救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

東京連続集会4(2025/08/08)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.08.08)

◆「不可逆的な核保有国になった」と北朝鮮

西岡 国際情勢の話になったので私が冒頭で言った2つ目のこと、北朝鮮が困っ
て日本に接近せざるを得なくなっているかについて話します。

 中国の台頭に対してアメリカは日本を必要としているという指摘が江崎さんか
らありましたが、実はこのところ二日連続で金与正副部長が談話を出しています。
27日の談話は、「韓国とは一切交渉しない」という内容でしたが、28日はア
メリカに対する談話で、「わが国家元首とアメリカ大統領との関係が悪くないこ
とを支持する」と言いました。

 しかし、「朝米首脳間の個人的関係が非核化実現の目的と同じ線の上に置かれ
るようになるとしたらそれは相手に対する愚弄(ぐろう)だ」と。トランプと金
正恩の仲の良さを非核化の道具に使うなと言っています。北朝鮮も核保有国になっ
たのだ、と。

 ただ、専門家的に見ると、これは注目すべき表現です。「わが国家の不可逆的
な核保有国の地位とその能力」と。その前に2025年は2018年、19年と
は違うと、つまりトランプと会った時とは違い不可逆的な核保有国になったと言
いました。

◆ロシアに参戦「地政学的環境が根本的に変わった」

 その後、「地政学的環境が根本的に変わった」と。では2018年、19年と
2025年では、東アジアの地政学的環境がどう変わったのか。まだ断定的なこ
とは言えないかもしれませんが、2018年、19年に金正恩・トランプ首脳会
談がありました。その時金正恩は4回訪中しています。トランプ大統領に会う前
と会った後に、事前に相談し、事後に報告していました。

 習近平が最初に金正恩に会った時、「戦略的疎通関係」という言葉を使い、金
正恩はそれをボールペンで書いていました。驚きました。人の話をメモに取るこ
とは北朝鮮国内ではありえないことです。首領様です。でも金正恩がメモを取っ
ていた。習近平は3回くらい、「疎通関係」と言っていました。「ちゃんと報告
しろ、勝手にアメリカとやるなよ」という意味だと私は解釈しました。

 しかしウクライナ戦争への参戦、ロシアとの間の「戦略的パートナー条約」と
いう大きな戦略的決定をした時に中国に相談していない。そして今中朝関係が悪
い。去年と今年、北朝鮮に向かう中国の貨物船が、中国の公安に取り締まりを受
けて、荷物が全部差し押さえられました。

 その荷物は何かというと、「1号物資」と言われる、金正恩ファミリーが使う
贅沢品です。国連制裁違反なんですが、中国はこれまで大目に見ていました。し
かし、去年と今年は、北朝鮮の高官が慌てて飛んで行って、「これは1号物資で
す。大目に見てください」と言っても、押収した物資は競売にかけられました。
これは私の情報ではなく、韓国の新聞も書いています。

 2019年だと思いますが、金正恩が大連に行って習近平と一緒に大連のきれ
いな海岸を歩いた。その海岸に、二人の足跡が記念として残されていたのですが、
去年それにアスファルトを塗ってなくなりました。

 金与正は、「地政学的環境が根本的に変わった」と言いましたが、米大統領と
の個人的な関係は悪くない。トランプは中国をターゲットにして、包囲網を作ろ
うとしていると北京は見ているわけです。

 そういう中で、相談に来ない男が、「個人的には仲がいい」と言っている。平
壌と北京は近いんです。ミサイルの射程に入っているわけです。ICBMなんか要ら
ないわけです。韓国や日本に届く射程があれば十分です。

◆中朝貿易が激減

 貿易統計を見ると、2023年と2024年の、中国から北朝鮮への輸出は、
金額は増えていますが、内容は次の通りでした。

 北朝鮮の労働者が国連制裁で中国で働けなくなったこともあり、安い賃金の労
働者を使うために、北朝鮮に中国の工場主がかつら等を作っていました。北朝鮮
で作らせてそれを輸出していたのです。

 材料を北朝鮮に出して、製品を持って帰るので、貿易統計で2回カウントされ
ますので、そういうもので金額が増えていますが、米、とうもろこし、窒素肥料
等の統計を知人の中国の専門家に見てもらったら、2023年と2024年を比
べると、前年比マイナス90%、つまり10%に減っていました。

 今年1月から6月の統計が出たのですが、962万ドルでした。北朝鮮は中国
から米を約1,000万ドル買っていたのですが、今年1月から6月はたったの
43万ドルでした。また10分の1になっている。

 北朝鮮は食糧がなくて中国に無償援助を頼んでいるという情報がありました。
しかし、してくれない。貿易で9割減というのは、ある政治的意図が働かなけれ
ばありえない数字です。

 過去の統計も見てきましたが、コロナの時期に減ったことはありましたが、そ
れ以外こんな現象はありませんでした。

 今北朝鮮で米の値段が急騰しています。1キロ6000?7000ウォンだっ
たのが、今2倍の1万4000ウォンくらいです。こんなことはなかった。これ
までは中国から入ってきていた。そして金与正副部長が、「地政学的環境が変わっ
た」と言った。

 アメリカとの関係は変わっていません。今もトランプで、「仲がいい」と言っ
ているのですから。ロシアとはよくなった。そこでロシアとの関係がどうなって
いるかについて情報を得たので、「月刊WILL」に書いたものをお配りしまし
た。

◆ウクライナ派兵で約1万人死亡

 派兵数について韓国の情報機関は1万4千人と言っていますが、私が北朝鮮の
情報筋から聞いたのは、「3万5千人くらい出している」ということでした。な
んと、「死者が9千8百人、約1万人で、負傷者も1万人近い」ということでし
た。

 特に、参戦初期に大概死んでいます。ドローン攻撃に慣れていなかったという
こともあったようです。将軍も二人死んでいる。「イギリスが提供した巡航ミサ
イルで500人が死んだこともあった」と聞いています。

 報酬は兵士が1500ドル、下級将校が2000ドル、上級将校が4000ド
ルと聞きました。韓国の国情院は、月給は2000ドルくらいと言っていますの
で、だいたい同じです。

 死亡した場合は、兵士は2万ドル、将校は3万ドルから4万ドルの補償金をも
らう。最近ロシアはお金が無くなって、出し渋っているそうです。これらの外貨
は一切遺族には支払われない。全部金正恩のところに送る。

 最初は派兵も秘密でしたから、「訓練で死んだ」と言って、「栄(は)えある
朝鮮労働党党員になった」と言われていました。北朝鮮は徴兵で10年で、ほと
んど休暇がない。家族と会えない。訓練で亡くなる人もいるんです。徴兵される
と月給はもらえない。

 しかし、さすがに1万人近く死んでいるとなると、噂になって広まって、家族
会たちが、「家の息子はウクライナに行っていないだろうか」と必死です。情報
収集して賄賂を使って、派兵リストから外そうとすることが起きているそうです。

◆金正恩非難の落書きも

 これはここでも紹介しましたが、今年1月には平壌の主要な大学で、トイレに
反体制の落書きが書かれています。3月に入ると、大学だけではなく、平壌だけ
ではなく地方都市でもトイレや駅に落書きが書かれた。

 「自分の国を守るわけでもないのに、なぜ多くの若者がロシアに行き死んでい
るのか」、「その上死の代価を1銭も受け取っていない」、「これで何が最高司
令官か」と、金正恩を直接非難するような落書きもある。

 これはあってはならないことですから、国家保衛省の部員が白いペンキを持っ
て、見つけ次第それを塗るということをやっている。あまりも多いので追いつか
ない。

◆ロシア参戦したが経済は一息ついていない

 それで4月28日に、派兵を認めます。そして金正恩の言葉として、「平壌に
戦闘記念の碑を建てる」、「家族を優遇する」と言いましたが、しかしお金は出
ていない。優遇の内容は、残った弟妹に大学に行かせてやるとか、就職でいい所
に入れてやる、配給に配慮する、とかです。しかし配給そのものが止まっていま
すから。

 一方、砲弾やミサイルがたくさん行っています。韓国の国防研究員という国防
部傘下の研究機関や、民間の韓国戦略問題研究所という所が、ロシアから砲弾や
ミサイルの代価と死者の補償金等を併せて180億から200億ドルくらい入っ
ているという推計を相次いで発表しました。

 もしもこれほどのお金が入っていたら日本から行くお金の理由が無くなります。
2002年の小泉訪朝の時、裏で約束したとされる数字が100億ドルです。そ
の2倍の収入があるなら日朝国交正常化の魅力はないことになる。

 聞いてみたんですが、「そんなことはない。5億ドルから8億ドルくらいしか
現金はきていない。それも全部金正恩が取って、その内1億ドルだけは海外で活
動する工作員とか軍の特殊機関に配られた」と聞きました。

 後は、軍事偵察衛星のカメラとか、平壌を守る対空ミサイルS400というの
を入れたそうです。自分を守るのが一番です。さらに原子力潜水艦と駆逐艦の資
材と設計図が入っています。

 だから一息はついていない。4月28日に参戦を認めた時には、もう戦闘は終
わっていたんですね。(ロシアの)クルクス州に戻っていましたから。そして新
しくウクライナに入って戦争をしたという情報はない。

 5万人から8万人が待機しているという情報はあるのですが、出していない。
あまりにも戦死者が多いということと、パートナー条約は建前としては、「ロシ
アが侵略された時一緒に戦う」となっていて、クルクス州はロシア領土ですから
論理は立つわけです。

 これから工兵部隊を送って、戦争の後の復旧作業などに動員するようですが、
ロシアの戦争がいつまで続くのか。続いている間は砲弾はどんどん新しい物を作っ
て、今はいいものを作っていますから、ロシアにとっては絶対に必要で、それを
使って戦争が続くということがあるようです。

 しかし、ロシアから大量の外貨が入って経済が一息ついたという観測は間違い
です。

 最近日本の特派員が、中朝国境に行って、新義州という北朝鮮の最北の地で遊
覧船が出ている。「5月以降北朝鮮の人が遊覧船に乗って観光を楽しんでいる。
ロシアからお金が入ったので経済が一息ついたのではないか」と書きました。

 聞いてみたら、「中央(平壌)からお金は一切来ていない。新義州市が、水害
があり、建物を建てたのでちょっときれいになった。それを市民と国際社会に見
せようとして意図的に遊覧船を運営しているので、経済がよくなったということ
ではないですよ」ということでした。新義州は中国に近いので電話がつながると
ころです。

 今北朝鮮は中国との関係が悪い。ロシアとも利用・被利用の関係で、ロシアが
必要としている間はいい。北朝鮮の兵士が死んでくれたり、砲弾を出してくれて
いる間は見返りが来る。その見返りを軍事に使っている。

◆韓国もアメリカも対北放送中断

 韓国は李在明(イ・ジェミョン)大統領になりましたから、韓国からまた大規
模な支援が行けば日本の魅力が下がることになります。李在明大統領は、「平和
こそが大切だ。緊張を高めないことが第一だ」と言っています。

 そして北朝鮮が嫌がることを止めるということで、休戦ラインに設置していた
拡声器で北朝鮮に韓国の真実を教えている放送を中断しました。そして脱北者や
拉致被害者家族会が風船にビラを付けて飛ばしていたのですが、それも色々な口
実を作ってできなくなりました。韓国の情報機関がやっていたラジオ放送(短波、
FM)を中止しました。

 北朝鮮と韓国はテレビのシステムが違います。韓国の電波は北朝鮮では見られ
ないのです。そこで北朝鮮で見られるようにして、その電波を送っていました。
「韓国のテレビを見た」という脱北者がかなりいます。おかしいな、なぜ見られ
るのかと思っていたのですが、今回それが表に出ました。それも全部中断です。

 実はトランプ政権も行政改革で、予算を減らし、朝鮮語でやっていたラジオの
予算を切ってしまいました。「ボイスオブアメリカ」と「自由アジア放送」を止
めました。

 韓国で北朝鮮向けにやっているラジオは、私たちが支援している「自由北韓放
送」、そして日本政府がやっている「ふるさとの風」、特定失踪者問題調査会が
やっている「しおかぜ」くらいになってしまいました。

 それをやったことに対して金与正が、「そんなことはあたりまえで、悪いこと
をやっていたのを元に戻しただけで、それで関係がよくなることはない。敵対的
な両国関係は変わらない」と言いました。

 韓国から支援を貰うと、一緒に情報が入ってしまう。今北朝鮮の大部分は韓国
人が豊かで自由だと分かっている。これ以上韓国から情報が入ったら体制がもた
ないと思っている。そしてわが国の総理とアメリカの大統領の関係はいいと知っ
ている。

 今トランプ大統領の世界戦略の中で、関税の事をやりながらアメリカを強くす
ることと、やはり第一の敵は中国だと見ています。その辺のことを江崎さんにお
願いします。

(5につづく)


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