特別講演会2(2025/09/01)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.09.01)
◆「平壌宣言」の解釈が両国で異なる
太永浩 小泉総理が平壌に行って合意した「朝日平壌宣言」について、北朝鮮
が理解・解釈している内容と、日本が理解・解釈している内容が完全に違ってい
ます。
その中には先ほど言った3つの内容があるわけですが、過去の処理と経済協力、
拉致問題、核・ミサイル問題です。日本側の解釈はその3つを包括的に解決する
ということです。
北朝鮮の解釈は違う。北朝鮮では合意文書を作ったら、1番目、2番目、3番
目は優先順位を表します。まず第一を解決する。過去の反省・経済協力が先で、
その後、拉致問題、核・ミサイル問題となります。日本側は包括的に全部を解決
するという解釈です。
今後日朝で話し合いをするとなると、日本が主張するように包括的に解決すべ
きなのか、あるいは北朝鮮が主張するように、まず第一段階で過去の反省・経済
協力が進展して、その後に拉致問題、核・ミサイル問題と行くべきなのか。まず
ことのことについて両国が合意しなければならない。
もう一度交渉が始まるならば、どのように進んでいくのかという問題について
合意しなければならないと思います。拉致問題はこの程度にしておきます。
◆核を持ってからは北進の心配なしにウクライナに最精鋭部隊を派兵
次に最近北朝鮮で起きていることと、日本に関係することについてお話します。
北朝鮮が対話に出てくるというのは困っている時です。対話に応じれば日本か
ら人道支援をもらえるかもしれない、大規模な経済支援をもらえるかもしれない、
アメリカからも何かもらえるかもしれないという時、それがほしいという時に出
てきます。
今の北朝鮮の状況は、ウクライナ戦争でロシアに寄与していることによって、
もらえるものがる。外貨や軍事技術がもらえる。そこに今集中しています。その
結果、日本やアメリカと交渉しようという空間が狭くなっていると思います。
北朝鮮が核を持つ前と、核を持った後では根本的な地位が変わりました。在来
式の武器の分野、空軍、陸軍、海軍においては、この数十年間完全な劣勢になっ
てきました。
核を持つ前は、米韓軍事演習があると、北朝鮮はそのまま米韓軍が北進して来
るのではないかと大変心配して、自分たちも軍事訓練をやり、米韓軍がこちらで
演習をやれば北朝鮮もその前でやるというようなことをしていました。
しかし、核を持ってからは完全にバランスが変わりました。韓国軍は今57万
人いるわけですが、在来式武器だけでいうと大変劣勢ですから、北朝鮮はその2
倍の120万人を維持してやっとバランスがとれていました。
ところが核を持った後は、北朝鮮の最精鋭部隊をウクライナに送ることができ
る状況になりました。「軍隊の柔軟性」という言葉を使いますが、これは普通は
在韓米軍の柔軟性として使われます。
在韓米軍が台湾有事の時に、韓国だけでなく台湾も守れるようにするというこ
とで「柔軟性」という言葉を使うのですが、今は北朝鮮軍の「柔軟性」が高まっ
ています。北朝鮮軍が、遠いロシアまで行って戦争をすることができるという事
実は、今後の北東アジアの安全保障環境における大きな変数になるからです。
ウクライナ軍がロシア領に入ってきたクルクス州の戦闘で、ウクライナ軍を追
い出す作戦に成功したことを一番注意深く見ていたのは、中国の習近平だと思い
ます。
今後アメリカと中国が台湾問題を巡ってどのような体制を作るのかについて、
アメリカも中国も再調整をしています。2027年に、もし中国が台湾を攻撃す
る場合に、在日米軍と在韓米軍が台湾戦線に加わるのか、あるいは日本や韓国に
いたままなのかということが、今習近平が一番関心を持っている戦略的な状況で
す。
アメリカはそのようなことを分かっていて、この間繰り返し、台湾有事の際は
在韓米軍の戦略的柔軟性が発揮される。すなわち、在韓米軍台湾戦線に投入され
ることがあると話をしてきました。
しかし北朝鮮軍が今回ロシアまで遠征して、ウクライナ軍を追い返すことに成
功したのを見て、習近平は来るべき台湾有事の際に北朝鮮軍を活用すれば、在日
米軍、在韓米軍を台湾戦線に投入させないで、そこに引き付けておくことができ
るのではないか。その可能性を見た。
ですから9月3日、中国で先勝記念軍事パレードが行われるのですが、そこに
プーチン、金正恩も行くことになって、そして習近平と3人でそこで何を話すの
かが一番重要なことです。
これまでは北朝鮮が核・ミサイルを開発することについて、実は中国もロシア
も警戒して認知を与えませんでした。だから独自の努力でなんとかやってきたの
ですが、2024年プーチンが北朝鮮を訪問して、北朝鮮の軍事的成果は実はロ
シアにとって助けになると判断して、プーチンは軍事協力を強めていくという判
断をしたと思います。
ですから北朝鮮の核・ミサイルをグラフにすると、これまでは緩い角度でしか
成長してこなかったのが、最近になってその角度が急上昇したことが分かると思
います。
◆北朝鮮が原子力潜水艦を持てば米韓は破壊できない
金正恩は最近、「核搭載原子力潜水艦を早く完成して北朝鮮海軍を核武装化し
ろ」と繰り返し言っています。原子力潜水艦を造るのに一番重要なのは小型原子
炉です。
北朝鮮は繰り返しロシアに小型原子炉がほしいと言ったのですが、ロシアは出
しませんでした。ところが最近金正恩は、原潜が近く完成すると、繰り返し北朝
鮮の住民に対し言っているということは、ロシアからすでに小型原子炉が来てい
るのか、あるいはもらえるという約束ができているのかということを示唆してい
ます。
今後北朝鮮が原子力潜水艦を持ったとすれば、韓国・アメリカにとってもゲー
ムチェンジ(状況一変)になる。北朝鮮のすべての核・ミサイルは今山の中にト
ンネルを作ってそこに置いてあるか、深く掘ってサイロを作り、そこにおいてあ
ります。
アメリカは軍事偵察衛星で北朝鮮の核・ミサイルがどこにあるかを知っており、
それが地中にあればすべてミサイルで破壊できることを北朝鮮は分かっています。
今回イランとイスラエルが泥沼の戦争になると思われたのに、イランが抵抗を
やめたのは、アメリカが決心さえすれば、地中に隠してあるイランのミサイルを
すべて破壊することができるということをイランが分かっていたから抵抗をやめ
たのです。
北朝鮮に対して米韓軍が送り続けていたメッセージは、韓国には「キル・チェー
ン」という北朝鮮の核・ミサイル体系を破壊するシステムがある。アメリカも先
制攻撃して地下にある核・ミサイル基地を破壊できる。北朝鮮が米韓に核攻撃す
るという情報を入手したら、直ちに先制攻撃で北朝鮮の核・ミサイル基地を全部
破壊することができるというメッセージを北朝鮮に送り続けていました。
しかし北朝鮮が原子力潜水艦を持てば、原子力潜水艦は6か月水中に沈んでい
ることができますから、アメリカが「北朝鮮の核・ミサイル基地を全部破壊する
ことができる」という警告は有効性を失うことになります。
ですから今大変急がれることは、日米韓が協力してロシアから先端軍事技術が
北朝鮮に移転されることを防ぐことです。原子力潜水艦もそうですし、あるいは
軍事偵察衛星等が北朝鮮に提供されることを防ぐことです。
◆軍拡で経済・食糧悪化、
次に時間もないので、最近北朝鮮で起きている情勢についてお話します。金正
恩が政権をとって13年になりました。13年で核・ミサイルのように金正恩が
成功した分野もあり、失敗した分野もあります。
第一に、金正恩は権力の座に上がってすぐ、2012年に、食べることを解決
する。飢えから住民を解放する。ベルトを厳しく締めることがないようにする、
と言いましたが、解決していません。
第二に、核・ミサイルは持つことができたのですが、そのような先端武器を持
つと、維持にお金がかかる。現代化が進めば進むほど、維持にお金がかかる。そ
の維持をするような経済力がない。経済がどんどん縮小する悪循環が起きていい
ます。
核・ミサイルが増えれば増えるほど、それを山の中の倉庫に保管するためには
換気が必要です。換気するためには電気が必要です。ミサイルの数が増えれば増
えるほど、必要な電気量が増えます。そして民政にまわす電気量が減ります。そ
うなると国民の不満がより高まってくる。
◆韓国言葉を使うと処罰
そういう分析のジレンマがありますが、もう一つは、この13年間の金正恩体
制の中で北朝鮮の若者たちが韓国のドラマや文化を知ってしまった。金正恩体制
になって、韓国のドラマを見たら処罰するという法律が3つできました。
反動思想文化排撃法、青年教養保護法、平壌文化保護法という法律を作りまし
たし、公開処刑もしたり、子どもたちを集めてその前で裁判をやって処罰するこ
ともやりましたが、やってもやっても結果として、若者の中に今韓国ドラマブー
ムが広がっている。
こんな法律まで作った。韓国の言葉遣いを使ったら処罰する。具体的にその言
葉遣いが法律に書いてあります。オッパというのは元々は妹がお兄さんを呼ぶ時
にオッパと言うんですが、韓国では若い恋人たちで、年下の女性が年上の恋人に
オッパと言うんです。北朝鮮では同士と言うんですが、オッパを使ったら処罰す
ると法律に書いている。
そういう言葉をまとめて法律にしたのですが、若者の心理というのは、「やる
な」というと好奇心がわいてくる。
◆統一はしない、南朝鮮を韓国と呼ぶ、休戦ラインは国境に
北朝鮮の若者たちは、韓国のドラマや映画を見ながら、早く統一して韓国に行
きたいと思う人が増えてきた。そこで金正恩が、一昨年の12月から去年の1月
にかけて、「統一はもうしない。韓国は同族ではない。敵対的な二国関係だ」と
言って、憲法も変えた。
そしてこれまでは南朝鮮と言っていたのですが、これには朝鮮半島は一つとい
う意味が含まれているので、韓国と呼ぶことになった。そして韓国に対しても、
「北朝鮮と言うな。朝鮮民主主義人民共和国と呼べ」と言った。
そして北朝鮮は、南北を分けている休戦ラインを、もう休戦ラインではなく2
つの国だから国境だと言って、南北をつないでいた鉄道や道路を全部破壊した。
そして休戦ラインに壁を作り、塀を作り、行き来ができないようにして国境とし
た。
そのような状況を見て、ドイツの新聞がこのような記事を書きました。「北朝
鮮がもう同じ民族ではない、国対国の敵対的関係だと宣言したので、15年以内
に北朝鮮は崩壊して韓国に吸収されるだろう」と。
ドイツの記者が、「15年以内に北朝鮮は崩壊して韓国に吸収されるだろう」
と書いた根拠は、実はドイツでそういうことが起きたからだ。1974年に東ド
イツが、「もう東西ドイツは一つの国ではない。二つの国だ。民族も違う」と主
張し、東ドイツの憲法も変えました。しかし、15年経って東ドイツは崩壊した。
東ドイツで1974年に何が起きていたのかを調べてみた所、東ドイツの住民
はテレビを見るのは西ドイツのテレビで、東ドイツの映画俳優の名前は知らなく
ても西ドイツの映画俳優の名前はみんな知っている。口ずさむ歌も西ドイツの歌
だ。これはダメだと言って東ドイツが憲法を変えた。しかし若者たちはそれを止
めなかった。
20代、30代の若者たちが15年経って、40代、50代になった時統一が
できた。今の北朝鮮の20代、30代の若者たちが15年経ては社会の中心勢力
になる。そうなれば統一になるのではないかと言うのが、ドイツの記者が書いた
記事です。
以上が私が訴えたい最近の北朝鮮の変化です。時間がきましたのでここまでに
して、ご質問を受けたいと思います。
(3につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■石破首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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◆「平壌宣言」の解釈が両国で異なる
太永浩 小泉総理が平壌に行って合意した「朝日平壌宣言」について、北朝鮮
が理解・解釈している内容と、日本が理解・解釈している内容が完全に違ってい
ます。
その中には先ほど言った3つの内容があるわけですが、過去の処理と経済協力、
拉致問題、核・ミサイル問題です。日本側の解釈はその3つを包括的に解決する
ということです。
北朝鮮の解釈は違う。北朝鮮では合意文書を作ったら、1番目、2番目、3番
目は優先順位を表します。まず第一を解決する。過去の反省・経済協力が先で、
その後、拉致問題、核・ミサイル問題となります。日本側は包括的に全部を解決
するという解釈です。
今後日朝で話し合いをするとなると、日本が主張するように包括的に解決すべ
きなのか、あるいは北朝鮮が主張するように、まず第一段階で過去の反省・経済
協力が進展して、その後に拉致問題、核・ミサイル問題と行くべきなのか。まず
ことのことについて両国が合意しなければならない。
もう一度交渉が始まるならば、どのように進んでいくのかという問題について
合意しなければならないと思います。拉致問題はこの程度にしておきます。
◆核を持ってからは北進の心配なしにウクライナに最精鋭部隊を派兵
次に最近北朝鮮で起きていることと、日本に関係することについてお話します。
北朝鮮が対話に出てくるというのは困っている時です。対話に応じれば日本か
ら人道支援をもらえるかもしれない、大規模な経済支援をもらえるかもしれない、
アメリカからも何かもらえるかもしれないという時、それがほしいという時に出
てきます。
今の北朝鮮の状況は、ウクライナ戦争でロシアに寄与していることによって、
もらえるものがる。外貨や軍事技術がもらえる。そこに今集中しています。その
結果、日本やアメリカと交渉しようという空間が狭くなっていると思います。
北朝鮮が核を持つ前と、核を持った後では根本的な地位が変わりました。在来
式の武器の分野、空軍、陸軍、海軍においては、この数十年間完全な劣勢になっ
てきました。
核を持つ前は、米韓軍事演習があると、北朝鮮はそのまま米韓軍が北進して来
るのではないかと大変心配して、自分たちも軍事訓練をやり、米韓軍がこちらで
演習をやれば北朝鮮もその前でやるというようなことをしていました。
しかし、核を持ってからは完全にバランスが変わりました。韓国軍は今57万
人いるわけですが、在来式武器だけでいうと大変劣勢ですから、北朝鮮はその2
倍の120万人を維持してやっとバランスがとれていました。
ところが核を持った後は、北朝鮮の最精鋭部隊をウクライナに送ることができ
る状況になりました。「軍隊の柔軟性」という言葉を使いますが、これは普通は
在韓米軍の柔軟性として使われます。
在韓米軍が台湾有事の時に、韓国だけでなく台湾も守れるようにするというこ
とで「柔軟性」という言葉を使うのですが、今は北朝鮮軍の「柔軟性」が高まっ
ています。北朝鮮軍が、遠いロシアまで行って戦争をすることができるという事
実は、今後の北東アジアの安全保障環境における大きな変数になるからです。
ウクライナ軍がロシア領に入ってきたクルクス州の戦闘で、ウクライナ軍を追
い出す作戦に成功したことを一番注意深く見ていたのは、中国の習近平だと思い
ます。
今後アメリカと中国が台湾問題を巡ってどのような体制を作るのかについて、
アメリカも中国も再調整をしています。2027年に、もし中国が台湾を攻撃す
る場合に、在日米軍と在韓米軍が台湾戦線に加わるのか、あるいは日本や韓国に
いたままなのかということが、今習近平が一番関心を持っている戦略的な状況で
す。
アメリカはそのようなことを分かっていて、この間繰り返し、台湾有事の際は
在韓米軍の戦略的柔軟性が発揮される。すなわち、在韓米軍台湾戦線に投入され
ることがあると話をしてきました。
しかし北朝鮮軍が今回ロシアまで遠征して、ウクライナ軍を追い返すことに成
功したのを見て、習近平は来るべき台湾有事の際に北朝鮮軍を活用すれば、在日
米軍、在韓米軍を台湾戦線に投入させないで、そこに引き付けておくことができ
るのではないか。その可能性を見た。
ですから9月3日、中国で先勝記念軍事パレードが行われるのですが、そこに
プーチン、金正恩も行くことになって、そして習近平と3人でそこで何を話すの
かが一番重要なことです。
これまでは北朝鮮が核・ミサイルを開発することについて、実は中国もロシア
も警戒して認知を与えませんでした。だから独自の努力でなんとかやってきたの
ですが、2024年プーチンが北朝鮮を訪問して、北朝鮮の軍事的成果は実はロ
シアにとって助けになると判断して、プーチンは軍事協力を強めていくという判
断をしたと思います。
ですから北朝鮮の核・ミサイルをグラフにすると、これまでは緩い角度でしか
成長してこなかったのが、最近になってその角度が急上昇したことが分かると思
います。
◆北朝鮮が原子力潜水艦を持てば米韓は破壊できない
金正恩は最近、「核搭載原子力潜水艦を早く完成して北朝鮮海軍を核武装化し
ろ」と繰り返し言っています。原子力潜水艦を造るのに一番重要なのは小型原子
炉です。
北朝鮮は繰り返しロシアに小型原子炉がほしいと言ったのですが、ロシアは出
しませんでした。ところが最近金正恩は、原潜が近く完成すると、繰り返し北朝
鮮の住民に対し言っているということは、ロシアからすでに小型原子炉が来てい
るのか、あるいはもらえるという約束ができているのかということを示唆してい
ます。
今後北朝鮮が原子力潜水艦を持ったとすれば、韓国・アメリカにとってもゲー
ムチェンジ(状況一変)になる。北朝鮮のすべての核・ミサイルは今山の中にト
ンネルを作ってそこに置いてあるか、深く掘ってサイロを作り、そこにおいてあ
ります。
アメリカは軍事偵察衛星で北朝鮮の核・ミサイルがどこにあるかを知っており、
それが地中にあればすべてミサイルで破壊できることを北朝鮮は分かっています。
今回イランとイスラエルが泥沼の戦争になると思われたのに、イランが抵抗を
やめたのは、アメリカが決心さえすれば、地中に隠してあるイランのミサイルを
すべて破壊することができるということをイランが分かっていたから抵抗をやめ
たのです。
北朝鮮に対して米韓軍が送り続けていたメッセージは、韓国には「キル・チェー
ン」という北朝鮮の核・ミサイル体系を破壊するシステムがある。アメリカも先
制攻撃して地下にある核・ミサイル基地を破壊できる。北朝鮮が米韓に核攻撃す
るという情報を入手したら、直ちに先制攻撃で北朝鮮の核・ミサイル基地を全部
破壊することができるというメッセージを北朝鮮に送り続けていました。
しかし北朝鮮が原子力潜水艦を持てば、原子力潜水艦は6か月水中に沈んでい
ることができますから、アメリカが「北朝鮮の核・ミサイル基地を全部破壊する
ことができる」という警告は有効性を失うことになります。
ですから今大変急がれることは、日米韓が協力してロシアから先端軍事技術が
北朝鮮に移転されることを防ぐことです。原子力潜水艦もそうですし、あるいは
軍事偵察衛星等が北朝鮮に提供されることを防ぐことです。
◆軍拡で経済・食糧悪化、
次に時間もないので、最近北朝鮮で起きている情勢についてお話します。金正
恩が政権をとって13年になりました。13年で核・ミサイルのように金正恩が
成功した分野もあり、失敗した分野もあります。
第一に、金正恩は権力の座に上がってすぐ、2012年に、食べることを解決
する。飢えから住民を解放する。ベルトを厳しく締めることがないようにする、
と言いましたが、解決していません。
第二に、核・ミサイルは持つことができたのですが、そのような先端武器を持
つと、維持にお金がかかる。現代化が進めば進むほど、維持にお金がかかる。そ
の維持をするような経済力がない。経済がどんどん縮小する悪循環が起きていい
ます。
核・ミサイルが増えれば増えるほど、それを山の中の倉庫に保管するためには
換気が必要です。換気するためには電気が必要です。ミサイルの数が増えれば増
えるほど、必要な電気量が増えます。そして民政にまわす電気量が減ります。そ
うなると国民の不満がより高まってくる。
◆韓国言葉を使うと処罰
そういう分析のジレンマがありますが、もう一つは、この13年間の金正恩体
制の中で北朝鮮の若者たちが韓国のドラマや文化を知ってしまった。金正恩体制
になって、韓国のドラマを見たら処罰するという法律が3つできました。
反動思想文化排撃法、青年教養保護法、平壌文化保護法という法律を作りまし
たし、公開処刑もしたり、子どもたちを集めてその前で裁判をやって処罰するこ
ともやりましたが、やってもやっても結果として、若者の中に今韓国ドラマブー
ムが広がっている。
こんな法律まで作った。韓国の言葉遣いを使ったら処罰する。具体的にその言
葉遣いが法律に書いてあります。オッパというのは元々は妹がお兄さんを呼ぶ時
にオッパと言うんですが、韓国では若い恋人たちで、年下の女性が年上の恋人に
オッパと言うんです。北朝鮮では同士と言うんですが、オッパを使ったら処罰す
ると法律に書いている。
そういう言葉をまとめて法律にしたのですが、若者の心理というのは、「やる
な」というと好奇心がわいてくる。
◆統一はしない、南朝鮮を韓国と呼ぶ、休戦ラインは国境に
北朝鮮の若者たちは、韓国のドラマや映画を見ながら、早く統一して韓国に行
きたいと思う人が増えてきた。そこで金正恩が、一昨年の12月から去年の1月
にかけて、「統一はもうしない。韓国は同族ではない。敵対的な二国関係だ」と
言って、憲法も変えた。
そしてこれまでは南朝鮮と言っていたのですが、これには朝鮮半島は一つとい
う意味が含まれているので、韓国と呼ぶことになった。そして韓国に対しても、
「北朝鮮と言うな。朝鮮民主主義人民共和国と呼べ」と言った。
そして北朝鮮は、南北を分けている休戦ラインを、もう休戦ラインではなく2
つの国だから国境だと言って、南北をつないでいた鉄道や道路を全部破壊した。
そして休戦ラインに壁を作り、塀を作り、行き来ができないようにして国境とし
た。
そのような状況を見て、ドイツの新聞がこのような記事を書きました。「北朝
鮮がもう同じ民族ではない、国対国の敵対的関係だと宣言したので、15年以内
に北朝鮮は崩壊して韓国に吸収されるだろう」と。
ドイツの記者が、「15年以内に北朝鮮は崩壊して韓国に吸収されるだろう」
と書いた根拠は、実はドイツでそういうことが起きたからだ。1974年に東ド
イツが、「もう東西ドイツは一つの国ではない。二つの国だ。民族も違う」と主
張し、東ドイツの憲法も変えました。しかし、15年経って東ドイツは崩壊した。
東ドイツで1974年に何が起きていたのかを調べてみた所、東ドイツの住民
はテレビを見るのは西ドイツのテレビで、東ドイツの映画俳優の名前は知らなく
ても西ドイツの映画俳優の名前はみんな知っている。口ずさむ歌も西ドイツの歌
だ。これはダメだと言って東ドイツが憲法を変えた。しかし若者たちはそれを止
めなかった。
20代、30代の若者たちが15年経って、40代、50代になった時統一が
できた。今の北朝鮮の20代、30代の若者たちが15年経ては社会の中心勢力
になる。そうなれば統一になるのではないかと言うのが、ドイツの記者が書いた
記事です。
以上が私が訴えたい最近の北朝鮮の変化です。時間がきましたのでここまでに
して、ご質問を受けたいと思います。
(3につづく)
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■石破首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿
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