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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

西岡会長「日本における北朝鮮人権問題」講演?ソウル報告3(2011/04/28)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2011.04.28)

 ソウルで開催中の「北朝鮮人権週間行事」に参加している西岡力・会長救う会
会長からの「ソウル報告3」を掲載します。

■西岡会長「日本における北朝鮮人権問題」講演?ソウル報告3

 北朝鮮人権週間行事参加のため訪韓中の西岡救う会会長は、4月25日、国会憲
政記念館で開かれた開会式で挨拶をしたのにつづき、26日には、ソウル駅前広場
で開催された「北朝鮮自由のための国民大集会(外交安保ファーラム、反人道犯
罪調査委員会主催)」と、「従金正日糾弾、自由化促進ろうそく集会(脱北軍人
の団体である北韓人民解放戦線主催)」に参加し、激励の挨拶を行った。

 27日は午前11時に朝鮮日報社前の円標公園で始まった「拉致被害者名簿朗読開
会式」に参加し、日本の拉致被害者救出運動を代表してあいさつするとともに、
日本人、タイ人、マカオ人、ルーマニア人、レバノン人被害者の名簿を朗読した。
主催者が準備してくれた日本人名簿は昨年同様特定失踪者名簿も含まれていた。

 2時からは国会図書館会議室で開催された「セミナー・北朝鮮人権法の望まし
い制定方向」に討論者として参加した。同セミナーには奥村展三衆議院議員(衆
議院拉致問題特別委員長、民主党拉致問題対策本部副本部長)と北神圭朗衆議院
議員(衆議院拉致問題特別委員会筆頭理事、民主党拉致問題対策本部事務局長も
出席した。

 同セミナーは、韓国国会が現在審議中の北朝鮮人権法の早期成立をめざしてお
こなわれたもので、朴キテ国会議長、李会昌自由先進党総裁(第2野党)、金武
星ハンナラ党院内総務(与党)らがあいさつした。韓国で北朝鮮人権法が民主党
内の一部親北勢力の反対でいまだに成立していないことに対して、「恥ずかしい」
と口をそろえていたのが印象的だった。西岡会長が発言した内容は以下の通りだ。

日本における北朝鮮人権問題

西岡力(救う会会長)

1.日本における北朝鮮人権問題の2つの流れ

 昨年のセミナーでも議論したが、北朝鮮人権問題に関する日本の接近には大き
く分けて二つの流れがある。

 第1は、自国の主権と国民の人権を保護するという流れだ。国家は主権と国民
を守るために存在する。

 北朝鮮は多くの日本人を拉致し、抑留しつづけている。これは著しい主権と人
権の侵害行為であり、日本政府が責任を持って被害者を救出しなければならない
問題だ。

 また、在日北送者とともに北朝鮮に渡航した約7千人の日本国籍者とその子孫
についても、出国の自由を初めとする多くの基本的人権が北朝鮮政府により不法
に侵害されており、自国民の人権を守るという観点から日本政府が取り組むべき
課題である。

 第2は、普遍的人権の観点から北朝鮮が行っている人権弾圧を問題とするとい
う流れだ。

 北朝鮮国内で金日成、金正日独裁政権が住民らを餓死させ、政治犯収容所で拷
問し、脱北者を取り締まっていることなどに対して、非難の声をあげることだ。
また、日本と特別の関係がある在日北送者が被っている人権侵害について強い関
心を示すことだ。

 それ以外に、北朝鮮が日本人以外、少なくとも世界11カ国の国民を拉致し抑留
つづけていることにも、当該国政府と協力して被害者救出を求めることだ。(韓
国、中国、タイ、ルーマニア、レバノンの5カ国は被害者の身元が明らかになっ
ている。シンガポール、マレーシア、ヨルダン、フランス、イタリア、オランダ
は被害者の確定には至っていないが、相当確実な証拠証言がある)。

2.日本における北朝鮮人権問題への取り組み

 上記の二つの軸に関して、日本では1990年代前半から、民間での取り組みが始
まった。しかし、政府の取り組みはあまりなかった。

 第1の自国民保護の問題についていうなら、本来は民間ではなく政府が取り組
むべきことだ。しかし、北朝鮮と国交がない状態で交渉チャンネルがなかったこ
ともあり、日本政府は自国民保護に積極的に取り組まなかった。たとえば、1990
年、金丸信自民党元副総裁が与党代表の資格で金日成と会談したが、拉致問題も
北送日本人問題もいっさい提起しなかった。1991年から92年にかけて8回行われ
た国交正常化交渉では北送日本人問題は議題の一つとされたが、拉致問題はほと
んど取り上げられなかった。

 1997年韓国情報当局からの非公式の通報により横田めぐみさんが拉致されてい
ることが判明し、被害家族が「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」を結成し、
それを支援するために専門家や有志が「北朝鮮に拉致された日本人を救出する会」
を結成し国民運動を開始した。その後、世論の盛り上がりを背景に政府も拉致問
題を北朝鮮との交渉で積極的に取り上げるようになり、2002年小泉首相と金正日
との日朝首脳会談で、金正日が日本人拉致を部分的に認め5人の被害者を帰国さ
せるという成果があった。しかし、その後、北朝鮮は拉致したのは13人に過ぎず、
そのうち8人は死亡したといううそをつきつづけ、問題の全面解決には至ってい
ない。日本政府は、(1)少なくとも17人の日本人が拉致されており、それ以外
にも拉致された可能性のある事案がある、(2)死亡とされた8人について死亡
を証明する証拠がないので生存を前提に帰国を求める、という姿勢に立っている。
また、2006年には政府内に首相を本部長とする拉致問題対策本部が設置され、担
当大臣も任命された。この体制は自民党から民主党に政権が交代した後も継続し
ている。

 第2の北朝鮮住民の人権問題については、日本との関係が深い北送者の人権問
題に関する取り組みが最初に始まった。学者、ジャーナリスト、運動家などが集
まって「北朝鮮帰国者の生命と人権を守る会」というNGOが1993年に発足し、94
年に姜哲煥氏らを招聘して日本巡回講演会を実施した。やはり1993年、北朝鮮民
主化を目指す「救え朝鮮の民衆/緊急行動ネットワーク」(RENK)在日朝鮮人を
リーダーとして結成された。

 その後、北朝鮮で大飢饉が起き多数の脱北者が出てきたことを背景に、脱北者
を保護支援するNGO「北朝鮮難民救援基金」が1998年に活動を開始した。守る会
では、在日北送者が多く収容されている政治犯収容所問題についても継続して問
題提起していたが、2008年政治犯収容所解体を目標とする新しいNGO「NOFENCE」
が発足した。

 この間政府は、2005年以降、国連の人権委員会などで北朝鮮人権改善決議案が
出されるとき、拉致問題がそこに明記されることを求めつつ共同提案国となるな
ど少しずつ普遍的人権からの問題提起活動にも加わるようになった。

3.日本版北朝鮮人権法

 上で見たような二つの流れに合流した、与野党の国会議員たちによって議員立
法として作られたのが日本の北朝鮮人権法である。日本では2006年に北朝鮮人権
法(拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律)が制
定された。

 この法律は目的と国の責務を次のように定めている「(目的)第一条この法律
は二千五年十二月十六日の国際連合総会において採択された北朝鮮の人権状況に
関する決議を踏まえ、我が国の喫緊の国民的な課題である拉致問題の解決をはじ
めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が国際社会を挙げて取り組むべ
き課題であることにかんがみ、北朝鮮当局による人権侵害問題に関する国民の認
識を深めるとともに、国際社会と連携しつつ北朝鮮当局による人権侵害問題の実
態を解明し、及びその抑止を図ることを目的とする。

(国の責務)
第二条 国は、北朝鮮当局による国家的犯罪行為である日本国民の拉致の問題
(以下「拉致問題」という。)を解決するため、最大限の努力をするものとする。
2 政府は、北朝鮮当局によって拉致され、又は拉致されたことが疑われる日本
国民の安否等について国民に対し広く情報の提供を求めるとともに自ら徹底した
調査を行い、その帰国の実現に最大限の努力をするものとする。
3 政府は、拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題に関し、国民世論の
啓発を図るとともに、その実態の解明に努めるものとする。

 すなわち自国民保護の観点から拉致問題解決を国の責務として明記するととも
に、普遍的人権の観点からの北朝鮮国内の人権問題等についても「世論啓発と実
態解明」を政府の責務としている。

 この法律の特徴は、拉致問題をはじめとする北朝鮮人権問題の解決のためには、
北朝鮮に対して制裁を発動して圧力をかけることが必要だという基本的考え方が
あることだ。自国民保護、自国の主権侵害である拉致問題を抱える日本としては
譲れない考え方である。したがって、米国の人権法と韓国の人権法案に含まれて
いる人道支援条項は日本の人権法には入っておらず、反対に米国、韓国に含まれ
ない対北制裁に関する規定が多く含まれている。

 ちなみに、日本は、2004年12月、北朝鮮が拉致被害者の死亡の証拠だとして提
出した遺骨が偽物だと判明したことを受けて、人道的支援まで停止し今に至って
いる。ただし、普遍的人権の観点から、問題解決のためになすべきこととして北
朝鮮住民に真実を伝える活動を行うことが欠かせない。米韓の人権法はその点に
も触れているが、日本の人権法はその点への言及がないことが弱点と言えよう。

以上



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