救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

膠着状況が続 く朝鮮半島情勢のもとで拉致被害者救出を考える国際セミナー1(2019/12/16)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2019.12.16-2)

■膠着状況が続く朝鮮半島情勢のもとで拉致被害者救出を考える国際セミナー1

日米を中心とする国際社会は、北朝鮮が核・ミサイルの完全な放棄をしない限
り制裁を維持・強化するという断固とした姿勢を崩していません。金正恩が核ミ
サイルの廃棄と拉致被害者の全員返還を決断するまで国際圧力が続き、それを実
行するなら経済再建への道が開けるという枠組みができました。

 その枠組みの中で、いま金正恩政権とトランプ政権のにらみ合いが続き、拉致
問題も膠着状態に陥っていますが、今年12月13日に東京で開催された国際セ
ミナーでは、米朝関係、中朝関係、北朝鮮の内部情勢を論じた上で、金正恩に
「すべての拉致被害者の即時一括帰国」を決断させるために、日本がどのように
動くべきかを考えました。


 全文以下の通り。

◆必ずすべての拉致被害者を救い出すという決意を

櫻井よしこ(総合司会)

 皆様、こんにちは。今北朝鮮情勢はかなり厳しくなっています。日朝関係も目
に見える進展がありません。拉致問題も膠着状況にあると言われていますが、今
日ここで私たちは、「膠着状況が続く朝鮮半島情勢のもとで拉致被害者救出を考
える国際セミナー」を開催します。

 目に見える進展がないからといって、何も起きていないというわけではありま
せん。物事が動かないように見える中でも、政府・関係者の努力は続いています。

 ここまでみんなでやってきました。ここで私たちはもう1回気持ちを新たに、
必ずすべての拉致被害者を救い出すという決意を持たなければならないと思って
います。

 今日はそのことを念頭に、関係者の皆様に改めて状況説明とこれからの展望、
そして日本国民として、日本国政府としての決意、そしてまた拉致被害者は日本
国だけではありませんので、広く国際社会に訴えていくということも含めて、み
んなで心を一つにしたいと思い、この国際セミナーを開きました。

 今日は海外からもお客様がいらしています。そして壇上には官房長官もいらし
ています。早速開催させていただきます。司会は櫻井よしこです。どうぞ宜しく
お願いいたします(拍手)。

 まず家族会を代表して飯塚繁雄さんにお願いいたします(拍手)。

◆北朝鮮にいる被害者は日本の「平成」という時代を知らない

飯塚繁雄(田口八重子さん兄、家族会代表)

 皆さん、こんにちは。被害者を取り返そうという取り組みを今まで何度も行っ
てきました。結果は徐々に出始めているという見方もありますが、根本的にはあ
まりに長い時間がかかってしまっています。考えてみれば、北朝鮮にいる被害者
は日本の「平成」という時代を知らないんですね。全くそのままの状態で監禁さ
れている。

 日本にいる我々は「平成」という時代に、被害者を取り戻そうという活動をあ
らゆるところでやってきました。そして国民的な理解が広がり、政府には助け出
すための組織ができ、家族会や救う会、そして自治体や何とか助けようという有
志の方々がものすごい活動をしてきました。

 それらの活動で世論を広め、そうとう固まってきています。実は、この世論が
あるからこそ救出活動が皆様に後押しされながら続いていると言っても過言では
ないと思います。逆に、これらがなかったら被害者は帰ってこないんです。

 我々家族からするといとしい家族ということになりますが、日本国民が拉致さ
れていることの理解が広がり、何とか助けようじゃないかという盛り上がりが出
てきています。

 これからどれだけかかるか分かりませんが、国民の支持がなければもう打つ手
はないというふうになってしまいます。安倍総理は自分の任期中に必ず救出する
という意識を今も持っておられます。私たちはこれに期待し、信頼しているわけ
ですが、分からないのは取り巻く状況がどう変わっていくのか、あるいは今現状
がどうなっていてどうなるのかということです。それがいいことかどうかの判断
もなかなかつかないわけです。

 従ってこういう会合の中で先生方の意見を聞いていますが、こうすればいいと
はなかなか言えません。色々な意見を聞きながら、期待し、注視していくしかな
いと思います。

 今年も既に終わり、まもなく令和2年になってしまいます。本当に今こそ、今
の状況をうまく利用しながら今後に展開をしていくことが重要と思います。担当
大臣も「やります」とはっきり言っていますので、期待し応援していきたいと思
います。

 家族会のメンバーもどんどん歳を取っていきます。つらい思いもしています。
少しでも早く家族と会えるように期待していきたいと思います。ありがとうござ
いました(拍手)。

櫻井 家族会代表としての様々な思いをこめたご挨拶だったと思います。つぎに、
拉致議連会長で元拉致問題担当大臣の古屋圭司さんに主催者を代表してお願いい
たします(拍手)。

◆絶対にあきらめない、必ず取り返すとの強い決意を示し続ける

古屋圭司(拉致議連会長、元拉致問題担当大臣、衆議院議員)

 この北朝鮮人権週間は法律に基づいて取組んでからもう何年も経ちましたが、
今年もやらざるをえないのは本当に残念です。

 私も、長くこの問題に関わってきた者として本当に残念ですが、しかし私たち
は絶対にあきらめていません。必ず被害者全員を取り戻す、この姿勢で取り組ん
でいることを理解していただきたいと思います。

 今年は後でビデオメッセージが流されますが、私たち拉致議連や自民党拉致対
策本部長の山谷えり子さんや塚田一郎さんたちと米上院、下院に何度も行って、
デヴィッド・スネドン氏の決議がなされるまでになりました。

 アメリカでは本日13日まで国会が開催されているということで、本人たちは
来れませんのであとでビデオメッセージなどを紹介させていただきます。リー上
院議員、スチュワート下院議員、スミス下院議員からのしっかりしたメッセージ
がありますので耳を傾けていただきたいと思います。

 最近ミサイル発射をしたり軍用機を集結するなど挑発的な態度に出ています。
この背景に米朝協議が北朝鮮にとって思うように進んでいないことがあるのは間
違いないと思います。

 アメリカに対して、北朝鮮はいつでも強硬手段に訴えられるとの強がりをして
いると思います。北朝鮮は12月末に、朝鮮労働党中央委員会を開くと言ってい
ますが、このことを敢えて発表することに金委員長の焦りを私は感じます。

 また安倍総理が北朝鮮のミサイル・ロケット発射に対して、「弾道ミサイルの
発射であり、国際社会への深刻な挑戦だ」と、いつものように名指しで強烈に批
判しています。北朝鮮が置かれている状況を反映していると私は思います。

 日本への厳しい批判や姿勢は今に始まったことではありません。以前から私も
指摘している通りですが、日本に厳しい言動をとることの本音は、支援がほしい
ということの裏返しです。しかし譲歩は最小限、奪い取るものは最大限、これが
彼れの常套手段です。

 だからこそ私たちは、絶対に拉致問題はあきらめない。必ず取り返す。この強
い決意を示し続ける。安倍総理もその姿勢に徹しています。

 今はアメリカとの協議が北朝鮮にとっては大事なんでしょう。しかし、必ず日
本とのステージがきます。その時には過去の不信の殻を打ち破り、条件をつけず
に、みずからが金正恩委員長と膝を交えて話し合う用意がある、ということこそ
私たちが解決に向けて取り組んでいくべきことです。

 政府も拉致対策本部も各政党も、公式非公式を問わずあらゆるチャンネルを通
じて取組みをしています。今日は官房長官もお越しいただいていますので、後程
その辺のお話もいただけると思います。

 我々は必ず皆さんと共に手を取り合って、拉致被害者全員の帰国をめざして頑
張っていきたいと思います。宜しくお願いいたします(拍手)。

櫻井 拉致議連会長としての大変心強いご挨拶をいただいたと思います。次にご
来賓の菅官房長官、拉致問題担当大臣にご挨拶いただきます(拍手)。

◆まさに正念場が続いている

菅義偉(拉致問題担当大臣、内閣官房長官、衆議院議員)

 家族会、救う会そして拉致議連主催の国際セミナーに、このように多数のみな
さんの出席をいただきましたことを、担当大臣として大変心強く感じます。改め
て感謝申し上げます。

 私は国会議員当選1回の時から、拉致問題には長く関与してきました。拉致問
題担当大臣に就任してから約1年ですが、特に被害者のご家族の皆様にお目にか
かり、切ない思いを直接伺う機会を重ねてきました。

 拉致された方々、そのご家族の長年にわたる苦しみ、悲しみに思いを致す時、
胸が張り裂ける思いです。拉致問題担当大臣として、政府を代表して大変申し訳
なく思っています。

 安倍総理も私も、このようなご家族の方々の声を胸に、問題解決に向けてあら
ゆるチャンスを逃すことなく、全力で取り組んでいます。

 これまでの米朝首脳会談に於いて、トランプ大統領が拉致問題について、安倍
総理の考えも含め金委員長に直接伝えてきたことは皆さんもご承知の通りです。
米国との間では、9月の国連総会に際しての理事会や首脳会談など、累次の機会
において、引き続き日米で緊密に連携していくことを確認しています。

 また今回の国際セミナーの開催に当たり、米国の国会議員からも拉致問題解決
のために連帯していくとのメッセージをいただいていることも承知しています。

 8月のG8主催のサミット、9月のアセアン三大首脳会議、そしてフランシス
コ・ローマ教皇との会談においても安倍総理から各首脳に対して、拉致問題の早
期解決に向けて理解と支持、協力を呼び掛けてきています。

 拉致問題の解決のためには米国を初めとする国際社会の理解と協力が不可欠で
す。わが国としては引き続き、米国及び関係国と緊密に連携し、あらゆる外交上
の機会をとらえて拉致問題を提示していく考えです。

 今週10日から16日まで、北朝鮮人権侵害問題啓発週間ですが、その一環と
して明日、政府主催で国際シンポジウムを開催します。日本、米国、タイの拉致
被害者のご家族の皆様から生の声を伺うと共に、内外の専門家を招き拉致問題の
早期解決に向けた国際連携に関しても議論を深めていきたいと思います。

 これから国際連携の強化に向けた様々な取組みを行うと同時に、わが国自身が
この問題に主体的に取り組むことが重要です。安倍総理は9月の国連総会におけ
る一般演説等累次の機会に、条件を付けずに金委員長と直接向き合う決意を述べ
ています。まさに正念場が続いていると思っています。

 繰り返すまでもなく、拉致問題は安倍内閣の最重要、そして最優先の課題です。
政府として認定の有無に関わらず、すべての拉致被害者の一日も早い帰国の実現
に向けて引き続き全力で取り組んでいくことをお誓いし、私の挨拶とさせていた
だきます。

 より一層、皆様方のご協力とご支援を賜りますようどうぞ宜しくお願いいたし
ます(拍手)。

櫻井 菅官房長官、ありがとうございました。北朝鮮人権侵害問題啓発週間がで
きたのが2006年、第一次安倍政権の時でした。その時以来今日のセミナーは、
14回目のセミナーとなります。政府が本当に力を入れてくださってきているこ
とは私たちも承知しています。これからも、拉致問題担当大臣として最大のお力
を発揮してくださいますようお願いします。今日のご挨拶、ありがとうございま
した(拍手)。

 では次に、タイ人拉致被害者アノーチャー・パンチョイさんの甥のバンジョン
・パンチョイさんがタイから駆け付けてくださいました。ご挨拶をお願いいたし
ます(拍手)。通訳は海老原智治さんにお願い致します。

◆金正恩委員長は拉致を認め、一刻も早く返してほしい

バンジョン・パンチョイ(タイ人拉致被害者アノーチャー・パンチョイさん甥)

 皆様、本日はお目にかかれて光栄です。私は北朝鮮に42年前に拉致されたア
ノーチャー・パンチョイの甥です。

 今日ここで皆様方にお会いでき、また家族会の皆様方にお会いできましたこと、
非常に温かい思いです。日本で私たちの家族・親類に出会えたような思いです。

 拉致され北朝鮮にまだ残っている家族が一刻も早く帰ることを望みます。

 42年前にアノーチャーが北朝鮮の工作員によりマカオで拉致されました。そ
の時家族はどこに拉致されてしまったのか、行方を全く知ることができませんで
した。

 しかし2005年にその消息を突然家族は知ることになりました。それが北朝
鮮による拉致だと分かったわけです。それから現在まで、家族会の皆様とも協力
しながらこの活動に関わってきました。今回家族会の皆様に控室でお目にかかり
ましたが、私たちの家族もそうなんですが、被害者の家族が歳を重ねてきてしまっ
ています。

 そのような中でも、私たちの愛する家族が北朝鮮のどこにいるのか、どういう
状況でいるのかも分からないのです。アノーチャーの父親は長い間娘の帰国を待
ちわびていました。彼は私の祖父に当たりますが、娘の消息を知ることなくその
生涯を閉じることになりました。

 アノーチャーは私の伯母ですが、愛する家族です。帰国が実現するよう私たち
家族は様々な方面に働きかけを行ってきましたが、未だに叔母は帰るに至ってい
ません。

 私たち家族は40数年にわたって非常に苦しい時間を過ごしてきました。その
上で北朝鮮の金正恩委員長に申しあげたい。ここで私の叔母や日本人の被害者等、
拉致されているすべての人々の拉致を認め、一刻も早く返してください。このよ
うに金正恩委員長に求めたいと思います。

 残念なことに私たち家族はタイで活動に当たっていますが、タイの社会または
タイの政府から十分な関心や支援をいただくことができませんでした。そのよう
な中で私たちが支援をいただいてきたのは日本政府であり、日本の家族会、救う
会を初めとするNGOの皆様、韓国のNGOの皆様からご支援をいただくことが
本当に私たちの希望となってきました。

 そのような中で開催された今日の会合が成果を上げることに強く期待していま
す。私たちに支援をいただいた日本政府、家族会、救う会に改めてお礼を申し上
げます。本当に今日はありがとうございました(拍手)。

◆外国の被害者も含めて全被害者を助け出す日本の責任は重い

櫻井 ありがとうございました。今のお話を聞くにつれ、拉致問題に関して日本
が果たす役割がいかに大きいかと思います。前にも韓国の方が言われたことがあ
ります。拉致問題で全被害者を取り戻すのは日本人だけでなく、外国の被害者も
含めて全被害者を助け出そうということです。韓国には非常に多くの拉致被害者
がいるけれど、拉致問題に関して議会や支援がほとんどない、と。日本に来て初
めて政府と一体になってやっていることが分かって、私は日本がうらやましい、
と言われたことをバンジョンさんの話を聞きながら思い出しました。

 やはり日本国民が全力を尽くすことの大きな責任を改めて感じました。

 そして海老原さんがタイでこの支援をずっとしてくださっているわけですが、
ひとことお願いします。

◆階層社会のタイでは下層の人の拉致は社会的関心を呼ばない

海老原智治(北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマイ代表)

 タイのチェンマイに23年間住んでいて、拉致問題の解決に14年間当たって
います。タイは北朝鮮と国交を有する国の一つである一方、この間拉致問題を解
決することができずにいます。

 タイの国情がみだれており、この14年間の間に2回のクーデターがあり、民
政移管またクーデターという大きな矛盾の中で、拉致問題が非常に周辺的なもの
となってきました。

 また家族の社会的背景が苦しい農家で、その出身者が拉致されたのですが、下
の階層の人々の不幸な拉致は階層社会のタイにおいてはあまり社会的関心を呼ば
ないのです。大きな社会構造の中である意味、切り捨てられてきてしまっている
のです。その中で家族は戦いを続けてきました。

 そういう中でどう解決するかは私の大きな役割と思っています。準備はまだで
きていませんが、一刻も早く家族の思いが実現するよう私も頑張りたいと思いま
す。ありがとうございました(拍手)。

(2につづく)



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