東京連続集会1(2025/08/01)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2025.08.01)
■拉致被害者救出の好機とそれを妨げるもの
以下は、7月31日に開催された、第134回東京連続集会の報告です。
拉致問題は、?北朝鮮情勢?国際情勢?日本の政治の3つに左右されてきまし
た。??は北朝鮮の統一放棄、中朝関係悪化、トランプ政権発足で米朝首脳会談
とその直後の日朝首脳会談浮上という好機を迎えましたが、北朝鮮によるウクラ
イナ侵略戦争参戦とそれに力を得たロシアが停戦を拒否し、米朝首脳会談が遅延
して膠着状態となりました。
その上?日本の政治の混乱が事態をより複雑にしました。北朝鮮情勢について
西岡力会長が、参院選後の政治の動向について江崎道朗副会長が解説。家族会の
横田拓也代表、横田早紀江さん、横田哲也さんも参加しました。
◆暑い中、拉致被害者にクーラーはないのでは
西岡力(救う会会長)
暑い中ですが、北朝鮮のテレビでも先日暑さがひどいということを流していま
した。熱中症にならないためにはどうしたらいいかについて、「水を飲め」等の
ことを話していたと聞きました。
日本では、「クーラーをつけましょう」といいますが、北朝鮮ではそういう話
はないんです。残念ながら北朝鮮では、相当の幹部の家でないとクーラーはない
ようです。
そういう中、被害者はどうしているかなと気になって、元工作機関にいた人に
連絡して聞いたところ、「工作機関の中でも全部クーラーがあるわけではないが、
被害者が収容されている所にはクーラーがあるのではないか」と言っていました。
そうであればいいのですが。
今日はまず、横田家から3人来てくださいましたので近況をお話していただい
て、その後私と江崎副会長とで議論したいと思います。
◆必ず全員が帰ってくるとの信念を持ち続ける
横田拓也(横田めぐみさん弟、家族会代表)
皆様こんばんは。家族会代表の横田拓也です。
お忙しい中、そして大変暑い毎日が続く中、本日の東京集会にお越し頂きまし
てありがとうございます。前回の東京集会から今日までの新しいトピックスをお
伝えした上で、私の話をさせていただきたいと思います。
この間大きく2つのできごとがありました。
1つは6月22日に、政府に主導していただいた「国連シンポジウム」があり
ました。これは日本とアメリカ、オーストラリア、EU共催のオンラインのシンポ
ジウムです。
日本からは私たち被害者家族が、そしてタイからもアメリカからも被害者家族
が出て、私たちの心の内の苦しさとか、早急に解決してほしいということを伝え
ることができました。
各国の家族や大使、そして林官房長官、古屋拉致議連会長に出ていただきまし
た。積み上げた一個一個の石の大きさは小さいかもしれませんが、各国が(拉致
という)人権問題に向き合って、結束することが大事なんだということを改めて
共有できたことは、とても意味があったと思っています。共催していただいた日
本政府にはお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
次に7月1日に、サルモンさんという国連北朝鮮人権状況特別報告者の方と、
内閣府の建物で面会させていただきました。私と母と哲也と耕一郎さんが参加し
ました。彼女とは2002年12月以来2回目の面会で、お会いする時には前回
会った時から新しいことがあったら教えてほしいということでした。
残念ながら冒頭挨拶で有本のお父さんが2月に亡くなり、こうした現実を受け
止めることができないということ、逼迫していることをお伝えしました。そして
力強いご支持を改めていただきました。
前回の東京集会では、ゴールデンウイーク期間中の訪米活動についてご報告致
しました。その際に、どこか選挙の話題に拉致問題がかき消され、生命のかかっ
た人権問題への関心が低くなってしまうのではという心配をしたわけですが、参
議院選挙に突入してしまえば多くの政党と候補者は拉致問題そのものに言及する
ケースがほとんどなく、心配していた通り置き去りになってしまったという問題
が残りました。
参院選の結果は報道の通りでして、その結果に対して私たち家族会が何かコメ
ントする立場にはありませんが、選挙後も拉致問題が取り上げられることはほと
んどなく、「国の最重要課題」と言っているにもかかわらず、一体現状はどうなっ
ているのだという不満と心配があります。
7月29日の報道によれば、北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は談話で、金正
恩党総書記とトランプ米大統領の個人的関係は「悪くない」とする一方、米国が
北朝鮮の非核化を目指すのは「愚弄になる」、とコメントしました。
しばらく米朝間に関する言及が北朝鮮側からなかった中で、嘘でもこうした比
較的前向きなコメントがあった事は僅かな期待を持てるかもしれません。
一方で、ロシアによるウクライナ侵攻に手を貸し、軍事支援や人権侵害に加担
している現状や、中朝の首都を結ぶ旅客列車の5年ぶりの運行再開で合意したこ
となどは、日本が北朝鮮との交渉を進めていく上での外交力が、相対的に比重が
下がることも考えられ、これまで以上に日本政府の本気度が求められていると思
います。
参院選の結果は申し上げるまでもなく、与党である自公政権が過半数を取れな
い形で国民の審判が下されました。この先、政権の形がどうなるのかは現時点で
は分かりませんが、北朝鮮との拉致問題解決のために重要なのは国益、人権、自
由の基本原則を絶対に守り抜くという強い信念を持つこと、相手の恫喝や汚い言
葉づかいに動じないこと、そしてとりわけ被害者である私たち家族会の思いにしっ
かり寄り添って頂く姿勢がとても大事だと思います。
その上で、現石破政権は家族会が1997年結成から13人目の首相であり、
こうした入れ替わり立ち代わりの状況は北朝鮮側から見れば本気で交渉していい
相手かどうかを厳しい尺度で評価されているのだと思います。
幾度も家族会の方針と私自身の思いを伝えていますが、私たち家族会の求めて
いることは「全拉致被害者の即時一括帰国」です。コマ切れの交渉で「部分的解
決」や「段階的解決」は時間稼ぎと幕引きにつながる危険性があり、一切これを
求めていません。また家族会の親世代が健在な内に、今隣に座っている私の母、
横田早紀江一人になってしまいましたが、親世代が健在な内に全拉致被害者を帰
国させることをタイムリミットとしています。
この方針が守られなければ、日朝国交正常化交渉に対して強く反対し、これま
で以上に北朝鮮への経済制裁強化を求める事になります。こうした私たちの固い
信念に日本政府がしっかり向き合い、そして同調し、金正恩委員長に「速やかに
全拉致被害者を帰せ!」と強く言葉にしてほしいと思います。
冒頭に西岡会長から、この猛暑の中北朝鮮国内で苦しい状況にあるのではない
かというお話がありましたが、私たち家族の立場で言えば、これは夏であっても
冬であっても、毎日そういうことを心配しているわけです。
帰国された蓮池さんの話によると、「夏は比較的我慢できるが冬は一番つらい」。
夏は男性なら服を脱ぐことができても、冬はどうにもならない。暖が取れないし
暖房器具も燃料もないからです。そうやって過ごすかというと、全員が布団でぐ
るぐる巻きになって、家族が連なって暖を取っていたそうです。
日本の酷暑と言われる暑さと北朝鮮とはまあまあ同じような環境じゃないかと
思います。雨が降ればゲリラ豪雨になり、暑ければ逃げ場がないのだろうと思い
ます。食糧が少ないのは言うまでもありません。
こうした中で、多くの拉致被害者が必死で生き延びている状況だと思います。
私たちは、絶対あきらめてはいけない。許してはいけない。必ず全員が帰ってく
るとの信念を持ち続けることが大事だと思います。そのためには私たちの民意と
いう力を選挙の時や知っている議員の方々に強くぶつけていただいて、署名も
2000万筆近く集まっていますが、こうした民意の力を、声を、政府に届けていた
だけるよう、改めてお願いします。
日朝間の人権問題が表面的には全く動いていないように見えますから、この状
況に対して皆様のお力を改めてお借りしたいと思います。今後ともどうぞ宜しく
お願いいたします。ありがとうございます(拍手)。
◆そこにいるのが分かっているのに姿も見えない、声も聞けない
横田早紀江(横田めぐみさん母)
皆様こんばんは。お暑い中をこうしてたくさんの方にお集まりいただき、拉致
問題に関心を持って私たちを応援していただき、心から感謝しています。ありが
とうございます。
今拓也がお話しましたのが大きな全体のことですので、お分かりいただいてい
ると思います。拉致がこの日本で堂々と行われて、何人連れ去られたのかも分か
らない状況です。
私たちは、どこに行ってしまったのかが分かりませんでした。突然学校からの
帰りにめぐみの姿がパッと消えて、香りだけが残って、(警察)犬が家の近くで
動かなくなった。ということは車に乗せられたのかなと思いました。でも近くの
海でいなくなったのかもしれない。毎日泣きながら、さ迷い歩いて探し回ってい
ました。その頃から今日に至っています。
長い年月、多くの国民がさらわれたのに、どこにいるのか分からない日々が続
きました。今国民の皆様が応援してくださっていますが、私も主人も全国でお話
をさせていただいた中で、だんだん拉致問題について、こんなことがあったのか
と、皆さんが分かってくださり、たくさんの方々が応援してくださいました。
「3年くらいで何とかなるんじゃないか」と言ってくださった検事さんがおられ
たことを今でも思い出します。全国に「救う会」ができて、全部回ってお話をし
て、またたくさんの学校の生徒さんたちにもお話をさせていただきました。
「こんなことがあるんですか」と子どもたちがびっくりしていました。
そうして皆様が非常によく考えてくださるようになりました。そういう意味で
はいい方向に向かってきたのに、どうして帰って来ないのか、不思議でしょうが
ない思いです。
そこにいるのが分かっているのに見えない。姿も見えない、声も聞けない。い
つも同じことばかりで動いて行かない。何が原因なのだろうと思います。日本の
国家の成り立ち、政府のありかた、色々なことを経験しながら、このままでは日
本はどのように扱われていくんだろうと危機感さえ思いました。
めぐみに関しては、娘のキム・ウンギョンという子どもが生まれていて、その
子どもも生まれています。政府など色々な方が動いてくださって、主人と共に会
うことができ本当に嬉しく思っています。そういう不思議なことが起きながら、
拉致問題は解決していない。
多くの被害者の子どもたちが(帰国して)日本で勉強して、この国ために何か
役に立つということがあればいいのですが、日本はほんとうにやわらかい国になっ
てしまったという思いです。また報道の方のたくさんの努力で色々な真実が明ら
かになってきました。こんなことでいいのでしょうか。どうすれば彼らを帰国さ
せることができるのか。そういうことをいつも考えつづけています。
この状況をこのままにしておいていいのかということを真剣に考えていくこと
をお願いしています。早く帰国ができるように、そして金正恩の北朝鮮では、国
民の皆様が苦しい思いをしており、食べることもできない状況です。今前よりは
少しよくなったようなことも聞きます。
核を持つというのは世界中にとってよくないことです。お互いに仲良くできよ
うにと願っています。これからも皆様のお力を貸していただければと思います。
ありがとうございました(拍手)。
◆最重要事項としてだけでなく、最優先事項としても取り組んでほしい
横田哲也(横田めぐみさん弟)
皆さん、こんばんは。私たちは拉致被害者全員が帰国するまで絶対にあきらめ
ることはありませんし、あらゆる場面でこれからも「全員即時帰国」を訴え続け
たいと思います。
そういう思いを政府与党の方々がどのくらい持っているのか。これは私たちが
絶えず疑問に思っているところです。政府は、拉致問題を「最重要事項」と言っ
ていますが、どれだけ真剣に取り組んでいるのかとも考えています。
石破総理は、参議院選挙の街頭演説で、アメリカとの関税交渉について、「な
められて、たまるか」と厳しい発言をしています。
私たちは官邸で会ったり、国民大集会で総理のご発言を聞くときに、石破総理
は、「拉致問題は国家主権の侵害である」とはっきりとおっしゃっています。そ
こまで思っていらっしゃるのであれば、アメリカに対して言ったように、北朝鮮
に対して、「ふざけるな」となぜ言わないのかと感じます。
これまでも申し上げてきましたが、首脳会談でしかこの問題の解決の道はない
と思います。守るべきは国民の生命と財産ですから、これができないのなら国会
議員をやっている意味はないと思います。責任をもってやるべきことを、県会議
員も、市町村議会議員ではなく、国会議員としてやるべきことを考えて動いてほ
しいと思います。
国が何もやっていないかというとそうではなく、これまでも安倍総理とお会い
した時、「色々動いているんですよ」と聞きました。石破総理にお会いした時、
「何も動かないのは政府の不作為だ」と言ったのですが、石破総理は、「不作為
ではない。やっているんだ」とおっしゃいました。しかし、今の政権は安倍政権
の時と比べると熱意を感じないんです。なにか安心感がない。
日朝の連絡事務所の件についても私たちは言いましたし、懸念しているわけで
す。食糧も医薬品もあらゆるものがない。だから横田めぐみが平穏な生活ができ
ているのか心配です。
まず拉致被害者を救出することですが、罪のない北朝鮮国民を解放することも
大事なことだと思います。拉致問題解決の先を見せながら、粛々と取り組めるこ
とを取り組んでいくことを考えています。
政府、関係者は自分のこととして拉致問題を考え、最重要事項としてだけでな
く、最優先事項としても取り組んでほしいと思います。政治ごっこは速やかにや
めて主権国家として当たり前の行動をし、結果を出してほしいと思っています。
毎日の生活が少しずつ記憶に残り、何年かするうちに日本人が形成されていく
わけですが、北朝鮮に拘束されている拉致被害者は、日本にいれば当たり前には
ぐくめた人間性をはぐくむ機会がないのは本当に不幸なことだと思います。
日本にいれば温かい家族があり、仲のいい友人と過ごせて、子どもが生まれれ
ばその記憶が積み重なって形成され、日本人として当たり前の人になる。その日
本人としての思いが作れないことを考えると、本当に残酷なことで、「許せない」
の一言です。
そんな状況を打破するために私たちも粛々とやりますが、トップ会談でしか解
決できないのです。総理が動くしかないのです。
石破総理は、私たちがよしとしない日朝議員連盟のメンバーです。岩屋外務大
臣もそうです。ほかにもたくさんおられます。そういう人たちが与党にいる限り、
私たちがどんなに訴えても、心に響かないでしょうね。それでも私たちは動きま
すが、石破総理は日本人の生命と財産を最優先で捕えて、とにかく結果を出して
ほしいと思います。
皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます(拍手)。
(2につづく)
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■石破首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆
■拉致被害者救出の好機とそれを妨げるもの
以下は、7月31日に開催された、第134回東京連続集会の報告です。
拉致問題は、?北朝鮮情勢?国際情勢?日本の政治の3つに左右されてきまし
た。??は北朝鮮の統一放棄、中朝関係悪化、トランプ政権発足で米朝首脳会談
とその直後の日朝首脳会談浮上という好機を迎えましたが、北朝鮮によるウクラ
イナ侵略戦争参戦とそれに力を得たロシアが停戦を拒否し、米朝首脳会談が遅延
して膠着状態となりました。
その上?日本の政治の混乱が事態をより複雑にしました。北朝鮮情勢について
西岡力会長が、参院選後の政治の動向について江崎道朗副会長が解説。家族会の
横田拓也代表、横田早紀江さん、横田哲也さんも参加しました。
◆暑い中、拉致被害者にクーラーはないのでは
西岡力(救う会会長)
暑い中ですが、北朝鮮のテレビでも先日暑さがひどいということを流していま
した。熱中症にならないためにはどうしたらいいかについて、「水を飲め」等の
ことを話していたと聞きました。
日本では、「クーラーをつけましょう」といいますが、北朝鮮ではそういう話
はないんです。残念ながら北朝鮮では、相当の幹部の家でないとクーラーはない
ようです。
そういう中、被害者はどうしているかなと気になって、元工作機関にいた人に
連絡して聞いたところ、「工作機関の中でも全部クーラーがあるわけではないが、
被害者が収容されている所にはクーラーがあるのではないか」と言っていました。
そうであればいいのですが。
今日はまず、横田家から3人来てくださいましたので近況をお話していただい
て、その後私と江崎副会長とで議論したいと思います。
◆必ず全員が帰ってくるとの信念を持ち続ける
横田拓也(横田めぐみさん弟、家族会代表)
皆様こんばんは。家族会代表の横田拓也です。
お忙しい中、そして大変暑い毎日が続く中、本日の東京集会にお越し頂きまし
てありがとうございます。前回の東京集会から今日までの新しいトピックスをお
伝えした上で、私の話をさせていただきたいと思います。
この間大きく2つのできごとがありました。
1つは6月22日に、政府に主導していただいた「国連シンポジウム」があり
ました。これは日本とアメリカ、オーストラリア、EU共催のオンラインのシンポ
ジウムです。
日本からは私たち被害者家族が、そしてタイからもアメリカからも被害者家族
が出て、私たちの心の内の苦しさとか、早急に解決してほしいということを伝え
ることができました。
各国の家族や大使、そして林官房長官、古屋拉致議連会長に出ていただきまし
た。積み上げた一個一個の石の大きさは小さいかもしれませんが、各国が(拉致
という)人権問題に向き合って、結束することが大事なんだということを改めて
共有できたことは、とても意味があったと思っています。共催していただいた日
本政府にはお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
次に7月1日に、サルモンさんという国連北朝鮮人権状況特別報告者の方と、
内閣府の建物で面会させていただきました。私と母と哲也と耕一郎さんが参加し
ました。彼女とは2002年12月以来2回目の面会で、お会いする時には前回
会った時から新しいことがあったら教えてほしいということでした。
残念ながら冒頭挨拶で有本のお父さんが2月に亡くなり、こうした現実を受け
止めることができないということ、逼迫していることをお伝えしました。そして
力強いご支持を改めていただきました。
前回の東京集会では、ゴールデンウイーク期間中の訪米活動についてご報告致
しました。その際に、どこか選挙の話題に拉致問題がかき消され、生命のかかっ
た人権問題への関心が低くなってしまうのではという心配をしたわけですが、参
議院選挙に突入してしまえば多くの政党と候補者は拉致問題そのものに言及する
ケースがほとんどなく、心配していた通り置き去りになってしまったという問題
が残りました。
参院選の結果は報道の通りでして、その結果に対して私たち家族会が何かコメ
ントする立場にはありませんが、選挙後も拉致問題が取り上げられることはほと
んどなく、「国の最重要課題」と言っているにもかかわらず、一体現状はどうなっ
ているのだという不満と心配があります。
7月29日の報道によれば、北朝鮮の金与正朝鮮労働党副部長は談話で、金正
恩党総書記とトランプ米大統領の個人的関係は「悪くない」とする一方、米国が
北朝鮮の非核化を目指すのは「愚弄になる」、とコメントしました。
しばらく米朝間に関する言及が北朝鮮側からなかった中で、嘘でもこうした比
較的前向きなコメントがあった事は僅かな期待を持てるかもしれません。
一方で、ロシアによるウクライナ侵攻に手を貸し、軍事支援や人権侵害に加担
している現状や、中朝の首都を結ぶ旅客列車の5年ぶりの運行再開で合意したこ
となどは、日本が北朝鮮との交渉を進めていく上での外交力が、相対的に比重が
下がることも考えられ、これまで以上に日本政府の本気度が求められていると思
います。
参院選の結果は申し上げるまでもなく、与党である自公政権が過半数を取れな
い形で国民の審判が下されました。この先、政権の形がどうなるのかは現時点で
は分かりませんが、北朝鮮との拉致問題解決のために重要なのは国益、人権、自
由の基本原則を絶対に守り抜くという強い信念を持つこと、相手の恫喝や汚い言
葉づかいに動じないこと、そしてとりわけ被害者である私たち家族会の思いにしっ
かり寄り添って頂く姿勢がとても大事だと思います。
その上で、現石破政権は家族会が1997年結成から13人目の首相であり、
こうした入れ替わり立ち代わりの状況は北朝鮮側から見れば本気で交渉していい
相手かどうかを厳しい尺度で評価されているのだと思います。
幾度も家族会の方針と私自身の思いを伝えていますが、私たち家族会の求めて
いることは「全拉致被害者の即時一括帰国」です。コマ切れの交渉で「部分的解
決」や「段階的解決」は時間稼ぎと幕引きにつながる危険性があり、一切これを
求めていません。また家族会の親世代が健在な内に、今隣に座っている私の母、
横田早紀江一人になってしまいましたが、親世代が健在な内に全拉致被害者を帰
国させることをタイムリミットとしています。
この方針が守られなければ、日朝国交正常化交渉に対して強く反対し、これま
で以上に北朝鮮への経済制裁強化を求める事になります。こうした私たちの固い
信念に日本政府がしっかり向き合い、そして同調し、金正恩委員長に「速やかに
全拉致被害者を帰せ!」と強く言葉にしてほしいと思います。
冒頭に西岡会長から、この猛暑の中北朝鮮国内で苦しい状況にあるのではない
かというお話がありましたが、私たち家族の立場で言えば、これは夏であっても
冬であっても、毎日そういうことを心配しているわけです。
帰国された蓮池さんの話によると、「夏は比較的我慢できるが冬は一番つらい」。
夏は男性なら服を脱ぐことができても、冬はどうにもならない。暖が取れないし
暖房器具も燃料もないからです。そうやって過ごすかというと、全員が布団でぐ
るぐる巻きになって、家族が連なって暖を取っていたそうです。
日本の酷暑と言われる暑さと北朝鮮とはまあまあ同じような環境じゃないかと
思います。雨が降ればゲリラ豪雨になり、暑ければ逃げ場がないのだろうと思い
ます。食糧が少ないのは言うまでもありません。
こうした中で、多くの拉致被害者が必死で生き延びている状況だと思います。
私たちは、絶対あきらめてはいけない。許してはいけない。必ず全員が帰ってく
るとの信念を持ち続けることが大事だと思います。そのためには私たちの民意と
いう力を選挙の時や知っている議員の方々に強くぶつけていただいて、署名も
2000万筆近く集まっていますが、こうした民意の力を、声を、政府に届けていた
だけるよう、改めてお願いします。
日朝間の人権問題が表面的には全く動いていないように見えますから、この状
況に対して皆様のお力を改めてお借りしたいと思います。今後ともどうぞ宜しく
お願いいたします。ありがとうございます(拍手)。
◆そこにいるのが分かっているのに姿も見えない、声も聞けない
横田早紀江(横田めぐみさん母)
皆様こんばんは。お暑い中をこうしてたくさんの方にお集まりいただき、拉致
問題に関心を持って私たちを応援していただき、心から感謝しています。ありが
とうございます。
今拓也がお話しましたのが大きな全体のことですので、お分かりいただいてい
ると思います。拉致がこの日本で堂々と行われて、何人連れ去られたのかも分か
らない状況です。
私たちは、どこに行ってしまったのかが分かりませんでした。突然学校からの
帰りにめぐみの姿がパッと消えて、香りだけが残って、(警察)犬が家の近くで
動かなくなった。ということは車に乗せられたのかなと思いました。でも近くの
海でいなくなったのかもしれない。毎日泣きながら、さ迷い歩いて探し回ってい
ました。その頃から今日に至っています。
長い年月、多くの国民がさらわれたのに、どこにいるのか分からない日々が続
きました。今国民の皆様が応援してくださっていますが、私も主人も全国でお話
をさせていただいた中で、だんだん拉致問題について、こんなことがあったのか
と、皆さんが分かってくださり、たくさんの方々が応援してくださいました。
「3年くらいで何とかなるんじゃないか」と言ってくださった検事さんがおられ
たことを今でも思い出します。全国に「救う会」ができて、全部回ってお話をし
て、またたくさんの学校の生徒さんたちにもお話をさせていただきました。
「こんなことがあるんですか」と子どもたちがびっくりしていました。
そうして皆様が非常によく考えてくださるようになりました。そういう意味で
はいい方向に向かってきたのに、どうして帰って来ないのか、不思議でしょうが
ない思いです。
そこにいるのが分かっているのに見えない。姿も見えない、声も聞けない。い
つも同じことばかりで動いて行かない。何が原因なのだろうと思います。日本の
国家の成り立ち、政府のありかた、色々なことを経験しながら、このままでは日
本はどのように扱われていくんだろうと危機感さえ思いました。
めぐみに関しては、娘のキム・ウンギョンという子どもが生まれていて、その
子どもも生まれています。政府など色々な方が動いてくださって、主人と共に会
うことができ本当に嬉しく思っています。そういう不思議なことが起きながら、
拉致問題は解決していない。
多くの被害者の子どもたちが(帰国して)日本で勉強して、この国ために何か
役に立つということがあればいいのですが、日本はほんとうにやわらかい国になっ
てしまったという思いです。また報道の方のたくさんの努力で色々な真実が明ら
かになってきました。こんなことでいいのでしょうか。どうすれば彼らを帰国さ
せることができるのか。そういうことをいつも考えつづけています。
この状況をこのままにしておいていいのかということを真剣に考えていくこと
をお願いしています。早く帰国ができるように、そして金正恩の北朝鮮では、国
民の皆様が苦しい思いをしており、食べることもできない状況です。今前よりは
少しよくなったようなことも聞きます。
核を持つというのは世界中にとってよくないことです。お互いに仲良くできよ
うにと願っています。これからも皆様のお力を貸していただければと思います。
ありがとうございました(拍手)。
◆最重要事項としてだけでなく、最優先事項としても取り組んでほしい
横田哲也(横田めぐみさん弟)
皆さん、こんばんは。私たちは拉致被害者全員が帰国するまで絶対にあきらめ
ることはありませんし、あらゆる場面でこれからも「全員即時帰国」を訴え続け
たいと思います。
そういう思いを政府与党の方々がどのくらい持っているのか。これは私たちが
絶えず疑問に思っているところです。政府は、拉致問題を「最重要事項」と言っ
ていますが、どれだけ真剣に取り組んでいるのかとも考えています。
石破総理は、参議院選挙の街頭演説で、アメリカとの関税交渉について、「な
められて、たまるか」と厳しい発言をしています。
私たちは官邸で会ったり、国民大集会で総理のご発言を聞くときに、石破総理
は、「拉致問題は国家主権の侵害である」とはっきりとおっしゃっています。そ
こまで思っていらっしゃるのであれば、アメリカに対して言ったように、北朝鮮
に対して、「ふざけるな」となぜ言わないのかと感じます。
これまでも申し上げてきましたが、首脳会談でしかこの問題の解決の道はない
と思います。守るべきは国民の生命と財産ですから、これができないのなら国会
議員をやっている意味はないと思います。責任をもってやるべきことを、県会議
員も、市町村議会議員ではなく、国会議員としてやるべきことを考えて動いてほ
しいと思います。
国が何もやっていないかというとそうではなく、これまでも安倍総理とお会い
した時、「色々動いているんですよ」と聞きました。石破総理にお会いした時、
「何も動かないのは政府の不作為だ」と言ったのですが、石破総理は、「不作為
ではない。やっているんだ」とおっしゃいました。しかし、今の政権は安倍政権
の時と比べると熱意を感じないんです。なにか安心感がない。
日朝の連絡事務所の件についても私たちは言いましたし、懸念しているわけで
す。食糧も医薬品もあらゆるものがない。だから横田めぐみが平穏な生活ができ
ているのか心配です。
まず拉致被害者を救出することですが、罪のない北朝鮮国民を解放することも
大事なことだと思います。拉致問題解決の先を見せながら、粛々と取り組めるこ
とを取り組んでいくことを考えています。
政府、関係者は自分のこととして拉致問題を考え、最重要事項としてだけでな
く、最優先事項としても取り組んでほしいと思います。政治ごっこは速やかにや
めて主権国家として当たり前の行動をし、結果を出してほしいと思っています。
毎日の生活が少しずつ記憶に残り、何年かするうちに日本人が形成されていく
わけですが、北朝鮮に拘束されている拉致被害者は、日本にいれば当たり前には
ぐくめた人間性をはぐくむ機会がないのは本当に不幸なことだと思います。
日本にいれば温かい家族があり、仲のいい友人と過ごせて、子どもが生まれれ
ばその記憶が積み重なって形成され、日本人として当たり前の人になる。その日
本人としての思いが作れないことを考えると、本当に残酷なことで、「許せない」
の一言です。
そんな状況を打破するために私たちも粛々とやりますが、トップ会談でしか解
決できないのです。総理が動くしかないのです。
石破総理は、私たちがよしとしない日朝議員連盟のメンバーです。岩屋外務大
臣もそうです。ほかにもたくさんおられます。そういう人たちが与党にいる限り、
私たちがどんなに訴えても、心に響かないでしょうね。それでも私たちは動きま
すが、石破総理は日本人の生命と財産を最優先で捕えて、とにかく結果を出して
ほしいと思います。
皆様に感謝申し上げます。ありがとうございます(拍手)。
(2につづく)
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■石破首相にメール・葉書を
首相官邸のホームページに「ご意見募集」があります。
下記をクリックして、ご意見を送ってください。
https://www.kantei.go.jp/jp/iken.html
葉書は、〒100-8968 千代田区永田町2-3-1 内閣総理大臣 石破茂殿
■救う会全国協議会ニュース
発行:北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会(救う会)
TEL 03-3946-5780 FAX 03-3946-5784 http://www.sukuukai.jp
担当:平田隆太郎(事務局長 info@sukuukai.jp)
〒112-0013 東京都文京区音羽1-17-11-905
カンパ振込先:郵便振替口座 00100-4-14701 救う会
みずほ銀行池袋支店(普)5620780 救う会事務局長平田隆太郎
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