救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

追い込まれつつある北朝鮮と拉致問題?東京連続集会報告3(2013/04/03)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.04.03)

◆国連事実調査委員会が1年後に北朝鮮人権状況を報告へ

増元照明(増元るみ子さん弟、家族会事務局長)

 みなさんこんばんは。いつもありがとうございます。

 ジュネーブ報告を先にします。今月の3月12日に成田を発ち、15日に帰国
しました。タイトなスケジュールで、また時差があって眠れなくて大変でした。
13日に国連本部内でメインの会議がありました。NGOのヒューマンライツウォッ
チのジュネーブ事務局が主催でやりました。出席者は、申東赫(シン・ドンヒョ
ク)さんという、北朝鮮の強制収容所で生まれて、育ち、脱北した方、それから
漁船員で脱北した方、デビッド・ホークという「北朝鮮 隠された強制収容所」
という本を書いた方、そして私と、難民救援基金のケイトさんという女性でした。

 5分から10分で話せと聞いていたものですから、その時間に合わせるため、
英文を懸命に何回も練習して7分くらいに縮めました。ところが韓国の方はいつ
もそうですが、時間を使うんですね。20分も30分も使われるわけです。どう
なっているんだろうという話になるんですが、申東赫さんが最初に言われた言葉
がすごく印象に残っています。

 「何度私がこんな話をすればいいんでしょう」と。「同じことを世界に訴えて、
何度言わなければならないんでしょう」と。我々もそうですが、国連に行っても、
アメリカに行っても、同じことを何回も言って、結局何も変化がない。

 強制収容所に育って、今韓国社会でどのように対応しているのか分かりません
が、彼の気持としては、「いい加減にどうにかしてくれよ」という気持が先に立っ
たんでしょうね。

 私たちも半分はそういう思いがあります。日本政府に対して。「なんで同じこ
とを繰り返して言わなければならないの」、「なんで10年間、助けてくれって
言っているのに助けてくれないの」と。でも我々は地道にやるしかない。

 それから、「言わなければとにかく動かないんだから、言うのをやめてしまっ
たらだめだ」という思いがあります。ですから言ってきましたが、申東赫さんの
気持はよく分かりました。

 人権理事会のメンバーも来ておられましたが、マルズキさんという北朝鮮特別
報告者もずっと聞いておられました。そしてロバート・キング米北朝鮮人権特使
も人権理事会に来られていて、ジュネーブで色々な活動をしているんですが、そ
の方もほとんどの時間、会場で聞いておられました。

 結局どうなるのかというのは分かりませんが、実は「事実調査委員会(ミッショ
ン・インクァイアリー)」は、日本のNGOであるICNKが日本のNGOが主導して、外
務省に動いてもらって、理事会のもと、あるいは安保理のもとに事実調査委員会
を作ってもらう動きをしていたんです。

 事実調査委員会というのは当時は、金正日を国際刑事裁判所に引き出すため、
そこに提訴するために事実調査委員会を作るのが目的でした。

 それに対し、家族会と救う会では、交渉で家族を無事にとりもどさなければな
らない立場ですので、積極的にこの運動に入っていくのはどうか、というもので
した。交渉しなければならない相手を訴追して、交渉を呼びかけるというのは立
場として筋が違うということでした。

 それでやっていることは応援するけれど、積極的に家族会と救う会の名前を入
れて公に活動するのはやめようと、合同幹事会で決定していました。

 昨年末に安倍政権になって、国連理事会のもとに調査委員会を作るということ
を積極的に初めました。そこでこれはどういうことかと外務省の参事官に聞いた
んです。我々が聞いていたのは金正日を訴追するための調査委員会だったと言っ
たら、参事官は、「今回は新しいシステム、新しいメカニズムを作るのであって、
人権侵害を調査するためのメカニズムで、訴追するためのものとは少し違うんで
す」ということでしたので、そういうことなら必要だからと今回ジュネーブに行
かせていただきました。

◆「愛する家族と引き離された気持を察してください」

 (私の訴えは)救う会のホームページ(メールニュース3/22)に載っています
が、北朝鮮の人権侵害によって、被害者の人生が大きく狂わされたこと、いかに
家族が苦しみ、我々の人生も変わったかということ、これは大きな人権侵害であ
り犯罪であるということを訴えました。そして最終的に拉致問題を解決するため
に、理事会のもとに調査委員会を早期に立ち上げていただきたいということ、ま
た「皆さんも想像してください、皆さんの愛する家族が北朝鮮の工作員によって
無理矢理連れ去られ、引き離された時の気持を察してください」と。

 翌日午前中を目いっぱい使い、タイの代表部とアイルランド、ポーランドの代
表部、人権高等弁務官事務所を訪問して、調査委員会の設置に協力してもらいた
いとお願いしました。

 ポーランドは今、人権理事会の議長国ということで、政府がアポイントをとっ
てくれたそうです。アイルランドは日本と共同提案するEU議会の議長国です。で
すからそこにも挨拶しました。タイは被害者を抱える政府です。

 この3人の中で一番消極的だったのはタイでした。タイの書記官は、「北朝鮮
の人権問題は確かに問題があるが、事実調査委員会は国連の費用の問題もある」
と言われたので、タイ政府としては拉致問題で、従来の姿勢と変わらないと思い
ました。北朝鮮との交渉や北朝鮮を追い詰めるということはなかなかしづらいと
いう姿勢を示しているなあと思いました。

 アイルランドは議長国ですし、共同提案国ですから、よく理解をして、北朝鮮
の人権問題に関して懸念をしていました。ポーランドは人権問題に関して懸念を
示しましたが、北朝鮮の主張、「戦争中に植民地支配を受けて、日本に虐げられ
た」と北朝鮮が訴えるそうです。そして、ポーランドも戦争中そういう立場にお
いやられたので、北朝鮮の言うことも多少は理解すると言っていました。

 政府関係者も一緒にいたので、私は、「ここに政府関係者が一緒にいるので明
確に言えないでしょうが、民間人の立場で言わせていただくと、日本の植民地支
配というのは、さほどひどいものではなかった。なぜなら併合の時より、朝鮮半
島の人口は2倍になっているんです。それだけ安定していたということも含めて
考えてください、と申し上げました。

 政府はなかなかそういう反論はしませんが、私は民間人ですから反論をさせて
いただきました。

 人権高等弁務官は、「みなさん方は、調査委員会を設置してどのようなことを
期待されますか」と聞かれました。拉致の問題で、でしょうが、「北朝鮮がああ
いう姿勢であれば、情報が明らかになるというような期待はあまりできないでしょ
う。しかし、今核とミサイルの問題で世界中が北朝鮮に目を向けている中で、人
権調査委員会ができるということは、人権の問題でも国際社会が北朝鮮にプレッ
シャーをかけるぞという意味があるんだろう」と申し上げました。

 ないよりはましです。そこで、「国連時間というのがあるようですが、立上げ
はいつになるのでしょうか。また暮れ頃になるのでしょうか」と聞いたら、「い
や、理事会で調査委員会の設置を決めたら1年で報告書を書かなければいけない
ので、おそらく5、6月頃までには人員を選定して調査に入るだろう。秋までに
中間報告をしなければならない」ということでしたので、考えていたより早期に
報告書ができあがるのではないかと思っています。

 1年間の制限の中で、北朝鮮の人権を調査する委員会ですので、その中でどう
いう動きになるのかは分かりませんが、人権理事会がそれを重視しているという
意味が北朝鮮に伝わるのはいいことだと思っています。

 早速北朝鮮は反発しているようですが、最終的に反発するのなら国連から出て
いけばいいと私は思っているのですが、国連の言うことは聞かないし、いっさい
の決議に何の反応もしないような国に、なぜ国連が手を貸すのか理解に苦しむと
ころがあります。

 ご存知のように、調査委員会は設置が決議されましたので、すぐ動くと思いま
す。よかったことは、国連理事会の中に、たまたま中国が入っていなかったとい
うことです。だからすんなりいったと私は思っています。ジュネーブの報告は以
上です。

◆朝鮮総連本部の競売、「私があれを阻止する」と池口恵観氏

 最近の一連の北朝鮮の恫喝外交は非常に危ないなと思っています。どこかで局
地戦が始まる可能性がある。そして、韓国の反発、対応によっては局地戦が広が
る可能性があると思っています。どうなんだろうと思っていたら、今日の新聞で
北朝鮮は、中国の観光客を引き寄せるために、担当者が中国に行って、「戦争は
ない。安全だから観光に来てください」と言っているらしいです。

 片や「いつでも戦争をするぞ」というプロパガンダをやっていて、本当にわけ
のわからない国だなと思いますが、局地戦がどのように広がるかは分かりません。

 そんな中で、拉致被害者はどうなるんだろうなという思いがあります。本来な
らば、10年も経って、北朝鮮のどのあたりに拉致被害者がいるのか、どのあた
りに何人ぐらいいるのかの情報を取っていただきたかったんですが、そこまで取っ
ているようには見えないです。

 じゃあ、混乱した時にどうするのか、自衛隊が行けるのか。今の状況では行け
ませんし、非常に心配をしています。

 そういう中で、「サンデー毎日」に、北朝鮮側が去年の実務者会談の中で、
「増元るみ子と市川修一を帰すから国交正常化交渉に入ろう」という提案をして
きたようですが、これが事実かどうか。直ちに日本政府は否定しました。「あれ
は真っ赤な嘘です」と。どちらを信じればいいのか。

 政府の方に一応重きを置いていますが、あらゆる所から色々な話があります。
私も姉にずいぶん会っていないので早く帰ってきてほしいので、政府の判断が事
実なのかなんとも言えません。政府は、横田めぐみさんを、というふうに考えて
いるようです。

 それは当然だと思います。拉致問題の国民的なシンボルである横田めぐみさん
が帰ってこない限りは、拉致問題は終らないですから。国境正常化に行きようも
ないですから、当然政府の姿勢は変わらないと思いますが、向こうがそうやって
提案してきたら、すぐ取戻す算段だけはしてもらいたいなと思っています。

 ただ日本政府はこれを否定しています。どちらが正しいのか、今度「サンデー
毎日」に行って、担当者に直接聞きたいなと思っています。

 それと池口恵観。昨年末に私は鹿児島のある方から紹介されまして、直接、オー
タニでお会いしました。そして拉致問題の解決にご助力願いたいという意味でお
会いしたんですが、恵観さんが最初におっしゃったのが、「私が北朝鮮に興味を
持ったのは自分の目で北朝鮮という国を見てみたい。そして自分の目で確かめた
い。さらに朝鮮半島に眠っておられる日本人の戦没者、民間人も含めて、その方
たちの慰霊をしたいということで北朝鮮に行きました」と。

 対文協の事務所だと思いますが、「私の著書が本棚に並んでるんですよ」と。
非常に感激されたんです。これは、1990年に、金丸信さんが北朝鮮に行って、
「天皇陛下ってすごいですね」と、金丸さんの喜ぶことを言われて、金丸さんは
涙を流して喜んだというのと同じです。

 まず相手を気分よくさせることによって取り込むという北朝鮮の手法です。そ
れにみごとに引っかかった雰囲気があったんです。話しぶりから。「感激してね
え」と言われました。「あー、引っかかってる」と思いました。

 それと、一番強調されたのは、「拉致問題について自分はこれまでそんなに言っ
てこなかった。それはまだ北朝鮮政府にとって自分が信頼されていないから、さ
ほど拉致問題で相手には積極的に言ってこなかったんです」と。

 「ただ今度朝鮮総連本部の競売という問題があって、私があれを阻止する。私
の力で絶対に止めてみせる。そしたら北朝鮮の信頼を勝ち得ることができるだろ
う。それから積極的に拉致問題の解決に動きたいと思っている」とおっしゃって
ました。

 宗教人としてどうのこうのということもあるんですが、それがあの方の考え方
のようです。今回、朝鮮総連本部を競売で落とされたんですが、あの総連本部が
恵観さんによって貸し出しされると、結局残っちゃうわけで、本間さんがおっしゃっ
たように、税金がかからないんですからね。

 それは困るというか腹立たしいことですが、早速昨日支援者の方から電話がか
かってきて、「増元さん、なんであそこの前で抗議行動しないんだ。抗議行動し
ようよ」と。「日本人を拉致して、その責任の一端はあるはずだ。そんな施設が
この日本にあること自体が腹立たしいのに、あのような形で残るのは絶対に許せ
ない」と。

 私は、「その点は救う会とも相談しながらやります」と答えておきましたので、
後で考えましょう。そういう状況です。

◆ご高齢の方たちは、気力がだんだん衰えてくる可能性も

 この前早紀江さんともお話しましたが、北朝鮮の核実験で、先が見えないとい
うか、どうなるんだろうと、我々も全然分かりません。ただ、生きている人たち
を今後どのように日本政府が救出するのか。安倍さんが、参議院選挙まで何も動
かないのも少し違うような気がするんです。命の問題は、政局でははかりしれな
いというところを感じていただきたいと思っています。

 ただ、水面下で動いているのかもしれませんし、それは我々家族会の方にはほ
とんど入りません。報告して漏れると困るという部分もあるでしょうが、私たち
は家族の命がかかっていますから、いかなる事実があっても漏らしませんといつ
も言っているんですが、なかなか信用されていないようです。

 ですから、不安に思っているのは事実です。私も今どういうふうに動けばいい
のかが段々分からなくなりました。ただ文句ばかり言っていてもしょうがないん
ですが。今思案中です。それでは遅いんですが、本当に分からなくなったという
のが事実です。

 西岡さんたちはある一定の道筋を示していくんですが、果たしてそれで今年中
に解決できるのかなと思ったりもするわけです。時間があまりないものですから、
迷いながら今年前半を過ごしていくのではないかと思っています。

 ただ一つ、私たちの活動の源は国民の皆さんの支持と声です。これがなくなれ
ば我々の活動もしぼんでいきます。活力がなくなっていきます。皆さんが声を上
げて、「がんばれ」と言ってくれるから、私たちもまだがんばれる。当然家族で
すから、最後までやる気持ちはありますが、気力がだんだん衰えてくる可能性も
あります。特にご高齢の方たちは、今気力でやってますので、是非最後まで、拉
致被害者救出まで、ご支援とご協力をお願いしたいと思います。ありがとうござ
いました(拍手)。

(4につづく)

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