国際セミナー5(2025/12/24)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.12.24-1)
◆アメリカが動いたから北朝鮮が動いた
古森 義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
北朝鮮政府による日本国民の拉致というのは、当然ですがわが日本が主権国家
として独自に、自律的に解決しなきゃいけない責務なわけです。しかしそれでも
なお、アメリカに支援を求めることが賢明であるという考え方、これは事実だと
思うんです。
なぜそうなのか、この中で皆さんご承知だと思いますけれども、歴史を見れば、
北朝鮮という国はもう、「日本人拉致ということはないんだよと」いうことを言
い続けている。「そういうことを言うのは世の中の一部の人が勝手な政治的な動
きで言っているだけだ」ということをずっと貫いてきている。
国内は非常に困っている。飢え死にする人がいっぱい出てきて、「日本から援
助をもらえばいいじゃないか」ということは普通の歴史で考えれば分かるけれど
も、実際にはそういうことにはならない。
ところが2002年の9月には、北朝鮮という国がそれまでの主張を一転させて、
「いや実は日本人を拉致してたんだ」ということを、当時の金正日委員長が認め
たわけですね。これはなぜか。これも明らかだと思うんですけど、やっぱりアメ
リカとという要素が大きかった。
アメリカで誕生したばっかりの二代目のブッシュ政権が、北朝鮮とイラクとイ
ランの3つの国を指して、「悪の数軸」と言った。これを見た北朝鮮側は、「ア
メリカはこれから何もしてくれないんだろう」、「むしろ敵対政策を取ってきた
日本と何とか和解して、日本から延長を取り付けよう」と考えた。アメリカが動
いたから北朝鮮が動いた。
◆軍事力を信奉している国には軍事オプションで対抗するしかない
もう一つ、これはなかなか日本では話題にしにくいんですけど、北朝鮮という
国家を動かす最大の理由は何なのか。これはやっぱり軍事力です。やっぱり軍事
力を信奉している国、自分たちの国の在り方は軍事力に依存している、自分たち
の国が対外的に何か目標を立ててそれを達成しようという手段としては、やっぱ
り軍事力が必要なんだ、と。
軍事力というのは実際に使わなくてもですね、持っているというだけでその効
果が非常にあります。これを私がワシントンからずっと見ていると、オバマ政権
の時は一貫して北朝鮮の核兵器開発を止めろ、と。日本人の拉致問題を支援する
よりも、アメリカ全体にとってはより大きな課題に取り組むという時代がずっと
続いてきた。
この核核兵器の阻止をどうするかという時に、オバマ政権は、「戦術的忍耐」
という言葉を使ったんですね。忍耐してれば何かそのうちにいいことがあるだろ
う、と。結局何も起きなかった。
その後に出てきたトランプ政権が最初の一時に使った言葉を、北朝鮮に対して
は「怒りと炎」、とにかく軍事手段だった。そしてこれからもし、アメリカ本土
にとって危険なことを北朝鮮がするんだったら、北朝鮮という国は消滅してしま
うというようなことをやるぞ、と。そこまで言ったんですね。
その頃の第一次トランプ政権の時の北朝鮮の核問題に関する論評を見ていると、
政府も民間も非常に頻繁に軍事オプションという言葉が出てきた。とにかく北朝
鮮にやりたくないことをやらせるときには、軍事オプションがアメリカ側にはあ
るんだよと。それまでの常識としては、戦争は絶対できない、と。北朝鮮の大部
隊が38度線に集結して、非武装地帯で戦争が起きたら、ソウルに何十万人もの人
的被害が出るから、戦争は絶対できない、ということだった。
しかし、トランプ政権になった時から、「意外とそうでもないんだよ。例えば
サイバー攻撃というのがあるとか、電磁波攻撃があるとか、あるいは一挙に北朝
鮮軍が大挙して南へ襲ってくるとき、それを止める方法もあるんだ、と。ともか
く軍事オプションというのがある。毎日こんな話が出てきた。アメリカの国防大
学研究所は、金正恩を暗殺するということではなくても、もし金正恩が暗殺され
るような事態が起きる場合、具体的にどんなシナリオがあるかというのを真剣に
研究していくつも出している。
例えばジョン・F・ケネディが狙撃された。あるいは韓国の朴正熙が、最も信
頼され、最も近いとされていた仲間から殺された。そういう軍事オプションが出
てくると、これはもう金正恩の態度ががらりと変わった。とにかく対話してほし
い。トランプと対談したいと言って、ものすごく変化した。やはり軍事力です。
しかし、わが日本は軍事力を、国際関係で物理的な力を発揮する軍事力という
ものを無視してきた、否定してきたというのは戦後の憲法に国是みたいでしたが、
どの国も軍事力を考えるんですね。
◆アメリカとの連携が重要になる
ですからやはりアメリカというのは、北朝鮮という軍事力を信奉する国を動か
すにはそれだけの効果を持った国なんだということを実感したわけです。その上
で大臣というかここにもいらっしゃる方々が、アメリカとの協力を求めようとい
うことで、初めてワシントンにいらっしゃったのは、その5人の拉致被害者を北
朝鮮が返す前の年の2001年の2月でした。
これは二代目ブッシュ政権が登場したばかりの時ですね。私はその前に長くワ
シントンにいたので、数年間お手伝いをして、どういう人に会えたらいいじゃな
いか、ということを一緒にやった。この時は横田滋さんとか、あるいは蓮池薫さ
んのお父さんもいて、親の世代の人たちが活躍してたんです。
色んなところを回って、質素なレストランで会食しました。その時の皆さんの
表情というのはやっぱり明るかった。なぜならやっぱりブッシュ政権というのは、
残念ながら当時の日本政府よりも前向きに、北朝鮮による拉致問題の存在その悪
質さ、その悪質さ、被害者にとっての悲惨さというのを認めてですね、応援して
くれた。
それ以来いろんな形でアメリカの大統領府、特にブッシュ大統領自身が2006年
の4月、早紀江さんがアメリカの議会の外交委員会でせつせつと証言をして、非
常に一般にアピールした。最も強く感激したように見えたのはブッシュ大統領自
身ですね。早紀江さんと拓也さんのお話をしていた。
ブッシュ大統領というのは、いろんな機会があるごとに、大統領をやってると
こんないい体験でができるんだ、と。「例えば13歳の少女を連れ去られてしまっ
た母親が、切々とその悲惨な思いを語るということを私自身が聞いたんだ」って
いうことをね、誰もそんな質問してないのに、機会あるごとに語るということが
あった。
そしてアメリカとの連携が重要になってくるんです。そこで今のトランプ政権
はいったいどういうことをしようとしているのか。これは12月5日に、国家安全
保障戦略というのが発表されて、その中で短い文章でしたけれど、その中で北朝
鮮への言及がない。二期目のトランプ大統領はあんまりこの問題を重視しないん
じゃないか、と日本のいわゆるオールドメディアや識者が書いた。
まあそれに対してもトランプ大統領に関しては、私は実際にトランプ大統領が
日米関係についてどういうふうにしてきたかをかなり調べていますけど、日本の
識者とされる人はとにかく、「トランプはだめだ」、「独裁者だ」。「日米同盟
を軽視している」と一億総出でトランプ非難をして、悪いことは悪いことばかり
書いている。けどもまあこれはトランプ大統領とは関係なく、実際には違うんで
すね。ですから今回の訪日で証明されたように、拉致問題ではトランプ大統領が
一番やりますよというのをやっている。
それから北朝鮮の問題をこれまでどうりにやりますかと、核兵器に関してもこ
れは実現できるかできないかは別にして、トランプ政権の方針として完全非核化
を今までどうりにやっていくということを、これは韓国の李大統領にも言ってい
る。日本のや高市さんとの対談でも言っている。
もう一つ注目されることを言うと、11月4日にトランプ政権の財務省が北朝鮮
に対して新たに制裁措置を取った。これはサイバーでお金を盗むという北朝鮮の
行為に対して、その疑念があるということで、北朝鮮側の8人の個人と1つの団体
に対して新たな制裁を出した。
この件についての財務省の発表は、この3年間で北朝鮮は30億ドルぐらいの不
当な資金を、主にサイバー攻撃による手法で達成しているということを言ってい
るわけです。ですから、色んなところでトランプ政権の北朝鮮に対する政策は、
これまでと変わらない。
もう一つは、トランプ政権の直属している研究機関として、アメリカファース
ト政策研究所(AFPI)という研究所があり、そこで「トランプ政権の安全保障政
策」という文書を書いています。この文書でも、トランプ政権は日本との同盟関
係を、最優先事項としてアジア政策の礎石とすると強調した上で、
アジアの当面の主要課題として、北朝鮮の非核化、中国の南シナ海での侵略の
阻止、と並んで北朝鮮による日本人拉致事件解決への支援と書いています。
だから今や日本人拉致事件というのは、国際問題。そしてこの端緒はやはり、
トランプ大統領の自身が一期目に国連総会で演説をして、「13歳の優しい日本人
の少女が北朝鮮の工作員に拉致された」と。「優しい少女」という言葉を何で使
うんだろうと言ったら、彼は「スウィート」という言葉を使った。「スウィート
な13歳の少女が自宅で近くで拉致された」と。
◆新しい反米の枢軸が出てきた
そこから始まって、これからの新しい展望として、やはり気になるのは北朝鮮
がロシアにくっついたこと。15,000人の兵士をウクライナに送っている。兵器と
弾薬も送っている。明らかにロシアとの関係は今までよりは親密になる。中国と
の関係が非常に悪い。実は中国と北朝鮮の関係が悪いんだよ、と。
これもアメリカの見方では、11月に議会で、超党派の議員が中国に対しては、
最大の権限を持っているような諮問委員会があります。米中経済安保調査委員会
で、毎年中国とアメリカとの関係、中国が日本や韓国に対して、北朝鮮に対して
どんなことをやっているかをずっと調べている。
今年の年次報告書は700ページの物が出て、そこに新しい枢軸、27年前にブッ
シュ政権が使った枢軸という言葉が本当に出てくる。これは何かというと新しい
反米の枢軸が出てきた。これは中国、ロシア、イラン、そして北朝鮮。
北朝鮮はアメリカにとって極めて敵対的な枢軸と位置付けています。そうする
と北朝鮮にとってはやっぱり、反米あるいは反日の国際的に対外的な戦略を続け
る上で、プラスになるんじゃないか。
私たちの仲間にはロシアがいますよ、中国がいますよということを、一応言う
ことができる。アメリカ側でもそういう風に見る人たちもいるわけです。ですか
ら例えばこれがトランプ政権が、北朝鮮と直接折衝をする場合に、一つだけやっ
ぱり前提条件がある。これはトランプ政権の人たちがよく言うんですけど、それ
はロシアへの、ロシアのウクライナ侵攻への北朝鮮の参加なんです。
その点を何とかはっきりさせてくれないと、なかなか接触できないよ、という
ことを言う人がいる。だから明らかに北朝鮮問題が国際課題となって、それがロ
シアや中国との正しい枢軸だ、と。この点を日本側がどう乗り越えるか、どう対
処するか。
しかし、その一方、拉致問題の解決にとってプラスの面は、やはり北朝鮮がア
メリカ側から見て正面の敵と、国際的な位置づけとなってくる。それだけ北朝鮮
の行動に対して、自由民主主義陣営からの周囲懸念の度合いというのは高くなる。
北朝鮮は日本人を拉致して返してないんだということが、どのぐらいになるの
かということが、いわゆる国際社会の北朝鮮への今までよりも広い、強い非難と
なって形を取っていくかもしれない。
その一方でやっぱり、アメリカが北朝鮮を敵対視するというこの基本はより強
くなってくると思いますから、その辺から日本人と同じ問題の解決に、北朝鮮の
考え方を変えさせる。考え方を変えなかったら、解決にならないですからね。
だからそういうことに、どういう場合に北朝鮮が考え方を変えるのか。ものす
ごくすごく困った時、あるいは日本に対して拉致問題を解決すれば、いい関係に
なり大きなプラスになります。
それが北朝鮮という国にとって非常に大きな利益がとなる場合、そういう状態
を作らなきゃいけない。その時に軍事力を持っているアメリカがやはり日本にとっ
て非常に大きな支援材料です。そんな感じですね。だから間違いなくトランプ大
統領自身が日本人拉致問題を解決したいと思っています、何度も言っていますか
ら。
そこに希望を持って、あまり楽観的にはならないけれども、現実的にアメリカ
と協力していくべきだと思います(拍手)。
西岡 続いてソウルで朝鮮半島を見ながら、ソウルで北朝鮮を見ており、その後
東京に帰ってきてからもずっと朝鮮半島を見ている、専門家の久保田るり子さん
におお願いします(拍手)。
(6につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■高市首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 高市早苗殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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◆アメリカが動いたから北朝鮮が動いた
古森 義久(産経新聞ワシントン駐在客員特派員)
北朝鮮政府による日本国民の拉致というのは、当然ですがわが日本が主権国家
として独自に、自律的に解決しなきゃいけない責務なわけです。しかしそれでも
なお、アメリカに支援を求めることが賢明であるという考え方、これは事実だと
思うんです。
なぜそうなのか、この中で皆さんご承知だと思いますけれども、歴史を見れば、
北朝鮮という国はもう、「日本人拉致ということはないんだよと」いうことを言
い続けている。「そういうことを言うのは世の中の一部の人が勝手な政治的な動
きで言っているだけだ」ということをずっと貫いてきている。
国内は非常に困っている。飢え死にする人がいっぱい出てきて、「日本から援
助をもらえばいいじゃないか」ということは普通の歴史で考えれば分かるけれど
も、実際にはそういうことにはならない。
ところが2002年の9月には、北朝鮮という国がそれまでの主張を一転させて、
「いや実は日本人を拉致してたんだ」ということを、当時の金正日委員長が認め
たわけですね。これはなぜか。これも明らかだと思うんですけど、やっぱりアメ
リカとという要素が大きかった。
アメリカで誕生したばっかりの二代目のブッシュ政権が、北朝鮮とイラクとイ
ランの3つの国を指して、「悪の数軸」と言った。これを見た北朝鮮側は、「ア
メリカはこれから何もしてくれないんだろう」、「むしろ敵対政策を取ってきた
日本と何とか和解して、日本から延長を取り付けよう」と考えた。アメリカが動
いたから北朝鮮が動いた。
◆軍事力を信奉している国には軍事オプションで対抗するしかない
もう一つ、これはなかなか日本では話題にしにくいんですけど、北朝鮮という
国家を動かす最大の理由は何なのか。これはやっぱり軍事力です。やっぱり軍事
力を信奉している国、自分たちの国の在り方は軍事力に依存している、自分たち
の国が対外的に何か目標を立ててそれを達成しようという手段としては、やっぱ
り軍事力が必要なんだ、と。
軍事力というのは実際に使わなくてもですね、持っているというだけでその効
果が非常にあります。これを私がワシントンからずっと見ていると、オバマ政権
の時は一貫して北朝鮮の核兵器開発を止めろ、と。日本人の拉致問題を支援する
よりも、アメリカ全体にとってはより大きな課題に取り組むという時代がずっと
続いてきた。
この核核兵器の阻止をどうするかという時に、オバマ政権は、「戦術的忍耐」
という言葉を使ったんですね。忍耐してれば何かそのうちにいいことがあるだろ
う、と。結局何も起きなかった。
その後に出てきたトランプ政権が最初の一時に使った言葉を、北朝鮮に対して
は「怒りと炎」、とにかく軍事手段だった。そしてこれからもし、アメリカ本土
にとって危険なことを北朝鮮がするんだったら、北朝鮮という国は消滅してしま
うというようなことをやるぞ、と。そこまで言ったんですね。
その頃の第一次トランプ政権の時の北朝鮮の核問題に関する論評を見ていると、
政府も民間も非常に頻繁に軍事オプションという言葉が出てきた。とにかく北朝
鮮にやりたくないことをやらせるときには、軍事オプションがアメリカ側にはあ
るんだよと。それまでの常識としては、戦争は絶対できない、と。北朝鮮の大部
隊が38度線に集結して、非武装地帯で戦争が起きたら、ソウルに何十万人もの人
的被害が出るから、戦争は絶対できない、ということだった。
しかし、トランプ政権になった時から、「意外とそうでもないんだよ。例えば
サイバー攻撃というのがあるとか、電磁波攻撃があるとか、あるいは一挙に北朝
鮮軍が大挙して南へ襲ってくるとき、それを止める方法もあるんだ、と。ともか
く軍事オプションというのがある。毎日こんな話が出てきた。アメリカの国防大
学研究所は、金正恩を暗殺するということではなくても、もし金正恩が暗殺され
るような事態が起きる場合、具体的にどんなシナリオがあるかというのを真剣に
研究していくつも出している。
例えばジョン・F・ケネディが狙撃された。あるいは韓国の朴正熙が、最も信
頼され、最も近いとされていた仲間から殺された。そういう軍事オプションが出
てくると、これはもう金正恩の態度ががらりと変わった。とにかく対話してほし
い。トランプと対談したいと言って、ものすごく変化した。やはり軍事力です。
しかし、わが日本は軍事力を、国際関係で物理的な力を発揮する軍事力という
ものを無視してきた、否定してきたというのは戦後の憲法に国是みたいでしたが、
どの国も軍事力を考えるんですね。
◆アメリカとの連携が重要になる
ですからやはりアメリカというのは、北朝鮮という軍事力を信奉する国を動か
すにはそれだけの効果を持った国なんだということを実感したわけです。その上
で大臣というかここにもいらっしゃる方々が、アメリカとの協力を求めようとい
うことで、初めてワシントンにいらっしゃったのは、その5人の拉致被害者を北
朝鮮が返す前の年の2001年の2月でした。
これは二代目ブッシュ政権が登場したばかりの時ですね。私はその前に長くワ
シントンにいたので、数年間お手伝いをして、どういう人に会えたらいいじゃな
いか、ということを一緒にやった。この時は横田滋さんとか、あるいは蓮池薫さ
んのお父さんもいて、親の世代の人たちが活躍してたんです。
色んなところを回って、質素なレストランで会食しました。その時の皆さんの
表情というのはやっぱり明るかった。なぜならやっぱりブッシュ政権というのは、
残念ながら当時の日本政府よりも前向きに、北朝鮮による拉致問題の存在その悪
質さ、その悪質さ、被害者にとっての悲惨さというのを認めてですね、応援して
くれた。
それ以来いろんな形でアメリカの大統領府、特にブッシュ大統領自身が2006年
の4月、早紀江さんがアメリカの議会の外交委員会でせつせつと証言をして、非
常に一般にアピールした。最も強く感激したように見えたのはブッシュ大統領自
身ですね。早紀江さんと拓也さんのお話をしていた。
ブッシュ大統領というのは、いろんな機会があるごとに、大統領をやってると
こんないい体験でができるんだ、と。「例えば13歳の少女を連れ去られてしまっ
た母親が、切々とその悲惨な思いを語るということを私自身が聞いたんだ」って
いうことをね、誰もそんな質問してないのに、機会あるごとに語るということが
あった。
そしてアメリカとの連携が重要になってくるんです。そこで今のトランプ政権
はいったいどういうことをしようとしているのか。これは12月5日に、国家安全
保障戦略というのが発表されて、その中で短い文章でしたけれど、その中で北朝
鮮への言及がない。二期目のトランプ大統領はあんまりこの問題を重視しないん
じゃないか、と日本のいわゆるオールドメディアや識者が書いた。
まあそれに対してもトランプ大統領に関しては、私は実際にトランプ大統領が
日米関係についてどういうふうにしてきたかをかなり調べていますけど、日本の
識者とされる人はとにかく、「トランプはだめだ」、「独裁者だ」。「日米同盟
を軽視している」と一億総出でトランプ非難をして、悪いことは悪いことばかり
書いている。けどもまあこれはトランプ大統領とは関係なく、実際には違うんで
すね。ですから今回の訪日で証明されたように、拉致問題ではトランプ大統領が
一番やりますよというのをやっている。
それから北朝鮮の問題をこれまでどうりにやりますかと、核兵器に関してもこ
れは実現できるかできないかは別にして、トランプ政権の方針として完全非核化
を今までどうりにやっていくということを、これは韓国の李大統領にも言ってい
る。日本のや高市さんとの対談でも言っている。
もう一つ注目されることを言うと、11月4日にトランプ政権の財務省が北朝鮮
に対して新たに制裁措置を取った。これはサイバーでお金を盗むという北朝鮮の
行為に対して、その疑念があるということで、北朝鮮側の8人の個人と1つの団体
に対して新たな制裁を出した。
この件についての財務省の発表は、この3年間で北朝鮮は30億ドルぐらいの不
当な資金を、主にサイバー攻撃による手法で達成しているということを言ってい
るわけです。ですから、色んなところでトランプ政権の北朝鮮に対する政策は、
これまでと変わらない。
もう一つは、トランプ政権の直属している研究機関として、アメリカファース
ト政策研究所(AFPI)という研究所があり、そこで「トランプ政権の安全保障政
策」という文書を書いています。この文書でも、トランプ政権は日本との同盟関
係を、最優先事項としてアジア政策の礎石とすると強調した上で、
アジアの当面の主要課題として、北朝鮮の非核化、中国の南シナ海での侵略の
阻止、と並んで北朝鮮による日本人拉致事件解決への支援と書いています。
だから今や日本人拉致事件というのは、国際問題。そしてこの端緒はやはり、
トランプ大統領の自身が一期目に国連総会で演説をして、「13歳の優しい日本人
の少女が北朝鮮の工作員に拉致された」と。「優しい少女」という言葉を何で使
うんだろうと言ったら、彼は「スウィート」という言葉を使った。「スウィート
な13歳の少女が自宅で近くで拉致された」と。
◆新しい反米の枢軸が出てきた
そこから始まって、これからの新しい展望として、やはり気になるのは北朝鮮
がロシアにくっついたこと。15,000人の兵士をウクライナに送っている。兵器と
弾薬も送っている。明らかにロシアとの関係は今までよりは親密になる。中国と
の関係が非常に悪い。実は中国と北朝鮮の関係が悪いんだよ、と。
これもアメリカの見方では、11月に議会で、超党派の議員が中国に対しては、
最大の権限を持っているような諮問委員会があります。米中経済安保調査委員会
で、毎年中国とアメリカとの関係、中国が日本や韓国に対して、北朝鮮に対して
どんなことをやっているかをずっと調べている。
今年の年次報告書は700ページの物が出て、そこに新しい枢軸、27年前にブッ
シュ政権が使った枢軸という言葉が本当に出てくる。これは何かというと新しい
反米の枢軸が出てきた。これは中国、ロシア、イラン、そして北朝鮮。
北朝鮮はアメリカにとって極めて敵対的な枢軸と位置付けています。そうする
と北朝鮮にとってはやっぱり、反米あるいは反日の国際的に対外的な戦略を続け
る上で、プラスになるんじゃないか。
私たちの仲間にはロシアがいますよ、中国がいますよということを、一応言う
ことができる。アメリカ側でもそういう風に見る人たちもいるわけです。ですか
ら例えばこれがトランプ政権が、北朝鮮と直接折衝をする場合に、一つだけやっ
ぱり前提条件がある。これはトランプ政権の人たちがよく言うんですけど、それ
はロシアへの、ロシアのウクライナ侵攻への北朝鮮の参加なんです。
その点を何とかはっきりさせてくれないと、なかなか接触できないよ、という
ことを言う人がいる。だから明らかに北朝鮮問題が国際課題となって、それがロ
シアや中国との正しい枢軸だ、と。この点を日本側がどう乗り越えるか、どう対
処するか。
しかし、その一方、拉致問題の解決にとってプラスの面は、やはり北朝鮮がア
メリカ側から見て正面の敵と、国際的な位置づけとなってくる。それだけ北朝鮮
の行動に対して、自由民主主義陣営からの周囲懸念の度合いというのは高くなる。
北朝鮮は日本人を拉致して返してないんだということが、どのぐらいになるの
かということが、いわゆる国際社会の北朝鮮への今までよりも広い、強い非難と
なって形を取っていくかもしれない。
その一方でやっぱり、アメリカが北朝鮮を敵対視するというこの基本はより強
くなってくると思いますから、その辺から日本人と同じ問題の解決に、北朝鮮の
考え方を変えさせる。考え方を変えなかったら、解決にならないですからね。
だからそういうことに、どういう場合に北朝鮮が考え方を変えるのか。ものす
ごくすごく困った時、あるいは日本に対して拉致問題を解決すれば、いい関係に
なり大きなプラスになります。
それが北朝鮮という国にとって非常に大きな利益がとなる場合、そういう状態
を作らなきゃいけない。その時に軍事力を持っているアメリカがやはり日本にとっ
て非常に大きな支援材料です。そんな感じですね。だから間違いなくトランプ大
統領自身が日本人拉致問題を解決したいと思っています、何度も言っていますか
ら。
そこに希望を持って、あまり楽観的にはならないけれども、現実的にアメリカ
と協力していくべきだと思います(拍手)。
西岡 続いてソウルで朝鮮半島を見ながら、ソウルで北朝鮮を見ており、その後
東京に帰ってきてからもずっと朝鮮半島を見ている、専門家の久保田るり子さん
におお願いします(拍手)。
(6につづく)
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■高市首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 高市早苗殿
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発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
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