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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「統営の娘」救出運動の展開過程 金美英氏発表論文?国際セミナー(2011/12/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.11.15)

 12/10国際セミナーに提出された論文を順次紹介しています。

■「統営の娘」救出運動の展開過程

金美英(キム・ミヨン) 統営の娘救出運動 共同代表

 お目に掛かれて、嬉しく存じます。

 私が拉致問題で日本を訪問するのは今回が3度目です。2000年の最初の訪問は、
韓国の戦後拉北者送還のためのNGO運動家として参加しました。2002年の2回目は
取材記者として、そして今回は、申淑子(シン・スクチャ)・呉恵媛(オ・ヘウォ
ン)・呉圭媛(オ・ギュウォン)3名の親子の送還運動のためのNGO運動家として
再び参りました。発表の前に、日本の拉致問題解決のため、熱心に活動してこら
れた皆様に深い感謝を捧げます。

 2002年9月、日本訪問を終えてソウルに戻った日、空港から家に帰る途中で、
北朝鮮が日本人拉致を認めたという消息を、ラジオを通じて聞きました。

 自ら過ちを認めることなどない北朝鮮で、もしかすると歴史上初めて、自身の
犯罪の事実を是認したのではないかと思います。日本国民と政府の一致した要求
によって、北朝鮮は、とうとう、拉致是認に至ったのでしょう。そのことは、北
朝鮮人権運動史において、画期的かつ歴史的な事件であったと思います。

 惜しいことに、韓国ではいまだ、拉北者問題を含む北朝鮮の人権問題について、
全国民的熱気があるとは言えません。韓国では、政治的・社会的・歴史的に、全
国民の心が一つになり難い、やや複雑な理由があるようです。本日、私がご説明
いたします申淑子・呉恵媛・呉圭媛親子の問題が、ややもすると、韓国現代史の
このような複雑な様相を象徴的に代表するのではないかと思います。

 申淑子氏は、今日、ここに私と一緒に参席していらっしゃる呉吉男(オ・ギル
ナム)博士の夫人です。呉博士夫婦は、ドイツで二人の娘、恵媛と圭媛を産み育
て、いま二人の娘は申淑子氏と共に北朝鮮に囚われています。北朝鮮に残ったこ
の親子は、少なくとも22年以上、北朝鮮の耀徳(ヨドク)政治犯収容所に囚われ
ているようです。それにも拘らず、私たちはこの親子が生きていると固く信じて
います。

 最近、韓国では、この親子を助けるためのキャンペーンが、社会で熱く巻き起
こっています。去る5月から申淑子氏は「統営の娘」という別名で呼ばれていま
す。統営は「韓国のナポリ」という別名を持つ、釜山からほど近い小さな港町で
す。ここは、韓国で、芸術家が多く輩出されることでも有名な所です。詩人・音
楽家・小説家等がたくさん輩出され、伝統工芸の螺鈿漆器も大変有名な所です。

 20年を越す歳月の間、統営市民たちは、ここで生まれ育った申淑子氏がどう暮
らしているか、知らずにいたようです。今年、統営のあるキリスト教会を通じて、
申淑子氏の故郷が統営だという事実と、彼女が北朝鮮の耀徳政治犯収容所に囚わ
れているという事実が広く知られるようになりました。統営市民は大変驚いたよ
うです。

 統営で火の手が上がってから、全国、全世界的に「統営の娘、申淑子親子救出
運動」が拡散しています。韓国政府と国連で、この問題に関心を持つよう請願す
る運動も強く巻き起こっています。ついに、国連北朝鮮人権特使が去る11月末に
韓国を訪問し、この問題を国連次元で最善を尽くして解決すると言明するに至り
ました。潘基文(パン・ギムン)国連事務総長も、この問題に関心を持っていると
最近表明しました。

 いまだ韓国の政治圏や知識人たちは微温的な態度のままですが、いずれ、より
多くの方たちがこの問題に関心を持ち、罪なく北朝鮮に囚われている申淑子氏親
子を救出するために力を合わせるであろうと信じます。

 良い知らせとしては、韓国の多くの若者たち、ここに一緒に来ている河林淑
(ハ・イムスク)氏のように、新しい世代がこの問題に関心を持っているのです。
統営で北朝鮮政治犯収容所展示会を開く前に、これら大学生たちが中心となって、
先にソウルで展示会を開き、小さな展示場でしたが、多くの人たちが観覧しまし
た。後ほど、この学生たちがご挨拶する時間を少し持ちたいと存じます。

 ソウル市内の中心街で、申淑子親子送還のために署名運動を展開してきた市民
運動家たちも何人かいます。全国あちこちで、多くのアマチュア市民運動家が、
この運動に自発的に参与している?況です。日本で1990年代末、拉致問題が徐々
に拡散していった様相と比較してみることができるかも知れません。

 統営から休戦線まで1700里(680km)を歩き、「統営の娘救出に国民の意を一
つにすること」を叫んで「国土大長征」をする若者もいます。昨日まで20日間の
険しい苦行を終えて、今日、ソウルで報告大会兼国民大行進を行うそうです。

 しかし、一方で、韓国で「統営の娘」救出運動を妨害する人たちは、申淑子氏
親子が拉致されたという事実を否認しています。明らかに北朝鮮を誤って判断し
たもので、呉吉男博士にも責任がありますが、このように誤って判断するように
誘い込んだ何人かの人々がいました。もちろん、北朝鮮工作員が主犯でしたが、
ヨーロッパで暮らしている呉博士の友人たちも加担しました。この人たちは、い
まも西側の世界で、自由で安全な暮らしを享受しています。

 この事件についてもう少し説明が必要なようです。呉吉男博士は当時、ドイツ
で経済学を学ぶ留学生であり、看護師であった夫人、申淑子氏は、ドイツの病院
で働いていました。当時、呉博士はドイツで韓国の民主化のため活動していまし
たが、当時のドイツの親北的雰囲気により、呉博士は北朝鮮の?況について誤っ
て判断していたのです。

 1980年中盤、経済学博士学位を取得してから、呉博士は、数人から、韓国に行
かずに北朝鮮に入り、金日成総合大学の教授職につけという提案を受けるように
なります。「民族のために働く」という使命を抱き、いよいよ家族と共に北朝鮮
に入った時、それは事実ではないということがすぐに分かりました。北朝鮮の工
作に陥ったのです。

 こうして、呉博士夫婦は、韓国に向けて虚偽の放送をする秘密要員として働く
ことになりました。1年後、北朝鮮は、呉博士に対し、ドイツに行って2名の留学
生を誘い出し、北朝鮮に連れて来いという指令を下します。妻、申淑子氏は、他
の若者を闇の泥沼に引き込まず、独りで脱出することを勧めます。かくして、呉
吉男博士は脱出に成功しますが、その代価として二人の幼い娘と妻は、悪名高い、
北朝鮮の耀徳政治犯収容所に囚われることになります。

 呉吉男博士の脱出は、「ヨーロッパの朝総連」と言い得る勢力に多大な打撃を
与えました。呉吉男博士の家族が経験せねばならなかった悲劇が繰返されるのを
防ぐことができたのです。それにも拘らず、呉博士家族を北朝鮮に手引きした人
々はいまだに反省していません。彼らはむしろ、呉博士が家族を捨てて独りで脱
出したと腹を立てているのです。

 策に陥り、二度と戻れなくなったのなら、それは明らかに「拉致」です。こう
して、永遠に逃れられない数多くの人々が、北朝鮮で悲劇的な生を生きているの
が事実です。

 罪もなく、政治犯収容所に引きずられていった申淑子・呉恵媛・呉圭媛氏のよ
うな人々がいるということ、中学生で拉致され、いまだ父母のもとに戻れずにい
る横田めぐみさんのような人々がいるということ、韓国だけでも6.25戦争後、数
万名の拉北者たちがいまだ戻れずにいることは、明白な事実です。このようなこ
とは「人類の良心」の観点から容認できないことです。これらの拉致に協力した
り、加担した人々がいまだに何の処罰も受けず、甚だしくは反省さえせずに暮ら
しているという事実もまた、「人類の良心」の観点から、受け入れてはならない
事実です。

 そういえば、今日は国連世界人権宣言63周年の日です。金正日は2002年に「日
本人10名くらいの拉致は認めてしまおう」という心情で拉致の事実を認めたかも
知れませんが、世界人権宣言の精神は、一人一人誰もが宇宙的な価値を持ってい
るという事実を含んでいます。したがって、10名の拉致を認めることで問題は終
わらないでしょう。

 無辜の身で苦難に陥っている人が残っている限り、私たちの努力はやむことが
ないでしょう。ここ、この場で、北朝鮮拉致問題は、人類の良心の名において必
ず解決されねばならないと、もう一度申し上げたいと思います。われわれすべて
が心と意志を共にして、韓国と日本の拉致被害者たちが戻れるよう、最善の努力
を傾けることができればと思います。招待してくださった皆様にもう一度感謝申
し上げ、これで私の報告を終わります。

 いま、北朝鮮政治犯収容所展示会を通じて、申淑子・呉恵媛・呉圭媛氏の事件
を広く知らしめるのに大きな役割を果たした、私が大学で教えた私の弟子たちで
もあり、多くの韓国の若者たちの模範となっている2名の大学生をご紹介いたし
ます。大きな拍手をお願いいたします。ありがとうございます。

2につづく

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