感じた

 それからもう一つ。これはちょっと言いにくい話ですが、ぼくがそういう行為
を正当化する意味で言うわけではないですが、日本が戦前、朝鮮半島を一定期間
支配、統治しました。当時朝鮮半島の人たちは日本国民になったわけです。今は
そういうことは当然否定的に評価される。通称植民地支配と言いますが、しかし
時代としてそういうことがあったわけです。

 ぼくらは日本列島、島に住んでいるわけですが、彼らは日本時代は何かある心
理がある、つまり平気で日本を往来するとか。密航を含めて、工作員の往来や拉
致を含めてあります。

 これを言うと反発、非難されるか分かりませんが、ある種の隣国、朝鮮半島に
対する、当時の日本の支配のツケというのも、ぼくはソウルにいて感じました。
やはり、ヨーロッパなんかではどういうことがあるのか、過去の日本にそういう
歴史があったことも、ああいう工作員の拉致活動を、どこか許す背景になってい
るんじゃないかと思いました。歴史のツケみたいな感じがしています。

 だから当然だとか、やってもいいということにはならない。しかし我々日本国
民の歴史的な色々な経験からして、なってない。その分北は苦しんでない。苦し
んでないと今までのやり方でいいんじゃないのとなるわけです。

 では中国、韓国を含めて、みんな世界中が寄ってたかって北朝鮮の周辺に鉄条
網を全部張って、生きていけないようにしてしまうということは、したいけれど
も実際はできないですね。特に中国の存在があるので。

 とすると、内部で突然政変的な何かがあればともかく、封じ込めとか制裁によ
る体制の変化、崩壊というのはなかなか難しい、これまでうまくいってなかった、
ということになるわけです。だから制裁をやめろということにはならないですけ
ど。それは続けていいんです。

◆お金で解決できないか

 それでこの拉致問題の解決、今日来ながら色々考えたんですけど、北が変わる
ことによる解決は一番いいが、それがこの間いろいろあってうまくいってない。
となるともう一つは話し合い、交渉じゃないですか。交渉して、「返してくれ」
とやってきたし、部分的に政府間の交渉があったり中断したりしていますが、こ
れも基本的にうまくいっていない。

 南北離散家族の問題で言いましたが、北朝鮮は韓国に対して人質外交をやって
いるわけです。つまり離散家族を会わせるから金出せとか何々をくれとか、何々
をすれば会わせてやるとか、こういうことをずっとやってきています。

 我々日本人の拉致問題に敢えてひきつけて考えると、拉致日本人が人質になっ
ている。そうすると、ちょっとなかなか簡単には言いにくいんですが、例えば一
人1000万ドル出すから返せと。10人なら1億ドル。こういう発想はいけな
いのかな。今日来る途中で色々考え、思いついて言うんですが。

 おそらく北朝鮮は、似たようなことを考えているかもしれない。北朝鮮の要求
の一つは日朝国交正常化ということです。日朝国交正常化すれば日本から色々金
がとれるということでそれを期待しています。日朝国交正常化でなくてもいいん
だけど、金で取戻す。これは今すぐという問題ではなく、発想の問題としてです。
西岡さんは運動の過程でそういう議論になったことありますか。

西岡 具体的にそういう議論はしていませんが、今日まさにこの本、張さんは2
002年9月にいたわけですし、彼は少しだけ話していましたが、金正日が生涯
初めて謝罪したのは100億ドルに目がくらんだからだ、と。つまりお金が目の
前にあったので認めたんだと。

 2002年9月に大きく動いたことは間違いないので、あの時なぜ動いたのか
は考えなくちゃいけないと思っています。

黒田
今北朝鮮をめぐっては、日本が一方的に国交正常化しますよとか、例えば拉致被
害者一人返せば1000万ドル出すということはできないとなっていますよね。
核問題があるとか、北に対する国際社会の制裁問題がありそれに反してしまうと
か。
 昨日もある人とソウルで話したんですが、日本の学者ですが、「とんでもない」
と。「国際社会はそういうことは認めないよ」と言っていました。ぼくは、国際
社会は説得できると思います。仮の話ですよ。金で取戻すということについて。

フロアーから 犯罪が勝つんですね。その後の北朝鮮はどういう国になるんですか。

黒田 そうなんです。問題はそこなんです。それが政権の強化になるとか。そう
いうことになりますね。そこが難しいところなんです。国際社会に理解を求める
と言いましたが、日本国民を取戻すんだということ。それをどういう手段で、形
でということがひっかるんですが、この意思、この発想自体は国際社会を十分納
得させられると思います。

 以前に日本赤軍に人質を取られて600万ドルを現金で取られてしまったこと
がありました。人質解放の代価として、超法規的措置と称して。日本赤軍なんて
とんでもない犯罪集団です。その時の日本政府の超法規的措置についても色々国
内議論、批判もあったけど、その案件と日本人拉致問題は必ずしも重なる案件じゃ
ないが、超法規的措置としてやれたという前例はあるんです。

 今批判の声があがりましたが、問題はつまり、我々にも焦りがあるわけです。
こんなにやってきて、待っても、まだ実現していない。だから早く取戻すという
ことが最大の目的なのかどうかということですね。早くでなくてもいいから、い
つか崩壊する時でいいからとか。

 国交正常化もそうですが、その時まで待てるということなのか。そこを詰めた
ところで……

フロアーから 時間がない。

黒田 そうでしょう。

◆制裁は漢方薬のように効く

西岡 我々の頭の整理のために、敢えて黒田さんの持論じゃない部分もあると思
いますが、話をしてくださっていますので、私たちの考えを言います。我々の運
動方針としては、「制裁と国際連携の圧力で彼らを話し合いの場に引きずり出す」
ということです。

 今黒田さんがおっしゃったように、制裁に穴があいているじゃないかというこ
とをどう見るか。それはここでもずいぶん議論をしてきましたが、制裁は漢方薬
のようなもので、制裁だけで政権が倒れることはないと思いますが、痛がってい
ることは間違いない。

 2002年に比べて今はかなり強い制裁をしています。特に、朝鮮総連が今崩
壊直前まできている。北朝鮮を80年代、90年代に支えていたのは朝鮮総連で
すからそれはかなり痛い。つまり苦しめることが一定程度できていることが一つ。

 もう一つは北朝鮮の経済が二重化されていて、庶民の生活と、核開発をしたり
ぜいたくな暮らしをするのは別です。金正日の秘密資金と言われるものがあって、
それが外貨なんです。中国は外貨を渡していません。

 今まで制裁が効いたのは実はアメリカの金融制裁です。あの時盧武鉉大統領ま
で動員して、制裁を解除しろとブッシュと30分話をしたとか、1時間したとい
うことになっていますが、それはつまり、外貨を使えなくしたからです。あの時、
もう少しブッシュ政権に我慢があれば、拉致が動きそうになったわけです。

 しかし、ブッシュ政権は核でなんとか成果を出そうと思って、核でもだまされ
て終ってしまった。しかし、北朝鮮が動いたことは間違いないです。

 もう一つ制裁で動いた例は、1993年、94年の第一次核危機の時です。あ
の時も、朝鮮総連のお金を止めると公安警察が動いて、大変なことをやりました。
そしたら金日成が出てきて、原子炉を止めるという譲歩までしたんです。

黒田 制裁が圧力になっているんだけど、制裁の結果として、拉致を取り返すこ
とにつながるかどうか。例えば制裁を解除してくれれば日本人を返しますよと。
そうなるのが一番好ましいんですが、その方向に言っていると。

◆拉致を動かすために人道支援は使える

西岡 それが一つです。制裁がどれだけ痛いかをはかる尺度はありませんから、
漢方薬のように時間がかかる。今拉致被害者の平均年齢は64歳になりました。
北朝鮮で60歳以上というのは平均寿命で、残念ながらそれを越えています。例
えばルーマニアの被害者の方は向こうで癌で亡くなったのが事実です。

 そういうことが起きるかもしれないという点では黒田さんのいうこともよく分
かるんです。しかし今、安倍政権は制裁の圧力で交渉に引き出すと言っている。

 もう一つ。人道支援は使える。食糧支援については今年の2月に家族会・救う
会の合同会議をしました。今までは、拉致問題がいっさい動かないのに食糧支援
に反対すると言ってきたんです。今回は、拉致問題を動かすためだったら、人道
支援を使ってくださいと言いました。

 人道支援については、核・ミサイルと関係ないんです。人道には人道ですから、
モニタリングして本人たちの口に行くという担保は必要だと思います。そして一
部が軍隊に行くだろうということもありますが。

 使えるカードとして制裁を解除する、特に朝鮮総連の問題を解除することと人
道支援をすることは、安倍政権のふところに入れてもらっているカードだと思い
ます。

◆安倍総理が金正恩と直談判する時期

黒田 ぼくが考えたことは、北は今金正恩という新しい指導者になって一種の過
渡期です。こちらも安倍政権で変わった。安倍政権は選挙にも勝ったし、今支持
率も高い。国内的にも地盤を固めている。

 小泉訪朝で一部取戻した。それは金正日が100億ドルを期待したからだと。
向こうは今だまされたと思っている。それで残りを取戻すため、やはり小泉のよ
うに安倍さんに乗り込んでもらって、金正恩と直談判するしかないんじゃないか、
それをする時期じゃないか、今いいチャンスだ。

 額はどうでもいいんですけど、例えば一人1000万ドルという話になるかも
しれない。その時はそれで行こうじゃないかと。そういう取引を国際社会は納得
すると思っているんです。

西岡 現金を出すことについては、それがテロに使われたり核開発に使われると
いうことですから。

黒田 現金じゃなくていい。代価を出す。

西岡 先ほど言いましたように、人道支援は国際社会も今しているので、核問題
があって人道支援は止めておらず、日本だけが核・ミサイルだけじゃなくて拉致
もあるので人道支援も止めているんです。人道支援を止めているのは拉致が理由
だということです。韓国は人道支援を今もしていますし、アメリカはやろうとし
てミサイル発射で止めました。

 そのことについては、我々は座り込みまでして人道支援に反対しましたが、そ
れは拉致が前々動いていない時だったので、そのことについてはできるんじゃな
いかと思っています。

黒田 今日は討論会じゃないんで打ち切りますが、今いい時期だと。安倍総理に
ある種の大胆な決断というか、大胆な対応をしてほしいと思いますね。それを皆
さんが煽るというか、尻をたたくということだと思います。

(4につづく)


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