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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

令和5年 拉致被害者救出への展望5(2023/02/08)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2022.02.08)

■令和5年 拉致被害者救出への展望5

◆今食糧が不足

 一方、北朝鮮では経済的困窮が続いています。「苦難の行軍」という言葉があ
ります。これは、金日成演説で、抗日戦で戦った時、お腹がすいて寒い中行軍を
して、日本の追手から逃れたことを言います。

 1995年から98年くらいに、それまで主食は配給で食べていたのですが、
配給が途絶えて300万人以上が餓死したことがあります。その時、抗日戦の時
の「苦難の行軍」という言葉を使って、「苦難の行軍」の時代だったと言います。

 今北朝鮮では、「また苦難の行軍が来ている」とささやかれています。去年が
不作だった。そして中朝貿易が完全に遮断され肥料が入ってこない。北朝鮮はも
う化学肥料を作れないんです。化学肥料工場ができたと言っていますが嘘です。
人糞しか肥料がないので、どんどん生産が落ちています。

 そして去年長雨があったのでじゃが芋も不作だったようで、咸鏡道と両江道と
いう北側、東側の地帯は稲も麦もとうもろこしも作れなくて、じゃが芋だけなん
ですが、そこが今一番ひどい。寒いし食べ物もない。

 今回の「苦難の行軍」の前回との違いは、前回は党を信じて配給を待っていた
人が死んだ。軍人とか党の幹部、治安機関の幹部はそれでも配給があったから生
き残った。今は軍人も、政治警察の幹部も飢えている。

 だから社会安全部の警察の人間が市場で、「没収だ」と言って食料を持ってい
くと恨まれて、夜中に警察官が殴り殺されるという事件がかなり起きています。
それで社会安全部の取り締まりの仕方をソフトにするよう指導したそうです。

 今までは、不満が高まったらもっと厳しくしたのですが、独裁政権が取り締ま
りをソフトにしろという指導をしたのは初めてです。政治的な不満じゃないので
す。生活上の不満が高まっている。それは寒くて食料がないからです。

◆中朝貿易が止まっている

 そして中朝貿易が止まっていますが、北朝鮮の市場で使われている通貨は基本
的に人民元になっています。人民元経済圏に入っていたのです。北朝鮮のお金で
買えるのは豆腐とかあぶらげとか、ネギしか買えないそうです。工業製品は北の
金では買えないのです。

 ところが中朝貿易が遮断されたため商品が入ってこない。中国から入ってきた
ものを転売して商売をしていたのですが、その商売ができなくなった。今の配給
は月に2日分で、それでは食べていけない。市場で米1キロ5000ウォンくら
いです。月給も5000ウォンくらいです。大の大人が一月はたらいて、米1キ
ロしか買えない。

 以前はみんな闇市で商売する方法をつかんでいました。今苦しいのですが、庶
民が死んでいくということはないんです。子どもの乞食が出てきているようです
が、なんとか色々なやり方で食べている。

 それよりも、前の「苦難の行軍」の時代に配給で食べていた人たちが苦しんで
います。ある国家保衛部関係者の証言を読んだのですが、秋に軍の部隊も国家保
衛部も、農場が割り当てられます。自分たちが農場に行って、自分たちが食べる
物を持ってこなければならない。言ってみたら、割り当てられたものの6割しか
ない。

 農民たちも全部出したら自分たちが食べられなくなりますから隠すわけです。
だから来年5月くらいになったら、国家保衛部、政治警察の配給も止まるのでは
ないかと言われているくらいで、量が確保できていないのです。

◆退職した幹部の食糧は人民並みに

 驚いたのは、党の幹部でも軍の幹部でも、定年退職したら、それまではあった
特別配給が全部なくなった。一般人と同じになった。飢え死にするでしょう。

 党の39号室という所があります。朝鮮総連の秘密資金を扱っていたり、今だっ
たらハッキングしたお金を扱っている。金正恩の秘密資金を扱っているのが39
号室ですが、その室長が2019年に定年退職したら、貰っていた配給がなくなっ
て、ひと月分としてもらったのはじゃが芋だけだったそうです。

 その39号室の室長の娘と結婚した駐クウェート大使が韓国に逃げてきた。そ
のくらいひどい。39号室の室長といえば大幹部です。金正恩が一番信頼するの
は自分の秘密資金の管理を任せる人ですが、そういう人でも定年になると、そう
なってしまった。

 みんな職についている間に賄賂を取って備えておかなければならないのですが、
賄賂を取ったことが見つかると逮捕される。幹部たちが本当に困っている。そう
いうことの中で、人道支援に対する魅力が高まっていると言えます。当面100
億ドルではなく、対規模な食糧を貰おうか、と。

◆中国から有償で食料買い付け但し付けで、ロシアは石油の見返りに砲弾、軍服

 中国に人道支援を申し込んだのですが、習近平は中国も苦しいということもあっ
て、無償援助は断った。今後どうなるか分かりませんが。今中朝で少し列車が動
き始めて食糧などは少し入っていますが無償ではなく有償です。本当に外貨がな
いから「付け」で、国連制裁が解除されたら石炭で払いますという「付け」だそ
うです。

 ロシアは、今一部報道されていますが、北朝鮮がロシアに砲弾を出しているの
は事実です。その見返りに石油を貰っている。だから北朝鮮は久しぶりに飛行機
を150機飛ばした。油がないので飛行機を飛ばすことができなかったのです。

 それと、急な動員をしたので、ロシアでは今軍服が足りないのです。軍服を北
朝鮮人民軍の被覆工場で作っている。布は中国から輸入している。ロシアが中国
に石油で代金を払って北朝鮮に布を送り、人民軍の被覆工場で軍服を作ってロシ
アに納入し、見返りに石油を貰っている。食糧は貰えないんです。ロシアも今ウ
クライナで精一杯ですから、石油で戦争に必要なものを買っています。

◆ソウル語を話すなと新法律

 韓国は、尹大統領は今は「報復しろ」とか言っていますが、就任直後は「大規
模な構想」として、北朝鮮が核を止めるなら大規模な支援ができると言っていま
した。人道援助はできると言っていたのですが、北朝鮮では今韓国文化がたくさ
ん流入するので困っていて交流もできない状況です。

 先ほど拓也さんが触れられた最高人民会議は北朝鮮の国会ですが、金正恩氏が
出ませんでした。そこで通った法案が、「平壌文化語を守る」というものでした。
南北朝鮮は1945年までは一つの国だったわけです。朝鮮語と韓国語は同じ言
葉なんです。

 ただ、ソウルの言葉は上品なんです。平壌の言葉は東北弁のようなと言うと東
北の人に申し訳ないですが、硬い方言なんです。それを「文化語」としてしまっ
たか。しかし、韓国のDVDをみんな見ていますから、「平壌の言葉はカッコ悪い」
と、ソウルの言葉にあこがれていて、言葉使いがソウル化してきている。それを
取り締まる法律ができたのです。

 例えば、友達のことを同志(トンジ)とか同務(トンム)と言わなければなら
ない。韓国では女性が年長の恋人に対して、あるいは結婚して自分の夫に対して、
オッパと呼ぶんです。お兄さんという意味です。そういうのがみんな北朝鮮に入っ
ていった。

 名前も韓国式に付ける。韓国のDVDを見ていない人がいないくらいです。その
韓国から人道支援を貰ったら、もっと韓国文化が入ってしまうからもたない。

 ひょっとして北朝鮮が局地戦を起こすかもしれないとの情報もありますから、
それがどうなるかは分かりませんが、しかし本当に困ってきて、大規模な人道支
援に対し、北朝鮮の魅力が高まっているのが客観的な事実です。

◆日朝交渉が先なら人道問題で取引をする

 そういう中で、金正恩委員長がどう判断して、どういうことをしてくるのか。
あらゆるアンテナを張って情報を取りながらチャンスを逃さないようにするしか
ないのですが、岸田総理は今、「時間的制約のある人道問題だ」と言っている。

 私たちは拉致問題解決が国交正常化の条件だけど、政府の拉致問題の解決の定
義の1)の、全被害者の安全確保と帰国が実現するならば人道支援に反対しない
というメッセージを出そうと思っています。

 そして、「時間的制約」とは、親の世代との再会です。色々な変数があるので、
すぐに、「こうなったら、こうなるので、こうすればいい」というふうにはなら
ないのですが、岸田総理のメッセージは、これしかないものを出していただいた
と思っています。このやり方しかないと思います。

 早紀江さんたちの健康状態を考えてもそうですし。アメリカが今後、もう一度
北朝鮮に圧力をかける方向に出てくるのかどうか。それも見なければなりません。
北朝鮮は4月、5月、6月と段々苦しくなります。7月くらいになるとじゃが芋
がとれますが。

 そこまでに何か行動を起こしてくるのか、先にアメリカと交渉しようとなるの
か、色々な要素がありまだ分かりませんが、とにかく拉致被害者を取り戻すため
に、米朝が先になるなら核だけでなく、拉致もテーブルに上げて、日本のお金を
あなたたちは使おうとしているのだから条件は拉致ですよと言い続けなければな
らない。

 一方日朝が先になるならば、人道支援と、国交正常化の後の大規模な経済支援
を切り離して、人道支援と拉致問題、それぞれ人道問題で取引をする。

◆我々は「今返さなかったら利益がなくなる」とのメッセージを出し続ける

 そこで我々が民間で何ができるかですが、岸田総理は、「時間的制約のある人
道問題」と言いました。家族会の早紀江さん、有本のお父さんは確かに歳をとっ
ている。しかし、あの人たちがいなくなったら、日本人は拉致問題を忘れてしまっ
て、報道も少なくなって、関心が下がるのなら、拉致問題抜きで国交正常化した
方がいいと、日本の世論が拉致を忘れる方向に行くのか。親の世代がいなくなっ
たら、アピール力がなくなって忘れられていくと北朝鮮が判断したら、「待つ」
という政策になる。

 一方、例えば早紀江さんとめぐみさんが会えなかったら、日本人が怒る。日本
人の怒りは全然下がっていないと日本の世論を読めば、「急ぐ」ことにあんりま
す。

 私たちができることは、「怒りは冷めてはいませんよ」、「国家安保戦略に書
いてあるんですよ」と。日本の安全保障の基本的文書に、「時間的制約のある人
道問題」と書かれている。これは日本人全体が、めぐみさんや恵子さんが親と会
わなければならないと本当に思うかどうかです。「それなしに国交正常化なんて
ないですよ」、「永遠にない」。「反北朝鮮になりますよ」と。

 両方の利益になるとメッセージを出していますが、「今返さなかったら両方の
利益なんかふっとびますよ」と。そういうメッセージを出し続けることができる
かどうかが、私たち民間の仕事ではないかと思っています。

 こちらも早紀恵さんたちのことを考えると時間がないのですが、金正恩委員長、
あなたも時間がないのですよ。明るい未来の方向に行く道もあるんですよ、とこ
ちらが示すことはできた。相手の反応を見て機敏に対応するしかないと思ってい
ます。それが今言えることです。

◆日本製の時計5000個を金正恩が贈り物に

 なお、1つだけ。1月1日に平壌で5000人くらいの社会主義少年団が集まっ
たのです。小学校4年から17歳くらいの人が、社会主義少年団に入れるのです。
赤字ネッカチーフをまいて政治活動をします。

 その代表に対して金正恩が時計をあげたんです。その時計がSEIKOの時計だっ
た。これは箱の写真が写っているのでそれで分かったのです。そんな高いもので
はない。しかし5000個です。脱北者等に聞くと、「金正恩の名前で贈り物を
するのに、日本製を使うかどうかについては、絶対に金正恩の決裁を受けている。
日本製品を贈り物にした。それには何らかの意味があるのではないか」と、その
人は言ったのです。

 これは報道されていませんが私が聞いた話で、同じ1月からチャンマダン(市
場)で日本製品を売り買いすることの禁止が解除された。昔は売っていたのです。
在日朝鮮人が行っていましたから。ところが小泉訪朝の後、金正日が日本にだま
されたと怒って、日本製品の売買を禁止したのです。日本も製品をかけたので日
本製品が行かなくなった。

 今は売買できる。5000個の時計が街に出回っているのですが、それを取り
締まると、金正恩委員長の贈り物だったとなれば取り締まれない。それが日本に
対する一つのメッセージではないか、という人もいます。

 今でも韓国製品を扱うと処罰されます。まだ断定的なことは言えませんが、い
い方向への兆候であればいいなあと思っています。

以上




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