救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

特別セミナー「拉致問題の全体像と解決策」全記録



◆韓国の海岸は武装軍人が警備、拉致に日本語は必要ない

荒木 韓国に侵入するのは同じ民族です。日本は外国です。従って日本の方が困難という点があるのではないですか。
金東植 侵入は日本の方が明らかに簡単です。なぜなら韓国の海岸はすべて武装した軍人たちが警備をしているからです。ですから、韓国に侵入して死んだ人たちも多いです。しかし、日本に侵入して死んだ人はいません。船が事故を起こして沈没したとか、そういう場合以外は死んだ人はいません。2000年代の初めに、中国側の海に北朝鮮の工作船が来て、日本船の追跡を受けて沈没した例があると思いますが、それが最初だと思います。
 日本に入るというのは、ジョークを交えてですが、「休暇に行くようなもんだ」という話まであったぐらい過去は容易でしたし、安全でした。
荒木  (日本に)上陸するのは簡単ということは我々も分かります。問題は、上陸してから日本人と同じように行動して、例えば誰か探すという場合に、北朝鮮の工作員だけで可能かどうか。
金東植 拉致する時、日本語は必要ありません。外見をみれば男か女か、若いか若くないのかは分かります。だから条件にあったのを拉致することができます。日本人のふりをする必要はありません。入る、上陸するというのが大変なんです。
 日本に侵入する工作船に関係する事件について一つ紹介します。83年の夏と記憶していますが、北朝鮮の工作船が日本に侵入しようと航海していました。先ほども言いましたが、日本に侵入するのは「冷めたおかゆを食べる」という朝鮮のことわざがありますが、そのくらい簡単だと思っていたので、安易な気持で航海をしていました。
 ところが思いもかけず韓国の領海にその船が入ってしまいました。緊張しないでいたので、そうなってしまいました。韓国の警備艇がその船を発見し、追跡しました。その漁船は、日本の漁船と同じような造りをしていました。韓国の軍艦が追ってきたので全速力で逃げました。
 漁船のような外形ですが、高速エンジンがついていたので、警備艇は追いつくことができませんでした。軍艦が追いつかないので、軍艦に積んでいたヘリコプターを動員して追跡しました。追跡したところ、漁船に擬装した北の工作船ということが明らかになったので、ヘリに搭載していたミサイルを使って撃沈しました。
 しかし、工作船に乗っていた一部要員だけがその場で死に、大部分は子船に乗り換えて日本近海に逃げました。日本の近海から非常無線で北朝鮮の基地に「助けてくれ」と連絡しました。そこで北朝鮮から工作船が来て、救助しました。
 その後北朝鮮は、韓国に対して大変な非難をしました。それが有名な風山(プンサン)号撃沈事件です。当時北朝鮮は、「民間船舶である風山号を韓国軍が撃沈した」と大々的に非難しました。その船に乗っていた工作員は死なないで無事でした。そして救助されて、新たな工作船に乗って日本潜入に成功しました。その程度に、日本に入るのは簡単だったという話です。

  
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