救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

ミサイル発射予告をどう見るか?東京連続集会65[1](2012/04/19)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2012.04.19)

 平成24年4月5日、東京・文京区民センターで「東京連続集会65」が開催
された。テーマは、「ミサイル発射予告をどう見るか」で、ゲストにジャーナリ
ストの惠谷治を招き、西岡力・救う会会長、島田洋一救う会副会長が講演した。
また、家族会の飯塚繁雄代表、増元照明事務局長、横田早紀江さんが近況報告を
行った。(文責=編集部)

■ミサイル発射予告をどう見るか?東京連続集会65

【第1部】家族の訴え

飯塚繁雄(田口八重子さん兄)

 みなさんこんばんは。ご承知の通り、拉致問題を取り巻く状況が非常に混沌と
してきています。北朝鮮によるミサイルの発射問題とか、米朝関係で核の問題と
か。また国内においても非常に多くの問題を抱えています。今日やっと予算が通っ
たようですが、そういうものも含め、拉致問題が蔭に隠れてしまうような状況で
す。

 私たちとしては皆さんとともに、この問題は絶対に忘れてはいけないという強
いメッセージを常日頃作っていかなければならないということです。

 北朝鮮は常識はずれの行動を何回も行っていますが、向こうの言うがままに動
いてきています。そういうことを見れば、北朝鮮に対してもっと強い姿勢で具体
的な対応をしていかなければならないということは、当然ながら考えられるわけ
ですが、その一つとして北朝鮮に対しさらなる制裁をということで訴えています。

 今も制裁をかけていますがまだまだ手ぬるい状況です。また、拉致問題を理由
に制裁をかけているのではないのです。従って、拉致問題に対する北朝鮮の不誠
実な対応に対して、怒りの制裁をしてほしいというお願いをしてきました。

 北朝鮮への送金の問題にしてもまだまだ手ぬるく、(持ち出し現金の)申告限
度額を10万円から5万円に下げるというようなことではだめなんです。また、再
入国を不許可にしている人たち(北朝鮮の人民代議員5人)の他に、お金を持ち
出す人がいて、そういう人たちによって1億数千万のお金が最近持ち出されてい
ると聞いています。

 私たちは、諸外国に向けても、北朝鮮への制裁を呼びかけていますが、そうい
う中で、「日本はどうなんだ」ということも問いかけられます。持ち出しや送金
が簡単にできるのであれば、それによってミサイルや核の費用に使われてしまう
ことが明確になれば、日本は北朝鮮というテロ国家に対し、テロ支援国家と言わ
れるかもしれません。従って、制裁についてもっと厳しく具体的な取り組みをし
てほしいというお願いをしました。

 先日、拉致議連の総会に参加し、今日また拉致議連の役員会に出て、具体的な
お願いをしています。そういう中で我々が望むのは、この問題をいつの時点でも
絶対に忘れられないような状況を作っていくことです。

 さらなる制裁をお願いするとともに、北朝鮮との交渉が具体的にどのような形
で行われるのか、どういう気持ちでいるのかということも、同時に政府にただし
ていかなければならないと考えています。

 今年2012年は、拉致問題の解決にとっての「勝負の年」と位置づけをして、
あらゆる活動をしていこうと決意を固めています。そうはいってももう3か月も
経ってしまいました。4月28日に国民大集会があります。9月2日にも国民大
集会を行います。その時に、少しでも前向きな具体的な動きが見えなくてはいけ
ないと考えています。

 また国民の皆様に対しても、この問題で一緒に闘ってほしいという願いをこめ
て集会をやるわけですが、今回は後援団体も広げてお願いし、「オール・ジャパ
ン」で活動できるようにしていきたいと思います。

 さらに、1000万署名運動も今年早い時期に達成したいということで団体・
組織にもお願いをしています。皆様におかれましても、新しい署名用紙になりま
したので、前回署名していただいた方にも署名いただけますので、それを積み上
げていきたいと考えています。

 それから、5月に訪米を計画しています。この時期にアメリカ議会で、北朝鮮
の人権問題で、拉致問題も含む法案を通すという時期に来ています。また、アメ
リカ人の拉致被害者スネドンさんの家族が来日し、国民大集会に参加します。そ
ういうことも含め何とかアメリカを動かしたいという気持ちもあります。

 また皆様にはこういった活動にも注視していただきながら、なんとか今年中に
いい方向に行けるように活動していきたいと思います。

 政府へは要請文を出しましたが、北朝鮮の決断をうながすために、拉致問題で
の不誠実な態度を理由として追加制裁をしてくださいとお願いしました。その際
には、在日朝鮮人への再入国不許可の範囲拡大もお願いしました。そういうこと
も含め、はっきりと態度を表して下さいとお願いしました。

 皆様のご関心とご協力をお願いいたします。ありがとうございました。

増元照明(増元るみ子さん弟)

 みなさんこんばんは。いつもありがとうございます。

 私はいつもホームページで北朝鮮に関するニュースを載せていますが、ここ1
週間、テポドン発射に関する世界中の非難とか、北朝鮮に関連する記事が増えて
います。韓国と日本の記事が主なものですが、みな真摯にこの問題をとらえてい
るという感じがしています。

 わが国が今、北朝鮮に課している制裁は非常に甘いと感じています。日本から
北朝鮮に渡航する人が現金を持ち出す場合、10万円以上は届出が必要です。し
かし、届けたら青天井で持っていけます。上限がないんです。だから届けさえす
ればいくらでも持っていける。

 何千万も持っていけば「マル査(国税局の査察部)」が入る可能性があるので、
そこまではやってないと思いますが、それが昨年12月から3か月で1億3千万
だそうです。これは届け出があった分だけですが、先日の議連の総会で財務省よ
り説明がありました。

 しかし今後、届けさえすれば青天井で、お咎めなしで持っていけるという現実
を少し考えなければいけない時期に来ていると思います。しかし、政府の方では、
外務省が、「これ以上やることはありません」と簡単に言うんです。

 やることはいっぱいあるじゃないですか。もっと人を止めるとか、持ち出しに
上限をつけるとか。「わが国はすでに北朝鮮に対して十分な制裁を課しているの
でこれ以上やることはありません」と言って、追加制裁の話をしないんです。結
局それが引きずられてここまで来ています。

 松原仁・拉致問題担当大臣が国交省の副大臣の時、拉致問題担当副大臣を兼務
していましたが、兼務に問題があってすぐにやめましたが、その時おっしゃった
のは、野田政権になって総理に度々進言している、ということでした。野田政権
らしさを出すためには、やはり拉致問題で追加制裁をすることが国民に一番分か
りやすいやり方ですよ、と何回も進言しているということでした。

 しかし、なかなか実行されない。官房長官が取りまとめてやるわけですが、官
房長官がやる気がないのか、外務省がやる気がないのか分かりませんが、拉致問
題は進んでいません。

 松原さんが担当大臣になられておっしゃったのが、「増元さん、大臣になると、
あまりおおっぴらに言えなくなるんだよ」と。そして制裁についても、口をちょっ
とつぐんでいました。ただ、気持ちは以前と変わっていないと思っています。で
すから、今回の要請文に関しても、拉致を理由にした制裁をしてほしいと訴えま
した。

 今回非常に残念だったというか、腹が立ったのは、これまで再三再四、拉致を
理由に追加制裁を要請してきたのに、しなかったことです。何もしないというこ
とは不誠実な対応です。そしてずっと制裁を渋ってきたのに、北朝鮮がミサイル
発射予告をしただけで、官房長官が、追加制裁をする気持ちがあるとおっしゃっ
たことです。

 これまで、拉致問題解決のために追加制裁を発動する気持ちがあるとは一言も
言ったことはないのに、ミサイルでそのようなことを言うというのは、本当に残
念な気持ちと腹立たしさの両方でした。

 だから即座に松原大臣にも申し上げたのですが、今後どうなるか分かりません。
ミサイル発射で追加制裁をして、その理由に拉致問題が付記されても、北朝鮮に
とっては単なる付記で主要な問題ではないというメッセージを送ることになりま
す。これでは、わが国が拉致問題を最重要課題としており、国民が拉致問題の解
決を望んでいるという強い気持ちが伝わらない。いつまで経っても。

 核とミサイルさえ何もしなければ、日本からそのうちお金が届くだろうという
思いを抱かせてしまうようでは、拉致問題の解決はとてもできないと思っていま
す。

 今週、在日の人のパソコンの不正輸出の報道があり、今日は鳥取県の車業者が
高級車を不正輸出していたという報道がありました。これは日本人の名前でした
から日本人だと思いますが、本当に拉致問題をどのようにとらえているのでしょ
うか。生きていくためには色々な商取引が必要でしょうが、なぜ今、北朝鮮にベ
ンツを送らなければならないのか。なぜ日本が北朝鮮に貿易禁止を課しているの
か。本当の意味をもっと理解してもらわないと、オール・ジャパンの体制で北朝
鮮に圧力をかけられないんです。

 これも残念ながら、日本人の安全保障に対する危機意識のなさと、日本の同胞
が今なお北朝鮮に囚われているという重大なことを意識できないのか、意識しな
いのか、残念な状況です。これが今の日本の現状なのだろうと感じます。

 多くの国民の皆様がこの問題に関して気にしておられますし、早く返してほし
いと強く思っておられるとは思いますが、同じ日本人の中に、「既に終った問題
だ」とか、「あの人たちは死んだ」とか、そういうことを平気で言う人たちがま
だいるということを私たちは本当に残念に思いますし、日本人なのかと問いたい
のです。

 そういう人たちとの戦いをまたやらなければならないという残念な気持ちがこ
こ何年も続いています。

 北朝鮮に対する制裁は、今度は拉致を理由にやるべきであって、ミサイルが発
射される前に追加制裁を公表すべきだと思います。「ヒト、モノ、カネ」を止め
る。

 今考えられている案は、朝鮮総連の副議長5人を再入国不許可とすることです。
松原大臣が副大臣の時、もしその人たちを再入国不許可にしても、裁判をされて
も負けることはないという結論が出ています。これは当り前です。日本の安全保
障のための措置ですから。これはやっていただきたいと思います。

 4月15日に金日成生誕100年行事があり、日本からも大量の動員された人
たちが行くでしょうし、多額のお金が行くと思います。それを少しでも食い止め
る。発射される前に明確な意思表示をすべきではないでしょうか。

 1998年に、北朝鮮がテポドンの発射実験をしました。そして翌年にテポド
ン2号の発射をにおわせるような報道があった時、あの野中広務氏さえ、朝鮮が
今度発射実験をしたら「ヒト、モノ、カネ」を止めると明確に言ったんです。官
房長官の時だったと思います。結局北朝鮮は発射実験をしませんでした。

 野中さんは北朝鮮と非常に近しい方で、自分の面子がつぶれるからそれだけは
北朝鮮に止めてくれとのメッセージだと思います。裏で、食糧支援をするから発
射実験は止めてくれという裏の話があったと思います。実際1999年の訪朝団
の際は、50万トンの食糧支援を約束し、訪朝を申し入れています。

 それがなかなか実施できなかったのは、拉致問題が徐々に日本国内に広がって、
北朝鮮に安易に食糧支援をすることができなかったのです。北朝鮮からは再三の
催促があった。2000年の河野外務大臣の時に、最初に10万トン、後で50
万トンを送り、訪朝時の約束を果しました。

 これも野中さんの強気の発言の裏の事実だと思っています。10万トンは遅延
の利子分だと感じています。それだけ北朝鮮に対し、ずぶずぶの関係の政治家の
方たちがいっぱいいて、私たちの国は拉致問題をどうやって解決するんでしょう。

 今年は勝負の年と言って、本当に今年中に解決しなければならないとの強い思
いを私も持っていますが、政治家がこれまでと同じようなことをやっていたら、
とてもではないけど今年を勝負の年として解決することはできないでしょう。

 政権が今民主党ですから、民主党にやってもらうしかないんですが、ミサイル
発射前に、わが国の立場を、姿勢を明確にすべきだと私は思っています。ありが
とうございました。

横田早紀江(横田めぐみさん母)

 みなさま、こんばんは。たくさんの方がお集まりいただき、ありがとうござい
ます。

 私たちは、長い年月皆様に支えられて、子どもたちを救い出すために、あらゆ
ることを一生懸命に頑張ってきましたが、本当に悲しいことですが、なかなかい
い交渉ができないでいます。

 家族としては、本当にどうしていいのか分からない非常に大きな難しい問題の
中に置かれており、この問題が漂っている感じです。いつまでかかるのかなとい
うのが一番大きな思いです。

 北朝鮮に親しい企業や人、政治家の方々がいらっしゃると思います。その方た
ちが、拉致問題を解決するための妨害になっているという面が確かにありますし、
あちらは謀略で上手にそれを使って日本国内に情報を撒き散らすようなこともあ
ります。

 私たちにとっては、本当に苦痛なことです。大変な思いですが、なんとかして
元気でいてほしいという思いだけで活動を続けさせていただいています。

 日本の国がよその国にあなどられてしまっては、もう日本はおしまいだなと思
うような情けない思いでいます。

 たくさんの命がかすめとられたままで喘いでいるんです。返してくださいとい
うだけのことです。どうしてそれだけのことを一丸となって取組んでくださらな
いんだろうという思いを持っています。

 北朝鮮のことをよく知っていらっしゃる先生方の話を聞いていただいて、どう
したらいいのか、皆様と共に考えたいと思います。

 毎日悲しい思いで、もう終ってしまうのかなとひ弱になることもあります。め
ぐみのことについては、20年間何も分からなかったことが、ここまで明らかに
なり、孫までいて、色々なことが書かれたり、噂されたりしています。それが本
当のことかどうかは私たちには全く分かりません。

 そして北朝鮮の人権問題も多くの国々が考えてくださるようなところまできた
のは大きな成果だと思っていますので、力の続く限り、一生懸命頑張っていきた
いと思っています。これからも宜しくお願いいたします。

(2につづく)


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