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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」報告4(2014/12/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2014.12.17)

■国際セミナー「日朝拉致協議の遅延をどう打開するか」報告4

櫻井 山谷大臣、ありがとうございました。次に、来賓のご挨拶をいただきます。
自由北朝鮮放送代表の金聖●さんが韓国から来てくださいました。宜しくお願い
いたします。●=王へんに文

◆金正恩への国連の訴追に当惑し、慌てる北朝鮮

金聖●(キム・ソンミン、脱北者、自由北朝鮮放送代表)

 お会いできてうれしいです。まず、拉致問題解決のためには金正恩政権の崩壊
が急務だという私たちの見解を共有していただきたいと思います。

 その意味で、今回日本政府が、国連の場に拉致問題を持ち出し、安保理事会に
まで持ち込もうとしている努力について感謝したいと思います。

 今回の国連の状況は、2005年以降毎年北朝鮮人権決議案が採択されてきた
状況とは違う様相をみせています。今回の決議案では、金正恩を人権の責任者と
して国際刑事裁判所に訴追しようという内容が書かれており、それに対して北朝
鮮が当惑して、慌てています。

 それがなぜ大きな問題なのかと疑問を持たれる方がいらっしゃるかと思います
が、私が北朝鮮で育ってきた体験から言えば、北朝鮮の人民は、小さい時からずっ
と、金日成、金正日、そして金正恩こそが偉大な指導者だと言われてきました。
そして外部の情報が遮断されているなか、そのようなことを信じさせることがで
きたのです。

 そのような偶像である首領が、金正恩が、今回、国際社会によって刑事裁判所
に引っ張られていくことが決まったというのは大変なショックであり、その意味
で大きな意義があると思います。

 そういう意味で日本政府が全力を尽くしてくださったことに感謝し、また韓国
政府もそういう動きに参加してきたことを大変うれしく思っています。最後まで
金正恩を国際刑事裁判所に訴追するまで努力していただきたいと思います。

 2011年11月、金正日が死んだ時、私はここ東京にいて、皆さんの前で、
このように申し上げたことを覚えています。「金正日が死んだあと、27歳の若
い男が独裁者になった。必ず失敗をする。そのミスをどう突くかが勝負です」と。

 ご承知のように叔父さんを粛清し、また総参謀長を粛清するというミスにミス
を続けてきています。もう一度東京に呼んでいただ時、「2014年に何が起き
るのか」というテーマで、「中国からも今はいじめられている」、「金正恩は日
本しか手を出す相手がいない」、「2014年には対日関係が動くだろう」と申
し上げたことを覚えています。

 私は預言者ではありませんが、皆さんが考えるよりもっと早く金正恩が死んで
北朝鮮社会に大きな変化が起きるだろう、と申し上げたいと思います。

 第1のオプションは、張成沢(チャン・ソンテク)粛清、李英浩(リ・ヨンホ)
粛清があり、「次は俺の番かもしれない」と思っている将軍たちがたくさんいる
ということです。自分の番が来る前に金正恩をやってしまえという形で金正恩が
死ぬオプションです。

 次は、30代の金正恩が実は自分の身体を管理できなくて、40日間姿を消し
て治療していたという事実があります。彼が出てきている姿を見ると、今服を着
ていますが、ぜい肉がたくさん付いた大肥満状態です。自分の身体さえ管理でき
ない金正恩が病気で死ぬ可能性があります。

 北朝鮮で民主化運動が起きるということは大変可能性が低いと見ておられる方
が多いと思います。しかし、私はそれは違うと思っています。市場で商売をして
いる多くの北朝鮮の住民たちは、自分の所有物に対する執着、これは自分のもの
だと、自分が持っている物を取り上げる人たちに対しては徹底的に戦う気分が生
まれています。そこを土台として民主化運動が起きることは十分ありえることだ
と私は思います。

 今まで申し上げたオプション、金正恩の死が北朝鮮の民主化運動に直結してい
るとも言えます。今日私は、韓国やアメリカの対北放送関係者と先ほどまで家族
会の皆さんと話をしていました。家族と別れて37年になるという人たちにかけ
る言葉もありませんでしたが、一日も早くその人たちが愛する家族と会えるため
にも、早く金正恩が死ぬ方がいいと心から思っています。

 ありがとうございました(拍手)。

櫻井 どうもありがとうございました。金聖●さんの自由北朝鮮放送は、脱北者
が中心となって2005年につくられたもので、北朝鮮向けに、朝鮮半島の自由
統一のために、短波と長波でラジオ放送をしておられます。朝鮮なまりで放送し
ているために、北朝鮮での対北ラジオ聴取率が第一位だそうです。●=王へんに
文。

 今日は参議院議員の井上義行さんが来てくださいましたので紹介します(拍手)。

 また政治犯収容所から出て脱北した申東赫(シン・ドンヒョク)さんは今日こ
こにお出でになる筈だったんですが、彼の証言に対して、北朝鮮が実の父親を出
してきて「それは違う」などと言わせています。申東赫さんには危険が迫ってい
るということで警備上の問題から来日は取りやめになりました。

 では、第1部の、「日朝拉致協議を遅延させる金正恩政権の狙い」についてディ
スカッションを始めたいと思います。第1部では、張真晟(チャン・ジンソン)
さんと西岡さんにお願いし、コメントを惠谷治さん、荒木和博さん、島田洋一さ
んにお願いします。

 まず、元朝鮮労働党統一戦線部(対南工作部門)幹部をしておられ、2004
年に脱北して、今はインターネット情報誌の「ニューフォーカス」を主宰してお
られる張真晟さんの問題提起、そして西岡さんの問題提起をうかがいます。(二
人のレジュメは12/12メールニュース参照)
ちなみに西岡さんはこの度、正論大賞を受賞されました(拍手)。

 では張真晟さんからお願いいたします(拍手)。

◆特別調査委員会は欺瞞に過ぎない

張真晟 みなさんこんにちは。北朝鮮が特別調査委員会を作ったという発表があ
りました。それに対する日本の学会あるいは言論界の反応を見て、北朝鮮のこと
がこんなに分かっていないのかと思いました。

 北朝鮮は、特別調査委員会の権限が国防委員会から委任されたと、国防委員会
の権限を強調しました。そしてそれは、あたかも北朝鮮が大きな変更をして、拉
致問題に真剣に取り組むかのような印象を日本社会に与えたのですが、それは大
きな間違いです。

 北朝鮮の実際の権力はどこにあるのか。国防委員会ではありません。また先軍
政治だから軍部だということでもありません。党の組織指導部にあるのです。北
朝鮮を正しく見ているかどうかの違いは、党の組織指導部についてよく分かって
いるかにかかっています。

 先軍政治だから北朝鮮の権力は軍が持っているという人たちに私は逆に質問し
たいです。北朝鮮の権力は労働者階級が持っていたと過去にいっていたわけです。
それでは労働者階級が権力を持っていたのかということです。

 党の組織指導部が北朝鮮の核心的な権力機構であることを裏付けるファクトは
何か。金正日の職責です。金正日は、金日成が生きていた時約30年間、金日成
が党の総書記をしていた時、その次の位置にある党の組織担当書記兼組織指導部
長をしていました。

 そして金日成が死んだあと、彼は党のトップ総書記に上がったのですが、組織
担当書記兼組織指導部長の職位もそのまま維持しました。

 党の組織指導部は幹部の人事権、そして党の生活指導権、そして検閲権つまり
粛清することができる権力、従って誰を粛清するか決めるのが組織指導部で、そ
の下で保衛部が粛清を実行するということです。

 またどの決裁書を上げるかという決裁書総合権、そして党員登録権、首領警備
権を独占しています。

 ですから特別調査委員会に権限を持たせるならば、組織指導部のもとに作らな
ければならないんですが、国防委員会の元に作った。国防委員会というのは実態
がありません。ただ象徴的な組織です。過去に金日成が、権力はないけれども象
徴だった時の金日成主席府と同じ概念です。

 そして、国防委員会の元に国家保衛部や社会保安部や保健省、国土管理省など
の国家機関が入っていますが、何の意味もありません。

 一言で言うと、党組織指導部が(拉致被害者調査を)再決心することはあって
も、国家安全保衛部の再調査はありえないのです。

 北がなぜ拉致をしたのか。人口が不足して人口を充当するために拉致したのか。
そんなことはありえません。首領独裁体制のもとで、首領の命令のもとに、組織
的に拉致をしたのです。ですからその名簿はすでにあるのです。

 それなのに全国的に調査をするなどと言っていること自体、日本をだまそうと
する欺瞞にすぎないと思っています。

 また、特別調査委員長に徐大河(ソ・デハ)少将を置いているのも、日本側と
格が合わない。社会保安省は一般警察で国家保衛部より格が下ですが、その社会
保安省でも、強化局長や監察局長は星二つの中将です。つまり星一つの少将とい
うのは局長の下の課長とか局参事官くらいにしかならないのです。

 ですから、国防委員会の下の保衛部が主軸になった特別調査委員会というのは
欺瞞にしか過ぎない詐欺なのですが、日本国内では北朝鮮の欺瞞に追随して、む
しろ拡散する傾向さえあると見えています。それは北朝鮮の権力を知らない学者
たちが解説をしているからそうなっていると思います。

◆北朝鮮にとって問題なのは首領一人の人権だけ、それを揺さぶる

 拉致問題を解決するには、私はこの拉致犯罪を首領の犯罪だと結びつけなくて
はならないと思っています。今回、国連の決議で、金正恩を国際刑事裁判所に訴
えるということになった時に、突然北朝鮮は、この10年間人権問題を無視して
きたのに、騒ぎ始め、慌て始めた。国際社会は、それはどうしてだろうかと疑問
視しているかもしれませんが、北朝鮮にとって問題なのは一人の人権だけ、首領
の人権だけが彼らにとって問題で、首領の人権が犯される、首領の独裁体制が揺
るがせられることは許容できないということです。

 住民たちの人権問題が問題になった時は全く無視していたのに、首領の人権、
すなわち首領の責任を国際刑事裁判所に訴えることになった時に、突然大騒ぎが
始まったということです。ですから首領の責任まで追及して初めて彼らは動き始
めるんです。

◆拉致犯罪を首領の犯罪と結び付け、対南工作部署と交渉を

 追加説明をするならば、先ほど金聖●(●は王へんに文)代表も話されたよう
に、北朝鮮の独裁の手段は二つあり、一つは物理的な独裁、もう一つは感性、気
持ちという意味ですが、感性独裁です。

 感性独裁とは、北朝鮮国民の考えや情緒さえも首領の神格化に誘導する、その
ための洗脳教育をして、もう一つの物理的独裁と併せて、首領独裁体制を維持す
るのです。

 北朝鮮の物理的独裁は目で見ることができますが、感性独裁は気持ち、情緒で
すから見えない。その核心は何かというと首領の神格化です。拉致問題も、今の
ように、拉致の責任を工作機関に結びつけていては彼らは動きません。拉致の責
任を首領に結びつけて、その神格化を揺さぶることによって初めて彼らは動くん
です。

 それから、日本という条件の中で北朝鮮を圧迫する手段としては、朝鮮総連が
あります。朝鮮総連の建物だけを奪ってもだめなのです。彼らが、活動できる集
まりを持っていること自体を問題にしなければならない。

 彼らは実は首領の神格化が活動の根本ですから、首領を崇拝していることと朝
鮮総連の活動を結びつけて、それを攻撃しなければならないと思います。拉致犯
罪を首領の犯罪と結び付けてそれを象徴化する。そしてその枠の中で国防委員会
や保衛部、社会安全省などを排除して、実務的に対南工作部署と直接関係を持つ
べきです。

 以上です(拍手)。

(5につづく)

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