救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

緊迫する米朝関係と拉致問題−東京連続集会報告3(2017/08/01)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2017.08.01)

■緊迫する朝鮮半島情勢下での救出戦略−東京連続集会報告

島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)

◆対ロシア、イラン、北朝鮮制裁へ−米議会
島田 アメリカが他の国と比べて圧倒的な力を持っているのは軍事力と金融力で
す。この二つを使えば、アメリカは単独でテロ国家を倒すことができる。従って
北朝鮮との関係が緊迫化してきて、軍事力と金融力の行使という話が前面に出て
くるのは当然です。

 日本の国会の惨状について西岡さんから話がありましたが、アメリカでもいわ
ゆる「ロシアゲート」をめぐって実体のない話を政争の観点から色々やっていま
す。

 同時に、アメリカは1週間前、対ロシア、イラン、北朝鮮制裁、この3か国に
対する制裁を合わせた法案が下院で通りました。新たに付け加えられたポイント
は、北朝鮮の奴隷労働力を使って作られた製品は一切輸入を認めないこと、また
北朝鮮の奴隷労働を使っている企業に様々な制裁をかけることです。

 これが入った理由はロシアをにらんでのことです。だから対ロシア政策にも同
じ法案でそれが盛り込まれたわけです。

西岡 上院はどうですか。

島田 上院では、対ロシア、対イランについては同じような法案が通っているん
ですが、下院が対北朝鮮を付け加えてきたので上院もほぼ同じような内容の法案
に作り直して通す。最終的には上下両院の、日本風に言うと両院協議会ですり合
わせて一本化する作業になります。

 上院ではご存知のマルコ・ルビオ議員が対北朝鮮制裁法案をまとめて出してい
ます。そこでも北朝鮮の奴隷労働を取り締まるのが柱です。

 日本では、安倍政権がロシアとの関係を良好に保っていきたいという発想です
が、北朝鮮の万景峰号をロシアに入れるとか、ロシアが今後北朝鮮の奴隷労働を
もっと受け入れる契約を結びましたが、そういうことに関して、日本もロシアに
対して、そういうことを進めるんだったら日本との経済協力は断念してもらわな
ければいけないよというくらいのことは言うべきだと思います。

 それを全然言っていない。私は安倍政権を基本的には支持しますが、この点は
大きな問題点の一つと思います。

 アメリカは特にロシア、そして中国をにらんで「奴隷労働」を使う企業に対す
る制裁を具体的に盛り込んできているわけです。

◆アメリカは対北議論が分極化しつつ先鋭化している

 アメリカは、7月4日の、北朝鮮がICBM実験を成功させたことを受けて、
対北議論が分極化しつつ先鋭化していると言えると思います。

西岡 「分極化しつつ先鋭化」ですか。

島田 後で詳しく言いますが、一方ではもう軍事力行使以外にはないという意見
が強まり、一方では北朝鮮が日本に届くような核ミサイルを20、30発持つの
は認めようじゃないかという意見も出ています。

西岡 それが分極化ですね。

島田 そうですね。まず興味深いファクト(事実)を紹介します。4月19日に
アメリカの「フォックス・ニュース」が世論調査を発表しました。調査をしたの
は1月16〜18日。その中にこういう設問があります。「あなたは北朝鮮が核
開発をするのを止めたり、アメリカが軍事行動をとることに賛成ですか、反対で
すか」。

 これに対して全体の51%が賛成でした。だいたい半分ですが、共和党員に限
ると73%が賛成でした。現在ホワイトハウスは共和党で、議会は上下両院どち
らも共和党です。共和党の議員たちは、支持者の意見を最も気にします。軍事力
行使に関する心理的なしきいがかなり低くなっています。

 ついでに言うと、「フォックス・ニュース」は割と共和党寄りのテレビ局です
が、この調査は民主党系の有力世論調査会社と共和党系の世論調査会社に合同チー
ムを作ってもらって、固定電話だけでなく、携帯電話にもかけ1020のサンプ
ルをとった。固定電話だけでは日中家にいる高齢者が多くサンプルが偏ってしま
うので、携帯電話に多くかけたそうです。そういうことで、かなり信頼性の高い
世論調査と言えると思います。

◆北朝鮮が核ミサイルを持ってもいいがICBMはだめ−ゲーツ元国防長官

 こういう世論の動向も踏まえて分極化が分かる。一つは8月1日発売の「月刊
正論」に私が書いたものですが、一つは「ウォールストリート・ジャーナル」の
7月10日付に、ロバート・ゲイツ元国防長官のインタビュー記事が載りました。

 ゲイツという人は大学を出て、ちょっとだけ海外に出てすぐCIAに入り、そ
の後26年間CIAに勤めて、内部昇進で副長官までいって、ブッシュ父政権の
時CIA長官をやっています。いわばアメリカ情報部の主流派を代表するような
人物です。

 またブッシュ息子政権の後半とオバマ政権の前半に国防長官を務めていますの
で、民主、共和の両党の党派的な違いを越えて、だいたい穏健派とされる勢力が
安全保障問題でも信頼する人物です。現在73歳で、まだぼけてるようなことも
ない。

 彼はインタビューで、まず「軍事的解決はありえない」と。北朝鮮は反撃能力
を持っているからソウルは火の海になってしまう。従って話し合いしかないんだ、
と。どういう話し合いをするかというと、アメリカは、北朝鮮が20、30発の
核ミサイルを持つことをはっきり認めろ、と。その上で北朝鮮を国家承認して平
和条約締結の準備に入る。そして在韓米軍も編成替えする。

 その見返りに北朝鮮はミサイルの射程を短いものに留める。つまりアメリカに
届くものは作るな、と。ここで注目すべきなのは、この記事は7月10日付でし
たが、例のオットー・ワービアム青年が亡くなったのが6月19日。その後のイ
ンタビューなのに人権問題に全く触れてないことです。

 そういうものはどうでもいいという発想。むしろ人権問題等は棚上げして、も
ちろん拉致問題等も棚上げして、アメリカに届く核兵器さえ実戦配備しないのだっ
たら、日本に届く核・ミサイルを20発くらい持ってもいいよとして、人権問題
を問題にしていない。それで平和条約を結んで制裁を解除しろ、と。

西岡 平和条約を結んだら米軍の主力は撤退することになる。

島田 我々から見ると、とんでもない提案なんです。そしてゲイツは、まず中国
と交渉し、この提案を中国に呑ませてから北と交渉する、と。そして北朝鮮が実
際に核・ミサイルを20〜30発に抑えているかどうか中国に査察してもらう、
と。中国の査察がどれだけ信用できるか。これは中国政府による劉暁波氏の診察
と同じだと思います。

 そして中国と北朝鮮がこの提案を受け入れない場合どうするかというと、アメ
リカは中国に対して厳しい措置を取るべきだと言います。厳しい措置とはミサイ
ル防衛網をアジアにしきつめる、太平洋艦隊を増強する、北朝鮮が発射した大陸
間弾道弾と認めるものはすべて撃墜する。この姿勢を示せば中国は大変嫌がるは
ずだ、と。

 これはどう見ても、中国にとって決定的理解の話は何もないんです。こういう
ことを元国防長官が言っています。しかも、「ウォールストリート・ジャーナル」
というのは、アメリカの共和党の主流派に近い新聞で、私がアメリカの動向を把
握する時は、「ニューヨークタイムズ」、「ワシントンポスト」という民主党よ
りの新聞と、共和党に近い「ウォールストリート・ジャーナル」、もっと草の根
に近い「トークラジオ」等を全部見ます。

 ゲーツのインタビューを担当したのが、「ウォールストリート・ジャーナル」
のワシントン支局長であるジェラルド・シールという、ジャーナリストの中で最
も有力な記者の一人です。その人物がこのインタビューの最後に、「ゲイツの提
案はスマートなものだ。評価できる」と言っています。

 従って、ゲーツが何か浮いた議論をしたのではなく、共和党主流派に近い新聞
の有力記者までいいと言っている。こういう現実が一方にあります。

 ゲーツが言ったことは、トランプですら言ったことがないような、まさに「ア
メリカ・ファースト」の議論です。アメリカに届かないようにすれば、あとは何
をしてもいいよと言わんばかりの議論です。

◆融和派の補佐官にトランプ大統領が激怒

 もう一つの議論は、さきほど西岡さんが言ったジョン・ボルトン元国連大使の
議論です。彼は「フォックス・ニュース」にレギュラーに近い形で出てコメント
しています。

 また最近のワシントンの政治状況を見ていると、最近マクマスターという安全
保障担当の大統領補佐官が解任されるのではないかと言われます。ジェフ・セッ
ションズ司法長官もトランプともめていますが、マクマスター補佐官の解任理由
は、韓国配備のSAARD(サード)で、トランプがサードの金は韓国に払わせ
ると言った直後に、マクマスター補佐官がコメントを出して、「あのお金はアメ
リカが払うことになっています」と大統領発言を訂正したのです。

 これにトランプが激怒したと言われています。「俺が総合的な政治判断から韓
国にプレッシャーをかけようとしているのに、それを補佐官が俺に相談もなく否
定的なことを言うんだ」と。

 これがまず第1弾で、もう一つはトランプの議会演説の際、トランプが「ラディ
カル・イスラミック・テロリスム」、過激イスラムテロと戦うということを演説
の目玉にしようとしたんですが、マクマスターが反対して、オバマ政権等と同じ
論理ですが、「イスラムという言葉を入れると、イスラム諸国等の反発があり得
るからその言葉を入れない方がいい」と。

 トランプは選挙中、「オバマ政権は敵が何かを明確に言わない。敵は過激イス
ラム主義だ」とさんざん言ってきて、演説の目玉にしようとしていた。これにマ
クマスターが反対し、また色々なところにトランプに相談なく根回しして外させ
ようとした。これにトランプが激怒した。

◆他方軍事的解決論も−ジョン・ボルトン元国連大使

 トランプは「ラディカル・イスラミック・テロリスム」とことさら強調して言っ
ていましたから解任されるのではないか、と。そして後任にジョン・ボルトンと
いう話が出ているんです。実際、ジョン・ボルトン氏はさかんにホワイトハウス
に出入りしています。

 アメリカでも、日本の新聞に総理の動向の記事が出ますが、アメリカでも当然
ホワイトハウスに誰が入ったかを記者がチェックして、記録に残しています。最
近ボルトン氏が盛んに呼び入れられている。

西岡 日本人で一番ボルトンの一番の友達は島田さんじゃないですか。

島田 友達かどうかはともかく、結構会ってはいます。そのボルトン氏は拉致問
題に極めて理解が深い。私は横田めぐみさんの弟さん二人と飯塚代表と一緒に、
ボルトン氏に最初に会いました。彼はめぐみさんの話をすると、顔を真っ赤にし
て「許せない」と。その時は国務次官でした。非常に熱い人でもあります。

 という最初に大統領補佐官に任命された人は、ロシアの関係で色々言われてす
ぐに辞任しましたが、その後後任を誰にするかで最後に残ったのが、マクマスター
とボルトンでしたが、その時点でトランプはボルトンにも何らかの形で政権入り
してもらいたいと言っていたんです。

 安全保障担当補佐官なら上院の承認はいらないんので、ボルトン氏が安全保障
担当補佐官になるかもしれない。

西岡 日本政府の役人が島田さんを嫌がっているくらい、国務省がボルトンを嫌
がっている。

島田 ノーコメントです(笑)。ボルトン氏の意見はまず金融制裁。北朝鮮と取
引のある、または北朝鮮の企業の裏にいる中国の銀行を制裁すべきという話を西
岡さんがしましたが、ボルトンの意見は、今まで丹東の銀行に制裁し、次にもっ
と中間ぐらいの銀行に制裁し、最後に中国四大銀行の一つであるバンク・オブ・
チャイナに制裁をかけるという意見があるがそれでは生ぬるいというものです。

 全中国の銀行に対し、何月何日付で、北朝鮮の金融機関と取引をしているとこ
ろは、今後ニューヨークでドル決済をさせない。スリーピングサンクションとい
う一斉に制裁する。個別にやると中国内部で債権の付け替えをやりかねないので
一気にやるべきだという意見です。

 加えて、今でも軍事的解決しかないとボルトン氏は最近さかんに言うようになっ
ています。軍事力を行使すれば、当然北朝鮮は韓国に反撃してくる。最初の一撃
で北朝鮮の軍事能力を全部つぶして、金正恩も殺せればいいのですがなかなか難
しいですから、こちら側がかなり被害を受けることも覚悟して今やるべきだ、と。

 それは、アメリカに届く核・ミサイルが実戦配備される前に軍事的決着をつけ
るべきだというものです。これもある種のアメリカ・ファーストの議論ではあり
ますが、そういう主張をしています。

 軍事力行使となると、先ほど共和党支持者の73%が賛成していると言いまし
たが、こういう数字はちょっと戦況が悪化したり泥沼化の兆候が見えたりすると、
「こんな戦争なら賛成しなかったのに」という世論に変化します。

 なぜ開戦しなければいけないのか、あらゆる理由をかかげて国民を説得しなけ
ればならない。従って軍事力を行使すべきだという人たちは、人権問題も極めて
積極的に取り上げます。当然日本人拉致問題も重要だと、そういう人たちは言う
わけです。

◆日本の議会は安保問題無視

 今言いましたように、同じ共和党系でも極めて妥協的、融和的、アメリカファー
ストで、日本に届く核・ミサイルを20、30発持つのはいいよという議論があ
る。一方で、即軍事力行使という意見もある。どちらもかなりはっきりした形で
出てくるようになってきました。

 日本の議会では、そういうことが全く視野に入らないかのごとく、加計問題を
やっています。まだ言うべきことはありますが、とりあえずここで。

(4につづく)

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