救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録




北朝鮮国民と拉致被害者に勇気と希望を送るラジオ放送



金ソンミン・自由北朝鮮放送代表

 脱北者たちが、韓国の愛国市民、米国のディフェンス・フォーラム、日本自由北朝鮮放送支援委員会とともに、北朝鮮向け放送を行っている自由北朝鮮放送の金ソンミンです。いま、北朝鮮で聞くことができる外部の放送は12ありますが、北朝鮮だけでなく韓国を含むこの地域の韓国・朝鮮語を話す人々全体を対象としている国際放送の、NHK、ロシアのROA、中国のCRIの3つと基督教の宣教を目的とする3つを除くと6になります。すなわち、我々自由北朝鮮放送以外に、韓国のKBSの社会教育放送、開かれた北朝鮮放送、米国のVOA(アメリカの声放送)、RFA(自由アジア放送)、日本の「しおかぜ」、です。KBSの社会教育放送も除かれるべきでしょう。なぜかというと、対北朝鮮放送、つまり北朝鮮の人々を対象に放送していましたけれども、2000年南北首脳会談以降、お互いを糾弾する放送はやめようということで、中国朝鮮族などをも対象とした国際放送的性格が強くなったからです。真の意味での対北朝鮮放送ではなくなりました。これらのなかで、毎週定期的に拉致問題を扱う提起番組をもつ放送は、私たちの放送だけです。もちろん、拉致問題を主要テーマにした日本の「しおかぜ」放送がありますが。
 これまで、家族会・救う会が開催したこういった会議や集会に何回か参加して深い感銘を受けました。脱北者であります私たちですが、普通の人間として拉致家族の皆様の悲しみの涙を少しでも止めるために何かをしなくてはいけないということで、救う会のみなさんと話し合った結果、毎週10分ずつ北朝鮮による拉致を取り上げる放送しています。
 その内容を集約するとこういうことになります。被害者に向けて、あなたたちを家族と日本の国民と政府が探しているから勇気と希望を持って下さい、と訴えます。彼らの周辺で彼らを管理したりしている北朝鮮当局者には、被害者を絶対傷つけてはならない。髪の毛一本たりとも傷つけてはならない。もしそういうことをしたら、日本だけでなく国際社会が時効なく裁きを下す、と伝えます。そして北朝鮮住民には、何か情報があれば提供して欲しい、私たちはそれ相応の褒章をすると、伝達しています。2006年5月、横田めぐみさんのお父様と弟さん、増元るみ子さんの弟さんとお姉さんがソウルにいらっしゃったとき、定期放送をすべて中断して3日間拉致問題だけの特別放送を行いました。
 このように一般の放送とはかなり機能が異なり、脅迫のレベルあるいは強要するレベルになるわけです。私たちが放送の枠組みから外れてなぜそういうことをするかというと、それだけ人間の生命というものが大事で、拉致問題が非常に重要であるからです。そのことを北朝鮮の人々、そして当局者の人たちの心に深く残るようにやっています。
 私たちの放送は2005年11月に短波で始めましたので、それほど大きな効果はまだ挙げていません。けれども、韓国キリスト教総連合会で2006年4月に最近の脱北者二百人を対象にアンケート調査を実施したところ、17%の脱北者が自由北朝鮮放送を聞いたといいます。そして同年8月に北朝鮮民主ネットワークという団体の調査よると脱北者の40%の人が聞いたといっています。幾何級数的に増えていて安堵しています。
 また、自由北朝鮮放送の重要性は、私たちが放送を始めた後8回にわたり北朝鮮の労働新聞と総連で出している新聞、朝鮮新報で私たちの放送を爆破してやるとか許さないとかいう声明や代弁人談話が報道されたことからも分かります。北朝鮮政府がプレッシャーを感じているのです。そういう意味でも私たちの放送をもっとやっていかなければならないと思っています。
 拉致家族の皆様にとってうれしい話ではないかもしれませんが、日本で放映されている北朝鮮の公開銃殺の映像やより残虐な映像などは、北朝鮮の人々が我々の放送局に依託して日本のテレビ局に来たものです。韓国では関心がないので、韓国テレビ局には挙げないで日本にあげています。そのようなルートを通じてよい消息が来ると信じています。
 それから、よく議論されていますけれども、北朝鮮の政権の崩壊以後、拉致被害者救出はどうすればよいのか、金正日に任せますか、新しい北朝鮮の権力者に任せますか、それではだめです。北朝鮮の人民に任せなくてはいけません。その北朝鮮人民たちを相手にして私たちは継続して、拉致被害者を保護しろ、それは倫理だ、国際的良心だと常に話しています。これらのことが、皆様方にとって必ず、希望となると信じます。
 放送をする過程で、次のようなことが分かってきました。1950年代、朝鮮戦争のときは知識人と社会主義に反対する人たちを連れて行って殺したり、利用したりし、70年代は工作員の養成のために拉致をし、そして80年代を経て90年代、2000年代には独裁政権を守るため脱北者たちを拉致しています。最近は中国で脱北者たちが北朝鮮に直接拉致されています。私たちが確認しただけで18人です。陳キョンスク、池マンギル氏をはじめとして、韓国マスコミにも若干出ました。
 いったい金正日という男は、人として到底、想像もできないようなことばかりを選んでやっています。私が2006年4月、横田早紀江さんと同じ席でブッシュ大統領と会ったのですが、そのとき、大統領に、私はキリスト教信者ですが、金正日は赦すことができる敵ではなく、到底赦すことができないサタンであると言いました。悪魔としてしかできないことをみなやっている。私がかつてあれだけ尊敬していた人が、実際にはとんでもないことをやっている。私自身、恥ずかしくて顔も上げられないくらいです。この世でやってはならない悪行ばかりをしでかし、その結果、国際社会で一番みっともない罰、贅沢品の禁止を受けたでしょう。
 このような嘆かわしい男を北朝鮮の人民が指導者として崇めているわけです。その核心的理由は何か。情報遮断のためです。情報を完全にふさぎ、自分に必要なことだけを拡大再生産させるから、私が北朝鮮で政治将校をしていたにもかかわらず、拉致被害者がいるということを全く聞いたことがありませんでした。きょうの会議で中国人拉致を証言した崔銀姫さんとその夫の申相玉監督も、自分から進んで北朝鮮に来たと学びました。ですから、国際社会で北朝鮮当局が起こしているすべての問題を解決するのはラジオなのです。「しおかぜ」や自由北朝鮮放送が本当に必要です。
 次のようなマスコミ報道を聞きました。日本にも左翼分子がかなり多いようですね。あるいは、精神が少し、我々とはちがう人たちです。日本政府のほうで何か対北放送をするとか、せよとかいったところ、それは放送倫理、記者倫理などにのっとっていないので我々はそれをできないという反対意見が出たということです。私は、放送倫理、記者倫理の上に人間の命があると考えます。それでは韓国政府や韓国の放送がやっているのと全く同じです。そのような意味で、皆様が対北朝鮮放送に対する関心をより高く持ち、積極的に支援してくださることをお願いいたします。
 もう一つ最後に強調したいのは、いろいろな問題を議論されましたけれども、北朝鮮を相手に譲歩、妥協はだめです。私は40年間、北朝鮮で暮らしてきたので、動物的によく分かります。原則と圧力以外は何も通じないのが北朝鮮であり、北朝鮮を動かす金正日です。皆様方の心からの悲しみ、苦しみを解消するためにも、金正日政権を崩壊させなければなりません。

  
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