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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の核実験暴挙に抗議する東京緊急集会報告5(2013/03/12)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.03.12-2)

◆2008年から強制収容所での収穫食糧を食べさせず餓死数万人

 先ほどご挨拶されました「統一日報」は、私も記者として勤務させていただき
ました。その中で95年に、姜哲煥(カン・チョルファン)、安赫(アン・ヒョ
ク)の収容所を出た二人が本を出した。それが日本で文芸春秋から翻訳出版され、
新聞社なものですから送ってくるわけです。

 まっ先に私が読んで、子どもの頃に漠と聞いていた「山送り」とはこういう話
かと。もう怒りで震えが止まりませんでした。それから数か月後、この著者が日
本に来ると。呼んでいるのは「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」でした。本
来なら担当は政治部ですが、これはぜひ私がいかねばいかんと言って行きました。

 今日もお見えですが、創立者の小川晴久先生初め先生方が講演をされ、姜哲煥、
安赫とも話しました。私より1歳年下でした。「あなた方は山の中で死ぬほど苦
労しているのに、私は日本でのうのうと暮らしていて申し訳ない。これからは微
力だけどあなた方と協力して何とかこの問題を世界に訴えて状況を変えようと思
う」と。

 幸いなことに、その間、欧米圏の方々を含めて、様々な世界に影響力のある人
たちが話し合って、今ようやく国連の場で、北朝鮮の強制収容所の問題、拉致の
問題も含めて、専門家を投入して実態を調べる調査委員会を立ち上げる動きまで
ようやくなりました。長かったです。

 先ほど荒木さんからも言っていただきましたが、私が今日お話したい内容は、
今回の核実験です。北朝鮮の核開発、核実験は収容所が密接に関わることです。
 去年3月から、実は2月なんですが、中朝国境の会寧(フェリョン)から噂が
流れ始めました。

 会寧には22号と呼ばれる強制収容所があります。これは南北20数キロ、東
西30数キロという広大な、山に囲まれた自然の要塞のようなところで、およそ
5万人の人間を、生きては出さないという形で強制労働で使役していました。

 ところが、どうもこの収容所が解体されるようだという。3月から夜中に列車
で囚人を他に送り出しているという噂が入ってきました。一旦それをキャッチし
ますと、自由アジア放送(RFA)の記者さんとか、韓国のメディアなどが競争で
取材します。その中で一番実態に迫れたのが、RFAの脱北者の記者さんで私も親
しくさせていただいていまして、内情を伺いました。

 元々この収容所は5万人いたところだそうです。それが3月から6月、最終は
8月までかかって別の収容所に送り出した。ところがその人数が2万人に欠ける
ほどの数にしかならなかった。

 いつからそんなに人数が減ったかというと、2008年頃からです。収容所と
いうのは大変な生産の拠点です。奴隷労働をさせて、トウモロコシや畜産物の上
質なものを供給する。それをまかなうために5万人もが奴隷労働をしていた。な
ぜ2万人以下になったか。

 それは収容所に食糧を残さないくらいどんどん外に出したからです。それが本
格的にひどくなったのが2010年からです。

西岡 ちょっと待ってください。収容所でとれた食糧を生産者には食べさせない
で、飢餓輸出したと。それが2010年から本格的になった。

宋 そうです。そして、2010年、11年、12年と、ばたばたと死んでいっ
た。そしてまたたくまに2万人を切るようになった。閉鎖の理由は2つあります。
これは推測です。

 中国に近いので情報が漏れている。衛星写真でもキャッチされている。このま
ま置いておくのはまずいということ。もう一つは、大量に死んだだめ生産が維持
できなくなったため、囚人を一旦別の収容所に移して、空いたところに周辺の集
団農場や炭鉱の人たちを移住させて、引き続き生産力を維持しようとしている。

 北朝鮮の収容所は皆さんがイメージするのとちょっと違って、90年代に大量
餓死が起きていた時にも、収容所内では飢餓が起きていなかったのです。例えば
14号が价川(ケチョン)にありますが、これもトウモロコシをたくさん作って
いるところですが、ここから出てきた人に聞くと、90年代餓死は起きていなかっ
たそうです。

◆金正恩は餓死させた囚人を「立派な人民」と

 そのくいらい奴隷労働をさせて、大変効率のいい生産拠点であったから大事に
維持したんです。そこの食糧さえ持ち出してしまう。これは金正恩が本格的に政
治をやるようになってからです。

 金正恩が自分の政治的成果として何をやり始めたかというと、平壌に10万世
帯のマンション群建設とか、水族館とか、新しい遊園地とか、要するに生産に資
さない浪費ですね。そういうものを作るために労働動員をします。するとその人
たちに莫大な食糧手当が必要になるんです。

 そのために収容所からも食糧を収奪した。穀倉地帯からも食糧を収奪した。だ
から穀倉地帯においても、黄海南道でも2011年から12年の段階で、201
2年6月に金正恩に報告された数字では、穀倉地帯でさえ2万人の餓死者が出ま
した。

 これは工作員を通じて中国に3日後くらいに伝わっているんですが、金正恩が
「立派な人民たち」と言ったのです。「革命の首都平壌を建設する大義のために
身を犠牲にする尊い人民だ」と。

 そうじゃないんです。自分が政治成果を上げるために色々な浪費をやって、そ
れを手当てするために食糧を収奪したんです。それで餓死者が出ましたと報告さ
れて、「立派な人民たち」と言ったのです。

 そういうことで、収容所であえ万単位の餓死者が出て、その2万人を切った人
々がどこへ送られたかというと、後で分かったことですが、化成(ファソン)郡
にある16号という収容所です。

 それは、地理的なことで言うと、今回の核実験場にまさに隣接しているんです。
グーグルアースの衛星写真をご覧いただきますと、豊渓里(プンゲリ)という核
実験場からわずか4キロのところに強制収容所の境があります。鉄条網も見えま
す。

 北朝鮮の強制収容所の鉄条網は、逃亡者を監視しやすいように、山の中を10
メートルから15メートルの幅で木を全部伐採して、そこに落とし穴などを作っ
て鉄条網をはりめぐらせています。

◆核・ミサイル開発基地建設に収容所の囚人を使い、終了後殺す

 2万人の囚人を護送した看守たちは自分の家族を連れてまたこの22号に戻っ
てきたんですが、その家族たちに言った話で、「おかしい。16号に護送していっ
たら、あそこももともと満杯の囚人がいたはずなのにがら空きだった」と。

 化成の16号というのは、西には核実験場が隣接、東はミサイル発射基地の化
成郡舞水端里(ムスダンリ)です。この16号からは情報が出てこない。

 どういう噂があったかというと、80年代から本格化したミサイル実験場建設、
そして80年代から本格化した核実験場建設にここの囚人が動員されている、と。
そして時々足りなくなると、他の22号の会寧とか、15号の耀徳(ヨドク)か
ら、働き盛りの炭鉱の掘削にたけた青年たちを16号に盛んに送り出していた、
と。

 二つの建設を「大建設」と言いますが、2つの意味合いがあって、命の棄権を
伴う非常に危ない工事だということと、もう一つは秘密の保持を徹底的に求めら
れることです。

 そして、この「大建設」に送り出した者は再び戻ってこなかった。これは物証
がない。

西岡 でも働き盛りの炭鉱の人間が送り出されたことは確認できている。何をさ
せられているかはまだ想像しかできない。

宋 はい。その証言をしてくれたのが22号で警備兵をやっていた安明哲(アン
・ミョンチョル)という男です。彼は94年9月に脱北しましたが、94年2月
に22号から100人以上送り出し、93年にもトラック2台分60人あまり送
り出し、送り出した人間は二度と戻ってこなかったと。

 また、石油精製基地に送り出した人間は帰ってきたと証言している。ただ、石
油精製基地では身体に悪いガスとかいっぱい吸っているので戻ってきてもすぐ死
ぬそうです。

 16号のトンネル掘りに送り出された人間は戻ってこなかったと。これは万塔
山(マンタプサン)にトンネルを掘るためで、それは核基地の工事で、「大建設」
というそうです。万塔山は豊渓里の少し北にあるんですが、衛星画像で見ると、
掘り起こして色々なところに盛るという工事を盛んにやっています。

 ここまでの話は、「テレビ朝日」の「報道ステーション」という番組で1週間
ほど前報道していただきました。先週の水曜日です。それに出なかった話を聞き
ました。

 これは北朝鮮の特殊部隊出身の方からです。特殊部隊というのは、金正日直轄
で部隊の名ははっきりしていません。北朝鮮の北部に、冠帽峰(クヮンモボン)
と言って北朝鮮で2番目に高い山があります。ここから韓国に向けてミサイルを
発射する坑道ができています。戦争になったら、韓国の特殊部隊がそういうとこ
ろに来るだろうと想定して、それをどう迎え撃つかという訓練をやっていた部隊
の人の話です。80年代から90年代に訓練をやったそうです。

 その人たちに聞きますと、そういう軍事的要衝に、収容所の囚人を使って工事
をするのは常識だ、と。専門の工兵部隊があり、緻密に仕上げをしなければなら
ないようなところは、工兵部隊が海外から仕入れた機械を使ってやるんですが、
それ以外の莫大な工事は収容所の人間を使うそうです。

 事故でいっぱい死にます。それだけではなく、工事が一段落したら、秘密を保
持するために殺すんだそうです。どういう殺し方をするのかと聞きましたら、例
えばミサイル基地の場合、莫大な量のコンクリートを流し込みますが、その時に
一緒に流して固めるそうです。

 あるいは、地下の坑道を掘り終わったら、別の坑道を掘らせる。それは彼らの
墓場になるんです。そこに数百人を押し込めて爆破させて埋めてしまう。こうい
う形で、工事が一段落する度に殺していくと。これは彼らにとって常識だという
ことです。

◆生きている収容所の囚人を殺す訓練も

 物証は何もない話ですが、80年代から90年代にそういう訓練をやってきた
人にとっては、常識なんです。彼らにとってなぜ常識とそこまで言えるかという
と、彼らは実際に生きている人を殺す訓練を、収容所からひっぱってきた人間で
やったそうです。

 ソ連製の黒いトラックで運び、やる時は集中的にやるそうです。それは人を殺
すことに慣れるためです。最初は犬を殺す、豚を殺す、そして人を殺すわけです
が、さすがに生きた人を殺すのは震えがとまらないそうです。

 だから最初に訓練する時は覚醒剤を与えるそうです。コップ1杯の水に白い粉
を入れ、白濁させたものを飲ませる。それで麻痺させてやると。

 そして、今日特にお伝えしたかったのは、送り込まれて殺される囚人を「訓練
豚」というそうです。「訓練豚」の中で、両手の手の甲を合わせて、ボルトとナッ
トで貫通させて止めるそうです。非常にくさかったそうです。

 その人たちは脱北者で、中国にいた間にキリスト教に接触して、北朝鮮の中に
キリスト教を持ち込もうとした人たちは、手の甲を合わせて殺す。つまり、お前
たちが信じる神を拝んでいろという意味合いだそうです。

 その人たちを実践の訓練で殺す時には、十字に組んだ丸太に縛り付けて殺す。
その殺し方は、?すみません。こういう話で申し訳ないんですが?、北朝鮮の核
・ミサイル開発は人権抹殺の果実であるということです。物証はないですが。そ
のひどさは言葉に尽くせないものがあります。

 今ようやく国連でも北朝鮮の人権状況に気づいて、調査委員会を立ち上げよう
とする時ですから、みなさまにもこういう事情を認識していただいて、安全保障
も大事ですが、人道面から見ても、北朝鮮の核・ミサイル開発は何なのかという
ことです。改めて声を大にして訴えていきたいと思います(拍手)。

◆悪魔との戦い

西岡 様々な問題指摘がありましたが、国内で餓死している人たちを「立派な人
民だ」という独裁者が、我々の上に核兵器を落とすことができる力を持とうと、
今努力をしています。

 その同じ独裁政権が13歳の少女や初めてデートに行った人たちを、そして1
歳、2歳の子どものお母さんを、日本まで工作員を派遣して連れて行った。本質
は同じです。国内で人権侵害をする政権は、外に出してテロや戦争や謀略を働く。

 ブッシュ大統領は分かりやすく「イーブル」と言いました。悪魔だと。私たち
は、この政権は悪魔だという価値判断に立って、北朝鮮の核問題、拉致問題、脱
北者問題、収容所の問題、本質は一つです。彼らが悪魔だということです。悪だ
ということを直視しながら、それぞれの現場に戻って戦っていきたいと思います。

 本日はありがとうございました(拍手)。

以上


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