救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

2回目の米朝首脳会談と北朝鮮内部事情-東京連続集会報告



◆金正恩が自由に使える外貨が枯渇し始めた

西岡 力(救う会会長、モラロジー研究所教授)
 最近ある西側で北朝鮮を見ている機関の人に会ったのですが、「39号室資金が枯渇し始めている。10億ドルを切ったのではないか」という話でした。30億ドルから40億ドルあるのではないかと言われていました。ある人によると200億ドルくらいという人にも会いましたが、それが枯渇し始めている。
 「39号室資金」というのは金正恩が自由に使える外貨で、誕生日等に外国のものを買って贈り物をしたり、核開発に使ったりしていました。それが枯渇し始めた。
 その収入源はかつては朝鮮総連からの秘密送金でした。その後、金大中・盧武鉉政権の時にも多額のお金が行きました。それは今止まっています。文在寅政権は出したくてしょうがないようですが、アメリカが厳しく見張っているので今の所送ることができないでいる。
 外貨がなくなり、北朝鮮の主要な大使館、北京、モスクワ、タイと言っていましたが、そういう所では大使館の運営経費が本国から半分きている。あとは自分で稼げ、だった。
 ところが去年の10月に2割しか送られなくなった。どうやって食べていくんだろうと思いますが、最近北朝鮮の外交官や貿易関係者が投資を求めているそうです。韓国人や外国人に。例えは元山の葛麻(カルマ)観光団地の完成予想ビデオや写真を見せて、「このホテルの30室の権利をあなたにやるからいくら投資しなさい。そうしたらいくら儲かる」と。まだ完成もしていないものの権利を譲るという詐欺みたいなことを外交官がやっている。
 朝日新聞が今年1月に、葛麻観光団地の完成予想ビデオを入手して、報道しましたが、その背景には今言ったようなことがあります。ビデオだけ見るとハワイのようなかっこいい観光地ですが、「このホテルの何階分はお前にやるからいくら出せ」と。
 内装は北朝鮮ではできないんです。ドンガラは作れるんですが。中国から買ってこなければいけないんですが、金がないから工事が進まない。「権利をやるからお前が内装しろ」とか言う。そんなことにだまされる人もあまりいないわけです。
 葛麻観光団地は金正恩が本当にやりたがっている工事のようで、彼が元山で育ったという情報もあるんですが、こだわっているようです。全国民から工事費の寄付を募った。その寄付は北朝鮮の金ではなく、人民元で払えというものです。払えない人は米かとうもろこしを出すそうです。北の金では政府も受け取らない。内装などをするには北の金は使えないからです。
 既にチャンマダンという市場で北朝鮮の通貨で買えるのは、大根とねぎと豆腐くらいで、靴や服は買えなくなっています。中国に石炭や鉄鉱石を売って、その金で靴や服などを買ってきて、それがチャンマダンで流通していたんですが、中国に輸出ができなくなり、中国から物を買ってこれなくなった。それでチャンマダンの商売の規模が縮小している。一番苦しいのは貧乏な人です。
 90年代後半の大飢饉では、労働党の党員たちが先に死んでいった。政府を信じて、配給を待っていて死んでいった。闇市で商売をしなかった人が死んでいった。今はみんな闇市で食べている。貧富の差が激しい。弱者が困っている。
 物価はそれほど上がっていないんですが、チャンマダンの規模が縮小しているのでお金がない人は物が買えない。一番弱っているのは孤児や老人の家庭で、そういう所で餓死が出始めている。去年の秋からチャンマダンに乞食がものすごく増えたそうです。


  
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