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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

訪米報告2(2023/05/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.05.17-2)

■訪米報告2

◆成果があった訪米

島田洋一(救う会副会長)

 本質的な問題については今拓也さんが話されましたので、面会した人々がどう
いう人なのか、一部ですが日程に添ってお話しします。

 今回はバイデン政権でしたから、面会した政府関係者は全員民主党員です。従っ
て、議会や民間で会った人たちは共和党系の人たちでした。その双方に我々の認
識を伝えたいと思ったわけです。

■フレッド・フライツ米第一政策研究所副所長

 私と西岡さんは一日早く行った理由は、アメリカ・ファースト・ポリシー・イ
ンスティテュート(第一政策研究所)を訪れるのが目的でした。ここはトランプ
氏の事実上の選挙対策本部、特に政策面の選対本部です。トランプ氏も時々訪れ
る所です。

 フレッド・フライツ氏(副所長)は私の旧知の友人ですが、元CIAの分析官
で、トランプ大統領政権の時にはNSC(国家安全保障会議)の事務局長です。
彼は再びトランプ政権になった場合は、安全保障担当補佐官、あるいはCIA長
官になると思います。非常に重要な人物です。

 この研究所でフライツ氏が紹介してくれて、キース・ケロット氏にも会いまし
た。彼は軍人出身ですが、トランプ氏の側近としてよく出てきますが、彼は軍事
問題でのアドバイザーのトップです。フライツ氏は情報面でのアドバイザーのトッ
プです。

 彼らに対して拉致問題の現状を打ち込んで、また彼らからアメリカの政治の現
状、外交等について聞きました。

◆カート・キャンベルNSCインド・太平洋調整官

 次にカート・キャンベル氏。彼はホワイトハウスにいて、バイデン大統領に極
めて近い所にいる人で、NSCのインド・太平洋調整官です。バイデン政権になっ
て新たに設けられたポジションですが、国際調整政策に関して彼は仕切り役をし
ています。

 オバマ政権の時は国務次官補でした。北朝鮮に対して対話を盛んに呼びかけて
いた人で、人道支援をするから出て来いと言ってきたのですが、一切応答がない
と言っていました。このことはウェンディ・シャーマン国務副長官も強調してい
ました。

 カート・キャンベル氏は、「中国が唯一北朝鮮に影響力を持っている国だから
拉致問題では中国に働きかけるのがいいのじゃないか」と言っていました。私は
これは間違いだと思っていますが、キャンベル氏自身の意思がかかった言葉だと
思います。彼ははっきりと「親中派」です。

 バイデン政権で「親中派」は、ジョン・ケリー気候変動問題大統領特使、カー
ト・キャンベルインド・太平洋調整官だと思います。中国に対し色々協力する中
心人物です。枢要なポジションにいる人ですから、拉致問題の現状について知ら
せることができたのは大きな成果だと思います。またこちらから釘をさすような
ことも言って、変な妥協をしないようにということも言いました。

◆ブライアン・ネルソン財務次官

 ブライアン・ネルソン財務次官は黒人で、オバマ大統領に少し雰囲気が似た人
で、彼は民主党の世界において将来ものすごく期待されている一人で、今後相当
出世する人物だと思いますが、彼はテロ・金融犯罪担当で、北朝鮮に金融制裁を
かける上でかなめの位置にいる人物です。

 彼に対し、「最近中国の金融機関が北朝鮮を助けているような事例はないか」
と聞いたところ、「それはある」と。我々が会った前の週ですが、「仮想通貨を
政府発行のドル等に換えるような一種の資金洗浄を中国がやっているのを発見し
て、それに対処した」と言っていました。「今後も取締りを進める」と言ってい
ましたので、ここは日本政府も連携してますます金融面の締め付けをやってほし
いと思います。

◆テッド・クルーズ上院議員

 議員の中ではテッド・クルーズ上院議員ですが、彼に会ったのは最も古くから
でした。彼は共和党のテキサス選出ですが、一度大統領選挙に出たくらいの人で、
現在52歳。将来、共和党の大統領候補の一人です。彼は今のアメリカ議会にお
いて最も発信力がある議員で、ものすごく話すのがうまく、パンチがきいている。
テレビでもインタビューされて、毎日のように出てきます。

 彼は、「10秒で話してくれ」と言われたら、10秒の中でうまくポイントを
押さえた発言をしますし、「20秒」と言われれば、その20秒でうまく起承転
結をつけて話します。

 先ほど述べた、フレッド・ライツやキース・ケロットも、「テッド・クルーズ
はすばらしい。彼に情報を入れておくと、色々なところで話し、北朝鮮が話題に
なるとそれも話すかもしれないし、一番発信力がある」と言います。

 彼の両親はキューバ難民で、もともとの名前はテッドではなくスペイン系の名
前です。そういう経歴の人なので、「かつて自分のお父さんもキューバでひどい
拷問を受けた。だから北朝鮮による拉致問題は決して他人事ではなく、個人的な
経験とビビッドに響き合う」と言っていました。

 「拉致問題でも大いに働きたい」ということで、彼は上院外交委員会の主要メ
ンバーですから、「拉致問題は北朝鮮による人権問題だから、公聴会をやってく
れないか」という依頼をしました。上院は民主党が多数はなので、公聴会の仁川
とか、やるかやらないかは委員長に権限があります。

 だから、「確約はできないけどやってみる」と言ってくれました。公聴会につ
いては現地の日本大使館が引き続き努力してくれるということで、実現すれば大
きいですね。下院ではかつて横田早紀江さん、そして私も少し話したことがあり
ますが、上院は初めてということになります。そして彼がいつも拉致問題につい
て発信してくれるとインパクトがあると思います。

◆ウェンディ・シャーマン国務副長官

 次にウェンディ・シャーマン国務副長官、彼女は73歳で事実上国務省の主み
たいな人です。国務長官はブリンケン氏ですが、国務長官はしょっちゅう外国に
行きますが、副長官は国務省の中でにらみをきかせている。周りの人も結構ピリ
ピリしていました。

 彼女に対しては、北朝鮮がアメリカの対話呼びかけに応じてこない理由をどう
分析しているか聞きました。すると、「それはバイデン政権に欠陥があるからで
はなく、金正恩がすべて自分のペースでやっているし、最終的には独裁者金正恩
が何を考えているかは分からない」と。

◆クリンテンブルグ国務次官補

 クリンテンブルグ国務次官補ですが、国務次官補は日本の外務省で言うと局長
級かその少し上くらのポジションで、実際に米朝協議になったりした場合に、通
常この国務次官補、アシスタント・セクレタリーと言いますが、ここのポジショ
ンにいる人が実務交渉の仕切り役になります。かつてクリストファー・ヒルがこ
の立場でした。

 クリンテンブルグ氏には、中国の北朝鮮に対する影響力をどのように分析して
いるか聞きました。彼の答はカート・キャンベル氏と違って正しい分析だと思っ
たのですが、「中国はそれほど北朝鮮に影響力を持っていないと思う。但し中国
が日米にとって役に立つ意味で北朝鮮に影響力を行使したのは見たこともない」
と。

 中国・ロシアは北朝鮮体制を支える決心をしている。従って大量に食糧支援を
してきたので、その分我々の制裁の効果が薄れる。そういうことをしないように、
こちらからプレッシャーをかけなければいけないと思います。

◆ジュン・パク国務次官補代理(北朝鮮特別代表代理)

 クリンテンブルグ氏と一緒に出てきた、ジュン・パク国務次官補代理(北朝鮮
特別代表代理)ですが、彼女は韓国系の人ですがしっかりした人です。なお上司
のソン・キム北朝鮮特別代表は、トランプ政権の時に米朝交渉の実務をやった人
です。しかし、ソン・キム氏はインドネシア大使を兼任していて通常ワシントン
にいない。

 ワシントンにいて北朝鮮と対話の道筋をつけられないかと色々やっているのが
ジュン・パク氏です。彼女が言っていましたが、「自分の名前で北朝鮮側に手紙
を書いて直接、間接に呼びかけをしたけれど、全然応答がない」と。

 しかし今後、米朝の接触が行われる場合、最初の窓口になるのが彼女です。や
はり彼女とのルートが今回しっかりできたことは大きな成果で、今後とも提携し
ていければと思っています。

◆ニック・エバースタットAEI上級研究員

 最後に、ニック・エバースタットAEI上級研究員と面会しました。彼は民間の
シンクタンクにいて私が昔から知っている人物ですが、彼と今回会った理由は、
北朝鮮とアメリカとの政府間の公式交渉のことをファースト・トラックと言いま
すが、セカンド・トラックという交渉もよく行われています。

 これには北朝鮮側の当局者が出てきますが、様々な理由で北朝鮮が政府の当局
者との交渉の場面は作りたくないという場合に、アメリカ側は民間の肩書きの人
物を出します。もちろんアメリカ政府に近い関係のある人を選んで出すわけです
が、セカンド・トラックでアメリカ側の代表団で常に中心的役割を果たしてきた
のがエバースタット氏です。

 彼は北朝鮮問題の専門家で、人口問題の専門家でもあります。彼に横田拓也さ
んから拉致問題の現状や我々の方針を話してもらって、その後、北朝鮮が全くア
メリカ側の呼びかけに応じてこない理由を聞いたところ、「トランプ時代に首脳
会談を3回やりました。最後は板門店でやりました。

 その内本格的な会談は2回で、ベトナムのハノイが2回目(2019年)。ハノイ
を選んだ理由は、ベトナムはかつてアメリカと戦争をして最悪の関係になったけ
れども、その後アメリカと国交回復したおかげでどんどん経済が発展した。北朝
鮮もベトナムをめざせよという意味でした。

◆ハノイの会談が決裂した理由

 ハノイの会談は決裂しました。トランプ氏の側が席を蹴った。金正恩氏は、エ
バースタット氏の言葉を使えば、「北朝鮮における生き神様」という存在ですが、
その生き神様が自分からベトナムまで行ってアメリカの大統領と会う。いい加減
老人のトランプを手玉に取れる筈だと思っていたわけです。

 実際ハノイで米朝協議が行われた当日、下院では民主党主導で公聴会が行われ
ていて、トランプ氏の顧問弁護士が出ていて、トランプ氏が関わるスキャンダル
について質問を受けたその当日だった。「だからトランプは国内問題で傷ついて
いる。だから外交問題で北朝鮮との交渉が進めば、外面的な成果をほしがるだろ
う」と。

 トランプ氏はスキャンダルなんか気にしないのです。金正恩氏が米朝の事前の
実務者協議において、たたき台的なプロセスとして、「北朝鮮が寧辺(ヨンビョ
ン)の核施設は全部廃棄する。その代わり一定程度制裁を緩和してほしい」とい
う方向で進めていこうとしたのです。

 しかし、寧辺以外にも北朝鮮が核施設を持っているという情報をアメリカは持っ
ていた。金正恩は、「寧辺の核施設のすべては廃棄しない。アメリカは制裁はす
べて解除してほしい」という取引をトランプに打ち出した。

 それについては、ポンペイオ氏(元米国務長官)が回顧録に書いていますが、
側近がアドバイスする必要もなく、トランプ氏がすぐに、「話にならない」と。
「そういう態度ならもう会談は終わり」と言ったのです。そうしたら、エバース
タット氏も言っていましたが、金正恩が「ええっ」と驚いた顔をしたそうです。

 それを実務協議を担当していた金英哲(キム・ヨンチョル)が見て、「どうなっ
ているんだ、これは」という顔をしたそうです。つまり、トランプは降りてくる
というアドバイスを側近が入れていたのです。ところがトランプからはねられて、
金正恩がショックを受けた。

 そういうことで、トランプを手玉に取る筈だったのが逆に、血相を変えて終わっ
た。北朝鮮にとってはものすごいショックでした。二度とああいうことがあって
はならないということで、非常に米朝協議に慎重になっているのではないかとエ
バースタット氏は言っていました。

 また側近がもう1回提案して、うまくいかなかったら粛清されますから、提案
も出ない。エバースタット氏は、今後セカンド・トラックで交渉をする時に中心
になると思います。政府間で交渉をやることになったら、ジュン・パク氏がやる
でしょう。こういう人たちとの関係が強化できたということは大きな成果だった
と思います。以上です(拍手)。

(3につづく)


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