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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

激動する南北情勢の中で拉致問題を考える国際セミナー報告5(2016/12/15)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.12.15)

■激動する南北情勢の中で拉致問題を考える国際セミナー報告5

島田 今、塚田一郎参議院議員も来られました。古森さんの話の中で古屋圭司議
員がシャトル外交で何度もワシントンに行って、スネドン決議の成立のために努
力されたという話がありました。塚田議員も古森さんとコンビを組んで何度も行
かれています。私もご一緒してきました。議員外交の成果だったと思いますが、
ひとこと、この間の経験や今後へのことについてお話ください。

◆アメリカ政府が初めて拉致認定をするための調査へ

塚田一郎(拉致議連事務局長、自民党衆議院議員)

 デヴィッド・スネドンさんが拉致の疑いが濃厚という事案ですが、これは救う
会からも我々に対しお話があり、私たちとしては拉致問題は日本人の手で解決し
なければいけないわけですが、日米韓の連携を強化することは極めて重要です。

 スネドンさんのケースは、日本人被害者で拉致濃厚というケースに酷似してい
ますので、私と古屋本部長で何度も訪米させていただいて、上下両院で50人く
らいの議員にお会いしました。

 その結果、スネドンさんと地元が一緒のクリス・スチュワートさんというユタ
州選出の下院議員がおられます。この方は奇しくもご子息がスネドンさんの同級
生ということもあって、当初から非常に熱心に働きかけをしてくださいました。

 その力もあって、下院で決議が採択され、現在は上院で審議中です。残り少な
いセッションですが、委員会を通るところまで来ているということで、このこと
はアメリカ政府が初めて拉致認定をするための調査ということですので、これが
さらに日本の拉致問題解決への、日米の大きな連動になっていくと、取り組んで
きました。

 スネドンさんのご兄弟も来られていますが、引き続き頑張っていきたいと思っ
ています。ありがとうございます(拍手)。

島田 続いて西岡さんに、韓国及び北朝鮮情勢、現在の南北の状況を踏まえて拉
致問題の現状をどう分析するのかお願いします(拍手)。

◆北朝鮮は痛みを覚えないと動かない

西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授)

 大変難しい方程式です。色々な変数があります。一つ明らかなことは、北朝鮮
は痛みを覚えないと動かない、ということです。なにか人参、餌をちらつかせる
だけでは動かない。もちろん人参も必要ですが、現状維持が苦しいという状況を
作らねばならないと思います。

 よく、「太陽政策」を議論する時に、イソップの「北風と太陽」の話がされま
す。実は太陽というのも不愉快なんです。暑いんです。暑いから外套を脱ぐんで
す。この間、韓国の金大中・盧武鉉政権がやってきたのは、私は「太陽政策」で
はなく、「春風政策」だと思っています。心地よいから何もしない。

 先に物を与えたり、制裁を解除したら絶対にだめです。与えるのは必ず彼らが
行動した後でなければなりません。不愉快な思いをさせて、現状に耐えられない
という状況を作らなければならない。これが原則です。

 その場合、今の状況が不愉快で変えてほしいとなった時に、変える条件として、
「被害者全員を返しなさい」と言う。不愉快な状況を作るのが先で、向こうが悲
鳴をあげて、交渉するという風にもっていかなければだめです。それが我々がずっ
と考えてきたことです。

 ですから、「制裁と国際連携の圧力」で彼らを交渉の場に引っ張り出す、と言っ
てきたわけです。交渉をせざるを得ない状況に持っていくということです。

 実は2002年もそうだったわけです。2001年の9.11テロで、アメリ
カが「テロとの戦争」を宣言した。そして「テロとの戦争」のターゲットの一つ
が、北朝鮮のようなテロ国家が大量破壊兵器や核兵器を持っている国でした。北
朝鮮から核兵器を取り上げるというのが、戦争の目標にしたのです。

 強い軍事的圧力がかかった時に、小泉訪朝があったんです。田中局長等が1年
くらいかけて秘密交渉をやりました。その交渉が巧みだったという要素もゼロで
はないと思いますが、金正日の立場から見ると、田中局長、小泉総理の後ろにブッ
シュ大統領が見えて、棍棒を持っていた。ブッシュ大統領の棍棒が見えたから小
泉総理に泣きついたんです。

 同じようなことを我々が作るのではなく、今回は制裁と言う圧力で、日本が彼
らを不快な思いにさせることを、我々は主張してきたのです。先ほど日本政府は
制裁について我々に説明しましたが、現行法規でできることの約8割くらいはやっ
ているのではないかという説明でしたが、私はもっと高いレベルになっていると
思います。人についてはもう少しできることがありますが、それ以外はほとんど
やっていると評価しています。

 そして北朝鮮が不安定になってきている。金正恩政権になってから彼は一度も
外国の指導者に会っていない。モンゴルの大統領が訪朝した時も会いませんでし
た。中国やロシアの指導者にも会っていません。

 トランプさんは会ってもいいと言っていますが、「ワシントンまで来なさい。
晩餐会まではしてやらない。ハンバーガーをごちそうしてやる」と。彼は行くで
しょうか。

 安倍総理は、「被害者を返すなら平壌に行く準備がある」とおっしゃっていま
す。彼が外国の指導者に会えないことも、彼らにとっては痛みです。そういう痛
みをどうやって作っていくのかということが1点です。

◆北がアメリカまで届く核を作れば2002年に近い状況も起こり得る

 その中でアメリカの動きは、今古森さんの報告にありましたように、我々にとっ
てはプラスです。2002年に近い状況も起こり得る。トランプ大統領はアメリ
カ第一主義ですが、アメリカまで届く核・ミサイル開発を金正恩は止めません。
となると、どういう状況になるか。

 韓国を守ることについては、韓国は韓国を守ると言うでしょうが、アメリカは
アメリカで守る。金正恩はアメリカまで届く核を持ってアメリカと交渉すること
は基本的に矛盾しません。2002年に近い状況が起きることが分かります。ま
だ大統領に就任していないので何とも言えませんが。

 一方、韓国の状況は、来年の12月、あるいはそれよりもう少し早く大統領選
挙が行われて、もう一度私が言うところの「春風政策」をとるかもしれない。不
愉快な思いをさせないで、先に援助をしてしまう政権ができるかもしれない。そ
の点はマイナスです。

 しかし、韓国の経済情勢等を見ても、韓国一国で北朝鮮を助けられるわけでは
ない。金大中大統領は、金正日に会った時に、実は「アジア開発銀行から融資を
もらいなさい」とアドバイスした。そこで北朝鮮はアジア開発銀行に加入しよう
としたんです。

 その障害になったのが「テロ支援国指定」だった。アメリカがテロ支援国指定
している国には、融資に反対する。アジア開発銀行は一国一票ではなく、出資金
額によって決定権が異なりますので、アメリカが反対したら入れないんです。そ
れでテロ支援国指定の解除をしてくれという交渉が始まったのです。だから我々
は、「拉致はテロだ」と言って、それを防ぐ。そうすれば北朝鮮に痛みが起こる
という戦略をとったわけです。

 韓国一国では北を助けられない。トランプ政権が、北朝鮮に与える痛みの方が、
韓国の左派政権が北に与えるやわらかさ(春風)よりも強いのです。計算すると、
より一層厳しくなるのではないかと思っていますし、金正恩政権もそう思ってい
るでしょう。

◆北朝鮮は日本が制裁を強めれば強めるほど、反応しなくなる

 日本と国際社会が、北朝鮮に対して、9月の核実験を契機とした制裁をしまし
た。我々が一番注目していたのは、2月に我々が制裁した時は、すぐに北朝鮮が
反応して、「特別調査委員会は解体した」と言いました。今回は朝鮮総連が記者
会見して、「拉致問題に悪影響を与える」と言いました。しかし、北朝鮮本国か
らは何も反応がない。

 北朝鮮は日本が制裁を強めれば強めるほど、反応がなくなる。去年、安倍政権
が朝鮮総連の議長と副議長の自宅を家宅捜索した時は、北京ルートで公式に、
「政府間対話ができなくなっている」と言いました。そしたら次の日、安倍総理
は我々と家族会に会った時に、「拉致を解決しなければ北朝鮮に未来はない」と
言いました。強いことを言うんだなと思って見ていました。

 去年は政府間対話を切るぞと脅してきたんです。今年2月は、「特別調査委員
会は解体した」と言いました。しかし、ストックホルム合意を切るとか、日本と
の対話を切るとは言わなかった。今回は何も言わない。

 彼らの計算で、朴槿惠政権が倒れて、日本は必要ないとなったら、「安倍政権
は相手にせず」、「政府間対話は切った」と言ってもいいんですが、言ってこな
い。まだ痛みを覚えているということです。

 北朝鮮問題は核問題もありますから、日本にとっても絶対解決しなければなら
ない問題ではありますが、我々は2段階で解決してほしいと言っています。まず
第一に拉致だ、と。拉致が先で、人質を取り戻した後、安全保障の問題で自由に
我々も色々なことができるようになりますが、人質がいると、我々がうあること
も限られます。

 核問題を解決するために日本が全力を尽くすためにも、人質をまず取り戻す必
要がある。だからこそ、「拉致は最優先」と言っているわけです。

◆包括的解決と最重要課題では拉致が優先

 北朝鮮が我々がやっていることにまだ痛みを覚えていることに関して、気を付
けなければならないことが2つあります。2つの優先です。日本政府の制裁に関
するペーパーを見ると、「安倍政権の最重要課題である拉致問題」と書いていま
す。一方、「拉致、核、ミサイルの諸懸案を包括的に解決する」と書いています。

 拉致が最重要だけど、3つを包括的に解決すると。「包括的」というのが、時
間の概念を含んで、同時ということなら最重要ではないと聞こえる。先ほど申し
上げましたように、核を解決するには人質を取り戻さなければいけない。

 そういう点で。拉致が最重要というのは「包括的解決」と矛盾しないとは思い
ますが、やはりまず拉致問題が優先で、国際社会が核で圧力をかけるようになる
中で、日本が拉致が最優先ということをちらちら見せながら、こちらに来いとい
うことをやる。

 そして拉致を解決した後、できることはこちらでやるということだと思います
し、また北朝鮮に対して、「日本は拉致と核の両方で制裁をかけているので、拉
致の部分は解決すれば制裁を降ろしてもいい」と言える。

 国際社会も今でも人道支援をしていますから、人道支援はやってほしいと思い
ます。包括的解決と最重要課題での優先という問題が一つあります。

◆日本は拉致で譲歩しないと金正恩に分からせなければならない

 もう一つは、政府のペーパーでは、「ストックホルム合意に基づき一日も早い
被害者の帰国の実現」と書いています。ストックホルム合意は、先ほど中山先生
もおっしゃっていましたが、拉致問題と他の人道問題が並列されています。他の
人道問題がある中で拉致問題をどう優先させるか。

 ストックホルム合意に基づくと言いながらも、安倍政権が去年から拉致優先と
言う立場を貫いているのは、私が見ているところではありますが、では「ストッ
クホルム合意に基づいて他の人道問題を先にやりましょう」という工作を激しく
仕掛けてきています。

 横田さんたちはお孫さんとの面会でもう満足している。次の人道問題は横田さ
んたちが東京でお孫さんと会うことだ。日本人妻の問題や在朝日本人が、日本に
帰ってくられるようにすることだ。日本人の遺骨を日本に戻すことだ。拉致問題
を優先してそれをやらないのは差別だ。そういうことを言う勢力が今、出てきて
います。そこに野党の国会議員もついている。日本の国会議員です。

 ストックホルム合意の中で、拉致を優先することに「反対だ」という人たちが
出てきています。そちらも抑えなければならない。

 日本は、犯罪である拉致被害者を取り戻すことは絶対譲れない。それが最重要
なんだ。そこは日本は譲歩しないと金正恩に分からせなければならない。国内で
違うことを言う人がいるということは客観的事実です。そこに北朝鮮が希望を痛
いていることも事実です。

 日日戦争というか、国内での戦いを勝ち抜いて、不愉快な思いを北に思わせる
ことには一定程度成功していますから、日本から何かを得たり、日本の制裁を緩
めるためには、最優先である拉致問題を動かすより道はないということを金正恩
に伝えることが必要ではないかと思っています(拍手)。

(6につづく)


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