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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

米大統領選挙と拉致問題−東京連続集会報告2(2020/11/25)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2020.11.25)

■米大統領選挙と拉致問題−東京連続集会報告2

◆大統領選は勝ったが、極左のせいで下院で議席を減らし上院は共和党優位に

島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)

 来年1月20日から、ジョー・バイデン政権誕生の可能性が高いわけで、それ
を前提にどういう問題点があるか考えてみたいと思います。

 バイデンが勝利したのですが、民主党の方はあまり高揚感が感じられないので
す。というのは、多分上院は共和党が多数を維持する。あと2議席決まっていな
いのですが。下院は10議席以上民主党が議席を減らしました。

 後でお話ししますが、アレクサンドリア・オカシオコルテス下院議員を中心と
して、左翼議員が近年勢いを増していたんですが、下院で議席を減らした。特に
警察の資金を断てというのがスローガンで、これが中間的な有権者の反発をかな
り招いた。

 これは私が言っているのではなく、民主党の有力者が、「極左のせいで選挙に
負けた。連中の勢いをそがないといけない」と盛んに言っています。これもバイ
デン政権の外交・内政に影響してくると思います。

◆バイデン氏は立派な演説をするが、実行しない人

 ジョー・バイデンという人はどういう評価を受けてきた政治家か。よく言われ
ることは、「ジュージューと焼き音は聞こえるけれどもステーキが出てこない」
と。立派な演説をするのだけども、結果が出せない。決断力がない。これはずっ
と言われてきたことです。

 オバマ政権で同僚だったのが、ゲーツ国防長官で、回顧録に書いた文言が有名
です。「ジョーは過去40年間、あらゆる主要な外交安保政策について判断を誤っ
た人物」(笑)。これは選挙戦の終盤にゲーツがメディアからインタビューを受
けて、「あなたあの評価をかえるつもりはありますか」、ゲーツは「ありません」
と応えていましたね。

 もう一つだけ挙げれば、ロナルド・レーガン大統領、ソ連崩壊に最も力を尽く
した人ですが、レーガンの日記の中に、バイデンを厳しく批判した文章がありま
す。当時バイデンは上院議員ですが、いちばんきつい言い方で、「バイデンとい
う男は弁舌さわやかだけれども、純粋なデマゴーグでレーガンドクトリンを覆す
ために立ち上がった男だ」と言っている。

 これは1987年ですが、バイデンは1回目の大統領選挙に挑戦していたので
すが、バイデンによれば、「レーガンがめざすようなソ連崩壊というのはありえ
ない。ありえないことをめざして圧力を強めるということは、とんでもない愚か
なやり方だ。ソ連は半永久的に続く」と。「常識に基づいて平和共存していかな
ければいけない。危険なレーガンに参加すべきでない」と。それから数年後にソ
連が崩壊した。

 今回、大統領候補討論会が2回ありましたが、2回目に北朝鮮問題が取り上げ
られて、そこで言っていることはバイデンの方が立派なんです。都合3回、金正
恩のことを「悪党」と呼びました。「トランプは親しい友達らしいけど、あれは
悪党で、トランプの時代に北朝鮮の核・ミサイル技術は一層向上し、よりアメリ
カにとって都合の悪いことになった。大失敗だ」と。

◆対北朝鮮制裁を実行したオバマ政権のようになれば悪くない

 言うことは立派なんですが、問題は実行です。バイデンはオバマ政権の副大統
領だった。オバマ政権は2009年1月に発足しました。当時は、これは私もよ
く知っているんですが、「食糧援助をテコにして、米朝交渉を始めたい」と動い
ていました。

 ところが政権発足から3か月後、北朝鮮がテポドン2号の発射実験をした。そ
の1か月後に、2度目の核実験を北朝鮮がやった。そこでオバマ政権は、「アメ
リカ側から話し合いを求めることはもうできない」となった。北朝鮮のおかげで
というか、北朝鮮の行為によって米朝協議を持ちかけることができなくなった。

 その1か月後、2009年6月に、アメリカが中心になって国連で動いて、安
保理決議1874号の制裁決議を通しました。現在の制裁から見ればまだ低いレ
ベルですが。

 その後、武器を運搬している疑惑のある北朝鮮船舶について貨物検査を行うこ
とになった。北朝鮮が拒否した場合、武力を使ってまでやるとは書いていない。
その決議を利用して、早速7月頃から、アメリカが実行しています。

 具体的に言うと、ミャンマーに北朝鮮がかなりのミサイル部品を積んで船を入
港させようとしていた。それにアメリカの軍艦が追い付いた。結局ミャンマーへ
の入港を断念して、北朝鮮が、本国の港に帰ると言ったことがありました。こう
したこともオバマ政権は結構実行しているのです。

 従ってオバマ政権の第2バージョンになるかもしれないバイデン政権が、北朝
鮮と交渉はしない、と。ただ、制裁の抜け穴を塞ぐような、オバマ政権がある程
度やったことを実行するという方向にいけば、さほど悪くはないと思います。

◆対北融和派が対北政策を担当する可能性

 問題は、バイデンが交渉によって北朝鮮の核・ミサイルの削減を実現したいと
思って動き出したら危ない。バイデンの周りの人間はみんな段階的に一歩一歩非
核化を実現すべき、と。つまりこれは北朝鮮が言っていることです。

 例えばまず、核施設の一部を凍結する。それに対して制裁の一部解除。それを
積み重ねるということです。これはまさに騙されるパターンです。

 バイデン氏は上院外交委員長だった頃、北朝鮮問題担当の補佐官は上院外交委
員会のスタッフでもあるんですが、委員長の事実上の補佐官の役割をします。こ
の人がフランク・ジャヌージ氏という人物がいて、私も7、8回色々な所で議論
したことがあるんですが、現在マンスフィールド財団の理事長をやっています。

 彼は「北朝鮮の人権侵害は許せない」と言うんですが、こちらが「じゃあ制裁
強化を」と言うと、「それは間違っている。交渉は一歩、一歩誤解を解きながら
協議を進めていかなければならない」というようなことを言って、宥和的な立場
を守ることについてはかたくなです。

 このジャヌージという人物が北朝鮮との交渉に携わるようになると、非常に危
ない。こちらも何回も会って面識やルートはありますので、「会ってくれ」と言
えば断ることはないと思います。起用されるかどうか分かりませんが、今から要
注意です。

 駐米日本大使館が早く接触して、拉致に関する日本の立場をしっかり打ち込ん
でおかなければならない。そういうポイント・マンの一人です。

 一番危ないのが、スーザン・ライス氏が国務長官候補に上がっていることです。
彼女はオバマ政権の時の国連大使を務め、その後オバマ氏が国務長官に指名しよ
うとしたのですが、色々な問題があり、上院の承認がいるのですが共和党の反対
もあり、断念して、国家安全保障問題担当大統領補佐官に起用しました。

 オバマ自身、このスーザン・ライスを起用したのは、黒人であり女性であるか
らで、政権に多様性をもたらしたいと、政権のイメージ戦略の面が強かったので
す。もちろん黒人女性には立派な人たちがたくさんいますが、実力のある黒人女
性ならどんどん起用すべきですが、このスーザン・ライスという人はクリントン
政権で国務長官を務めたマデレーン・オルブライトとライスのお母さんが親友と
いうこともあって、オルブライトが国務長官の時にスーザン・ライスはまだ30
代だったのですが、アフリカ担当の国務次官補に起用した。大抜擢です。

 しかし、はっきり言って実力がついていかない感があった。具体的に言うと、
彼女がオバマ政権の時の安保補佐官の時、「北朝鮮の核保有は絶対に認めない」
と繰り返し言っていたんです。ところがトランプ政権になって、「北朝鮮を核保
有国として認めるべき。認めた上で平和共存を図るべき」と。

 だから定見がない。言っていることが信用できないタイプです。もともときと
んと物を考えていないから変わるわけです。北朝鮮の核問題に関する彼女の言説
は非常にドラマティックで問題です。

 従って、スーザン・ライス国務長官で、フランク・ジャヌージが北朝鮮交渉を
担当することになると、日本にとっては最も危ない、一言でいえば、「拉致問題
の解決が遠のいて核問題でも騙される」ことになります。ちょうどブッシュ政権
末期に、コンドリーサ・ライス国務長官とクリストファー・ヒル国務次官補のコ
ンビが同じパターンで騙されたわけですが、その第2幕を演じかねない。

 ブッシュ政権の時は、ディック・チェイニーという立派な副大統領がいました
ので、彼がかなりブレーキをかけていたのです。チェイニーは回顧録に書いてい
るんですが、「北朝鮮に対して制裁を解除したら、拉致問題を重視する日本との
信頼関係が壊れる。だからだめだ」と。

 ところが当時の福田康夫首相が北朝鮮にたぶらかされて、調査委員会設置と引
き換えに、かなりの制裁を解除した。それでチェーニーは、はしごをはずされて
しまった。そしてライス、ヒルが、「日本自身が制裁を緩和したじゃないか。だ
からアメリカが解除しても日本から文句は言われないでしょう」と。それでチェ
イニーがせっかくかけた制裁をかけられなくなった。

◆副大統領は党内で指示が低い

 バイデン政権に関しては、チェイニーよりしっかりした人が政権幹部になると
は考えられない。副大統領になるのはカマラ・ハリスで、彼女は民主党の中でも
全然人望がない。彼女は大統領予備選に出ようとしたことがあります。ところが
民主党員の支持率は3%くらいでした。

 彼女はカメレオン左翼と言われていますが、極左に迎合するようなことを言っ
ては資金提供者である中間派の人々から怒られて、中間派寄りのことを言い始め
る。すると極左から、「言ってることが違うじゃないか」と言われる。極左と中
間派の間をころころと動いて、それで両方から信用をなくして支持率が3%くら
いで低迷しているのです。

 予備選になる前の段階、去年の12月の段階で撤退を余儀なくした。彼女は黒
人女性議員ですが、バイデン政権の売り物になるかというと、民主党黒人有権者
の支持率は5%前後です。同じ支持率でバイデンは40%以上です。従って彼女
は黒人の間でも信用されていない。

◆アーミテージとナイのグループが政権に入れは期待も

 その理由については長くなるので省きますが、今回うまくいけば期待できるポ
イントとして、我々がよく知っているリチャード・アーミテージ(元国務副長官)
氏。彼は、「トランプ氏は支持できない。バイデンを支持する」と明言していま
した。

 実はアーミテージ内グループと言われるものがあって、共和党系のアーミテー
ジ氏がボスでマイケル・グリーン(元戦略国際問題研究所〈CSIS〉日本部長、現
副理事長)氏等がそのグループです。一方、(ジョセフ・)ナイという民主党系
で国防問題に関わった人ですが、その下にオバマ政権で(カート・)キャンベル
という国防問題に関わった人がいます。

 この2つのグループは普段から連絡をとっていて、グリーンとキャンベルなど
は本当に仲がよくて別の党の人間とは思えないのですが、どちらが大統領になっ
ても自分たちが東アジア情勢を動かしていこうという、いわゆる外交エスタブリッ
シュです。

 彼らはトランプ時代は完全に外されていました。バイデンになれば自分たちが
仕切られるという期待をアーミテージさん等は持っています。そうなるとベター
だと思いますが、権力闘争はどうなるか分かりません。

 最後に一言。バイデン政権は基本的にばらまき福祉を約束しているし、エネル
ギー問題でも再生可能エネルギーだけでやっていこうとしていて、石炭、石油、
天然ガス等は20年以内に使わないようにする、と。家具なども全部電化するよ
うな約束をしています。

 これを実行しようとしたら、これらに財政資源が使われてしまって、軍事費を
大幅に減らす以外ないんです。そういう意味でも、軍事的なプレッシャーが北朝
鮮に対して弱まる可能性もあります。財政面だけから考えても十分懸念されます。

(3につづく)


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