救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

何をためらう! 日本独自の追加制裁を断行せよ(2009/02/05)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2009.02.05-2)

そして、もう一つの経済的逼迫状況に関しては、日本は大きなカードを握り続
けている。平成17年9月に発動された米国の金融制裁、北朝鮮の不法資金を取り
扱う世界の銀行に対して米国の金融機関が取引を止めるという脅しは、予想以上
の効果を上げた。米国の金融制裁は、主として金正日の海外の銀行に外貨で分散
管理されている個人資金をターゲットにしている。ほぼ同じ時期に安倍官房長官
主導ではじまった朝鮮総連の不法な経済活動に対する厳しい法執行も大きな効果
を上げている。この点は本誌でも繰り返し書いているのでくわしくは述べない
(拙著『北朝鮮の拉致と核は解決できる』PHP研究所参照)。また、2年前から
日本がかけている北朝鮮への制裁も北朝鮮経済の逼迫を強める点で一定の効果を
上げている。

したがって、現時点でなすべきことは、現行の制裁を被害者全員帰国実現まで
絶対に緩めず、むしろ、北朝鮮が拉致問題に取り組まない現状を踏まえ、追加制
裁を断行することだ。追加制裁には二つの意味がある。まず、北朝鮮が8月に約
束した拉致問題調査やり直し約束を一方的に破ったことを理由に追加制裁を実施
すれば、私の言う第1条件である日本の国家意思が内外に明確に伝達される。そ
して、実際に制裁によってより一層北朝鮮の経済逼迫を強めることができる。

民主党拉致対策本部(中井洽本部長)は11月5日、12月16日に役員会を開催し、
「北朝鮮に対する追加制裁(案)」をまとめた。同案は、ヒトに関する制裁3、
モノに関する制裁3、カネに関する制裁5、その他3の合計14を網羅的にまと
め、各項目に現行法での対応、関係法令などをつけた総合的なものだ。また、自
民党も拉致問題特命委員会(古屋圭司委員長)が11月12日に役員会を、同月19日
に総会を開き、民主党案とほぼ重なるヒト、モノ、カネなどに関する網羅的追加
制裁案と日本版テロ国家指定を意味する北朝鮮人権法改正案をまとめることなど
を決めた。

◆追加制裁としてなすべきこと

それらの議論を踏まえここで、現行制裁の実態と問題点を概観し、追加制裁とし
てなすべきことを提言したい。

1.貿易に関する制裁

2006年10月から、すべての品目の輸入禁止(外国為替・貿易管理法10条1項、
52条)、同年11月から大量破壊兵器関連品目、奢侈品(24品目、牛肉、マグロの
フィレ、キャビア、酒類、たばこ、香水、化粧品、革製バッグ・衣類等、毛皮製
品、じゅうたん、クリスタルグラス、宝石、貴金属、貴金属細工、携帯型情報機
器、映像オーディオ機器・ソフト、乗用車、オートバイ、モーターボート・ヨッ
ト等、カメラ・映画用機器、腕時計等、楽器、万年筆、美術品・収集品・骨董品)
の輸出禁止(同10条1項、48条3項)が実行された。

貿易統計を見ると、制裁前の2005年輸入145億円、輸出69億円、10月に輸入禁
止、11月に奢侈品輸出禁止が発動された2006年は輸入90億円、輸出51億円、2007
年輸入ゼロ、輸出11億円、2008年(8月末現在)輸入ゼロ、輸出6億円。

しかし、境港などでは北朝鮮にチャーターされた中国やロシア籍の貨物船が中
古自転車、中古家電製品などを大量に輸出して制裁の実効性を損ねている。現行
法規(外為10条1項、48条3項)によれば、追加制裁としてすべての品目の輸出
禁止を行うことができる。閣議で「我が国の平和及び安全の維持のため特に必要」
と認めればよいのだ。

輸出全面禁止は大変分かりやすいし、メッセージ力がある。

2.船などに関する制裁

やはり2006年10月からすべての北朝鮮籍船の入港禁止(特定船舶の入港の禁止
法2条1項)、そして同年7月から日朝航空チャーター便の不許可が実行された。
しかし、北朝鮮がチャーターした外国籍船(ロシア、中国など)が境港などに多
数入港し、中古自転車などを北朝鮮に搬送している。特定船舶の入港の禁止法2
条2項と3項を使えば、北朝鮮がチャーターした船及び北朝鮮に入港した船の入
港禁止措置を取ることができる。

3.人の往来に関する制裁

2006年7月から、日本人の北朝鮮渡航自粛要要請と日本の国家公務員の渡航見
合わせが発動されている。同じ時点で、北朝鮮当局職員である在日朝鮮人の北朝
鮮を渡航先とする再入国禁止(入管法26条1項)が発動された。ここで言われて
いる「北朝鮮当局職員である在日朝鮮人」とは、北朝鮮の国会議員(最高人民会
議代議員)を兼ねる朝鮮総連幹部6人、徐萬述(総連議長)、許宗萬(総連責任
副議長)、梁守政(総連副議長・商工連会長)、金昭子(女性同盟委員長・元愛
知県本部委員長)、朴喜徳(総連経済委員会副委員長・商工連顧問)、張炳泰
(朝鮮大学長)である。また、同年10月からは北朝鮮籍保有者の入国原則禁止も
発動された。

しかし、山崎拓氏のような国会議員や国立大学教授(木宮正史・東大助教授、
和田春樹東大名誉教授らが10月18日から22日まで訪朝)が堂々と制裁を破って北
朝鮮に渡航している。また、再入国許可が出ないはずの朴喜徳(総連経済委員会
副委員長・商工連顧問)が、今年5月と6月に二度訪朝した疑惑が浮上している。
渡航先として中国と書いたので、再入国許可が出されたという。在日朝鮮人が中
国経由で北朝鮮に入る場合、北朝鮮に入ったという痕跡は残らない。

そこで、追加制裁として

・日本人の北朝鮮渡航禁止
我が国旅券の渡航先制限先に北朝鮮を加える 旅券法5条1項 制限先への渡
航には30万円以下の罰金

・すべての在日朝鮮人の北朝鮮を渡航先とした再入国禁止
入管法26条1項 北朝鮮以外の渡航先で申請してきた場合、北朝鮮に渡航し
ないという誓約をとり再入国を許可、違反が判明した場合に罰則を課すべきだ。

4.カネに関する制裁
2006年9月国連安保理決議に基づき、北朝鮮のミサイル・大量破壊兵器関連1
5団体1個人に対して送金・金融取引禁止を発動している。しかし、在日朝鮮総
連などからの北朝鮮への送金が続いている。追加制裁として、日本から北朝鮮へ
の送金全面禁止、金融取引停止団体リストに金正日の個人資金を扱う機関を追加
すべきだ。また、米国がマカオの銀行に発動したものと同じ形で、北朝鮮の不法
活動資金と取引する第3国金融機関と我が国金融機関の取引禁止を行うためには
新規立法措置が必要となる。

5.その他
これまで行ってきた朝鮮総連・関連団体に対する厳格な法執行の一層の強化も
欠かせない。総連施設への固定資産税減免取り消し、朝鮮商工会を通じた脱税取
り締まり強化、朝鮮総連が破綻した朝銀信用組合から借りた債権の厳しい取り立
てなどがそれにあたる。

また、米国はテロ支援国指定解除の際、45日前に議会に通告する規定がある。
ところが、我が国は制裁発動の際、事後に国会承認を求めるとされているだけだ
から、北朝鮮人権法改正などを通じて、制裁解除の際の国会への事前通告義務化
も実現させて欲しい。

我が国独自で北朝鮮をテロ支援国として指定することについては、すでに北朝
鮮人権法2条で拉致を「北朝鮮当局による国家的犯罪行為」と明記しているが、
北朝鮮がアジア開発銀行など国際金融機関への融資を求めてきた場合、我が国と
して反対するとのより明確な意思表示などの同法改正が必要だ。

◆急変時、自衛隊による救出プラン作成を

最後に私の考える被害者救出のための3つめの条件を書いておく。金正日が死
亡するなどの北朝鮮急変事態に際して、被害者をどう救出するか、米国軍、韓国
軍の作戦計画にどのように自衛隊が加わり、3国軍の力を活用して被害者を救出
する緊急プランを作っておくことだ。金正日が8月14日に倒れたことは間違いな
い。私のところに複数の情報筋から入ってきたところによると、14日に心筋梗塞
発作が起き、22日に血栓が脳に回って脳梗塞発作が起きた。中国軍医、フランス
医師の緊急治療を受け、命に別状はなかったが左半身に後遺症が残っている。現
在、どこまで回復したのかについては詳しくわからないが、少なくとも定期的に
金正日から決済が出ているということは間違いない。金正日の病室に入れる人間
はごく限られている。

今後は、北朝鮮の権力全体がどうなっていくのかということが第一の問題であ
る。紙数の関係でくわしくは触れられなかったが、私は北朝鮮が拉致調査やり直
しを突然、中止した理由も金正日の健康状態だと見ている。大きな政策転換を行
う体力、執務時間が取れず、強硬策をとりながら時間を稼ごうとしている。金正
日は、1月23日に、王家瑞・中国共産党対外連絡部長と平壌で会談を行ったが、
もう一度大きな発作が起きる可能性はかなりある。その場合、労働党と軍の幹部
が中国の支援を大幅に受け入れる親中政権を立てることが考えられる。中国と近
い金正男が実権を持たない傀儡的トップとしてかつがれるかもしれない。どのよ
うなポスト金正日政権ができても、経済再建のため日本に接近してくることはほ
ぼ間違いないし、過去の悪事を死んでしまった金正日に被せてしまうことも可能
になろうから、絶対に拉致問題で日本は引かないという強いメッセージをいまだ
しておけば、拉致問題に限定すれば急速に事態が進展することもあり得る。

最近韓国では北朝鮮急変事態を機会としてドイツ型の自由統一を実現させるべ
きだとの意見が保守派を中心として強まりつつある。内戦状態や大規模難民発生
など、治安が維持できなくなった場合には、米韓連合軍が北進して混乱を収拾す
る、5029作戦計画を米韓両国は持っている。盧武鉉政権時、この作戦は北朝鮮崩
壊を前提にしているとして、盧武鉉大統領の承認を得られず、作戦計画の前段階
の概念計画として知られていたが、李明博政権になり、かなり詰めた議論が韓米
両国軍の間で進んでいると聞く。米軍が出動する場合、当然、周辺事態法に基づ
き自衛隊が後方支援することになろうが、先に引用した政府パンフレットにもあ
るように、拉致事件は主権侵害であり国際法上、個別的自衛権発動の条件になり
うるのだから、北朝鮮混乱時における自衛隊を活用した被害者救出についても水
面下で、きちんと詰めておいていただきたい。日米韓3国の協力が何にもまして
必要であり、金融危機で苦しむ米韓両国を日本が支援する際、被害者救出作戦へ
の協力取り付けを交渉の材料として出していくべきだ。

以上


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●麻生首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 麻生太郎殿

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