救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

横田めぐみさん拉致事件を検証 ?東京連続集会報告4(2013/12/05)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2013.12.05)

■横田めぐみさん拉致事件を検証?東京連続集会報告4

(3からつづく)

◆すざまじい爆発音は船のエンジン音

西岡 飛行機が落ちたかのような音、あるいは船のエンジンをかけたかのような
音が7時前にあったということと、ゴムボート、小船、母船で逃げていくことと
の関係で、その音をどう評価しますか。

惠谷 ご存知と思いますが、北朝鮮の工作員(スパイ)は3段階方式で日本に潜
入していました。1973年が確認される最初の例で、それ以前はありません。
それ以前は、日本の近海にくると伝馬船を降ろして潜入していました。

 その内、彼らはゴムボートというのを知ったようで、ゴムボートを積んでくる
ようになりました。確認できる最初の事例は1973年、辛光洙が京都の経ケ岬
に侵入した時が3段階方式です。

 工作母船の後ろに小船を載せるスペースがあって、22キロの領海付近で小船
を出します。小船が出て陸地に接近します。沖合い500mくらいのところでゴ
ムボートを出します。何かの事情で500mまで接近できない場合には、水中ス
クーターというケースもあります。

 しかし、拉致が目的の場合は、被害者を載せますからゴムボートになります。
そして小船に辿り着く。その際、発見された場合、同じように爆発音があります。
5mくらいの小船を爆破します。日本には北朝鮮の実物の小船が2杯あります。
この小船にはアメリカのエンジン3機を積んでいます。すざまじい音がでます。

 拉致をして追われている、あるいは工作員を回収して急いで逃げなければなら
ないような時、3機のエンジンをすぐかけると爆発音がします。海上からですか
ら大きな音が聞こえる。これは何ケースもこれまでにありました。

西岡 そうすると6時半過ぎに襲われて、5分くらいかつがれて、ゴムボートの
ところに行った。それが6時40分くらい。ゴムボートが小船に辿り着いたのが
10分とすると、6時50分か55分に小船に乗って、エンジンをかけてすぐ逃
げたと。

横田早紀江 さっき言い忘れたんですが、音を聞いたのは3人だけと思っていた
のですが、他にもすごい音を聞いていらっしゃいます。その人は玄関のところま
で出てみた。その向かいの奥様も音を聞いて出てこられて、「今の音は何だった
んでしょうね」、「すごい音ですね」と話しているんです。めぐみが拉致された
前ではなく、後に聞いています。

西岡 そうなると、ゴムボートが置いてあって、組長がそこにいて、すぐスタン
バイできるようになっていて、乗せたらすぐ出ていって、小船に乗り移ったらエ
ンジンをふかせてドンという音がしたということが考えられます。そして車は使っ
ていないと思われます。

◆波が荒いくても拉致する訓練

横田滋 普通その頃になると新潟はかなり波が荒くなります。秋は少しまてば波
が静まることもあります。警察に聞くと、地元の業者は、「こんなところから船
を出すようなことは絶対にしない」、「危ないから」と。

 しかし、安明進さんが来た時に話をした時は、「工作員は危険は無視してやる
から、そういうこともあるかもしれないですよ」と言っていました。常識的には
その頃はボートなんかは使わない。夏は鏡のように静かなんです。だからそれが
ボートなのかどうかははっきりしないですね。

惠谷 波が荒いから漁師さんたちは寄居浜から絶対出航しないというのは当然の
ことです。そういうところを出入りするのが戦闘員、工作員です。その訓練を受
けているわけです。

 11月15日というのは、波が穏やかで晴れていた日が多かったそうです。だ
から波はさほど荒れていた状態ではなかった。

横田滋 その日は通常はコートを着ていくわけです。その日は迎えにきた女の子
がコートを着ていなかった。早紀江が(めぐみに)コートを持っていったら、
「今日は着ないでいく」と言っていたので、多少暖かい日だったと思います。

西岡 皆さん是非横浜に行ってください。横浜には、工作小船とゴムボートがあ
ります(海上保安資料館横浜館、桜木町駅から横浜市営バスで「赤レンガ倉庫」
下車徒歩2分、月曜休館)。展示されているのは奄美沖で自沈した工作船です。
ゴムボートは日本製でした。

横田滋 赤レンガ倉庫の左側にあります。

惠谷 北朝鮮が命をかけてこういうシステムを作り上げたものですから是非見て
ください。証拠がすべてあります。

◆電波情報があったのも共通点

西岡 最後にもう一つ申し上げます。めぐみさんの事件と米子の事件の共通点が
まだあります。工作船が来ていたことについて電波の情報があって、分かってい
たということです。電波を傍受していて、工作船と日本にいるスパイ、工作船と
北朝鮮の基地の間で無線で連絡しています。

 雑音を偽装したような無線なのでよく分からないのです。中味については精密
な暗号のようなものがかかっています。しかし、周波数を日本の警察がつかんで
います。惠谷さんの説明の通り、領海の外に母船が来ますので、その位置は分か
るのですが、母船の位置が分かってもどの海岸に侵入してくるかは分からない。
何県ぐらいは分かります。そこで沿岸警備をしている中で事件が起きたというこ
とです。

 北朝鮮が物事を動かした時にはそれをこちらが検証しなければならない。検証
するためには材料が必要です。無線の傍受は秘密のことですし、こちらがどこま
で相手のことを分かっているかということを相手に知らせたら、相手が変えてし
まうということはあります。

 しかしもう35年経っているわけです。今の特定秘密保護法でも30年で区切
ると言っているわけですから、35年前のことについては公開、あるいは限定的
な公開をしてもいのではないかという議論が国会の拉致特別委員会の中で中山恭
子議員などによって問題提起されています。是非それをしていただきたいと思っ
ています。

 じゃあ、こういう条件拉致がいつまであったのか。富山の事件で失敗したわけ
です。その後条件拉致がなくなったのか。その後も船がたくさん来てきたのかと
いうことについて、是非知っておいて北朝鮮との交渉に臨んでほしいし、我々も
分かった上で次に来る大きな波、チャンスを迎えたいと思っています。

 その準備のためにもう一度現場に行って手口を分析するという作業をやってい
ます。12月13日には、参議院の講堂で2時から特別セミナーを行います。韓
国から、元工作員金東植さんという人に来てもらうことになりました。

◆12/13特別セミナーに金東植氏

 先ほども言いましたが、戦闘員と工作員という言葉を使いましたが、安明進さ
んは実は戦闘員です。もともと彼は工作員になる予定で金正日政治軍事大学に行っ
ていたんですが、トラブルがあって工作員になれなくて戦闘員になったんです。

 工作員というのは金賢姫さんのような人です。あるいは辛光洙。実際に潜入し
て長くいて工作をする人。金東植さんは韓国人化教育を受けた工作員です。日本
人化教育と韓国人化教育が70年代後半に併行して行われたんですが、彼の同級
生が日本人化教育を受けた。招待所の中でどのような日本人化教育が行われてい
たかについて、同級生から聞いたことを証言してくれます。

 彼自身は韓国から拉致された5人の高校生がいますが、そのうちの2人から韓
国人化教育を受けています。そういう話を具体的に聞きます。そして我々の調査
の報告もしたいと思います。また、特定失踪者問題調査会も現地調査を精力的に
ずっとやっているので、荒木さんからもその現地調査の報告をしていただきたい
と思っています。

 古屋圭司担当大臣に、安倍政権が1年経って、一体どこまで進んでいるのかお
願いしています。言えることと言えないこともあるでしょうが報告をしていただ
き、その後、各党代表の政治家の方たちに、それを踏まえて政治はどうするつも
りなのかという討論をする予定にしています。

 我々として、ここで何度も言っていますが、「3度目のチャンスはくる」、
「来させなければいけない」と。金丸訪朝、小泉訪朝がありましたが、北朝鮮が
本当に困って日本に接近してきて、拉致のことを彼らが言わざるをえない状況を
作る。作っても向こうはまた嘘をつきます。こちらが知っている範囲を調べて、
知っている範囲のことしか言ってこないので、できうる限りの情報を集め、分析
をして3度目のチャンスに備えたいと思っています。

惠谷 今日はめぐみちゃんの拉致が条件拉致だったのか遭遇拉致だったのかを報
告しましたが、これは実は工作船の戦闘員、工作員が上陸する時のオペレーショ
ンが違ってくるんです。

 西岡さんが言ったように、彼らの手口を調べることが重要なポイントになりま
す。77年だけで言っても、工作員の上陸事例が数十件あります。通算で6?7
0件はあると思います。それにもそれなりのオペレーションがあるわけです。

 しかし、2人連れてくるとなれば、ゴムボートが2台いるのではないかなど色
々なことに関係してきますから分析をすることが重要だと思っています。

西岡 これで終ります。ありがとうございました。

◆お金をあげますから返してくださいというわけにはいかない

飯塚繁雄 みなさんこんばんは。今日は特に、横田めぐみさんの拉致の現場を含
めた北朝鮮のやり方その他について、かなり詳しく調査し、解析し、皆さんに報
告がありました。

 拉致被害者はかなりの数がいます。一人ひとりの状況は皆違うと思います。北
朝鮮の工作員が日本人を拉致した時に、証拠は絶対に残さない。逆に言えば、証
拠がないのが北朝鮮のしわざだと言われるほど完璧にやってしまうということが、
今までの調査で分かってきました。

 被害者が何人となかなか限定できませんが、我々は相当数という言葉を使いま
す。西岡さんも言いましたが、データとして分かっているのは北朝鮮当局です。
そのことも考え合わせて、さらに戦っていきますが、今年もあと1か月で終りま
す。

 昨年から、延長戦を戦うとしてこれまできましたが、来年は何という言葉を使
うか分からなくなってきたような状況です。政府の動きは色々なところで皆さん
ご承知と思いますが、安倍総理におかれましては、相当忙しい状況の中で、この
問題をまさか忘れていることはないと思いますが、なかなかはっきりとした結果、
経過が見えないというのが我々としては残念ですし、焦るし、本当に解決するの
かという所まで思いがいってしまうということです。家族会の方々も当然そうで
す。たくさんいる特定失踪者の家族の方々もそういう思いでいると思います。

 展示会で写真パネルをじっとみつめて、何か訴えているというようなことしか
私たちはできません。今年中は無理かもしれませんが、なんとか動いているのが
見えるようにしたいなと思うんですね。協議に出るきっかけをこういう風につか
んでいくとかいうようなことが分かればいいと思います。

 いずれにしても北朝鮮を協議の場に引っ張り出すというのが我々の考え方です
が、お金をあげますから返してくださいというわけにはいかないと思います。日
本の立場はかなり強いと思いますが、国民の皆様の世論もまだまだ支えになって
いると思います。

 そういうことも含めて、また頑張り続けるしかないんですが、何かと宜しくお
願いいたします。政府の動きは逐一注目していきたいと考えています。どうもあ
りがとうございます(拍手)。

◆拉致協力者の逮捕を

増元照明 みなさんこんばんは。今日の話を聞いて一番驚いたのは、7時頃に爆
音のような大きな音が聞こえたということです。おそらく浜の人はみんな聞いて
いると思います。

 当時、新潟県警はめぐみさんがいなくなって大きな捜査をやっているわけです
から、新潟県警に聞けば、何時頃に爆音を聞いたかすぐ分かる筈です。しかし、
捜査したのに全く明らかにされていないこと自体が問題ですね。

 佐渡もそうですが、金ミョンスクという女性工作員がある村にずっと潜伏して
いたという事実は分かっているんです。とすると、協力者もほぼつかんでいるは
ずなんです。しかしそれが一向に明らかにされていないし、逮捕もされていませ
ん。これがこの国の問題じゃないでしょうか。

 11年も経って、警察は協力者を一人も捕まえていないのを恥じていないのが
問題ではないでしょうか。これをもっと強く言っていかなければならないと思い
ます。

 今年の5月に、姉(増元るみ子)に関する情報が出たんですが、新証言ではな
く、30数年前から警察には話をしていたそうです。そういう人たちが3人、改
めて証言していただいて、その時のかすかなものが見え始めたんです。35年経っ
て初めて家族がそれをつかみ始めたのですから。警察は絶対に持っていた筈です。
それを一つも家族に伝えないで、そして未だに協力者を捕まえていない。こんな
馬鹿な国があっていいのかということです。

 今、特別秘密保護法案が通りますが、その前にその前にスパイ防止法を成立さ
せるのが、拉致問題の解決には早道じゃないかと思います。保護法案は当然必要
なものですが、スパイ防止法をまず成立させて、この国から工作員やスパイを摘
発していくシステムを作って、協力者をあぶりだすことも必要じゃないでしょう
か(拍手)。

 私は、めぐみちゃんが拉致された1977年に万景峰号がいつ日本に入ってき
たのかを、当時の支援室に聞きました。めぐみちゃんが車に乗せられて連れ去ら
れたという可能性があると当時は強く思っていましたので。

 もしかしたら車で万景峰号まで連れていかれた可能性もあるなと思って聞いた
んですが、万景峰号の入港はめぐみちゃんの拉致とは関係ないということが分か
りました。

 しかし、東京都内から連れ去られている人たちはどうやって拉致されたのか。
東京湾から連れ去るのは非常にリスクが大きい。新潟とか、日本海側まで車で連
れていかれるというルートもあるでしょう。

 そういうことも解明していない。本当にこの国はどうなっているんだろうとい
う思いが非常に強いです。調査会もそのことを警察に問題提起していますが、救
う会もやったらどうでしょうか。

 警察の不備というか、警察の怠慢というか、言われてもしょうがないほど、年
月が経っても何もしていないという現実を突きつけていかなければならないと考
えています。

 代表がおっしゃったように今年も少なくなりました。あと1年で安倍さんには
白黒つけていただかない限りは、この拉致問題がどういうふうになるか、何年待
たなければいけないのか分からなくなります。

 残念ながら入院されている(被害者の)両親世代の方々も、1年経つと、もし
かしたら倒れる人が出てくるかもしれない。田口八重子さんのすぐ上のお姉さん
が、今年62歳で亡くなられましたが、90歳代のご両親もいらっしゃいます。
それを考えると、家族は何をのんびりしているんだという思いが強いんです。い
らだたしさが強くなっているのが現実です。

 それを少しでも気を晴らすような、目に見えるような形で、国内の問題を片付
けてほしいというのが今の気持です。ありがとうございました(拍手)。

以上


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