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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

2024年の国際情勢と拉致問題4(2024/02/07)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2024.02.07)

■2024年の国際情勢と拉致問題4

◆北朝鮮は言葉では攻撃しても、実際には戦術核ミサイルは撃てない

古森 西岡さんの話で面白いと思ったのは、今までお父さん、おじいさんがやっ
てきたことに反旗をひるがえし、韓国は同じ民族じゃないという判断は、これま
でよりもずっと敵視していくということなんでしょうか。

西岡 太永浩(テ・ヨンホ)さんという脱北者出身の国会議員が、12月にも東
京に来てくれましたが、1月にも来ました。そのことを議論したのですが、「北
朝鮮は韓国を砲撃する戦術核ミサイルを実戦配備」したそうです。

 同族と言っていると使いにくい。人民軍の担当者もボタンを押していいんだろ
うか、と思ってしまう。核ミサイルを撃ったら資本家や人民も死ぬ。外国だから
いいんだ、ということもある。

 つまり今まで、「敵はアメリカであり、アメリカの手先の独裁政権だ」と言っ
ていたのですが、今回は韓国全体を敵として、「容赦しない」と言っていること
は確かです。しかし、尹錫悦政権が、「報復する」と言っているから、売り言葉
に買い言葉として言っているのであって、実際に行動することはできないのでは
ないか。独裁者は自分の安全を一番に考えますから。

古森 もし、北朝鮮が韓国に対して核兵器を使った場合、これまでのアメリカと
韓国との同盟関係においては、アメリカは「必ず核で報復する」と言っている。
だかし、しないかもしれないけれども、するかもしれない。そういうリスクを金
正恩は冒すでしょうか。

西岡 冒せないと思いますね。米韓は、北朝鮮が核攻撃した時どう反撃するかの
シミュレーションもしています。図上演習もしています。

 バイデン大統領も、前大統領も、韓国の国防部も繰り返し言っていますが、
「核を使ったら北朝鮮の政権はなくなる」と言っています。「政権はなくなる」
と言ったら去年、北朝鮮の人民が喜んで、「政権をなくしてくれるのか」(笑い)
と。

 金与正(キム・ヨジョン)がその演説に対して反論し、北朝鮮の「朝鮮中央テ
レビ」でも放送をしたら、逆反応が出て、「政権をなくしてくれるのか」と。

 だから金正恩が、「アメリカが核を使うかもしれない」と思っている間はやら
ないと思いますし、それだけじゃなく先ほど久保田さんが言った「斬首作戦」で
すね。金正恩がいる所を察知して、そこにピンポイントで地中貫通ミサイルを撃
つ。そちらの方が恐いんですね。

◆金正恩の大転換はアメリカ向けか

久保田 金正恩の大転換は、ウォッチしている我々にとっては驚天動地の政策転
換です。はっきり言って、1948年以来北朝鮮が作ってきた物を全部捨てるほ
どの大きなことで、どう解説すればいいか、今色々な意見があり、何が本当かま
だ分からないのが実情です。

 これから北朝鮮の内部で何が起きているかの情報も入ってくるし、少しずつ背
景が見えてくると思います。ただ、私たちが思うのは、このことをするというこ
とは、背水の陣しか考えられないですよね。それをせずに今までやってきたわけ
ですから。

 それはどちらに向いた背水の陣なのか。気になるのは、どうして今なのか、と
いうことです。それには何らかの理由があるのではないか。西岡さんは、国内の
韓国に対する国民感情がここまで高くなったから、「それが今だった」と思うこ
ともできる。

 しかし今年はアメリカの大統領選挙がある。「トランプが勝つ」と言われてい
る。トランプと金正恩は3回会っている。史上初めての米朝首脳会談をやった仲
です。未だにトランプは金正恩を否定していない。軍事的圧力を最初に強調し、
会った後は結構仲良くやっていました。

 つぶすことができるということを背景にして会っているわけですが、トランプ
さんの普通の政治姿勢と違う側面を金正恩が見ている。「あのトランプだったら
ディール(取引)ができるのではないか」と踏んでいる面があると思います。

 それがどういう風に統一政策否定と結びつくのか。まだ結論はでていないので
すが、何かアメリカに対するサインじゃないかと、直感的にするんです。それが
吉と出るか凶と出るか、普通なら凶ですが、今年の、当面の最大のテーマになる
と思っています。

◆民主党びいきのメディアが揚げ足をとる記事を書く

西岡 トランプになったら対北政策はどうなるでしょう。

古森 一般に言われているのは、例えばトランプが金正恩と会って、後で「なか
なかいい男だ」と言ったそうです。とすると、トランプ政権の政策は、金正恩の
やることを認めている、という見方が多いわけです。

 これは間違っている。やはり政策があって、トランプは色々なことを言う人で
すから、「プーチンはいい男だ」とか、「習近平はいい男だ」と言うんですが、
決してロシアや中国の政策を認めているわけではなく、国家安全保障戦略とか国
家防衛戦略がきちんとあって、「中国とロシアはアメリカの最大の脅威だ」とき
ちんと書いているわけです。

 日本側に伝わってくる情報は、アメリカでもそうですが、民主党びいきのメディ
ア、「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」、「CNNニュース」が、
トランプのそういう言動に対してずっと報道しているわけです。

 断片的なことを取り上げて大きく報道する。ついこの間も、原爆投下について、
「あれはいいことじゃなかったけれど」と言ったことについて、あれがいいこと
だったのか、悪いことだったのかと揚げ足をとろうと待ち構えているわけです。
だから、断片的なトランプ言動報道には気を付けるべきだと、私は思います。

 もう一つ。「トランプは在韓米軍撤退をしたかったんだ」と言うけれども、こ
れは「条約にきちんと書いてあるので動かさない」、と書いてあり、「動かすと
きは議会の承認が必要だ」ということまで書いています。

 文在寅(ムン・ジェイン)さんは、トランプさんが大嫌いでした。これは政策
と人間性と両方です。文在寅さんがホワイトハウスに来た時に、「とにかく1対
1の会談だけは絶対嫌だ」とトランプは抵抗しましたが、「でも一応会うよ」と
2分間だけ会いました。その内1分は通訳ですから(笑)。あとは10数人で会っ
た。

 そうすると、「文在寅が嫌いだから韓国との同盟はやめてしまうんだ」という
記事がすごく多いんです。

◆今北朝鮮は核実験をしていない

西岡 北朝鮮側が、トランプ政権の時よりバイデン政権の時に多くミサイルを発
射していますが、核実験はしていない。トランプ政権の時にやった3回目の実験
は広島に落とされた核爆弾の10倍の威力でした。

古森 2017年の9月にしましたが、それ以来ピタッと止めています。

西岡 バイデン政権になって戦術核の実験をした筈なのにしていない。その理由
を聞いたところ、「トランプ大統領が当選する可能性がゼロだとすれば核実験を
する」と。つまり、「俺とトランプは約束をしたんだ」と。ICBMの実験と核
実験は止めると約束したのです。ICBMの約束は破棄して今やっていますが、
核実験だけは残っていて、トランプと会った時に、「俺はあなたとの約束を守っ
た」と言いたいのだと思います。そして何らかのディールをしたいと金正恩氏が
思っているのは事実です。

 その一つの根拠は「ニューヨークタイムズ」や「ワシントンポスト」が書いた
ことが報告されているでしょう。そういうことも含めて今は核実験をしていない。

 だからといって、トランプ政権になった場合金正恩が一息つくかといえば、そ
んなことはない。トランプがやったことは、「核をやめないとすべての手段を使っ
て軍事的に圧力をかける」と言ったことです。

 「核を止めると豊かな国になる」と言ったけれど、「俺は支援しない」とも言っ
た。だから日本の魅力はなくならないだろうと思います。トランプ政権になった
場合、もう一度核問題で話し合いをしたり、トランプ側が圧力をかけるようになっ
たら、「日本の政権ともう一度拉致問題をやろう。そうでないと日本側はお金を
出さない」と言うべきだと思います。

◆金正恩政権の「終わりの始まり」になるのか

久保田 これだけの大転換をして、「韓国は敵だ」と言って、それが北朝鮮の中
で広がった時に、首脳レベルは取り合えず従うでしょうが、韓国にあこがれを持っ
ていた人たちがどんな動きをすると思いますか。

西岡 まだ保衛部などの統制は効いていますから、隠れて反体制事件をやってい
るとの報告は上がってきていますが、大規模なデモをするとかそういうことでは
ないので今のところは小康状態です。またビラがまかれるとか、もしかしたら朝
起きてみたら銅像が壊されていたというようなことは起きるかもしれません。壊
していいということになりましたからね。

 金日成が統一のことを言ったことに関する石碑は他にもあります。板門店にも
あります。銅像や石碑を壊しても政治的に安全ということになるのか、混乱が起
きますよね。保衛部も取り締まっていいのか分からなくなる。「金日成主席の方
針は間違っていた」と言えばたいほするのか。そうなると金正恩も捕まえなけれ
ばならなくなる。

 末端も含めて、どうするのかということについて疑心暗鬼になっていて、内心
は何なのか疑うことになってくるでしょう。分かりませんが、金正恩政権あるい
は三代世襲政権の「終わりの始まり」になるのか。自分が、「白頭山の家系」を
否定してしまったのですから。1月15日にこの演説があったばかりで、まだど
うなるか分からないですね。

 分析のレベルでも情報のレベルでも、もっと叡智を絞るべきだと思います。何
が起きているか、そしてどう対応するかを考えなければならないと思います。直
感的にはいい方向ではないか、と思っています。

◆アメリカにおける日本人拉致問題

古森 拉致問題解決への期待という意味では、北朝鮮の政権が揺らげば揺らぐほ
ど、困れば困るほどいいですね。安定してこのままなら何も起きないわけですか
ら。そこに期待をかけたいですね。

 もう一つ。アメリカの議会の動向を付け加えたいと思います。アメリカの中で
も、今北朝鮮問題について関心が低いという全体の動きの中でも、人道・ヒュー
マニズムの観点から、北朝鮮がまれにみるひどいことをやっている政権だという
ことで、超党派でいくつか関心が出ています。

 例えばクリス・スミスという下院議員(共和党)がいて、この人は人道問題を
30年、40年と長くやっています。中国の人権問題、北朝鮮の人権問題等で、
下院外交委員会を主体として活動しています。北朝鮮の人権弾圧の中に、日本人
拉致も含めています。

 マルコ・ルビオという有名な上院議員(共和党)が、上院外交委員会に法案を
出して、北朝鮮の人権弾圧に関して新たな制裁を加えるというものです。まだ出
したばかりですが、これにも日本人拉致が書いてあります。

 さらにヒューマン・ライツ・ウォッチ(Human Rights Watch)という民主党系
の民間団体がありますが、これも政府や議会に対して、ルビオも含めて活動して
います。やはり、日本人拉致問題を提起しています。先ほどのスミスやルビオの
例を見ても共和党系が人道問題に熱心ですが、民主党系の民間団体も活動してい
ます。

 アメリカでは、少数の事件でもワッと広がることがあります。家族会・救う会
はアメリカに何度も行っていますのでよく知っています。

久保田 アメリカの大統領選挙についてですが、このままトランプで決まりなの
か、どう見たらいいでしょうか。

◆次期大統領はトランプか

古森 ついこの間まで、日本では「トランプはもう負けた」、「とんでもない奴
だ。独裁者だ」という風潮でしたが、あっという間に、トランプが勝つことを前
提にして、第二次トランプ政権の特徴まで論じています。

 トランプが好きだからではなく、トランプの体現する政策に同調する人間がか
なりいます。「口止め料で起訴された」とか色々なことがありますが、やはり民
主党を倒すという決意がすごく強いんです。

 さかのぼれば、「ロシア疑惑」というのがありましたよね。(ロシアの情報機
関が民主党全国委員会のコンピューターシステムにサイバー攻撃を仕掛けた、ト
ランプが共謀した)ということでしたが、全くの嘘でした。そして今選挙をすれ
ばトランプが勝つでしょう。しかし、民主党の岩盤(支持層)の強さがあり、3
割くらいあります。必ず民主党に投票する層です。

 そして無党派層の中で、「トランプは嫌だ」という層があり、トランプがでて
くると、この両者が団結して活力を高めます。トランプは個性が強いですから、
日本でも「トランプ嫌悪症」があります。とにかくだめ、と。昔レーガンが出て
きた時、「映画俳優だからだめ」と言った人もたくさんいました。そういうトラ
ンプに対する偏見が日本にも浸透している。

 バイデンは、11月5日の選挙までもたないかもしれない。日々、出てくるた
びに衰えています。公衆の前での失態も多い。それは日本のマスコミにはでませ
んが、「ウォールストリートジャーナル」や「フォックステレビ」、ヨーロッパ
の「スカイTV」が報道する。

 例えば、「ウクライナの戦争」と言っている内に、いつの間にか「イランの戦
争」と言ったりする。死んだ下院議員に弔電を送ったのに、数週間後にその議員
の名前を呼んだりする。エアフォースワンに上っていく時転んだので、タラップ
の幅を狭くした。バイデンが勝つ見通しは極めて難しいと思います。しかし、岩
盤層があるから接戦にはなると思います。

◆韓国の人権活動家が北朝鮮に変化をもたらした

西岡 北朝鮮のこのような大変化は、韓国から情報が入ったからだと思います。
やったのは韓国政府ではなく、人権活動家です。「人権活動家は何もできていな
い」とよく言いますが、そんなことはない。苦しい中でラジオをやったり、ビラ
をまいたりしてきた結果、ここまできた。

 金与正が、「ビラは止めてくれ」と言ったのも、本当にダメージがあったから
だと思います。岸田総理に電報が来たのも、我々は北朝鮮がとても強くはね返さ
れるばかりだと思ってきましたが、向こうも人間の住む社会で弱みもあるわけで、
大きなことが起きている。

 韓国の人権活動家の人たちは、「次は人権を理由に制裁をかける運動をすべき
だ」と言っていました。「日本は拉致という人権問題で制裁をかけている。その
制裁をてこにして、北朝鮮が痛みを覚えたら、制裁を止めてやることが交渉の手
段になる」と。

 「韓国政府も人権活動をすると言っていますが、人権を理由に制裁をかけると
ころまではいっていない。それを次の目標にすべきではないか」。「人権問題は
待ってはいられない。返せ、というのは自由統一しかないかもしれないが」と。

 我々は、帰国が優先で、真相究明や実行犯の引き渡しは後でいいと言っていま
すが、まず生きている人を取り戻すことです。今制裁をかけていますが、人道支
援をしないというのも一つの制裁です。

 韓国の人権活動家の人たちは、北朝鮮で飢えている人をどう救うかの戦略も色
々考えています。私は、ソウルの仲間たちに、「自信を持て」と言っています。
大きなことが今北朝鮮で起きている。日本に電報もきた。その背景にはアメリカ
の対北圧力があった。今年いい方向での変化が起きてほしいし、起こさなければ
ならないと強く思っています。

 以上

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■岸田首相にメール・葉書を
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下記をクリックして、ご意見を送ってください。
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