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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮による拉致の全貌?北朝鮮自由週間国際セミナー西岡報告(2010/04/28)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2010.04.28-2)

下記は、ソウルにおける北朝鮮自由週間の一つとして開催された「国際セミナー」
に提出された西岡力・救う会会長が報告した全文です。

■北朝鮮による拉致の全貌?北朝鮮自由週間国際セミナー西岡報告

●国際セミナー「北朝鮮による拉致の全貌と解決策 in Seoul」提出論文

2010.04.27
拉致の全貌、1976年の金正日拉致指令を中心に

西岡 力
(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長)


北朝鮮は全世界にわたって大規模な韓国人、外国人拉致を行った。救う会「拉
致全貌と解決策」調査プロジェクトはその全貌を把握すべく民間専門家の立場で
集められるだけの資料、証言を入手し、検証、分析をつづけてきた。

◆北朝鮮による拉致 4つのピーク
その結果、北朝鮮による拉致は以下の4つの大きなピークがあることが分かっ
た。

1.朝鮮戦争中の韓国人拉致
2.戦後から1976年までの漁船拿捕を中心とする韓国人拉致
3.1976年金正日の「工作員現地化教育のための教官拉致」指令による韓国、日
本、諸外国での拉致
4.1990年代後半以降、脱北者支援など北朝鮮にとって「有害」と判断される行
為を行う者たちの拉致

このうち1.については「韓国戦争拉北者事件資料院」(李美一理事長)にお
いて詳細な研究、資料収集が行われている。ここでは、「金日成の指令の下、10
万人の韓国人拉致が組織的かつ大規模になされた。朝鮮戦争中の日本人、外国人
拉致は確認されていない」という事実のみを指摘しておく。

2.については、恵谷治・救う会「拉致全貌と解決策」調査プロジェクト委員
の詳細な調査などで次のような事実が明らかになった。

この時期の韓国人拉致は旅客機ハイジャック1件を除いてすべてが海上境界線
付近に接近した韓国漁船と軍用船を対象としている。また、拉致された漁民らの
選抜作業が行われ、3,692人のうちの88%(3,257人)には北朝鮮の発展像を見せ
て政治宣伝のために早期に帰還させ、12%(435人)だけが継続して抑留され、
その中の一部を工作員として使おうとする訓練が実施された。

北朝鮮から工作員を韓国や外国に派遣して行う拉致は確認されていない。

なお、同時期、秘密隠蔽を目的とする日本人拉致があった。それ以外にも日本
人拉致はあったとする証言などは多いが、実体は不明だ。外国人拉致は判明して
いない。

(註1)1963年、日本に侵入した清津連絡所工作員によって日本人漁民3人の
拉致がなされたことが確認されている。1969年に金日成が「必要なら日本人を包
摂工作し拉致工作もすることもできるのだ」と工作部門幹部会議で教示している。
しかし、この金日成教示に基づいてどの程度日本人拉致が実行されたのか、全く
分かっていない。清津連絡所では76年の金正日の拉致指令以前から、日本人拉致
を「必要に応じてやっていた」というが、その実体は分からない。70年代前半に
失踪した日本人とよく似た人物を工作機関内で目撃したという証言がある。

3、について詳しく触れる前に、簡単に4「1990年代後半以降、脱北者支援など
北朝鮮にとって「有害」と判断される行為を行う者たちの拉致」について見てお
きたい。

1990年代後半以降、人口の15%にあたる300万人が餓死する中、大量の脱北者
が中朝国境を越えた。韓国人キリスト教宣教師や貿易商らが中朝国境地域でそれ
らの脱北者を助けるようになり、その結果、金正日政権にとって望ましくない外
部情報が北朝鮮に大量に流入することになる。このころから、国家保衛部が中国
まで出てきて脱北者の取り締まりを行っている。その過程で、脱北者を支援して
いた韓国人宣教師などが拉致された。また、2000年代になり脱北者を支援してい
た中国国籍朝鮮族が多数拉致されたという有力情報がある。

3.1976年の金正日拉致指令による世界規模の拉致(1976?80年代初め)につい
て、私たちは5人の元工作機関員の証言などこの間入手した情報を分析して次の
点を明らかにした。

◆金正日拉致指令
後継者となった金正日は1976年初め、対南工作の新方針を示す中で「工作員の
現地化教育を徹底して行え、そのために現地人を連れて来て教育にあたらせよ」
と拉致指令を下した。

金正日は、1974年金日成の後継者として公式に指名された後、対南工作部門を
掌握するため、1975年6月から11月初めにかけて対南工作部門の集中検閲を行い、
1976年初め、対南工作の新方針を演説し、革命的党を作る指導核心工作員を韓国
に配置せよと命じた。指導核心工作員の育成のために教官を拉致せよと命じたの
だ。拉致指令は金正日の新方針の中心部分に位置する。

拉致指令の翌年の1977年から1978年にかけて工作員教官にするための韓国人、
外国人拉致が世界規模で集中して行われた。

韓国では、1977年、78年に、日本でなされたと同じように工作員が韓国に上陸
して行う拉致が多発した。これは工作員の韓国人化教育の教官にするためだ。ヨー
ロッパ旅行中の高校教師の拉致もこの時期にあった。これも工作員教育の教官に
しようとした可能性が高い。また、78年には金正日が気に入っていた映画監督と
女優を香港までおびき出して拉致した。朝鮮戦争休戦後の韓国人拉致は漁船拿捕
を除くと17人だが、そのうち約半数の8人がこの2年間に集中している。

一方、金正日は、南出身者を安易に工作員として用いたことが、対南工作の誤
りと規定した。これを受けて拿捕した韓国漁民を工作員として使うことが中止さ
れたので、漁船拿捕拉致はこれ以降ほぼなくなった。

日本人拉致も金正日の拉致指令直後の1977年、78年に集中している。日本政府
認定の17人のうち13人がこの2年に拉致された。その大部分が、教官か教官の配
偶者にしようとしたものと考えられる。また、韓国、日本以外の10カ国、中国
(マカオ)、タイ、レバノン、ルーマニア、シンガポール、マレーシア、ヨルダ
ン、フランス、イタリア、オランダの拉致はすべて78年かその直前に集中してい
る。

世界規模での教官拉致がいつまで続いたのかは不明だ。1980年代前半、赤軍派
よど号グループによる日本人拉致がヨーロッパで組織的に展開された。これは、
日本人を北朝鮮工作員として使おうという金正日の指令によるものだ。80年代後
半、彼らのメンバー2人が日本に戻り自衛隊への工作を行おうとして逮捕された。
その頃以降、このタイプの拉致も確認されていない。


指導核心工作員の現地化教育は1980年から始まる。1期生は金賢姫、金淑姫と6
人の男性工作員だった。金賢姫は田口八重子さんから、金淑姫は横田めぐみさん
から日本現地化教育を受け、マカオ系中国人拉致被害者である孔令●さんから中
国現地化教育を受けた。金賢姫は田口さんと約2年、1対1で教育を受けたから、
毎年8人が日本人化教育を受けたとすれば、この時点で16人(2年分)の拉致され
た日本人が教官をさせられていたことになり、その配偶者まで計算すると約30人
となる。

安明進氏は金正日政治軍事大学で複数の教官から日本人教官は約30人いると伝
聞している。配偶者がその中に含まれていなければ合計最大60人となる。

●=貝貝の下に言

◆横田めぐみさんたちが死亡とされた理由
金正日は2002年9月、日本人拉致を認め謝罪した。だが「特殊機関の一部が妄
動主義、英雄主義に走ってこういうことを行ってきたと考えている」として自身
の関与を否定した上で、わずか5人だけを帰し「拉致したのは13人だけ、残り8人
は死亡した」という新たな嘘をついた。嘘には動機がある。なぜ、この時点で全
被害者を帰さなかったのか。拉致被害者救出のために必ず解明すべき問題だ。

日本政府は北朝鮮が出した死亡の証拠が全てでたらめだったことから「全員生
存を前提に」早期帰還を求めている。しかし、なぜ偽遺骨まで出して生きている
人を死んだとして隠さなければならなかったのか、その動機に関する政府の見解
は公表されていない。

救う会は「金正日拉致指令やテロ指令などを認めることにつながる被害者を帰
すことが出来なかった」と主張し続けている。

76年の金正日拉致指令は秘密とされた。現地化した工作員が韓国や第三国で身
分偽装に成功するためには、秘密保持が求められる。また、拉致は国際社会全体
を敵に回すテロであり、その上、金正日は現地化した工作員を使って大韓航空機
爆破というテロを実行している。拉致指令が明らかになれば、金正日がテロの首
謀者であることが暴露される。個人独裁国家である北朝鮮において、金正日の権
威を守ることが全てのことに優先する。

本報告が明らかにした76年の金正日拉致指令に係わる上記事実は、その主張の
正しさを強くサポートしている。

以上

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下記をクリックして、ご意見を送ってください。
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 鳩山由紀夫殿

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