救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

「すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会」全記録1(2012/09/07)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.09.07)

■「すべての拉致被害者を救出するぞ!国民大集会」全記録1
24. 9. 2 東京・日比谷公会堂

 以下は、平成24年9月2日に開催された、「すべての拉致被害者を救出する
ぞ!国民大集会」の全記録である。

 国民大集会には、野田佳彦内閣総理大臣(拉致問題対策本部長)が民主党政権
の首相として初めて参加し、「被害者の帰国を実現できていないことは痛恨の極
み。具体的な対応を北朝鮮から引き出せるよう、政府一丸となって、あらゆる方
策を検討する」と述べた。

 家族会・救う会は「今年を勝負の年!」として運動を続けてきた。また、今年
2月に決定した「1000万署名運動」は、8月末日時点で9,330,583
筆となり、1000万署名まであと669,417筆となったとの署名目録が横
田滋さんから野田総理に提出された。

 国民大集会には、安倍元総理、松原仁・拉致問題担当大臣、石原慎太郎都知事、
曽我ひとみさん等も参加、櫻井よしこさんが総合司会をつとめた。

 また、拉致議連役員、民主、自民、生活、公明、みんなの各党代表も参加。そ
の他、各地の家族会の各メンバー、全国各地の救う会、特定失踪者の家族会、特
定失踪者問題調査会などが参加した。

今回国民大集会の主催者に入った「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の
会」からは石原慎太郎東京都知事はじめ、現職5名の知事の他、知事代理を含め
35の都道府県から参加があった。

 また、同じく主催者に入った「拉致問題地方議会全国協議会」からは松田良昭
会長はじめ、35都道府県から134人の都道府県議会議員が出席し、オールジャ
パンの体制で国民大集会が行われた。

 北朝鮮が拉致を認めて10年となる9月17日を期限に、北朝鮮が日朝協議で
誠意ある対応を見せない場合、追加制裁を発動することなどを含む大会決議が承
認された。

 参加者は2000人。


総合司会 櫻井よしこ(ジャーナリスト)

櫻井 みなさま、こんにちは。ただいまより、「すべての拉致被害者を救出する
ぞ!国民大集会」を開催させていただきます。司会は、櫻井よしこが担当させて
いただきます。どうぞ宜しくお願いをいたします。(拍手)。

 拉致被害者を救出する国民大集会は、今年2回目です。10年前、小泉首相が
訪朝なさり、5人の被害者が帰国を果しました。それから10年です。10年経っ
て、私たち国民の怒りは、全く静まっていません。まだ多くの拉致被害者が捕ら
われており、問題は解決とは程遠いところにあります。

 年月が過ぎたからと言って、私たちがこの拉致問題を許し、怒りを静めること
はないのであります。そのことを示すための今日の大集会です。これまでは、家
族会、救う会、拉致議連が主催してまいりましたけれども、今回はこの3つの団
体に加えて、「拉致救出のための知事の会」及び「地方議員の会」が主催者に加
わりました。いわば日本中の力が、この会の主催者となったわけです。その意味
では、拉致の被害者を救出するオールジャパンの力が、ここに結集されました
(拍手)。

 今日は、野田佳彦総理大臣初め、今までの拉致問題に尽力をしてくださった元
総理大臣、各党の代表、知事、地方議員、本当に多くの人々がかけつけてくださ
いました。

 海を越えたあの国に、私たち日本国民、日本政府と一体となった日本全体の、
この拉致に対する憤りと思いというものを伝えていこうではありませんか(拍手)。

 まず、10年前、小泉総理大臣の訪朝の直後の記者会見の模様からご覧いただ
きます。

この後
ビデオ上映と続きます。

ビデオ上映(小泉訪朝の2002年9月17日、4人の被害者家族以外の家族に
は、具体的証拠なしに、政府から「○○さんは亡くなられました」と通告された。
その直後の家族会の会見約7分)。

櫻井 あの衝撃的な死亡説から10年が経ちました。私たちは多くの証拠から、
拉致被害者は死んでいないということを信じて、今日まで活動を続けてきました。
拉致被害者は死んではいない。全員生きています。全員私たちの助けを待ち続け
ています。

 その人たちを必ず助け出すために私たちは日本国民として、また日本国として
この活動を続けなければなりません。

 ここで、この「国民大集会」の主催者である家族会代表の飯塚繁雄さんから、
ご挨拶をお願いいたします。田口八重子さんのお兄様です。

飯塚繁雄 みなさまこんにちは。本日はこの「国民大集会」に大勢の方が理解を
持ちながらご参集いただきまして、なんとかこの問題を早く解決せよという意気
込みを感じております。

 先ほど司会から話があった通り、今日の集会は、いわゆるオールジャパンの意
気込みとして、北朝鮮に強いメッセージを送りつけるという大きな役割がありま
す。

 私たちは毎回こういう集会をするたびに思うのは、みなさんのバックアップが
あってこそ、この問題の解決が前に進むのではないかと思います。

 ただいまビデオにありました10年前の悲劇、私はこの後活動に参加したわけ
ですが、外務省から、「田口八重子は亡くなっています。ご愁傷様です」と、こ
の言葉だけ報告を受けました。

 到底信じられるような内容ではありません。その後の調査では、生きていると
いう話がかなりあります。そういうことで、我々家族としては、「被害者たちは
みんな生きている」という固い決意で、「生きているならば早く取戻さなければ
ならない」という思いをもって毎日過ごしているわけです。

 そういう帰国を日々待ちわびながら、いつのまにか10年経ってしまったとい
うのが、いわゆる10年目の節目であります。私たちは毎日毎日、この拉致問題
の進展に期待しつつ、1日の節目として今日はどうだったか、明日はどうなるか
とかたくなに思い続けながら、もう10年経ってしまったというのが現状です。

 この間、皆様の世論の高まりを受けて、ようやく政府を巻き込んで国中がこの
問題を解決するために、具体的にどう動くかを含めて、色々な論議が高まってき
たわけです。

 たまたま今回、北朝鮮から、いわゆる日朝政府間協議をやろうという話があっ
たわけですが、我々としては、待ちに待ったいいチャンスだと捕えて、予備協議
を、本当の意味で拉致問題を解決するための本協議につなげていっていただきた
いと考えております。

 その場でも当然ながら、日本は国民とともにこの拉致問題を重視し、解決を望
んでいるという意気込みも交渉の大きなカードになるのではないかと考えており
ます。

 従って、今日のタイミングでこの集会が行われるということは、非常に有利な
方向に展開できる一つの条件かなと考えます。このタイミング、きっかけを十分
生かしてほしいし、4年前のように消えてなくなることがないように、しっかり
と政府、議会、全体的な世論が注視して、具体的に動くことを私たちは期待して
います。

 それにつけても北朝鮮のしたたかな態度については、我々は十分承知の上では
ありますが、そういうことも踏まえて、政府が戦略、戦術をきちんと練って、上
級の会談に結びつくよう、是非とも、期限を切った日程をつけて協議の進展をは
かっていただきたいと思っております。

「今年は勝負の年」と我々は位置づけ、みなさんに訴えておりますが、まさにそ
のきっかけができたというのが現時点です。これについては昨日も(松原)拉致
担当大臣にお願いしました。外務省の局長にもお願いしました。

 この機会で絶対に実がなるように進めてほしいというお話をしております。今
後ともこの問題については、みなさんとともにしっかりと注目をしていきたいと
思います。そのことも含め、今後のご支援を宜しくお願いいたします。今日はあ
りがとうございました(拍手)。

櫻井 ありがとうございました。次に「たちあがれ日本」代表で、拉致議連会長
を長く務めてこられました平沼赳夫さんに、主催者としてご挨拶をお願いいたし
ます。

平沼赳夫 皆様方こんにちは。ちょうど10年前の9月17日に、当時の小泉総
理大臣が平壌に行ったわけであります。ご家族の皆様方は、朝から議員会館でずっ
と待機されていました。7時間程前に会議が始まったわけですが、ずっと待たさ
れた。

 夕方になって飯倉公館に会場を移すから来てほしいとバスが用意されました。
(家族会の)みなさん方はその前の日に小泉総理に会おうと思って官邸に行かれ
たんですが、「前の日に家族の皆さん方に会うのは会議が十分できないから」と
いう言い訳で会えなかった。しかし、「平壌との間に回線がつながっているから
逐一報告をする」ということでした。

 ですからみなさん方はバスに乗って麻布にある飯倉公館に行ったわけです。そ
こでも1時間以上待たされた。その挙句、どういうことになったかというと、各
家族が一組ずつ部屋に呼び込まれて、「お気の毒です。あなたのご家族は亡くな
られた」。どういう場所で、どういう死因でということはいっさいない。全く北
朝鮮の言う通りの形で、「あきらめてください」ということでした。

 先ほど、記者会見の様子を一緒に拝見しました。ご家族の皆様方は大変立派な
ことを言っておられた。最愛の家族は、北朝鮮が勝手に「亡くなった」と言って
いるけれど、亡くなっていない。こういうことで一致団結をした。それが国民の
皆様方の共感をいただいて国民運動になったわけであります。

「1000万署名」。これも皆さん方のお力をいただいて一生懸命集めておりま
して、先月末の時点で926万筆を越えたわけであります。もうすぐ1000万
の署名が集まる。これだけ国民の皆様方が熱心に取組んでいただいている。

 多くは申しませんが、北朝鮮の詐欺にあって、ご家族の皆様方は本当に苦労を
されているんです。ご家族の中に、論文を書かれた方がおられました。私はそれ
を拝見した。どういうことが書いてあったか。「今の日本国憲法を変えない限り
拉致被害者は戻ってこない」(拍手)。ご家族の方がこう書いているわけです。

 現在の憲法の前文には、「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して我らの
安全と生存を保持しようと決意した」と。北朝鮮は一体そういう国でしょうか。
軍国主義になる必要はありませんが、我々の尊い国の安全と生存は自らの手で守っ
ていく(拍手)。そして、下にいらっしゃる特定失踪者の皆さん方にもその考え
方を及ぼして、我々は一致団結、行動していかなければなりません。

 今日は盛大にお集まりいただき誠にありがとうございました。心から御礼申し
上げます(拍手)。

櫻井 平沼さん、ありがとうございました。さて今日は、内閣総理大臣野田佳彦
様にお出でいただいております。わが国総理大臣は、拉致問題対策本部の本部長
でもいらっしゃいます。では総理、どうぞ宜しくご挨拶をお願いいたします。

内閣総理大臣 みなさんこんにちは。内閣総理大臣野田佳彦でございます。

 家族会、救う会、拉致議連、知事の会、地方議連主催の国民大集会の開催にあ
たり、一言ご挨拶申し上げます。

 私は、先般の記者会見において、国家の果すべき最大の責任が、平和を守り国
民の安全を保障することであり、内閣総理大臣としてこの重大な務めを毅然とし
た態度で果たし、不退転の覚悟で臨む決意を表明しました。

 拉致問題の解決は、まさにこうした国家としての、そして内閣総理大臣である
私自身の重大な責務であります。

 一方、北朝鮮が拉致を認めてから10年が経過しましたが、この間、残された
拉致地被害者の皆さんの帰国を実現できていないことは、誠に痛恨の極みであり
ます。

 北朝鮮の新体制は、わが国を初めとする国際社会の声、そして拉致被害者ご家
族の方々の切なる思いを是非とも真摯に受け止めなければなりません。

 そのためにわが国としても、日朝の正式な交渉の中で、拉致問題についてもき
ちんと協議し、拉致被害者の即時帰国を果すべく、最大限の努力をする所存であ
ります(拍手)。

 本日の会場にお集まりの皆様の熱気、そして1000万人になろうとする署名、
こういうものをしっかり受け止めて対応させていただきたいと考えております。

 先日の予備協議を受けて開催を調整している政府間協議においても、この決意
を持って全力を尽くして望みます(拍手)。

 いずれにしましても、すべての拉致被害者のご帰国のため、北朝鮮との実効性
のある対話を実現させ、具体的な対応を北朝鮮から引き出せるよう政府一丸となっ
てあらゆる方策を検討してまいります。

 拉致被害者を一刻も早く救出することができるよう、皆様のご理解ご協力を改
めてお願いを申し上げます。ありがとうございました(拍手)。

櫻井 今、本当にオールジャパンで日本の各界各層の力を合わせて、この拉致問
題解決に取組まなければなりません。ここで家族会から、横田滋さんより、これ
までに国民の皆様方が集めてくださいました署名の目録を野田総理大臣にお渡し
したいと思います。

横田滋 内閣総理大臣殿 拉致被害者救出のための署名目録でございます(野田
総理に手渡し、拍手)。

 この署名は、1997年3月下旬から、家族会結成とともに運動を開始いたし
ました。今年2月12日、家族会と救う会は、今年を小泉総理訪朝から10年に
なりますし、「勝負の年」として、この署名累計で1000万にすることを運動
方針として決定いたしました。

 この時点で署名数は8,550,942筆です。それから8月31日までに7
79,641筆の署名が追加され、8月31日現在では、9,330,583筆
となっております。1000万署名まであと669,417筆必要ですが、これ
は年末までに必ず達成させると努力しています。

 この署名は初めから順調だったわけではありません。書名をお願いしても、
「拉致なんて本当にあるんですか」とか、「こんなことに署名して危険はないん
ですか」等と心配された時代もありましたが、最近では皆様方が非常に熱心に協
力していただいております。

 総理もこの国民の声を重く受け止めていただき、一日も早い解決のためにご尽
力くださいますようお願い申し上げます。どうぞ宜しくお願いいたします(拍手)。

櫻井 どうもありがとうございました(拍手続く)。みなさん本当にありがとう
ございます。皆様の前方右手に段ボールの箱が積み上げてあります。これは10
0万筆分の署名です。この他にまだ8百数十万筆の署名があります。全員の拉致
被害者を救出しようという署名は、めぐみさんの拉致が発覚した1997年に、
新潟から始まりました。

 家族会・救う会が集めました。特定失踪者の家族、関係者、労働組合、各種の
団体の皆さん方が本当に一生懸命に集めてくださいました。この箱の中には、
「同胞が拉致されている。助けなければならない。それが日本人の責務であり、
政府の責務だ」という思いがぎっしり詰まっております。

 あと数十万筆、1000万人分を集めて事が終るのではありません。この思い
を現実のものにするために野田総理、本当に宜しくお願いを申し上げます。

 次に、お母様のミヨシさんがまだ行方が分かりません。1978年に拉致され
てひとみさんだけが帰国を果しました。この行方の分からないお母様について、
曽我ひとみさんの思いを聞きたいと思います。宜しくお願いいたします。

曽我ひとみ みなさん、こんにちは。曽我ひとみです。今日はお休みのところ、
こんなにたくさんの人たちがこの会場に足を運んでいただき、本当に心から感謝
いたします。ありがとうございます。

 私は日本に帰国してこの10月で10年目を迎えます。この10年の間、母の
ことを、毎日毎日考えていました。だけどこの10年の間、何一つといって情報
はなく、母の影さえ見えません。もう母は81になります。

 私と一緒に拉致された時には、私の今の歳よりずっと若い母でした。本当に私
だけが日本に帰ってきたということが、この10年間、とても心苦しく思ってい
ます。

 北朝鮮と日本は、飛行機で行けばたったの2時間足らずで行ってくることがで
きます。だけど私は、24年間助けを求めて、毎日、毎日暮らしていました。そ
して10年前に、帰国を果すことができました。

 24年間北朝鮮で生活をしながら、一つだけはっきりと分かったことがありま
す。それはどんなことでも絶対にあきらめたら終わりです(拍手)。「いつか、
いつか絶対に日本に帰れる」と、いつも思っていました。

 だけどまだ、私の母を初め拉致被害者の方々はあの北朝鮮で月を見ながら、星
を見ながら、「いつになったら誰かが迎えに来てくれるんだろう」といつも思い
ながら待っていると思います。日本で待っているご家族の方も、もう高齢になっ
ています。本当に時間がありません。

 みなさん、もう一度皆様方のお力をお借りして、一日も早くこの問題が解決し
て、みんなが日本に帰ってきて、お父さんお母さん、お兄さんお姉さんとあたた
かく抱き合える日を必ず、私もここで待ちたいと思います。

 そしてそのためには、これからも署名活動を続け、一人でも多くの方にこの問
題を知ってもらい、お力を借りたいと思います。これからも今まで以上に皆様の
お力をお借りしたいと思います。宜しくお願いいたします(拍手)。

櫻井 ありがとうございました。子どもを思う親の気持ち、親を思う子どもの気
持ち、本当に深いものがあります。幾十年も異常な状況の中で、行方が分からな
い。こうした思いを、曽我さんだけでなく、被害者全員が抱いています。この悲
しみから一日も早く、私たちは被害者を救い出し、そして関係者の笑顔を見たい
ものだと思います。

 こうした国民の思いを、今日は野田総理がしっかりと受け止めてくださいまし
た。本当にお出でくださいましてありがとうございます。ここで、野田総理が退
席されます。どうぞ皆さん、拍手でお送りください(拍手)。どうもありがとう
ございました。野田総理しっかりお願いいたします。ありがとうございました
(拍手)。

 では次に、現在拉致問題担当大臣で、国家公安委員長の松原仁様にご挨拶をい
ただきます。

(2につづく)


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