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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

激動する南北情勢の中で拉致問題を考える国際セミナー報告6(2016/12/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.12.15-2)

■激動する南北情勢の中で拉致問題を考える国際セミナー報告6

島田 ありがとうございました。日本が国連安保理の制裁以上に課している制裁、
上乗せの制裁をしている。この上乗せしている制裁部分は、拉致問題の解決に北
朝鮮が乗り出せば、日本側が解除することが可能だ。

 そこはカードの一つになると思いますが、そのカードが有効であるためには、
国際社会がきちんと北朝鮮に対する制裁を維持し、強化しているという前提がな
ければ、要するに中国や韓国が北朝鮮に支援物資を出すようになると、日本の制
裁の効きめが小さくなってしまう。

 その点を金泌材さんに聞きたいのですが、朴槿惠大統領は慰安婦問題などでは
日本にとってうっとうしかったのですが、ただ南北で共同事業をした開城工業団
地、これを通じて北にお金も行きましたが、これを止めましたね。これは朴槿惠
さんの大きな功績だったと思います。我々が心配するのは、朴槿惠さんが倒され
て、その後開城公団を再開するとか、様々な援助をする政権ができると、大変困
ることになります。展望はどうでしょうか。

◆野党候補が次期大統領になったら大韓民国が自然消滅する可能性が高い

金泌材(ジャーナリスト)

 私がはっきり言えることは、崔順実ゲートが明らかになった後、朴槿惠大統領
に対する国民の支持が5%未満になりました。今韓国の国会で弾劾訴追案の採決
に入った。結果が4時半に分かるということですが、その結果がどうなっても、
朴槿惠大統領に対する国民の不満は大変高い。

 その結果、次の大統領選挙では野党有利に働くと思います。野党政権になる可
能性が70%、保守政権になる可能性が30%ではないかと私は見ています。野
党の特徴は何かと言いますと、先ほど私は民労総(民主労働組合総連合会)の主
張だと言いましたが、野党も同じことを言っています。つまり、在韓米軍撤退、
連邦制での統一、国家保安法の廃止と言っています。ある一人の候補は、金正恩
と同じ表現で、「低い段階での連邦制統一」とまでいっています。

 ですから、野党の候補の誰かが大統領になったならば、すぐに国家保安法を廃
止して、南北首脳会談を開くでしょう。そしてアメリカとの間では平和協定を結
ぼうとするでしょう。平和協定が結ばれたら、過去のベトナムのようにアメリカ
は撤収します。

 そして憲法を改正するでしょう。憲法改正で一番考えられることは、憲法第3
条の領土条項です。「大韓民国の領土は韓半島とその付随島嶼とする」と書いて
あるんですが、それを変えてしまう。

 この領土条項が変わってしまったら、大韓民国主導の自由統一は不可能になり、
アメリカも韓国を助けられないことになります。大韓民国という国家が自然消滅
してしまう可能性が高いと見ています。絶対そのようなことが起きてはならない
と思います。

 アメリカのスネドンさんのご兄弟が来ていらっしゃいます。私は韓国政府を代
表する立場ではありませんが、大韓民国の自由民主主義勢力の基本的な方針を話
します。

 アメリカの家族の方々に申し上げたいのは、ご家族は今アウシュビッツ収容所
に入れられていると同じです。私たち韓国の自由民主主義勢力はアメリカと協力
して、そのアウシュビッツを絶対に壊して、アウシュビッツの人たちを助け出す。
そこに日本も協力してほしいと思います。

 北朝鮮全体がアウシュビッツ収容所だと見ればいいわけです。ですから私たち
は北朝鮮を倒して、収容所から人々を助けなければならないと思っています。誰
を助けるかではなく2500万人全員を助けなければならないのです。その中に拉致
被害者も含まれているわけです。

 もう一つアメリカの方に申しあげます。トランプ大統領が当選したことをお祝
いします。しかし、トランプ大統領が金正恩と会うようなことは絶対あってはな
らないと思います。北朝鮮が対南、対米工作にトランプ大統領を利用する可能性
は100%です。

 今北の指導者は中国の指導者にさえ会えていない状況ですが、アメリカの指導
者に俺は会ったんだと国内にも、韓国にも、政治宣伝するでしょう。韓国、日本、
アメリカ、どの国の指導者も金正恩に会ってはなりません。会ってしまえば、そ
の人はコメディアンになってしまいます。金正恩の対南工作に絶対利用されない
ようにしてほしいと思います。以上です(拍手)。

島田 北朝鮮に対する制裁、国際包囲網を強化していく場合、これまで癌になっ
ていたのは中国でした。中国が北にエネルギー等を提供してきました。国連制裁
決議でも、中国が北を守っていると考えなければいけないのですが、そこで古森
さんにうかがいます。

 トランプ氏が台湾の総統からの電話を受けたということがけっこう話題になっ
ていますが、中国共産党政権が嫌がるようなことでもトランプ政権は平気でやっ
ていくぞという、中国に対する金融制裁等も含めてですが、そういう意思の表れ
だろうと思います。

 まだ政権の顔ぶれははっきりしませんが、あまり考えもせずに行ったことなの
か、アメリカの対中政策はどうなるでしょうか。

◆トランプ政権は米中関係を変えようとするだろう

古森義久(麗澤大学特別教授)

 トランプさん自身が米中関係のバックグラウンドを知っていて、例えば「一つ
の中国」という原則があり、それに違反してはいけないんだということが分かっ
ていて、それを覚悟の上で台湾の総統と直接話したかというと、この辺は疑問が
あります。

 しかし、トランプさん自身は中国に対して厳しいことを言い続けています。ま
ず貿易の問題から入って、為替レートを不当に操作しているとか、貿易では一方
的に自分たちだけが得をしているから中国の輸入品には45%の関税をかけると
か厳しいことを言いました。

 その割には、政治、軍事、外交等について中国について論じたことは少ない。
しかし、中国の批判に対して、ツイッターで「南シナ海でやりたいことをやって
いるのに、いちいちアメリカの了解を得ていないじゃないか。だから我々が台湾
の総統と話す時に、あなたたちの了解を得る必要はない」と言っています。

 この部分に象徴されるような、中国が今までにやってきたようなことを座視は
しませんよと、そういう力の行使を含めて押さえつけていくぞという感覚が間違
いなくあると思います。

 もう一歩進んで、トランプさんのところに今集まってきている人たちの中には
中国の専門家ももちろんいるわけで、そういう中の二人から直接話を聞いたので
すが、彼らも中国に対してはトランプ政権は非常に厳しくしていく、と。

 今までのオバマ政権のやり方は、結局中国が無法でやりたいことをやっていて
も、中国に代償を払わせなかった。本当の意味で抑止をしなかった、制裁を加え
なかった。これではだめだとはっきり言っています。

 一人は、東アジアでアメリカは軍事力を増強すべき。オバマ政権はアジアへの
旋回とか再均衡とか言ったけれど、結局東アジアにおける米軍の力は相対的に減っ
てきている、と。その傾向を逆転させて、まず中国に力の行使をして、押さえつ
けて、その上で色々な問題を交渉すると言っています。

 もう一人は、中国がやっている無言の行動に対して、代償を払わせることを絶
対トランプはやる。これからやるべきは軍事力も含めて中国を封じ込めることで、
トランプ氏はそういうことをやるだろう、と言っています。

 アドバイザーが言っていることが本当にそうなるかは分からないですが、そう
いう背景の中で台湾の総統と話したことを考えると、今までの米中関係の大きな
枠組みをかなり変えると思われます。それもかなり平然と、断固としてやる。そ
れには常に危険が伴うわけですが、それを崩していく構えがひしひしと感じられ
ます。

島田 具体的な拉致問題の話に入りたいと思いますが、北朝鮮から色々な情報が
出てきています。崔成龍(チェ・ソンヨン)氏、韓国の家族会の一つの代表が、
「デヴィッド・スネドンさんが拉致されて、北朝鮮で結婚している」という情報
を出してきました。日本人拉致被害者に関しても様々な情報があるようです。こ
の場で言える範囲で、現在拉致被害者がどういう状況にあると考えられるか、西
岡さんどうですか。

◆生きていることを信じるに足るたくさんの情報が出てきている

西岡力(救う会会長)

 情報の話は、あまり公開しない方がいいのですが、崔成龍さんという人が最近、
3つの情報を公開しました。スネドンさんは北朝鮮にいる。結婚している。金正
恩にも英語を教えていた(8/30)。

 また、この前タイに増元さんと一緒に国際会議に行ったのですが(11/17)、
その少し後に、「アノーチャさんが平壌にいる」という情報を話しました。日本
のマスコミはほとんど報道しませんでしたが、共同通信が書いています。

 さらに、松本京子さんが病気で、平壌の赤十字病院に入院しているという話を
しました(10/15)。

 3つとも生存情報です。但し崔成龍さんは、「横田めぐみさんは死んでいる」、
「北朝鮮の中の病院に死亡診断書がある。その死亡診断書の写しを自分は見た」
と言っています。

 私は崔成龍さんとは一時期仲がよかったのですが、今はあまりよくない。彼の
情報源が誰かは知りませんが、彼は今中国に入れません。中国当局から大変警戒
されています。

 北朝鮮の情報源がそれほど豊富だとは思えないのですが、最近3つの生存情報
が出てきた。これが全くでたらめではないとすると、誰かが彼に流している。そ
の3つの情報が正しいと、彼の信憑性が高まって、横田めぐみさんが死んでいる
という情報も正しいことになる。

 偶然に、同じ時期に3人の生存情報を入手することはなかなか難しいので、彼
自身がどう主観的に思っているかは別ですが、全被害者を返すことを避けながら、
日本から取る物を取り、制裁を解除させたいと思っている人たちが、様々な情報
戦を仕掛けてきていることは間違いないので、そのことと崔成龍さんが3つの情
報を出したことと関係があるのかどうか注視しています。

 一方で、金正恩政権になって、北朝鮮の権力中枢部の腐敗がどんどん進んでい
ます。幹部たちには金正恩に対する忠誠心はほとんどありません。意見を言うと
殺されるので、みんな息をひそめているという状態です。

 金正恩政権はいつか終わる。その時に外貨を持っていなければだめだ、と。改
革開放時代になったらお金がすべてだ。とにかくドルを持っていなければならな
い。ドルのためなら国を裏切る人がたくさんいます。従って、情報が取りやすく
なっていることも事実です。

 そういう中で真実の情報が出やすくなっているわけですが、確実な死亡の証拠
は出てきていません。複数の生存情報があります。死亡の情報がないから生存を
前提に助けるというのではなく、生きていることを信じるに足るたくさんの情報
が出てきていることも事実です。だからこそ、向こうで待っている人がいるとい
うことを断定的に言えるのです。

島田 今の北朝鮮から流れてくる様々な情報があります。また北朝鮮から韓国に
かなり高い地位の人が脱北してきているという話を聞きますが、そういう高位脱
北者の話や情報は何かあるでしょうか。

◆希望を捨ててはならない

金泌材(ジャーナリスト)

 私は記者ですから、北朝鮮の情報を入手していることはありません。但し、1
4年間記者をやっていて、確実なことが一つあります。被害者の家族の方たちが
ここにいらっしゃるわけですが、北朝鮮に捕われている被害者が生きていると信
じていなければならないと思います。

 北朝鮮のすべての情報は金正恩が決めるわけです。生きていると言えば生きて
いる、死んでいると言えば死んでいることになります。こちらでは生きていると
信じることから始めなければなりません。

 ギリシャ神話で、すべての悪いものが入っているパンドラの箱を開けて、悪い
のがすべて出ていったあとに残っていたのが希望でした。希望を捨ててはならな
いと思います。

 私は個人的にお祈りをしていますが、その方たちは必ず戻ってくるだろうと信
じています。これ以上話すことはありません。

島田 脱北者について、アメリカとの関係では古森さんどうですか。

◆実体験を語る脱北者の存在が大きい

古森義久(麗澤大学特別教授)

 最近ワシントンで見ていると、北朝鮮から亡命してきた男女がワシントンに来
て、色々な場所で発言する機会が非常に増えています。選ばれて来ている人たち
でしょうから、そもそも北朝鮮を脱出する決意をどうやってしたか等非常にユニー
クで、自己主張も明解です。表現のしかたも非常に説得力がある有能な人たちで
す。

 聞いてみると、人民軍で体操の先生をやっていた女性だとか。金正日の時に外
貨稼ぎをやっていた人は嘘の申告をするんですね。イギリスの保険会社に対して
北朝鮮のヘリコプターが落ちた、と。それに保険をかけていたから巨額の金を出
せ、と。そういういんちきな保険詐欺を専門にやっていた人とか。彼はシンガポー
ルにいたそうですが、色々な所でやっていた。

 そのことがアメリカの連邦議会の中で、特に人権弾圧について関心を向けなけ
ればいけないなという原因の一つになっています。これが今の朴槿惠政権になっ
てから多いんです。脱北者者はほとんど韓国に来るわけですから、そこからまた
アメリカに来る。アメリカには脱北者を受け入れて、支援し、活動させると言う
プログラムがあります。

 これも韓国政府と密接な協力がなければできないんですが、さっき金さんが言っ
たことで心配なのは、朴槿惠さんがいなくなって、別な政権ができた時は、こう
いう部分でのアメリカとの協力が崩れる。朴槿惠さんについては色々なことがあ
りましたが、北朝鮮については非常に厳しいことを言い続けてきました。

 これがなくなってしまう。脱北者の人たちには色々な見方がありますが、やは
り実体験を語る大きな存在だと思います。

(7につづく)


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