救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」報告5(2013/12/24)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.12.24-2)

■特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」報告5

西岡 ありがとうございました。続きまして荒木さんお願いいたします。

荒木和博(特定失踪者問題調査会代表、拓殖大学教授)

◆張成沢処刑から妨害電波なし

 まず一言申し上げます。私どもの北朝鮮向け短波放送「しおかぜ」は1日2時
間、北朝鮮に向けて放送していますが、この放送には常に北朝鮮側から妨害電波
がかけられています。それにちょっと異変がありまして、12月の4日に周波数
の変更を行いました。これは総務省の方で3つの周波数を取っていただいていて、
相手の妨害電波に合わせて変えているんですが、12月4日の変更以降、昨日の
夜まで妨害電波が毎日かかっていません。

 その前の変更は、10月27日に、早朝と夜1時間ずつを夜の2時間にしたの
ですが、この時は翌日から妨害電波がかかっていました。それ以前は、数日から
遅くても1週間以内に妨害電波をかけていました。しかし、今の時点でそうなっ
ていません。ちょうど張成沢に関係する時からですので、やはり何かシステム自
体に異常があるのではないかと思われます。

 張成沢があのような形で殺されたというのは尋常なことではありませんので、
我々としてものびりしているわけにもいかないということで、本当は英語と朝鮮
語なんですが、英語をやめて朝鮮語でぶっつづけて特別番組として放送し、こち
らのメッセージを北朝鮮側に伝えていきたいと思っています。今が重要なチャン
スではないかと思っています。

◆調査報告は材料として

 私たちは「1万キロ調査」を一昨年、富山からスタートして18回(やりまし
た)。これは調査会の役員、その場のご家族や地元の関係者が一緒にやってきた
ものです。

 この中にもご協力いただいた方がたくさんおられますが、それを踏まえ、日本
の中から見た拉致問題を考えたいと思います。その内容は、今惠谷さんが発表さ
れました救う会のプロジェクト(の報告)と違う部分があります。

 私たちが絶対的に正しいと言っているわけではなく、我々は試行錯誤があって、
間違いを訂正してきていますので、あくまで材料としてお聞きください。

 元々この調査会は、失踪者のことをやるために救う会から分離をした会です。
もう11年経ちましたから言っていいと思いますが、調査会ができたきっかけと
いうのは、私が先日亡くなった救う会の佐藤会長にクビを切られたところから始
まっていまして、年末年始のバタバタの時だったので、うまい具合にごまかせて
そのままきたということです。

 あの時もし、あれがなかったら、今調査会はできていません。私も、わざわざ
組織をあげることは考えられなかったと思います。最近の佐藤会長の発言にも、
色々疑問を感じたことが山ほどありますし、あの時も色々ありました。

 でもあの時に、背中を押してというか、背中をけとばしたんですが、やってい
ただいたことが結果的にはよかったのではないかと思っています。ですから私は
いくら嫌われてもかまわないということでこれからのお話をします。

◆日本にはまだ情報がある

 現地調査をやってみて山ほどギャップを感じてきました。この国で言われてい
る拉致の現実と、一般の方が思っていることと、次から次へと出てくる情報(は
ギャップがあります)。

 今年5月吹上浜で新しい情報が出てきまして、あの後私たちは市川さん、増元
さんとともに現場に行きましたが、それから後、鹿児島県内で、「変な船を見た」、
「変な人に追っかけられた」という怪しい情報が10数件あります。

 市川(修一)さん、増元(るみ子)さんのケースというのは、こうれはもう公
開されており、政府認定の被害者ですからもう情報なんか出ないだろうと、正直
言って、私たちはたかをくくっていたんですが、そこでこれだけ情報が出てくる
というほど出てきました。

 そのほかにも現地調査で色々な情報が出てきています。「警察には言った」と
いう人が7、8割ですが、後は「怖くてとても言えなかった。これまで何十年も
しまっていたんです」というようなものもあります。

 そういう情報というのはおそらく日本中に山ほど存在するんだろうと思います。
伝えられてこなかった理由はなぜなのか。一つはマスコミの責任があると思いま
す。この中にも記者さんがたくさんおられます。今秘密保護法のことで大騒ぎし
ていますが、「秘密保護法のことで大騒ぎするのだったら拉致のことをもっと書
け」と正直言って申し上げたいのです(拍手)。書かないでいて、政府の秘密保
護法はけしからんというのはおかしいと思います。

◆日本に多数の侵入ポイントがある

 もう一つ。政府も何十年もの間隠してきた。日本は安全な国だという幻想をふ
りまいてきて、その間にたくさんの人が拉致をされ、あるいは別の被害にあって
きたということがあったわけです。

 その政府を作っているのは我々国民ですから、私たち自身の責任ということに
なりますが、そういうことが非常に大きかったのではないかと思います。

 この間、山口で現地調査をやった時に、青海島(おおみしま)に侵入した、元
北朝鮮の工作員だった李相哲(イ・サンチョル、仮名)さんが現場に行ってくれ
て、侵入した場所を見ました。

 しかし、青海島には、もう一つ、韓光煕(ハン・グァンヒ)という元朝鮮総連
の財政局の副局長が書いた本の中に出てくる鼻繰岩(はなぐりいわ)という別の
侵入ポイントがあった。そこも行きました。

 李相哲はそちらは前々知らなかったんですが、非常に感心していまして、「北
朝鮮の工作機関がこういう場所をよく管理していたんですね」と。工作員が感心
しているんですから相当なものです。

 韓光煕だけで(侵入ポイントを)38か所、北海道から鹿児島まで設定したわ
けですが、そのポイント以外でもたくさんの人間が同じようなことをやって、そ
こから、これは李相哲が言っていましたが、1か所つかっておしまいということ
はありませんから「何度も、何度も入っていますよ」と言っていました。

 何百か所に、月1かどうか我々には分かりませんが、厖大な数の工作員が出た
り入ったりしながら日本人も連れ出していたか、あるいは出ていった日本人がま
た戻ってきたこともあるんじゃないだろうかと思います。

◆拉致は1970年代後半からではない

 特定失踪者のことを調べていて、どう考えてもおかしいケースというのが、山
ほどある。曽我さんのケースだって拉致だったわけですから、どれほどか分かり
ません。我々が現場に足を運んで見ている感覚では、(拉致は)1970年代後
半からということはないです。

 60年代、50年代でも日本に対する拉致(があった)。やり方は様々だと思
います。例えば元朝鮮に住んでいた引揚者の人を何らかの形でだまして連れていっ
たこともあったんじゃないかと思います。ともかく様々な形で日本から人を連れ
ていった。拉致というか人さらいをすることが北朝鮮にとってはやることが当り
前で、やらないことが不自然だったのではないか。

 工作機関もお役所ですから、去年何人連れてきたけど、今年は何人しかいない
ということで批判をされる。しかも一つの機関だけでやるわけではありませんの
で、おそらくいくつもの機関が競争してやっていたんでしょう。そうなるとやら
ないことの方が例外ということで、やっていたんではないだろうか。「誰でもよ
かった」ということがよく話にでますが、そういうことが時にはあったのではな
いかと思います。

 70年代後半に集中しているとすれば、その時は先ほど金東植さんも言われま
したが、確か安明進も同じことを言っていたと思いますが、「次から次へ連れて
きてしまって結局適性がない人がいた。だからそれから先は選ぶことにした」と。
そういう(集中拉致の)時期があったことは間違いないと思いますが、しかしや
ることについてはずっと続けていた。

 我々は1976年の金正日の拉致指令、先ほど金東植さんも触れましたが、こ
れにあまりにも重点を置きすぎたのではないかという気がしています。そうでは
なく、もっと国家全体としてやってきたのではないかということです。

◆。国内に相当数の協力者がいたはず

 11年前、5人が帰国してから二月経って、新潟で二泊、一緒したことがあり
ました。その当時はまだ私は救う会の事務局長で5人と一緒に2泊3日を過ごし
ましたが、その時旅館で、蓮池薫さんのお兄さん、前に家族会の事務局長をやっ
た透さんが、部屋でこんなことを言いました。

 「薫に、『何でお前しゃべらないんだ。本当のことをもっとしゃべればいいじゃ
ないか』といったら、薫が答えたのは、『それは兄貴と自分がやってきたことを
しゃべったとして、兄貴はそれに耐えていられるか』と言われた」と。

 おそらくそれで話は終ったんだろうと思いますが、彼らが話せないこと、彼ら
の本を見ても聞きたいことを十分には話していないし、聞いても話せないし、私
なんかには会ってもくれませんから。

 一つは、国内の協力者の問題があると思います。国内に相当数の協力者がいな
ければ拉致などできる筈がない。海からあがってきた工作員以上に、私は国内の
協力者の方がはるかに重要な役割を果たしていると思っています。そういう意味
で、存在を否定せざるをえない何かの理由があるのではないだろうか。そして彼
らを守りきれないこの国の現実があるのではないかと思っています。

◆情報を隠そうとする警察

 拉致の問題は、やっているのは北朝鮮ですが、それ以上に日本の問題があるの
ではないか。国家による不作為の問題は山ほどありますが、一つだけ例を申し上
げます。藤田進さんの件です。

 去年の12月18日に、8年前に出た写真の(「同一人と推定される」という)
鑑定結果を、警察が8年経って、藤田進さんのご家族に伝えました。写真が出た
8年前にもやっていたんですが、それを8年経ってやっと伝えたということです。

 その内容は、「ほとんど間違いはない」ということでしたが、そこで警察は、
「外に言わないでくださいね」と言っていた。私がもしいたら、すぐに記者会見
をやったんですが、藤田さんのお父さんはすごく真面目な人なので警察のいうこ
とを聞いてしゃべらなかった。だからマスコミの方も前々報道をしなかった。

 その後8月に、先ほど大臣のお話にもありましたが、COI(国連人権委事実
調査委員会)の方が来るので、書類がほしいということを進さんの弟さんの隆司
さんが言われて、しぶしぶ書類を出してきた。出してきた時も、「この書類のこ
とは表に出さないでくださいね」と言われた。

 結局、8年前に写真が出て、すぐに鑑定をやって、その結果が伝えられたのが、
ちょうど1年前だった。それから1年間、「外に出さないでください」と言った
にもかかわらず、何の変化もあったわけではないという問題がありました。

 もう一つ、不作為よりさらに始末の悪い、国家による偽造である山本美保さん
のDNAデータの偽造事件。このことはもうご存知の方が多いと思いますが、未
だに警察の関係者でも我々に、「誰が考えたって絶対決まってますよ」というん
ですが、それを一切認めないという状態が続いている。

 この中にも警察の方がおられると思いますが、その方々がこの事件をやってい
るわけではないので、是非上に、「これはもうどうにかしたほうがいい」と伝え
ていただきたいと思います。

 これは今やっている方々が悪いというんじゃなくて、昔やった不作為とか、あ
るいは誤った認定を認めることができない国家のシステムの問題です。さらに言
えば、政治家がやっていただくしかないし、政治の場で進めていただくしかない。

 これはある意味で政治生命に関わる問題ではありますが、ここにお見えの先生
方にはそれをやっていただきたいと思います。ここに来ていない方々に言いたい
んですが、来てない人には言えませんので是非宜しくお願いいたします。

◆自衛隊に拉致問題に関する任務付与を

 もう一つ。(拉致問題)対策本部についても、国民に誤解があります。もとも
と対策本部というのは帰ってきた方々の支援室から始まっているわけで、それに
広報業務が加わって、後になってから情報業務が加わった。

 でも国民の大部分は、拉致問題対策本部は拉致被害者を救出するために情報の
収集や交渉に当たっていると思っています。そのギャップが私は非常に大きな問
題だと思います。そうでないなら、そうでないとはっきり言って、じゃあどうす
べきかということを考える必要があるのではないだろうかと思っています。

 主権侵害の認識の問題。今自衛隊を邦人保護に使おうという議論が出ています
が、そうは言っても、現実に具体的にどうするかという訓練を自衛隊がしている
とは思われません。私も予備自衛官のはしくれですが、自衛官でも拉致問題に関
心を持っている人間は少ない。普通の国民と基本的には変わらないとおうような
状態です。

 自衛隊への拉致問題に関する任務付与もない。今度のコンサートで、(海上自
衛隊音楽隊の)三宅由佳莉さんが歌を歌うんですが、これが任務付与だというこ
とだけにはなってもらいたくないと思いますので、本当に必要な任務付与をして
いただきたい。

 今日、拉致被害者が出てきそうだということで、じゃあ自衛隊が準備して、明
日(北朝鮮の)元山に行けるか。行ける筈がないわけで、最初から準備して、計
画を作って、それを立て直していくということが必要で、さらに言えば、法的な
整備をやる時間よりも、その時には総理大臣の決断が重要であると思っています。

 敢えて「オールジャパン」ということを強調するために言っておきますが、今
私は安倍総理にそこまでの決断はできていないと思っています。そえだけの覚悟
が今総理にはないと思っていますので、それを持っていただかなければいけない。
持っていただけるかもしれないし、持っていただくことを期待していますが、こ
れは国民の世論、声によると思っていますので、「任しておけばいい」というこ
とには絶対になっていただきたくないと思います。

◆国内にいる工作員の検挙を

 今何が必要かということは、先ほどシステム問題がありましたが、一体これま
で何が起きてきたのかということについて、これはマスコミの方々にもお願いで
すが、一体今どうなっているのか、これから何をすべきかということをもっと知
らせていただきたい。

 それからこれからのスタッフの隠蔽については、政治の判断として一刻も早く
明らかにしていただきたい。そして実際の救出のための計画の策定をしていただ
きたい。訓練の実施も含めてやっていただきたい。

 それから警察の方には、日本国内において工作員の検挙がほとんどできていな
い。これをしていただかなければなならないということです。

 そして北朝鮮に対して、日本から積極的な情報戦ができないか。張成沢が殺さ
れるということは、北朝鮮がまともになるような状況に対応する、というくらい
は政府の首脳が言ってもいいと思います。もしまともな政権があるのであれば、
日本政府としては全面的に協力するとか、そういうことは言ってもいいと思いま
す。

 我々は拉致問題を、国内の色々な状況、思想の状況などから見ていくと、そう
いうことになるわけです。以上で終ります(拍手)。

(6につづく)




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