救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

東京連続集会5(2025/08/20)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.08.20)

■東京連続集会5

◆経済と安全保障と人権をどう連動させるのかという国家戦略が迷走している

江崎 トランプ政権としては、中国に対して政治的、軍事的に対抗したい。いま
中国の世界的影響力はすざまじいものがあります。例えば規格とかルール、通信
システムですが、アメリカも次々に中国の通信システムを採用しています。

 世界標準のルールは、日本、アメリカ、ヨーロッパが連携して作ってきたので
すが、これが中国にどんどん浸食されています。これに立ち向かわないと、気づ
いた時にはアメリカの製品も中国の規格で作らなければならない。通信システム
も、中国の規格で、中国に全部情報を抜かれているかもしれない。

 こういう危機的な状況に立ち向かうために、どうやって巻き返すのか。第一次
トランプ政権からバイデン政権にかけて中国・ロシアを含む国々に対する巻き返
しをどうやってするのか。頼りになるのは日本なんです。

 第一次安倍政権の時は、関税交渉について、トランプはアメリカの経済、アメ
リカの製造業を守るためには、日本の製品を排除するために、日本に対し関税を
かけようとしたわけです。

 あの時に安倍さんが言ったのは、「アメリカにとって最大の脅威は中国だよね。
それに立ち向かうために日本はこういう形で一緒にやっていくという話をしなが
ら、まさか日本に経済制裁みたいなことはしないよねということで、事実上対日
関税を最小限に抑えることをやったのです。

 第一次安倍政権がやったのは、経済と防衛をリンクさせて、うまくトランプを
誘導した。同じことを今回もやって、アメリカ経済の立て直しと、自由主義陣営
の覇権、ルールを維持していくためには、日本の協力が必要なんだ。その協力を
する代わりに、拉致問題や中国への対峙の問題や、台湾に紛争を起こさせないた
めの連携をやりましょうねと、経済と安全保障と人権問題をどう連動させていく
のかという国家戦略が、安倍政権はしっかりしていた。

 それが今迷走しているというのが私の見立てです。ここをどう立て直すのかと
いう議論が、高市先生や小林鷹之先生や木原前防衛大臣等でなされています。も
う一度立て直さなければならない。

◆繰り返し「拉致」を言わないと忘れてしまう

 そして世界の中でのルールを自由主義陣営の中で作りながら、中国、ロシア、
北朝鮮、イランに対して、その影響力が世界に広がらないために、どうしていく
のかということを共同歩調でやっていかなければならない。

 そのために、日・米・NATOや日・米・豪・印(QUAD)等の様々な多国間協議の
枠組みを安倍さんは作ってきたわけです。

 これに対してトランプ側は、多国間協議の枠組みを作っていないので、日本は
どうアメリカを引き込んでいくかが必要なんです。

 3か月に1回関税協議をチェックし進捗状況をチェックするのですが、この時
にこれらのことも打ち込んでいくことが重要なんです。そしてトランプ側に拉致
問題がどれだけ重要なのかについて、トランプさんの頭に、何度も何度も入れな
いといけない。

 私は秘書をやっていたから分かるんですが、5分刻みで案件が来るので、2時
間経つと、2時間前に何の話をしていたか、忘れてしまうんです。だから安倍総
理も繰り返しトランプに電話して、繰り返し拉致問題を言ってきた。それは正し
いと思います。

 そうやって叫び続け、言い続けることが状況を打開するわけで、日米韓の懸案
事項に拉致があるということを言い続けることが大事です。日本はもう弱くない
し、アメリカの言いなりの国ではなくなってきているから。昔はアメリカに守っ
てもらわなければならないから、アメリカに言われたらシュンとなっていました
が、今は日本の力がなければアメリカ一国だけでは対処できないのです。

 そこを踏まえて、もっと強く言ってもらいたいのですが、どうも石破さんは、
「なめられたたまるか」と言いましたが、アメリカの属国のような思いがあるの
ではないかという不安と残念な感じがあります。

◆一度できたライン・枠組みは維持される

西岡 安倍総理はすべての首脳会談で拉致問題を提起しました。石破さんもやっ
ています。最近石破さんと韓国の李在明大統領が会った時の内容を見たという人
から報告を受けましたが、石破さんは拉致問題での協力を強く求めた。李在明大
統領は、「日本人にとって拉致問題が重要なことはよく分かります」と答えたと
いうことを確認しました。

 2月に石破総理が訪米してトランプ大統領と最初に会った時に、安倍総理時代
にトランプさんが家族と会ってくれた写真をわざわざ見せて、「この家族に会っ
てくれましたよね」と言った。トランプさんに覚えてもらうようにですが、「あ
あ、そうだそうだ」と言っていたそうです。

 私たちは2月20日に石破さんに会った時、トランプ大統領が金正恩総書記と
の首脳会談に積極的であるということと、「それが実現したら必ず拉致問題を出
す」と言った、と報告してくれました。

 石破政権の中でも大きなことが進んでいる。安倍さんが作った枠組みは無くなっ
ていないと思いました。前の人がやっていたことをやらなくなったら、「最優先
課題と言っていたがおかしいじゃないか」ということになる。

 一度できたラインは維持されるわけです。2006年に拉致問題対策本部がで
き、その後3年間民主党政権になったが維持されました。担当大臣も対策本部も
維持されました。

江崎 それは分かるんですが、もう少し強く言ってもらわないと、拉致問題だけ
でなく、政治はメッセージの強さが関わってきますので、西岡先生等のアイデア
を総理、官房長官にもっと言ってもらうと状況が変わってくることもあると思い
ます。

◆「連絡事務所」問題はどうなる

西岡 私は、少し違う見方で、石破総理も何とかしようと思っているんです。た
だ、何とかしようという発想の中に、「連絡事務所」も入っている。そこは違う
んじゃないかと思い、我々は色々発信をしましたし、選挙の結果にも民意が示さ
れたわけです。

 トランプ大統領も拉致問題を覚えており、「金正恩と会ったら出す」と言って
いましたが、それ以上何を思えているのか。「めぐみさんという人がいた。その
お母さんと会った」ということは覚えているでしょうが、日本のお金を使って金
正恩とディールすると、核をやめさせるために日本のお金を使おうと思っている
わけです。

 多額のお金を出すと言っている。それは平壌宣言に書いてあることだというこ
とは彼の頭に入っているわけです。日本がお金を出す条件は拉致だということも
頭に入っている。他の北朝鮮人権問題については関心が低い。

 では日本がお金を出す条件は何なのか。拉致問題の解決なのか。何をもって日
本は「解決」と言うのか。そんなことは全然頭に入っていない。「即時一括帰国」
も絶対頭に入っていない。「連絡事務所に反対」ということも頭に入っていない。

 そういう中で、もし石破・金正恩会談が行われた時、金正恩側が、「あなたが
言っていた連絡事務所をやってあげますよ」と言うかもしれない。

 あるいはその前に、日朝首脳会談の前に米朝首脳会談が起きる可能性が高いと
思いますが、その時に金正恩が、「石破さんがやりたいという連絡事務所につい
て、我々は日本人が平壌にくるのは嫌なんだ。我々は日本が嫌いですから」と。

 でも石破がそんなにやりたいと言って連絡事務所を作りたいというなら譲歩し
て、平壌事務所を作ってやってもいいですよ」と言うかもしれない。「石破が、
これは俺が約束してきたんだと言えば一番喜ぶんだ」と言うなら、日本がお金を
出すかもしれない。

 そう言われてしまったら危ないから、我々はアメリカに行って、繰り返し、
「連絡事務所には反対。親の世代が生きている間に全拉致被害者の即時一括帰国
を求める。それがない限り日本は一切支援をしない、制裁も緩めない。これが日
本の条件なんですよ」ということを伝えてきました。

◆北朝鮮は親の世代である早紀江さんに大変関心を持っている

 今度の運動方針では、「政府もそのように発信してほしい。日本がお金を出す
条件、あるいは制裁を緩める条件は、第一に生きている人が全員帰ってくること
です。
 日本政府の拉致問題解決の定義は、1.生存者の安全確保と帰国、2.真相究
明、3.実行犯の引き渡し、です。私は、2.と3.は後でもいいと思っていま
す。まず生きている人を取り戻すことが緊急だからです。

 人質事件で、人質を取って立てこもっている時に、犯人を捕まえることを優先
することはできないんです。まず人質の安全を確保して取り戻すことが重要です。
その後犯人を捕まえるプロセスになります。

 もちろん実行犯の引き渡しがないと解決とは言えないというのは正しいと思い
ますが、「生きている人の全員帰還なしには、絶対日本国民の怒りはとけません
よ」と。

 そしてそれにも期限がありますよ、と。30年近く先頭に立って運動してきた
家族会のメンバーの親の世代が今一人になっている。早紀江さんとめぐみさんを
会わせるというのが日本人みんなのシンボルなんです。そのことをちゃんと伝え
てほしい。トランプ大統領にも分かってもらわなければならない。

 総理大臣しか首脳会談はできませんから、総理大臣が半年後どうなるか分から
ないという点では、全員救出に少しマイナスの部分があります。一方、選挙の結
果、「即時一括帰国」を支持するのが9割以上、連絡事務所に反対が9割以上だっ
たという民意が出ています。それは我々にとって大変有利な状況です。

 全員救出の体制が壊れているわけではない。誰になってもこの体制は維持され
なければならない。そしてトランプ大統領の頭に、拉致問題が深く入っている。
中身はどうかというとまた別のことですが、1から説明する必要はない。

 そして中朝関係が悪い。北朝鮮は韓国の左派政権から支援を貰うつもりはない。
ロシアとは、戦争が停戦になれば支援は来なくなる。こういう枠組みの中で、平
壌も、親の世代である早紀江さんについて大変関心を持っているのは間違いない
です。

 向こうも日本からお金を取りたいんですから、日本の世論の動向をちゃんと見
ています。石破さんは、5月の国民大集会で、「働きかけを続けています」と言っ
た。去年の11月にはそれがなかった。

 「働きかけを続けています」という表現は岸田政権が使った。去年2月には、
「岸田首相が平壌を訪れる日があるだろう」と金与正副部長が談話を出した。同
じ表現が石破総理の口から出た。とはいえ米朝があってから日朝になると思いま
す。

◆アメリカ抜きでの小泉訪朝の失敗

 北朝鮮からすると、核問題で一定の取引が実現しない中で日朝をやっても、日
本が出せるのは人道支援だけです。米朝で、核問題で一定の取引ができていれば、
国連制裁が緩和され、日本が支援できる領域が広がる。広がったら、(日朝で)
交渉することになる。

 トランプ大統領は核で金正恩と交渉したいんです。金正恩も、「核保有国とし
て認める」という形に持っていきたいわけです。そこでは様々なやりとりがある
でしょうが、そのトランプ政権と緊密に連携をとりながら、日本のお金を使って
いい、但し絶対の条件はこれなんですよ、と言ってやるしかない。

 2002年にうまく行かなかったのは、同盟国のアメリカにぎりぎりになって
言ったから、アメリカは、「北朝鮮はまだ濃縮ウラニウムをやっているんだ」と、
小泉訪朝の一月後に表に出した。

 先ほど江崎さんが言ったように、緊密にアメリカと戦略をすり合わせながら、
その中に日本の最優先課題である拉致問題があること、中国包囲網をアメリカと
どう作るか、アメリカの産業をどう強化していくのか、自由社会の秩序をどう守
るのかを議論する。

 それと同じくらいの重さで拉致被害者を全員取り戻すことが日本にとって絶対
条件だとアメリカに言い続け、日本国民もみんなで発信し続けるということだと
思います。

◆地政学的変化を踏まえた拉致問題の戦略構築を

江崎 そういうことに多分なると思います。なお拉致問題と直接つながりがない
と思うかもしれませんが、台湾有事に向けた事態がかなり緊迫してきています。
秋にはかなり突っ込んだ日米での協議が行われるという話も聞いています。指揮
等も含めてですね。

 この状況の中で、2022年12月に作った安保三文書では、防衛力の抜本強
化が書かれ、メインは南西諸島シフトとなっています。残念ながらウクライナ戦
争後の局面の中で、台湾の紛争が起こった時は、日本海、北海道、南シナ海も含
めて4つが同時に動くことになる。

 とすれば、安保三文書の見直しは2027年になりますので、官邸サイドや防
衛相サイドでは、多分台湾有事を念頭に朝鮮半島、極東方面、南西諸島の4方面
にどう対応していくかに関して、日米、もしくは日米韓、日米比豪プラス台湾で、
国家の安全保障戦略全体の見直しをせざるをえない状況になってきている。

 この状況の中に拉致問題をどう組み込むか。西岡先生がおっしゃるように、救
う会としては日朝交渉と金というスキームですが、新しい状況の中で、安全保障
も念頭に置いて、拉致問題を考える時に、圧力の意味でも安全保障戦略の見直し
の中で北朝鮮との対峙の問題をどう入れ込むのかという観点での、日米の緊密な
協議、戦略の教義を、今もそうだし、年内ずっとこれをやらざるをえない状況が
来ているというのが私の見立てです。

 北朝鮮が地政学的変化と言っていますが、わが国も地政学的変化に合わせて、
拉致問題を含めたアプローチを変えていかざるをえない状況にあるようにも思い
ます。ここは西岡先生や、与野党の議員の先生が常に議論をしなければならない
と私は思っています。

◆1回しかこないであろうチャンスをいかせるか

西岡 先ほどの石破発言を正確に引用しますと、「北朝鮮に対しこれまで行って
きた様々な日本からの働きかけを一層強めていく。北朝鮮に対しこれまで行って
きた様々なルートでの働きかけを一層強めていく」と国民大集会で発言していま
す。去年の11月にはなかったことです。

 一昨年11月岸田首相は、「様々なルートを通じて様々な働き掛けを強めてい
るが、一層強めていく」と。

 「様々なルート」、「働きかけ」という単語が同じです。まだ分からないこと
がありますが、枠組みとして北朝鮮は日本が必要だ。枠組みはできている。1回
しかこないであろうチャンスをいかせるかどうか。

 私は、今年の夏くらいには米朝首脳会談があり、秋には日朝が動くのではない
かという見通しを今年の初めぐらいに持っていたのです。それはウクライナの停
戦が割と早くいくのではないかという前提からです。

 しかしプーチンがなかなか言うことを聞かなくなって、そこは見間違えたので
すが、しかしウクライナ戦争があと2年も3年も続くだろうかということの中で、
逆に今度は中国と台湾の問題が急激に表に出てきた。

 それが大きな変数になる。そういうことが起きる前になんとかめぐみさんたち
を安全に取り戻したいなと思っています。

江崎 ウクライナ戦争の見通しの話は今日のテーマではないですが、はっきりし
ているのは、トランプ政権によるイランへの空爆によって、ウクライナ戦争での
ロシアの弾薬の供給元が北朝鮮とイランだったのですが、イランはそれどころで
はなくなった。

 そういう意味ではロシアの継戦能力の一つのつばさをつぶしているので、ウク
ライナ戦争でのロシアの継戦能力は確実にダウンしている。その意味では、決し
てこの夏動かないというふうに思わなくてもいいのではないかと思います。

 ウクライナ側が巻き返しをしているので、何が起きるか分からない状況なので、
日米が結束して、変な動きをアメリカにさせないように、日本側は繰り返しあら
ゆるルートで釘をさしておかないといけないと思います。
 アメリカは動くときはすぐに動くので、その時にトンチンカンな動きをされては困るので。

西岡 今日のテーマは、好機が来ているが障害もあるということです。希望はあ
ると思っています。希望はあると思っていなければ、絶対に救出はできない。や
めてしまったら絶対に救出できないことだけは分かっている。

 ここまで来たのですから、全員を早く取り戻したいと強く思っています。

以上

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下記をクリックして、ご意見を送ってください。
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葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿

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