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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

被害者を救う方法は3つある(2023/12/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.12.27)

 以下は、11月25日付けの「産経新聞」に掲載された記事です。

 参考資料としてお届けします。

■参考資料

 2023.11.25被害者を救う方法は3つある 救う会・西岡力会長

 朝鮮による拉致被害者の即時一括帰国。被害者家族会と「北朝鮮に拉致された
日本人を救出するための全国協議会」(救う会)は、この目標に向けて国民運動
を続けている。今月から月1回、その現場からの報告をお届けする。

 初回の今回は、どのような方法で目標を実現するのかについて、書いておこう。
3つある。

◆米の圧力背景に

 1つ目は「実力による救出」だ。

 拉致は明確な主権侵害なのだから、救出作戦は自衛権の行使に他ならない。た
だし、被害者が今どこにいるかについての情報がない中で、平時における救出作
戦は不可能。北朝鮮で混乱事態が起きたり、北朝鮮軍が韓国に全面的な軍事攻撃
をしかけたりして、米韓軍が北進するような事態が発生した場合だけ、決断され
うる方法だ。自衛隊に限らず米韓軍による救出も含まれる。

 2つ目は、「核開発の阻止を目的とした米国の圧力を背景に、日米が連携して
行う交渉」だ。実力行使ではなく、文字通り、話し合いがベースとなる。

 米国が核問題で強い軍事圧力をかけ、その結果、北朝鮮が交渉の場に出てきた
とき、そのテーブルに核やミサイルだけでなく、拉致問題も乗せる。核・ミサイ
ルと拉致、双方が解決すれば制裁を解除し、大規模な経済支援をすることも可能
だと持ちかける。

 この方法には?実績?がある。

 2001年9月、米国は同時多発テロに襲われた。翌年1月、ブッシュ大統領
はイラク、イランとともに北朝鮮を「悪の枢軸」として名指しで非難。北朝鮮の
核開発を、戦争によってでも阻止すると宣言した。

 当時の北朝鮮は、核凍結の見返りに原発建設とその完成まで重油を提供すると
した「ジュネーブ合意」(1994年)を破り、パキスタンから技術をもらって
濃縮ウラン製造を極秘で進めていた。それを知ったブッシュ政権は、軍事圧力を
極限まで高めた。

 局面打開に向け、金正日が交渉相手に選んだのが、国交正常化後の大規模経済
支援が期待できる日本だった。史上初の日朝首脳会談、5人の被害者救出は、こ
のような枠組みの中で実現した。

◆日本単独で交渉

 2017年の米朝核危機と、18、19年の米朝首脳会談を通じ、類似した状
況が再び訪れた。

 トランプ政権は核開発阻止のために北朝鮮に軍事圧力をかけ、金正恩朝鮮労働
党総書記が交渉に乗り出してきた。安倍晋三首相はこのときに備え、トランプ氏
に対し拉致問題の深刻さと日本はこの問題で絶対に譲歩しないという決意を、幾
度となく打ち込んでいた。

 トランプ氏は金正恩氏との首脳会談で計3回も拉致問題を話題にした。19年
のハノイでの会談では冒頭の1対1の時にとどまらず、その後の少人数の夕食会
でも提起。金正恩氏はその際、「意味のある回答」をしたと、私たちはホワイト
ハウス高官から聞いている。

 トランプ氏は北朝鮮に対し、核を廃棄すれば制裁を解除するが、経済支援は行
わないと明言した。これは私の推論だが、このときトランプ氏は「巨額の経済支
援は日本がする。ただ、拉致問題の解決なしに日本は動かないから、安倍に会え」
と金正恩氏を説得したのではないか。だがこの交渉は前段の核廃棄を巡る議論で
物別れとなってしまった。だから安倍訪朝も実現しなかった。

 現状はどうか。

 米国のバイデン政権は中国との覇権争い、ロシアによるウクライナ侵攻などへ
の対応で手いっぱいで、北朝鮮の核問題に力を割いていない。金正恩氏は核廃棄
など全く考えず、むしろ憲法に核武装を書き込むなど、より先鋭化している。

 そこで私たち家族会・救う会は、拉致だけに絞った日朝交渉を提案した。これ
が3つ目の「核問題と切り離して日本単独で行う交渉」という救出方法だ。

◆人道支援を許容

 背景には、拉致被害者の救出運動を引っ張ってきた親の世代の家族が、次々と
逝去しているという切迫感がある。

 岸田文雄政権は、昨年10月から、被害者救出のための新しいアプローチをと
り始めた。拉致問題を核問題とは「別次元の問題」(岸田氏)に位置付け、「時
間的制約のある人権問題」(同)として日朝首脳会談の早期実現を北朝鮮に求め
た。

 安倍政権、菅義偉政権も表向きは拉致と核・ミサイルの包括的な解決が国交正
常化の条件とだけしか言わなかったので、小さくない変化だ。

 国際社会にも日本単独での交渉を認めてもらうため、救う会と家族会は知恵を
絞った。核開発問題が停滞する中、日本だけ北朝鮮へ経済支援を開始するわけに
はいかない。国連制裁に違反しない範囲で拉致問題の進展を図る方法として、食
糧や肥料などの「人道支援」が浮上した。

 北朝鮮は1990年代後半に300万人以上が餓死する大飢饉(ききん)を迎
えた。2000年代に入り韓国の金大中、盧武鉉政権が大規模な人道支援を行っ
たことなどで事態は好転したが、昨今は新型コロナウイルス禍による国境閉鎖も
影響し、再び危機にひんしている。

 北朝鮮は人道支援を欲している―。そう判断した私たちは今年2月、「親の世
代の家族が存命のうちに全拉致被害者の一括帰国が実現するなら、わが国が北朝
鮮に人道支援を行うことに反対しない」という新たな運動方針を定めたのだ。

◆北が即座に反応

 岸田氏は5月27日の国民大集会で、「時間的制約のある拉致問題は、ひとと
きもゆるがせにできない人権問題」と、拉致を重視する表現をより強めた上で、
「首脳会談を早期に実現すべく、私直轄のハイレベルで協議を行っていきたい」
と述べた。すると、僅か2日後の29日、北朝鮮は外務次官の談話を出して「朝
日両国が互いに会えない理由がない」と応えた。

 これはかつてない反応スピードだ。北朝鮮が対外メッセージを出すときには、
必ず金正恩氏の決裁が必要となる。

 岸田氏のあいさつは27日の午後2時半ごろ。それを北朝鮮側はすぐに文字に
起こし、朝鮮語に翻訳し、金正恩氏に見せたとみられる。そして談話を出すよう
指示を受けて素案を作成し、再度、決裁を受けたはずだ。そのプロセスが、週末
のわずかな期間で行われた。

 日本との交渉への関心度の高さを示す動きであり、私は、岸田政権の新しいア
プローチ、すなわち3つ目の救出方法が、成功する可能性が見えたと考えている。

 その後、日本政府を含め半年ほど表立った動きはないが、拉致問題という機微
に触れる交渉は必ず秘密裏になされるはずだ。9月の内閣改造で拉致問題担当大
臣を兼任している松野博一官房長官が留任した理由も、代えると水面下の交渉に
差し障りがあるとの判断からだったかもしれない。

 ただし、北朝鮮は交渉の場でも平気で?をつく。過去もそのように動いてきた。
だから慎重に秘密交渉を進める必要がある。それと並行し、拉致被害者の確度の
高い生存情報、所在情報をできる限り多く集めておくべきだ。勝負の時が近づい
ているからだ。

◆「遭遇」「人定」「条件」3つの形態

 今後進展する可能性が出てきた日朝協議でまただまされないためには、拉致の
全体像についての国民の共通認識が不可欠だ。長らく救出運動に携わる中で、分
かってきたことは多い。本欄では基本的な要素も含め、「拉致とは何か」につい
ても書いていきたい。

 今回はさわりとして「拉致の形態」について触れたい。これまでの発生事例な
どから、大きく3つに大別できる。

・第1類型は「遭遇拉致」

 拉致以外の目的で潜入してきた工作員が、偶然出くわした対象者に対して行う。

・第2類型が「人定拉致」

 事前に拉致する候補者に関する調査を行って、対象とすることを決定した後に
行う。

・第3類型が「条件拉致」

 「若い女性」「若いカップル」などという条件に合致する候補者をその場で選
定して行う拉致で、事前調査を行わないのが特徴だ。

 1と2については知られていたが、3は私がジャーナリストの故恵谷治氏と一
緒に全国の拉致現場、あるいは工作員の潜入脱出現場を回りながら発見した新し
い類型だ。

 2002年に帰国した拉致被害者の蓮池さん夫妻は、自分たちが拉致されたと
きの状況に関してこう証言している。夫妻は新潟・柏崎の海岸を訪れていたとき
に工作員に襲われたが、自分たちの前に狙われたカップルがいたそうだ。だが、
そのときに酔っ払いが出てきたので中止となり、その後に自分たちが拉致された
という。

 事前に対象に選ばれたのではなく「若いカップル」という条件に合致したので
拉致されたのだ。

 横田めぐみさんの場合は、「若い女性」という条件だった。当初は、工作員が
無線機を使うところを目撃したため拉致されたという「遭遇拉致」の見方だった
が、その時間の現場が真っ暗で視認が困難であることから、否定される。

 詳しくは次回以降で書いていきたい。




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