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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

家族会・救う会の新運動方針について3(2024/03/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2024.03.15)

■家族会・救う会の新運動方針について3

◆憎しみや怒りはあるが、日朝が変化したタイミングをつかみたい

西岡 力(救う会会長)

 先ほど、横田代表から、「救う会の仲間たちから異論があった」という話があ
りましたが、今回より去年の方が異論が多かったのです。それは初めて舵を切っ
たからです。

 我々は米支援に対しては言いたいことがいっぱいあるわけです。米支援反対の
座込みもしました。アメリカ人の監督が作ってくれた、「めぐみストーリー」と
いう映画がありますが、あの中で自民党本部前で座込みをしている映像が出てい
ます。有本のお父さんは檄を飛ばして、「バカヤロー!」と言っていましたよ。

 そういうことをした団体が舵を切る時は、一緒に座込みをした人たちもいます
し、雨の日も、夏の暑い日も、寒い中でも、月に1回以上街頭に出て署名活動を
やってきたわけです。

 だからなぜ救う会の本部が、「支援に反対しない」等というのか、「北朝鮮は
犯罪集団じゃないか」、という声が強かったのです。その時にも、横田代表がマ
イクを取って、「私たち家族が一番悔しいし、北朝鮮に対する憎しみを持ってい
る。先ほども総理に対して、「憎しみや怒り」と言っていました。

 そして、全国の仲間に直接の言葉で、「しかし今このタイミングで運動方針を
出すことが、本当に親の世代がいつ、どうなるか分からない中で有効だと思った」
という話をしました。

 去年のその時まで早紀江さんは割と元気だったのですが、その月の終わりに倒
れられて、入院して手術を受けるということがありました。その後無理ができな
い体調になりました。

 我々としては、「親の世代が存命の内に」という切迫感がより強まったのです
が、去年の2月のタイミングであの運動方針を出せたのはよかったと、今思って
います。

 日本が、核問題が動かない中で、北朝鮮に、例え国連制裁違反ではないにして
も、人道支援をするというカードを切る時に、「アメリカの核に守ってもらって
いて、勝手なことをするな」とアメリカに言われたら、なかなか動きにくいし、
また平壌も、「いくら岸田政権が(拉致と核を)切り離すと言っても、アメリカ
がそれを許容しないのなら岸田を呼ぶ意味がないじゃないか」と思うわけです。

 2002年の9月に、平壌宣言に小泉総理がサインした時、北朝鮮では、「こ
れで日本から多額のお金が来る」と思った。これは複数の人からも聞いています。
例えば太永浩(テ・ヨンホ)さん。当時外交官で平壌にいた人も本に書いていま
す。

 「100億ドルが来る」と。しかし、止まってしまった。そこでの総括は、拉
致問題で日本の世論が怒ったことは、あまり理由としては高く評価されなくて、
アメリカが、「核問題が動かないのに勝手なことをするな」と言ったからだとい
う総括だったそうです。「やはり日本というのは自主外交はできない」と。

 そしてトランプ大統領との交渉を先にやったりしたのだと思いますが、今回も
アメリカはこの新しい運動方針、岸田総理の「時間的制約」という言葉を使った
事実上の切り離し、そして我々が「人道支援に反対しない」と言ったことをどう
評価するかということを、平壌が強い関心をもって見ていると思いましたし、コ
ロナ開けになったこともあり、それで去年5月に訪米したのです。

 ホワイトハウスのNSC(国家安全保障会議)で対北政策を担当しているアジア
・太平洋調整官に会い、国務長のナンバー2の副長官、東アジア担当の次官補
(局長)、人権担当の次官補代理、制裁担当者等に会い、そして民主党・共和党
の主要議員に会いました。

 また、ワシントンを拠点にして北朝鮮の人権問題を取り上げているNGOのリー
ダー、シンクタンクの北朝鮮の専門家たちに精力的に会ったのですが、みんなこ
の運動方針について、「理解できる」と言いました。「アメリカの国益に反する
ので反対だ」という人はいませんでした。

◆金正恩は岸田首相の発言に関心を持っている

 それを見ていて、5月の27日に岸田首相が、私たちの国民大集会に来て、
「時間的制約のある拉致問題は、ひとときもゆるがせにできない人権問題だ」と
言った。「ひとときもゆるがせにできない」という強調の言葉を付けた上で、
「私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」と言ったのです。

 それが土曜日の2時半でしたが、月曜日の朝、「朝日両国が互いに会えない理
由はない」との談話が出た。その中で、「岸田首相が27日のある集会で、『高
いレベルでの協議を行いたい』と言った」ということまで入っていた。

 土曜日に岸田首相が何を言うかをその場で聞いて、土日の間に金正恩委員長の
決済をもらって月曜日に談話を出した。岸田首相の発言が談話に出ているのです
から、聞いていないと書けないし、事前に決済を貰うこともできない。

 平壌は一昨年の10月以降動きをずっと見ていて、「岸田首相が何を言うのか、
すぐに私に報告しろ」と金正恩委員長が誰かに命令を出していたとしか思えない
のです。

「土曜日に岸田首相が何か言うから注目してくれ」との日本側のメッセージが伝
わったのかもしれない。そのくらいの速さで返事が来た。岸田首相が「時間的制
約」という言葉を10月に最初に使ったことへの返事でもあった。あるいは我々
の、「人道支援に反対しない」という運動方針への返事でもあったと、私たちは
理解しています。

 その後表面的な動きがなくて、残念ながら岸田政権への支持率が少しずつ下が
り始めた。北朝鮮の人が自由に外国に行ったり来たりし始めたのは、去年の10
月頃からですから、北朝鮮の人が海外に出たら「隔離期間」というのがあって、
なかなか機動的に日朝がどこかで会って、金正恩委員長に報告するのは難しかっ
たのかもしれない。

 しかし、「会えない理由はない」と言ったのにどうなっているんだろうと思っ
ていたら、1月1日に起きた能登地震に対して、金正恩委員長の名前でのお見舞
いが岸田総理宛に来た。

 その頃は、政治資金の書き換え問題で自民党に対する批判が高まっている中、
岸田政権への支持率も下がってきていた。通常支持率が下がっている政権とは交
渉しないと言われていました。何か約束しても、それを実行する力がないと見ら
れるからです。

 しかし、「岸田文雄閣下」という電報が来た。それで、水面下で何かつながっ
ているのではないかと期待を持ったわけです。そしてその電報は、朝鮮労働党の
機関紙である「労働新聞」に全文掲載されました。

 これはめぐみちゃんたちも読むのかなと思って、脱北者の人たちに聞いてみた
のですが、「最近は紙があまりなくて、そんなにたくさん配れるわけではないけ
ど、労働党の党員はみんな読んでいる」ということでした。

 少なくとも党の幹部たちは、「岸田首相に閣下という言葉を使った。最高指導
部は日本との関係を改善する意思があるのではないか」と推測していたのです。
最高指導部の動向はみんな見ているわけです。

 そういう状況で、「岸田ばかやろう」等と言うと、政治犯になってしまうかも
しれません。韓国の大統領に対しては北朝鮮ではみんな悪口を言っています。バ
イデン大統領に対しても、「老いぼれ」とか言っています。

 でも岸田さんに対する悪口はほとんどないわけです。特に高いレベルではない。
外務省の日本研究所の研究員が、北朝鮮のホームページで何か言ったことはあり
ます。

◆金与正談話の意味

 そして金与正談話(キム・ヨジョン、金正恩の妹)が出た。ある面でマニアッ
クな話ですが、櫻井さんの国家基本問題研究所の私は理事をやっていて、そのホー
ムページの今週の月曜日のコラムに書いたものがお手元にあると思います。

 「既に解決済みの拉致問題」という言葉が入っています。そして、「拉致問題
を障害物としない限り、岸田首相が平壌を訪問する日もあり得るだろう」となっ
ています。拉致被害者を返すことについては肯定的でない報道解説が多かった。
しかし、その解説は朝鮮語を正しく読んでいない。

 直訳すると、「解決済みの拉致問題を障害物としてのみ置かない限り、両国が
親しくなれない理由がなく、首相が平壌を訪問する日もあり得るだろう」となり
ます。「障害物としてのみ」の「のみ」が曲者です。「障害物として置かないな
ら」とした方が文章としてはきれいです。

 日本語と朝鮮語は語順がまったく同じです。そして、「のみ」とあるので、障
害物とは別の物として置けばいいのか。障害物という位置づけで置かなければい
いわけです。「拉致問題を未来のための交渉材料として置けばいいのか」という
解釈ができる文章になっています。

 わざわざ「のみ」としたのは、何かそこに意味があるわけです。ところが日本
のテレビ局は、「既に解決された拉致問題を両国関係の障害物としないのであれ
ば」と報道してしまった。どの新聞も同じように報道しています。どれも「のみ」
を報道していない。

 ラジオプレスは「のみ」を「さえ」と訳した。しかも「障害物としてのみ置か
ない限り」を、「置くことさえ」と「置くこと」の後ろに「さえ」をつけた。ラ
ジオプレスが北朝鮮の発言をすぐ翻訳して、マスコミに回すのですが、マスコミ
は字数を減らしますから、「さえ」も取って報道した。

 北朝鮮の「朝鮮中央通信」は、日本語のサイトもあります。これをチェックし
たら、「障害物としてさえ据えなければ」とあります。私の直訳の「障害物とし
てのみ置かない限り」とほぼ同じ内容です。

 ところが3、4日経ったらそれを変えて、「障害物として置かなければ」に変
えた。なぜかは分かりません。日本の報道を見て変えたのか。しかし、金正恩と
関係幹部がここに「のみ」を付けろと命令したのは事実です。意図があるんです。

 そして最後に、「これは私の個人的意見だが」として、「拉致は解決済み」と
書いている。拉致が個人的意見の範囲に入るだろうかと思ってしまいたくなりま
す。とにかく、この談話で「岸田首相」とか「首相」と5回言及しています。衆
議院予算委員会での首相の発言まで引用しています。

 それを今出すのは日本に関心があるからです。北朝鮮が関心を示してきたのは
一昨年10月から始まったことです。拉致問題と核問題を切り離す岸田首相の新
しい方針転換に北朝鮮が乗ってきたということが言えます。

(4につづく)


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