救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

日朝首脳会談から20年ー特別集会3(2022/09/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2022.09.27)

■日朝首脳会談から20年?特別集会3

西岡力(救う会会長)

 少し、背景の解説をさせていただきます。横田めぐみさんの事件で言うと、4
5年経っています。(日朝首脳会談以降の20年は)その中の20年です。被害
者と家族の苦しみが続いていて、あと5年経つと半世紀になるという厳しい問題
です。

◆初動捜査がなかったから長くかかっている

 なぜこんなに長くかかっているのか。拓也さんがおっしゃいましたが、私も同
じ意見で、物事が発生した直後が一番大切なのですが、拉致が国政の最優先課題
になり、拉致問題対策本部ができたのは2006年です。めぐみさんの事件から
ほぼ30年が経ってしまいました。小泉訪朝の時もそれはなかったのです。

 後ろ向きのことを言っていてもしょうがないのですが、私は横田早紀江さんや
有本明弘さん、嘉代子さんたちが運動を始めた時からずっと一緒にいますので、
あるいはその前からこの問題に関わっていますが、それでも一歩一歩進んできた
のではないかと思っています。

 もちろん45年も救えなかった日本が情けなくて、私たちも「救う会」と言い
ながら救えなかったことが情けないということが前提ですが、今後のことを考え
るの当たって、私たちができたことと、できなかったことを考えなければならな
いと思います。

 皆様のお手元に、今日私が「産経新聞」に書いたコラムを資料としてお配りし
ましたが、この20年間で達成できたことは2つあると思っています。5人が帰っ
てきたことは別にしてです。

◆達成できたこと1 拉致問題対策本部ができ最重要課題に

 20年前には拉致問題対策本部はなかったのです。25年前に家族会だでき、
それを応援する救う会ができた時は、本当に孤立無援でした。記者会見しても記
者の方がほとんど来てくれませんでした。そして「拉致疑惑」と言われていまし
て、拉致があるという人と、拉致はないという人の扱いは五分五分くらいの扱い
でした。

 私は学者として家族会ができる6年前に、拉致があるという論文を書きました
が、全く世の中から無視されて、警察や公安関係の人等から、「命の危険はない
ですか」と聞かれました。日本の学者が日本語で、「日本人が拉致されている」
と書いたら、日本国内でテロに遭うかもしれないと心配されるような状況が、2
5年前、家族会ができた時にあったのです。

 私が論文を書いたのは31年前でした。その時何があったかというと、私が書
いたのは金丸訪朝の直後でした。金丸訪朝で日朝国交正常化交渉が始まる。しか
し、拉致には全く言及されていない。このままでいったら拉致は完全に棚上げさ
れて、国交正常化に進んでしまうのではないか。そういう強い危機感があって論
文を書いたのです。

◆横田滋さんが実名を出して訴える決断をした

 しかし、ほとんど反響はなく、脅迫状をもらったりしたことはありました。そ
して世論ができてきたのは、私のような学者の論文ではなく、家族会ができたこ
とです。家族の人たちが集まって、実名を出して訴える決断をしたのです。

 まず横田家が実名をだすことを決断されて、その後他の家族も合流したのです
が、横田家の中でも苦しい議論があったと聞いています。一昨年お亡くなりになっ
た横田滋さんが最終的に、「一定のリスクはあるけれど実名を出そう」という決
断をされた。

 当時の専門家等の多数意見は、「実名を出したら北朝鮮は拉致はないと言って
いるんだから、向こうにいる被害者が殺されるかもしれない」というものでした。
それを政府関係者も言っていたので、「政府がそのように思うなら静かにしてい
て、政府が水面下で交渉してくれるのを待とう」というのが20年間の家族の人
たちの姿勢だったのですが、20年間何も起きなかったという現実を前にして、
名前を出して訴える決断を横田家が最初にして、それに他の家族も合流したのが
25年前のことでした。その後の5年間で少しづつ世論ができてきて、小泉訪朝
となりました。

◆金丸訪朝のニュースで、私のことが議題になっているのではないかと

 金丸訪朝の時は拉致問題は議題になりませんでしたが、小泉訪朝の時は議題に
なりました。実は金丸訪朝の時、実は北朝鮮でどんなことがあったのか、曽我ひ
とみさんに聞いたことがあります。

 北朝鮮のテレビで、日本の政治家が今来ているというニュースがあったそうで
す。「日本の政治家が白旗を上げて謝りに来た」というトーンでニュースしてい
た。曽我さんは心の中で、「政治家は日本国民のために働くはずだから、私のこ
とが議題になっているのではないかと期待した。しかし何も起きませんでした」
と言っています。

 金丸さんの相手だった金日成さんが亡くなり、金正日さんの時代になって小泉
さんが行った時は、議題にはなりました。しかし、今日冒頭申し上げましたが、
「9・17を思い出すと怒りが湧いてくる」と。あの時議題にはなったけれども、
拉致被害者救出が国政の最優先課題だったのかと考えると、私はそうではなかっ
たと強く思っています。

◆拉致被害者救出が国政の最優先課題ではなかった

 私の意見ですが、被害者を助けようと思っているならば、北朝鮮から被害者に
ついて「5人は生きています。8人は死んでいます。それ以外はいません」と言
われた時に、「死因はなんですか、遺骨はどこにあるんですか」と聞くはずです。
調査したのならそれが分かる筈です。その質問を平壌でしていないんです。

 それなのに朝の10時半くらいには、それぞれの名前、生年月日、死亡した日
が書いてあるものを赤十字の名前で貰っていながら、家族会に「北朝鮮から通報
が来たので、マスコミから離れて、外務省の施設に来てください」と言われたの
が3時頃です。

 私はその時、マスコミ担当でしたから、1時間に1回ずつ記者会見を設定して、
「小泉総理頑張れ。日本の世論は支持している」ということを国中にアピールし
ようと思って、家族の人には少し無理を言いましたが、そういう会見をしました。
前の国会議員会館に集まってもらってそういうことをやっていました。

 そうしたら官邸から、「そこを離れて、北朝鮮と秘密に暗号のかかる電話で話
ができる外務省の施設に来てくれ」と言われました。最初は断ったのです。私が
その窓口をやっていましたから。「国民と一緒に待っているんだから、報告があ
るならここに来てしてください。そしてすぐ記者会見して国民に伝えます」と言っ
たのですが、当時の官邸から「全員の消息を出します」という話があったので、
行っていただきました。

 その時言われていたのは、「一人か二人の消息を出して、それ以外の消息は出
ないのではないか」ということでした。有本恵子さんが生きていることは確実な
のだから、「確認された」という誤報が午前中に大手の通信社から流れたりもし
ていました。

 そういう雰囲気でしたが、「とにかく全員でなければだめだ」とその時も言っ
ていました。そうしたら「全員出します」と言われたのに、行ってみたら、「今
確認作業をしています」、「大切な問題だから慎重に確認作業をしています」と
説明されて、「1時間くらい待たされました」と聞いています。

◆いつ死んだのかも分からなかった

 そして一番最初に横田家の4人が呼ばれました。外務省の植竹副大臣が、「残
念ながらお宅の娘さんはお亡くなりになっています」と。私がその場にいたわけ
ではないですが、後で聞くと、植竹さんは「確認もしました」と言ったそうです。
また、「子どもさんが一人います。でも男の子か女の子かは分からない。いつ死
んだのかも分からない」と。

 その後福田官房長官が遅れてこられて、有本家、増元家、市川家等家族会に入っ
ていて「死亡」とされた人に会った。有本明弘さんは、「殺されたんや」と言っ
た。手紙を出したので殺されたのではないかと思っておられたそうです。

 さっき拓也さんとその話をしたんですが、「慎重に確認作業をしている」と言っ
て、植竹副大臣に呼ばれる前に既にテレビでニュースが流れていて、字幕で「8
人死亡4人生存」と。当時「4人生存」だったのです。曽我さんは誰か分かりま
せんでしたから。しかし、名前が出ていた。

 その時一番心配だったのは、死亡の日付です。まさか政府が確認しないで、
「死亡しました」と言うとは、私の想定になかったのです。「亡くなったのか。
最悪の結果になたかもしれない。家族会・救う会ができた後に死んでいたら、運
動したことによって殺されてしまった。自分たちがやってきたことは何だったの
か」ということでした。

 「拉致は重視」だったのに、それを日本政府もマスコミもずっと無視してきた
のではないか。「運動をしたら殺された」というそんなことなのか。申し訳ない。
どうしたらいいんだろうか。一晩眠れませんでした。

(4につづく)



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