救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

国際会議「北朝鮮による国際的拉致の全貌と解決策」全記録




悪性の癌細胞は取り除くしかない


金聖浩 朝鮮戦争拉致被害者家族協議会顧問

北朝鮮による拉致行為は1950年の朝鮮戦争の時から本格的に始まっています。3年間にわたる戦争の間、金日成は計画的で緻密な拉致工作を行なって、10万人以上の知識人、技術者、政治家、法律関係者、芸術家、そして戦争に使えそうな農民や中学生までも拉致しています。

当時韓国政府が調査した拉致被害者関連文書には、8万3千あまりの被害者の名簿が記載されていました。北朝鮮の軍事独裁政権は、戦後も韓国を赤化統一する目的で、日本人を初めとするタイ、また各国の若者を拉致して、韓国に対する工作活動に利用してきた事実があばかれています。

国同士の戦争を終わらせるためには、必ず整理すべき問題というものがあります。つまり、捕虜と民間人拉致被害者の情報資料を交換して平和的に交換を終えてこそ終戦を迎えることができます。しかし、朝鮮戦争では、捕虜と拉致被害者の問題は全く解決されていない状態のままです。こうした状況に鑑みますと朝鮮戦争はまだ終戦を迎えていません。金正日政権が拉致問題を解決しない限り、アジアの平和はありえないのです。

今日、金正日は核を作って国際社会に脅威を与えているだけでなく、拉致という犯罪を隠蔽し、人権を踏みにじり、独裁政権を強化し、韓国に対しても赤化統一工作活動を引き続き行い、朝鮮半島を共産化するためにあらゆる手段を動員しています。お恥ずかしいことに、今日の韓国政府は、こうした金正日の工作に飲み込まれ、拉致問題や北朝鮮の人権問題から目をそらしています。

我々の団体は、政府、赤十字社を通じて生死の確認だけでもしてほしいという切なるお願いをしてきましたが、何一つその願いは叶っていません。これ以上は耐えられない限界に達してしまいました。厳しい寒さの中、北朝鮮の山間にある政治犯の収容所で一日一日生きながらえている拉致被害者、そして北朝鮮の住民を考えると、これ以上時間の猶予はありません。6者協議に期待するのも厳しいと思います。可能な方法があるとしたら、それは国際社会が連携して、金正日の人権蹂躙、拉致犯罪を一日も早く共同の関心事項として認識し、外交的努力のみならず、できるだけ今より強力なあらゆる制裁を動員して金正日が降参させるしかありません。

こうした方法を妨害しようとする国もあります。そうした国については、真のアジアの平和と自由を愛し人権を尊重する国際社会が世論を形成して戦っていかなければならないと思います。

私が最近、北朝鮮を脱出した北朝鮮住民にインタビューして得た結論は、金正日は決して変わらないということです。北朝鮮から逃げてきた住民に拉致被害者のことを聞いてみようと思いましたが、彼らの中には韓国人拉致被害者やその関係者はいませんでした。それには理由があります。韓国人拉致被害者は北朝鮮では敵対階層に含まれているので、国境とか海辺の地方で暮らすことができないからです。彼らは特別監視の対象となっているので、政治犯の収容所もしくは山間の奥地で暮らしていますから、脱北するというのはほとんど不可能な状態にあります。しかし北朝鮮が混乱に陥り、多くの人が一気に脱北するような状況になれば韓国人拉致被害者も脱北に成功できるのではないかという意見がありました。多くの人を脱北に導くというのは、北朝鮮の罪のない住民に対してはしばらくの間つらい日々となりましょうが、国際社会が一つになって強力な経済制裁を行ってこそ北朝鮮という監獄の門が破られ、そして北朝鮮の住民が救出されるということを申し上げたいと思います。

全身を死に至らしめる悪性の癌細胞には栄養剤を打ってはいけません。癌細胞は取り除いてこそ生きることができるのです。悪魔のような殺人犯、拉致犯に対しては狙い撃ちをしてでも人質となっている多くの罪のない生命を救い出さなければなりません。拉致被害者の家族の一人として、結論として敢えて言えば、金正日と対話をすればするほど拉致問題の焦点が狂うばかりです。強力な国際社会の実力行使だけが解決の道を開くということを敢えて申し上げたいと思います。
  
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