救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

松原仁議員の質問と川口外相の答弁(2002/04/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2002.04.17-1)

■松原仁議員の質問と川口外相の答弁

 去る4月5日に衆議院外務委員会で行われた松原仁議員(民主・新拉致議連事
務局次長)の質問と、それに対する川口外相の答弁です。
 外相の答弁はこれまでのものと全く変わっておらず、この間大きく動いてい
る情勢の中ではかえって不自然にすら思えます。注意しておくべきは杉嶋氏の
ことを答弁の中で言及していることです。外務省がやろうとしているのはおそ
らくこの延長線上で問題の解決を図ろうとすることだと思います。


外務委員会
平成十四年四月五日(金曜日)

○吉田委員長 次に、松原仁君。

○松原委員 民主党の松原仁であります。

 きょうは、拉致問題を含む北朝鮮問題について大臣の御所見をお伺いいたし
たいと思っております。

 まず、冒頭お伺いしたいことは、拉致問題解決なくして国交回復なしと小泉
総理も言っているわけでありますが、この総理方針、当然、大臣も共有してい
ると思うんですが、御見解をお伺いいたしたいと思います。

○川口国務大臣 政府といたしましては、拉致問題は国民の生命にかかわる重
要な問題であるという認識を持っておりまして、この認識のもとで、従来から、
日朝国交正常化交渉等の場で、北朝鮮に対しまして、日朝関係を改善していく
に当たって拉致問題は決して避けて通ることのできない問題であるということ
を繰り返し伝え、その解決を強く求めてきているわけでございます。政府とい
たしまして、日朝国交正常化交渉の進展に粘り強く取り組み、こうした努力を
通じて、拉致問題を初めとする人道上の問題や安全保障上の問題の解決を目指
す方針でございます。

 小泉総理も、そのような趣旨で御発言をなさったと私は承知をいたしており
ます。

○松原委員 そういう小泉総理に対してのお話でありましたが、この北朝鮮と
いう国家に対しての川口大臣の御認識を私はお伺いしたいわけであります。

 アメリカのブッシュさんは、北朝鮮を悪の枢軸という表現を使ったわけであ
ります。適切かどうかという問題は別でありますが。
 我々の日本にとっては、古くは、よど号ハイジャック犯の受け入れに始まり、
そして、八尾恵元ハイジャック犯の妻が有本さん拉致事件を裁判所で証言した
ということで、また日本の国民の怒りを大変に大きくしておりますいわゆる拉
致事件、この拉致事件に関しては、日本の警察が認定しているだけで八件十一
人、恐らく七十人、八十人がいるのではないかと言われております。また、い
わゆる不正送金の問題、さらにはテポドン、これは衛星だと言っていますが、
ミサイルだった可能性が極めて高いわけであります。核兵器開発疑惑、さらに
は麻薬、武器の密輸売却疑惑、そして先般においては金正男と思われる男の不
法入国、そして昨年末の不審船による銃撃事件と、大変に、一つ一つをとって
も大問題でありますが、そういう問題で北朝鮮と密接に絡んでいると思われる
事件が、もう長い時間においてずっと起こり続けているわけであります。

 こういう国家、この国家は、拉致をする国家、犯罪国家ではないかというふ
うに私は思うわけでありますが、北朝鮮、これは拉致をする国家、犯罪国家で
はないかということに対しての大臣の見解をお伺いいたします。

○川口国務大臣 米国の政府、アメリカは、一九八七年の大韓航空機の爆破事
件、これを契機といたしまして、八八年以降、北朝鮮を、テロ行為を支援して
いる国家ということで、テロ支援国家リストに載っけてきています。

 我が国といたしましては、北朝鮮をめぐっては、安全保障上及び人道上の難
しい問題が存在をしているわけでございまして、これについては、先ほど述べ
ましたように、日米韓の緊密な連携を維持しながら、日朝国交正常化交渉等の
場で北朝鮮に対しまして粘り強く働きかけ、この問題に取り組んで、諸問題の
解決をしていくという方針をとってきております。

 北朝鮮との関係におきましては、昨年来、外務省から、拉致問題を初めとす
る諸懸案につきまして、北朝鮮からの前向きな態度、前向きな対応をあらゆる
機会に強く申し入れてきたという経緯がございます。そのような北朝鮮とのや
りとりの中で、北朝鮮側から、例えばことしの二月の杉島元日経記者の解放と
いったような具体的な動きが出てきたと考えるわけでございまして、そういっ
た粘り強い努力、強く申し入れるということをずっとやっていくことが必要だ
と思っております。

○松原委員 今、アメリカは北朝鮮をテロ支援国家というふうに考えていると
いう話がありましたが、私は今大臣にお伺いしたのは、北朝鮮という国をどう
とらえるか。やはり日本の北朝鮮に対する外交、もちろん粘り強い交渉は、例
えば、どこかで人質がとられて犯人がどこか建物に立てこもった場合も粘り強
い交渉というのは当然必要なわけでありますから、それは当然のことでありま
すが、我々の認識としては、北朝鮮は、まさに拉致ということを考えたら、拉
致というのは考えてみれば自分の意思ではなくてどこかに連れ去られるわけで、
これは立派な犯罪であります。

 そういった立派な、まごう方なき犯罪をしている国家というのは、アメリカ
がテロ支援国家というふうに言っているわけでありますが、私は、日本の北朝
鮮に対する対応としては、これは犯罪国家という認識を持つべきだ。大臣も拉
致という言葉を何度も使っているわけでありますから、拉致ということ自体は
もう犯罪行為でありますので、犯罪国家という認識でやはりこれから対応して
いかなければいけないと思っております。そういった認識で北朝鮮との外交交
渉はぜひとも進めていただきたいと思うわけであります。

 次に、そうした犯罪国家という北朝鮮に対して、我々がこれまでどういうこ
とをしてきたのかというのを考えてみたいと思うわけでありますが、我々は、
特に人質というか拉致された人たちを解放したいという思いもあって、常に北
朝鮮に対してはギブ・アンド・ギブというのですか、与え続けるような方式を
とってきたのではないかと思っております。平成七年の合計三十五万トンの有
償米支援、また昨年の五十万トンの無償の米支援を含め、延べ百十八・二万ト
ンの米支援が行われているわけであります。

 しかし、こうした我々の善意の対応に対して北朝鮮はどのようにやってきた
のかということでありますが、平成七年の三十五万トンの有償米支援について
言えば、これはここに資料もあるわけでありますが、五十六億円の元本は今日
に至るも全く支払われていない。相手は、国ではなくて北朝鮮国際貿易促進委
員会ということでありますが、それは、利息の五・六億円のうちの八千万円分
しか払われていない。極めて誠意ない対応であって、そのことに対して説明が
きちっと行われているということでもないわけであります。

 さらには、昨年暮れの北朝鮮赤十字による拉致された人たちに対する調査の
打ち切り、また、ことしの一月三十日には国連人権委員会が強制的失踪に関す
るワーキンググループ審査打ち切り、これは北朝鮮の協力がないために打ち切
らざるを得なかった、こういうことであります。

 一方において、日朝国交正常化交渉は一九九一年一月から二〇〇〇年十一月
まで十一回行われているわけでありますが、それ以降は一年半行われていない。
今、粘り強い交渉ということをおっしゃっておられましたが、そういった意味
では、国家の主権、また拉致された御家族の心中を察するとき、もはや一刻の
猶予もないというふうに思うわけであります。

 これに対して、従来のものにプラスして、どのような交渉ルートあるいは対
策をお考えか、大臣にお伺いいたします。

○川口国務大臣 これは、日朝国交正常化交渉等のさまざまな場、そういう場
におきまして、粘り強く人道上の問題、安全保障上の問題について働きかけて
いくということでございます。そして、これを日米韓連携のもとに行っていく
ということであると思っております。

 私も、拉致をされた方の家族の方とお会いしてお話をさせていただきました。
その方々のお気持ちは、私も家族がおりますのでその立場に立って考えると、
本当に何とも言えない気持ちに私もなりました。そういった大勢の方のお気持
ちをきちんと踏まえまして、粘り強くいろいろな問題について働きかけていく
ということが大事だと考えております。

○松原委員 今、大変に苦しい御答弁だというふうに私は思っているわけであ
ります。

 現実には、これだけの米支援を含むことをしながら効果はなかなか検証され
ていないというのが実際ではないかというふうに私は思うわけでありまして、
そういった意味では、従来の外務省の北朝鮮に対する対応というのは、やはり、
生ぬるいという表現を使っていいかわかりませんが、非常に反省をするべき成
果のない方針だったのではないかというふうに私は思うわけであります。

 考えてみれば、外務省は、ある意味で、北朝鮮に対して毅然とした対応をし
てこなかったのではないかという声もあるわけでありまして、既に申し上げた
ように、金正男と見られる男性が入ってきたときも、事なかれ主義的にそれを
国外に出してしまったというふうなことも含め、どうもそういう事なかれ主義、
もしくは毅然とした対応というものがそこにないように私は思うわけでありま
す。

 また、一部伝わるところでは、外務省高官が、国交回復の上で何人かの拉致、
行方不明者の問題はささいな問題というふうな発言をしたという話があります
が、国賊的発言、獅子身中の虫というふうに思うわけであります。

 こういったことに対して、大臣、もう一回お話をお伺いしたいと思います。


○川口国務大臣 北朝鮮に対してどういうやり方で働きかけていくかというこ
とについては、さまざまな御意見があるということを私は承知をいたしており
ます。

 北朝鮮に対しまして、国交正常化交渉の過程で拉致問題は避けて通ることが
できない問題であるということも、再三再四強く言っていますし、国民の生命
にかかわる重大な問題であるということも言ってきているわけでございます。


 委員おっしゃるように、言うべきことはきちんと言うということは、これは
どこの国との交渉においても非常に大事なことでございまして、北朝鮮におい
ても、外務省としては、そういったことで交渉をしているつもりでおります。


 引き続き、安全保障上及び人道上の諸問題につきまして、日朝国交正常化交
渉等の場で粘り強く取り組んで、課題の解決を目指して進みたいと思っており
ます。

○松原委員 日本の国民の意識も大分変わってまいりまして、こういった日本
の国の毅然とした対応を求める声というのが大変大きくなっているわけであり
ます。

 最近の世論調査、毎日新聞の調査では、ここにありますが、拉致問題が解決
するまでは人道的支援や国交回復交渉はするべきではないという声、さらには、
アメリカへの軍事的協力も含め強硬な姿勢で問題解決に臨むべきであるという
のが、この調査では六〇%に上がってきている。ある意味では、北朝鮮に対し
て犯罪国家という認識を持ちながら毅然とした対応を求めるという声が、今国
民の中で非常にほうふつとしてきているんだろうというふうに私は思っている
わけであります。

 しかし、具体的にどういう手を我々は講ぜられるのかということになります
と、その手法というのは極めて限られているわけであります。一つは、解決に
向けて国際世論の喚起をするということでありますが、日本はもちろん直接的
に交渉しているわけでありますが、他の、第三国から北朝鮮に対して、この拉
致問題に対してはきちっと申し入れをするというふうなことも必要だというふ
うに思っております。

 先般、インドネシアのメガワティ大統領が訪朝し、金正日さんと会見したと
いうことでありますが、このときは日本の拉致問題は触れたのかどうか。イン
ドネシアに対して我々は、多額の、いろいろな経済的な関係を持ってやってい
るわけでありますが、触れるような努力を事前に外務省は当然するべきだった
と思うんですが、触れたのかどうか。もし触れたとしたら、それに対して北朝
鮮はどういう返事をしたのか。

 さらには、金大中さんの特使が今北朝鮮へ行っていますが、小泉さんがお会
いしたときにそれに対して話をしているわけですから、当然、金大中さんの特
使は北朝鮮の人にこの拉致問題を話をするはずでありますが、これは触れてい
るのかどうか。触れたとすればどういう話があったのか。

 こういう検証を一つ一つしていかなければ国際世論を喚起するということに
もならないわけでありますが、今の二つの事例に関して、触れたのかどうかも
含め御答弁をお願いいたします。

○川口国務大臣 今二つの、インドネシアそれから韓国についてお話がござい
ましたけれども、インドネシアにつきましても、メガワティ大統領に事前の、
我が国の立場につきましてはお話をさせていただいております。

 それから、韓国につきましても、さきの首脳会談におきまして、総理から金
大中大統領に対しまして、拉致問題に関する我が国の基本的な考え方を伝える
ということをいたしておりますし、先般の林特使の訪朝に当たりましても、そ
うした考えを伝えたということでございます。韓国側は、このことを踏まえて
しかるべく対応をしているものと期待をいたしております。

 韓国の林特使は何人かの方にお会いになられたというところまでは聞いてお
りますけれども、私どもとしては、韓国の場合も、インドネシアの場合にも、
そうした我が国の基本的な考え方を踏まえてしかるべく対応をしていただいて
いるというふうに期待をいたしています。

○松原委員 期待をしているということでありますが、具体的にそれは言うの
は当事者でありますから、我々がそこに行って言うわけにはいきませんが、や
はり、本当に真剣に取り組んでいるならば、メガワティさんもこれに触れても
らうような努力をし、触れて、また、その韓国の金大中さんの特使もそれに触
れて、そういう環境をつくらなければ、私は、外務省が真剣に拉致問題解決に
取り組んでいるというふうには言えないと思うわけであります。

 ですから、それは小泉さんが向こうに行って金大中さんと会って話をしてそ
うなったわけなので、これに対しての検証、これをきちっとやってもらわなき
ゃいけないということを申し上げたいと思うわけであります。

 時間もありますので、次に進んでまいります。

 今言った国際世論を喚起するというのは一つの大きな視点でありますが、同
時に、制裁を含む毅然とした姿勢をとるということも我々は考えていかなけれ
ばいけないと思っているわけであります。

 私は、二つ具体的に申し上げたいわけでありますが、一つは、新潟港に月一
回、万景峰92号という船が入ってくるわけであります。入港するわけでありま
す。毎月一回ぐらい入ってきて、人間が向こうに行ったりこっちに来たり、も
しくはいろいろな交流があるわけでありますが、これが、さまざまなことが行
われているだろうという議論もありますが、この万景峰92号の入港といいます
か接岸に関して、これを、厳しい言葉で言えば禁止するとかいうことも一つの
制裁措置を含む毅然たる態度のあらわれになると思うんですね。すぐにやると
いうのではなくて、可能性を示唆するだけでもそれは、日本も本気だ、毅然と
して対応してきたというふうなことになると思うんです。

 もう一つは、先ほど北朝鮮は犯罪国家だということを私は申し上げたわけで
ありますが、北朝鮮への送金の問題であります。

 この送金は、いろいろな形で行われていてよくわからない。アメリカはテロ
支援国家と北朝鮮を認定したわけでありますが、我が国は、昨年十月三十日に
署名し、今国会で既に提出されているテロ資金供与防止条約がありますが、例
えばこれを速やかに批准し、同時に、提出されている関連法案も早期に成立さ
せて、実際、テロ支援国家と言おうと犯罪国家と言おうと、それは同じような
たぐいでありますので、これを、送金の停止を含む制裁措置を毅然と考えるこ
と、それぐらいのことに踏み込んで、こういった世論調査のデータもあるわけ
でありますから、我々は毅然として対応をしていくべきだと思いますが、大臣
の所見をお伺いいたします。

○川口国務大臣 委員おっしゃられますように、北朝鮮との関係では、毅然と
して、そして粛々と進めていくということが大事だと私は考えております。し
たがいまして、先ほど申しましたように、日朝国交正常化交渉等の場でさまざ
まな働きかけ、さまざまな問題について繰り返し言っていくということが大事
だと考えております。

 おっしゃったテロ資金防止条約につきましては、これは今国会にお願いを申
し上げることといたしておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げます。


 米につきましては、これは現在、この支援を行うということについての検討
は行っておりません。

 問題の解決に向けたやり方として、海外、ほかの国につきましても働きかけ
ていくということについては大変に重要なことだと思っておりまして、これを
行っているわけでございます。

○松原委員 きょうは、私は大臣の北朝鮮に対する姿勢を聞きたいという思い
だったんですね。北朝鮮をどういう国家として見るのかと。非常に大きな枠組
みでの話で、私は、拉致をする国家、人をさらっていく国というのは、これは
犯罪国家というふうにみなすべきだと申し上げました。そういう認識に立って
行動するべきだと。そういう中で、今、具体的には国際世論に訴えると。今回、
金大中さんの特使が言ったり、メガワティさんがそれについて触れなかったり
するならば、私は、外交努力をしているというふうにはならないと思うんです
よ。不十分だ。これはきちっとやってもらわなきゃいかぬ。

 しかし、それ以上に私がお伺いしたいのは、制裁措置も含む毅然とした対応、
毅然としたというのはやはりこういった、今二つ私は具体的に申し上げました
が、こういったものを含まなければ毅然とした対応にならないと思うので、そ
ういった毅然とした対応をやるんだという決意を、私は、では具体的にどうす
るんだということではなくとも、毅然とした対応を、今言った二つのような具
体的にできる制裁ということを含め、やるんだということを大臣の御答弁でお
伺いしたいので、もう一回御答弁をお願いします。

○川口国務大臣 北朝鮮と我が国の関係といいますのは、国交正常化がまだ行
われていないという意味で不正常な関係にある国家であると私は考えておりま
す。そして、安全保障上あるいは拉致問題を含む人道上の諸問題の解決が必要
であると考えております。その上で、毅然としてそういった問題について北朝
鮮に強く申し入れるということは非常に重要でございますし、先ほど来申し上
げていますように、それは行っていると私は考えております。

 制裁措置をというお話がございましたけれども、物事の解決の仕方について
さまざまなやり方というのがありますし、それについてさまざまな考え方があ
るということは承知をいたしておりますけれども、我が国としては、従来より、
日朝国交正常化交渉等の場で、日米韓と連携をとりながら、北朝鮮に対してこ
ういった人道上、安全保障上の諸問題について強く申し入れを行っていくとい
う方針でやってきておりまして、昨年来、外務省より、拉致問題を初めとする
諸懸案についても、北朝鮮の前向きな対応をあらゆる機会を通じて強く申し入
れをしてきた経緯もあるわけでございます。したがいまして、毅然と、そして
粛々と粘り強く働きかけていくということであると私は思っております。

 なお、いろいろな国の首脳が北朝鮮に行かれるに際して、その国に我が国の
基本的な考え方の御説明をきちんとしているかということでございますけれど
も、その確認をするということでございますけれども、我が国としては、そう
いった首脳の方が我が国の考え方を北朝鮮側に伝えるということは当然に期待
を申し上げてやっているわけでございまして、それ以上のことにつきましては、
これは北朝鮮とその国の関係がございますので、我が国としてその関係を尊重
すべき立場にあると思います。

○松原委員 成果が上がらなければやはり外交はいかぬというふうに思うわけ
でありまして、今の川口大臣の発言で本当に拉致問題が解決するのか。私は、
今言ったような毅然として、もしあれでしたら、それは議論することは議論し
なければいかぬ。しかし、国交がなくても、こういった具体的なことで制裁は
できるわけですから。

 そういうことを含めて、やはり毅然として臨んでいかなければ私は問題の解
決ができないと思いまして、きょうは私はもうちょっと前向きな御答弁がいた
だけるかと思って来たわけでありますが、ちょっとその辺は残念であるという
ふうに申し上げたいわけであります。

 最後に、不審船の問題をお伺いしたいわけでありますが、今中国の李鵬さん
が日本に来ているわけであります。そして、川口大臣も直接お会いをしてお話
をしているかのように聞いておりますが、国際法と国内法にのっとりきちんと
やるつもりだ、個人的には楽観的に考えていると李鵬さんは言っているわけで
すね。その水域は中国の排他的経済水域でありますから、一定の抗議は行うも
のの、引き揚げ問題は両国の関係を決定的に悪化させることにはつながらない
と認識している、こういうふうに李鵬さんは言っているわけであります。

 また、その一方において、中日双方の関係部局が協議し、双方が満足する解
決方法を見出していくことでどうかということで、これだけ見ると、前向き、
楽観的、引き揚げができるというふうに我々は認識として持つわけであります。
この関係部局が協議しということなんですが、どこが関係部局かということで
ありますが、トウカセン外相が、全人代終了後に朝日新聞記者があえて質問し
たものに対して答える形での発言や、また、先月二十九日の、王さんというん
ですか、中国アジア担当外務次官の発言、我々は事態が拡大、複雑化すること
を望んでいない、これは後ろ向きの発言ではないかと私は認識しているわけで
あります。

 この発言をそごと見るかどうか、この辺について大臣はどういうふうな御認
識なのか。そして、この引き揚げ問題に関して、李鵬さんの発言はこういう発
言だったけれども、関係部局はちょっと違う、温度差のある発言をしている、
これに関しての川口大臣の御認識をちょっとお伺いしたいと思います。

○川口国務大臣 この問題につきましては、李鵬委員長もおっしゃっていらっ
しゃいましたように、不審船の問題を日中間の政治問題あるいは外交問題とす
ることなく、理性的な話し合いを通じて適切に処理をしていくべきだと考えて
おります。

 どこの担当部局の間かという御質問がございましたけれども、李鵬委員長と
の間では、両国の外交部門の間で協議を行いということをおっしゃっていらっ
しゃいます。

○松原委員 早期引き揚げをするということは、やはりこれも毅然とした日本
の姿勢を国内のみならず国外にも示すことにつながると思うので、これはもう
万難を排して、毅然たる外交を行う外務省と。外務省はずっとさまざまな問題、
ごたごたがあったわけでありますから、そういった意味では、少なくともこの
部分では毅然とした対応をしてほしいという思いで、特に今国会で成立する、
申し上げましたテロ資金供与防止条約なんかもあるわけでありますから、送金
の停止をするぞぐらいの制裁措置を示唆していくということは、私は外交上当
然のことだと思うんですよ。

 新潟における万景峰号の接岸禁止とか、それぐらいのことをやっていく。も
ちろん今回、金大中さんの特使が向こうに行って拉致の話をしないとしたら、
これはやはり外務省当局の努力不足が必ず指摘される問題、批判される問題だ
と思っておりまして、ちょっときょうの答弁は私は不十分だと思っているので
して、こういったものをきちっとやってもらわないと、ただでさえ外務省は今
評判が悪いわけですから、きちっとこの問題では対応してほしいということを
強く要望しておきたいと思います。

 そして、私が最後に申し上げたいのは、先ほどの毎日新聞の記事でもあった
ように、日本の国は毅然たる態度が必要だということ、そして、フランシス・
フクヤマというアメリカの日系の学者が書いた「歴史の終わり」という書物に
もあるように、国家というのは気概を持たなければいけないということだと思
うんですね。気概を持って行動するということが、やはり名誉ある日本をつく
るためにどうしても必要なことだというふうに思っております。名誉ある国家
であって初めて、そこに住む一人一人の国民も名誉を感じ、そして倫理を持っ
て行動するのではないかと私は思っております。

 そういった意味では、特にこの北朝鮮の問題というのは、相手は拉致を当然
のようにやるような犯罪国家でありますから、もちろん、だからといって攻め
るだけではないわけでありますが、犯罪国家に対してはそういう認識のもとに、
大臣も認識を改めていただいて、毅然たる対応をしていただきたいということ
を申し上げまして、時間が参ったようでありますから、私、松原仁の質問とい
たします。

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