救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

東京連続集会報告2?韓国から見た拉致問題(2013/10/11)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.10.11)

西岡 私は今日大変よろこんでいます。黒田さんは私の韓国・朝鮮研究の大先輩
で、実はちょうどめぐみさんが拉致された年、77年に私は最初にソウルに留学し
たんですが、黒田さんもそのころソウルに留学されていまして、隣の下宿にいらっ
しゃって、その時から色々と教えていただいています。

 この拉致の運動でも何回も韓国に行きましたが、その度に色々なことをアドバ
イスしていただいたりしてきました。お忙しいし、ずっとソウルが拠点なので、
この集会に来ていただくのは初めてですが、ずっとソウルで我々を支えてくださっ
ていたということです。

 それは、今来ておられますが、ワシントンの古森さんと同じような立場で支え
てくださっていまして、用事で東京に来られるということで、我々は貧乏なもの
ですから飛行機代まで出して呼ぶことはできないのですが、東京に来られるとい
うことで、また話してもいいよと言ってくださいましたので、韓国から見た拉致
問題をお話いただけることを大変嬉しく思っています。宜しくお願い致します
(拍手)。

◆南北離散家族は70代以上に

黒田 「産経新聞」の黒田です。僕と西岡さんの関係はもう30年くらいになり
ますが、昔は西岡君も紅顔の美少年でしたが、今そうとうお腹がでています(笑)。
ずいぶん長い付き合いです。

 ぼくはずっとソウルに沈殿しているので、逆に日本での厳しい、シビアな状況
が実感できないことがあります。時にこういう集会で日本の雰囲気、皆さんの熱
意を感じる機会があればいいなと思っていましたので、今日喜んで出席させてい
ただきました。

 先ほど、北朝鮮の内部におられた方の相当迫力のある話がありました。その後
にぼくが出て、あまり迫力のない話になっちゃうんじゃないかと思って心配して
います。

 拉致問題は非常に難しい問題なので、ぼくも若干言葉を選ばざるをえないとい
う感じがします。今日は拉致の問題と必ずしも直結しませんが、ソウルにいなが
ら色々経験してきたことを、若干皆さんの関心にそってお話したいと思います。

 つい最近、今の朴槿恵(パク・クネ)大統領になってから、南北離散家族再会
をまたやろうということになりました。北の方が対話姿勢で、計算があって彼ら
はやるんですが、そういう計画があり、直前までいったんですが、北が突然、あ
れはなかったものにしたいと言いました。

 離散家族の皆さんで、今回の面会に予定されていた人たちが、途端に失望しちゃっ
たという場面がありました。南北離散家族再会は時々やるわけですが、今回なぜ
北がまたやってもいいよと言ったのかについて色々な観測があって難しいんです。
そしてなぜ急に止めたのか。

 韓国の分析では、南北離散家族再会を韓国側に餌として与えたと。韓国政府に
すると、南北離散家族再会という人道問題が実現すれば成果を上げたということ
になりますから、政府の手柄になります。そういうことを北は考えて、餌として
やってあげると言って、その見返りとして中断している金剛山観光事業を再開す
る。

 金剛山観光を再開すると、北からすると南の人たちがたくさん来て、日銭が入
るわけです。経済的利益がありますから、金剛山観光とセットで提案したのでは
ないかという分析です。

 結果的に、韓国側は金剛山観光の再開ではちょっと難しい条件を出していると
いうことがあって、どうもすぐにはうまくいかないようだという判断があって、
それじゃあ離散家族の再会もさせないということになったのではないかと。

 結局人質外交ということです。離散家族というのは日本の敗戦の後、米ソが分
割支配して南北を分断しましたね。その後また戦争もありました。北の体制を嫌っ
て逃げてきた人たちがいるとか、戦争の時北に連れていかれた人がいて、そうい
う人たちの家族が南北に分かれているわけです。これが離散家族です。

 そういう人たちを人質にとって、「会わせてやるから金を出せ」というような
ものですね。それを北はずっとやっているんです。

 今回しみじみと思ったんですが、今回離散家族再会がなれば、1回で2、3日、
2?300人くらいを北から連れてきて、南からも連れてきて会わせるわけです
が、そういうことを続けるとします。もし北がOKして毎月やったとすると、1回
200人なら2500人くらい。

 今韓国で面会申請を赤十字にしている人が6万人くらいいます。とすると、毎
月やってもあと20年、30年かかるわけです。離散家族の人は分断以降時間が
経っていて、みんな70歳以上なんです。毎月200人くらいが再会しても、み
んな亡くなってしまいます。

 それで北の体制はやっぱりすごいと思います。みんな年寄りですけれども、今
なお南北で会わせないんです。手紙の交換も、贈り物の交換もさせない。本当に
ひどい人たちだと思いますね。

 東西ドイツが分断している時は、手紙の交換や往来をさせていました。結果的
にドイツはその後統一しましたが、ぼくはドイツ民族はやっぱり偉いと。コリア
ンはだめだと、民族的力量がないと思いますね。申し訳ないですが。

 なぜそういうことができないのかということですね。できない理由は、北サイ
ドの問題はみなさんご承知と思いますが、すごい非人間的な体制だと思いますね。

 会わせる時も平壌とか一番行きやすいところじゃないんです。金剛山という一
番はずれの山の中ですね。ぼくも観光で3回くらい行きましたが、遠いはずれの
ところですね。そこに呼んで人工的に会わせる。会わせ方もひどいんです。そう
いう人質外交をやっている。

◆韓国にいる北の一世は統一したら親戚の面倒を見る覚悟

 結局、日本人拉致問題も人質外交ですね。その件は最後にお話しますが、その
人質外交にどう対応すればいいのかですね。

 最近、いろいろなセミナーで言って韓国の人に嫌がられているんですが、ご承
知のように、よく韓国の皆さんは日本に対して、「ドイツに学べ」と言うじゃな
いですか。ドイツは戦後清算で、過去のナチス時代のことをちゃんと誤って、反
省して、ユダヤ人に補償もした、と。日本は何もしていない、と。

 何もしていないとみんな思っていますし、思わされていますよ。だから日本は
だめだ、ドイツに学びなさい、とよく言うんですね。ぼくは最近ソウルでよく言
うんですが、もちろん日本がドイツに学ぶことがなくはないけれども、それだっ
てナチスドイツと日本のコリアン支配は全く次元が違う話です。

 だけど、ドイツに学ばなければならないのはあんたたちじゃないの、と。今の
リアルな離散家族の問題とか、現在の現実の問題を抱えている。そこは知恵を働
かせたことをむしろ学ぶべきだ、と言って相当嫌がらせみたいなことを言ってい
ますが、そう思いますよね。どうですか。

 韓国人を前に、あなた方は民族の力量がないと言って相当嫌がられたんですが、
それにぴんとくる人たちがいますね。

 今離散家族がどれくらいいて、どういう状況かですが、先ほどの彼(張真晟氏)
は亡命者、ニューカマーです。この人たちはそんなに多くないんですね。だいた
い今2万人くらい。先ほど面会を申請している人が6万人と言いましたが、今7
0以上になっている離散家族の皆さんは、実際の数は必ずしも明らかではないん
ですが、昔は500万人と言っていました。

 しかし、時間が経って、おじいちゃん、おばあちゃんやお父さん、お母さんが
北の出身だと言っても、そういう世代が非常に少なくなっています。

 ぼくが延世大学に語学留学していたのは70年代でしたが、その時、同じ下宿
に兄弟二人がいたんですが、このご両親は北の清津(チョンジン)出身です。そ
して釜山に戦争の時逃れてきてそこで生まれた。今でもご両親を含めて付き合い
があります。そういう世代は自分は離散家族と思わないし、北の出身とも思わな
い。生まれたのはどこですか、「釜山ですよ」とこうなっています。

  だから離散家族は、数としては少なくなっています。ただ行政的には韓国で
は北のことを以北と言いますが、以北五道庁と言って、お役所がまだありまして、
北の行政ごとに分かれていて、知事も存在します。形だけですが。そういう組織
はあるんですが、一世が非常に少なくなっています。

 これまで、北から来た人たちの色々な集まりや同郷会、道民会に行ってお話を
したことがあるんですが、お話を聞いた中で一番感動的といいますか、記憶に残っ
ていることがあります。

 一世たちは当然自分の故郷、北への思いが強くて、早く統一したいとか、統一
したらこうすべきだとか、こうしたいという夢があるんです。咸鏡北道という一
番北の会寧という中国に近い出身の人が、もう彼も80後半ですが、10年くら
い前に言っておられたのは、「私の家族、親戚が25人いる」というわけです。

 韓国では親戚が広いんですね。親兄弟、従兄弟、甥姪にさかのぼって広がって
親戚がいます。その人は25人以上確実にいるというわけです。それで、「もし
今日でも統一した場合、私は彼らの面倒をみなければならない。そのために私は
貯金をしてこれだけ貯めています」とおっしゃっていました。これが一世の心情
です。

 そういう人たちは非常に少なくなっています。その息子や孫が、統一というも
のをそういう形でイメージしたり、統一にそなえて私は何をしたいとかいうこと
は、今ほとんど考えないです。

◆韓国側からの北支援は、言い訳、自己満足

 親が北出身の今の韓国の若い世代は、端的に言うと統一に関心はない。逆に、
このままの方がいい、と。ああいう北のような存在を引き受けると大変だ、と。
東西ドイツの場合も若干ありましたが、引き受けると自分たちの経済環境が悪く
なるということですね。非常に利己主義ですけどね。

 そういうのが非常に増えていまして、「今のままでいいんじゃないの」という
人が非常に多いですね。本音では。だから統一の熱気はないといえばないですね。
韓国が豊かになったので。だけども、政府を初め、色々な人道支援とか言うじゃ
ないですか。

 ぼくは若干冷たく言いますと、韓国側からの北支援は、言い訳、自己満足とい
う印象を持ちますね。つまり、本当はああいうのを引き受けたくないんだと。だ
けど、それを言っちゃいけないし、やはり北の人たちに思いを馳せているんです
よ、あるいは統一を考えているんですよという気持を満足させなければいけない。
それがああいう支援になっていると思いますね。ちょっと冷たい言い方ですが、
今の韓国社会の雰囲気です。

 だから支援と言うんだけれど、何か心がこもっていないというか、冷たい支援
という印象を持ちますね。ぼくは部外者、第三者ですから、韓国の皆さんの前で、
「あなた方は卑怯だ。一時的に自分たちの生活環境が悪くなり、経済水準を落と
してもいいから統一したいとなぜ言ってくれないのか」、「北の同胞を一生懸命
支援しなければいかんとなぜ言ってくれないのか」とこれまで相当、まあ嫌がら
れることですが、そういうことをぼくが言うくらいの雰囲気になっていますね。
残念ながら。

 基本的には現状維持ですね。ただ、関心がなかったり、統一は嫌だと負担に思っ
たり、そもそも無関心というのが多いんですが、これは面倒だから考えたくない
ということですね。

 色んな意味で面倒。どうやって統一すればいいかと考えるのも面倒だし、だか
ら考えたくないという人が圧倒的ですね。ぼくは30年くらいいますけど、70
年代とはずいぶん変わりましたね。韓国はこの30年間で非常に豊かになって、
みんな暮らし向きがよくなりました。それと同時に、そういう嫌な雰囲気になり
ましたね。

◆その時は韓国人は一瀉千里に統一に取組む

 ところが統一というのは、嫌だからそういうことはないとか、したくないから
ならないというもんじゃないですよ。ぼくは、ある日、突然なるかもしれないと
思いますね。

 その時韓国人はどうするかですけど、私は心配していないんですが、その時韓
国人は短期決戦というか、これという時、迫られて何かという時は考える。一瀉
千里にそれに取組んで何とかしてしまうところがありますね。

 今無関心で、統一なんか嫌と言っていても、ある日そうなったらそうなると。
我々は経済的に負担になるならそれでもいいなと考えますが、そういうことは韓
国人は考えませんね。韓国の人は先のことは考えないです。その時はその時で頑
張るんです。そうなれば日本を含め、国際社会は当然支援をしてくれるだろうと、
それはどこかで思っています。

 だから、彼らは無関心で統一なんか面倒くさいと思っているんだけども、だか
らといって統一を拒否はできないということですね。それは今晩なるかもしれな
いとぼくは思いますね。

 よく、「黒田さんは韓国に長くいらしゃって、南北統一はいつになりますか。
どう思いますか」と言うんですけど、ぼくは「分かりません」と。「20年後、
10年後、5年後か、100年後かも分からないけれど、今晩かもしれないです
よ」と。

 今晩かもしれないので、あまり酒を飲んで、のんだくれちゃいけないと(笑)。
どこかに緊張感を持たないといけない、と本当にそう思っています。南北はそう
いうような問題だと思います。

◆北の政変に期待

 西岡さんは専門家ですが、どうすれば今晩になるかということです。拉致問題
も基本的にはそうですが、北の体制が変わらない限り非常に難しいんじゃないで
すか。要するに北の体制が崩壊するということですけどね。

 それでどうしたら北の体制が崩壊するかですが、一番簡単で、一番効率的、効
果的なのはいわゆる政変です。東ヨーロッパがソ連圏から脱して、ルーマニアな
んかが民主化革命みたいになったんですが、あれは非常に難しいと思いますね。

 一番望ましいのは、政変です。例えば1979年に韓国で朴大統領暗殺事件が
ありましたが、あれも政変でした。あの後、韓国は大きく変わりました。ああい
うのは今晩あるかもしれない。それが一番ありがたい。ぼくがやるわけじゃない
ですが、当事者がやるんですが、そこはずっと期待しています。30年期待して
もまだ起きてないですが。

 しかし、北も三代目の金正恩(キム・ジョンウン)という若い指導者が就任し
ました。30歳で何の経歴、経験もない、そういう人が指導者になったわけです。
普通は非常に不安ですよね、あるいは不安定かもしれない。

 内部で色々なことがありうる過渡期的な状況ですから、是非期待したいと。そ
れがあれば、結果的には拉致問題も解決すると思います。

(3につづく)



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