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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮食糧危機の現状と拉致問題?特別集会報告1(2023/06/26)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2023.06.26)

■北朝鮮食糧危機の現状と拉致問題?特別集会報告1

 救う会は、6月25日、東京・文京区民センターで特別集会を開催しました。
西岡救う会会長の司会・通訳で行われ、北朝鮮から韓国に脱北し、ソウルで活躍
している4名に、北朝鮮の食糧事情について報告してもらいました。

 家族会から在京の横田拓也、横田哲也、飯塚耕一郎、松木信宏の4氏が参加。
自由北朝鮮放送が北朝鮮に向けて放送するラジオの収録も行いました。

 家族会・救う会は2月に「親の世代の家族が存命のうちに 全拉致被害者の一
括帰国が実現するなら、我が国が人道支援を行うことに反対しない」という運動
方針を決めました。その背景の一つには北朝鮮で今、深刻な食糧危機が起きてい
て、人道支援を必要としていることがあります。餓死者が出ている、コッチェビ
と呼ばれる子どもの乞食が多数市場に出ている、兵士らが飢えて強盗化している
などの情報がありますが、どれほど危機が深刻なのかについて分からない部分が
ありました。そこで、韓国の自由北韓放送の金聖?代表と最近の脱北者らである
同放送局記者らを招いて最新の北朝鮮情勢について詳しく聞く機会を持つことに
しました。以下は集会の概要です。

■北朝鮮食糧危機の現状と拉致問題?特別集会報告1

◆自由北韓放送で週回拉致を訴え

西岡 力(救う会会長)

 皆さん、こんにちは。今日の特別集会に、日曜日ですがたくさんお集まりいた
だきありがとうございます。北朝鮮にラジオの短波放送で情報を送っている自由
北韓(北朝鮮)放送は来年で20周年になります。

 できたときから日本人拉致問題について大変関心を持って、「西岡教授の拉致
の話」という番組を作ってくれています。1週間に2回、私とここにいる金聖●
(●=王へんに文、キム・ソンミン)さんと対談形式で、拉致の最新情勢や北朝
鮮の高官に訴えることをずっとやってきました。

◆政府も家族の声を放送

 それ以外にも、日本政府が広告の形で番組を買って被害者家族の声を北朝鮮に
放送することもやっています。実は今日始まる前にもラジオの収録をしました。
それを7月の第2週から毎日1か月間流してくださることになっています。

 自由北韓放送は北朝鮮に向けて情報を送っており、ここにいる人たちは脱北者
ですが、みなさん関係者がまだ北朝鮮にいるわけです。それだけでなく、色々な
コネクションがあります。北朝鮮の内部のことをずっと取材して、韓国社会、国
際社会に知らせる活動もしています。

◆みなさんを紹介

 そういう中で、今北朝鮮で深刻な食糧危機が起きているということについて一
番情報を持っている韓国の中の団体の一つが自由北韓放送なので、その記者の人
たちに来ていただきました。もう一人、脱北者で「月刊朝鮮」という、日本で言
えば「文芸春秋」のような月刊誌の記者をやっている金聖●さんの仲間も来てく
れました。

 彼らから最新の北朝鮮の食糧事情を中心とする社会情勢を聞いて、彼らの立場
から見て私たちの運動方針がどう見えるのかについて議論をしたいと思います。
最後に家族会の方たちに感想を言っていただきたいと思います。

 それでは今日のゲストの皆さんを紹介します。詳細は配布資料を見てください。

 まずわが友人の金聖●さんです。自由北韓放送の代表です(拍手)。元軍人
(大尉)だった人で、お父さんは金日成大学文学部の先生で文学者で詩人です。

 次が李シオンさんです(拍手)。彼女は実は韓国で人気があって、韓国には脱
北者者が主人公の番組が2つあり、「イーマンガプ」という番組と「モランボン
クラブ」があり、彼女は「テレビ朝鮮」がやっている「モランボンクラブ」のレ
ギュラー出演者です。互いにライバルとなって、北朝鮮の事情を説明する番組で
す。金聖●代表もよくその番組に出ています。空港などに行くと、「あ、李シオ
ンさんだ」と知っている人も多いようです。自由北韓放送で長く番組をやってい
る局長です。

 次に、●(ぺ、なべぶたの下に裴)ガンミンさんです(拍手)。彼は自由北韓放
送の記者で、今回日本に初めて来たそうです。

 その隣がカン・ナギョンさんです(拍手)。北朝鮮では労働党の幹部で金日成
社会主義青年同盟の貿易会社指導員というのはかなり上の立場の人です。実は李
シオンさんのお母さんです。あまりこういう所で話すのは慣れていないので紹介
だけとします。

 最後に、チョン・グァンソンさんです(拍手)。「月刊朝鮮」の記者で、第一
線のジャーナリストとして、脱北者の立場で頑張っています。横田拓也さんに取
材をして「月刊朝鮮」に書きたいと言っています。

 ではこの場は金聖●さんの司会をしてもらい、私は通訳をします。

◆新しい運動方針に少し驚いたが今は理解できる

金聖●(自由北韓放送代表)

 私は脱北者として北朝鮮の人権問題も話しますし、金正恩の悪口も言ってきま
したが、皆さんの前で話すことはあくまでも日本人拉致問題の解決です。今日は
皆さん方の願いがかなうような条件がいまできているのかどうかに焦点を当てて
お話ししたいと思います。

 私もそうですし、韓国で活躍している人権団体のリーダーたちもそうですが、
これまで拉致問題、それ以外の人権問題の解決は、究極的には北朝鮮の政権の崩
壊がなければならないと言ってきました。

 その立場から家族会・救う会の新しい運動方針を聞いた時、率直に言って少し
驚きました。実は私たちは日本政府から提供された拉致被害者家族の声を週2回
北朝鮮に送っています。

 家族会の人たちの録音ファイルを聞いていたのですが、ある人が、「もう時間
がないんだ」と。「核・ミサイル問題と拉致問題を分けて解決したい」という話
をしていました。

 今日また直接その話を聞いて、本当に切実なんだということがよく分かりまし
た。一言で言えば、家族会・救う会の運動方針は、「親の世代が生きている間に
返せ」ということですよね。「親の世代が亡くなった後返しても意味はない」と
いうことだと理解しました。

 そのことは100%理解できます。だからこそ核・ミサイル問題と拉致問題を
分けて早くやろうということがよく理解できました。

 そのことを前提として、今北朝鮮がどのような情勢であるか、日本側の提案が
北朝鮮に通じるのかどうかということをこれからお話ししたいと思います。

 ではまず北朝鮮の食料配給システムはどうなっているのかということから始め
たいと思います。李シヨン局長にその部分をお願いします。

◆今一月の月給で買える米は1キロしかない

李シヨン(自由北韓放送局長)

 皆さんお会いできて嬉しいです。私たちの放送局では被害者に会いたいという
家族の皆さんの声をずっと流してきました。今日家族の皆さんにお会いして、直
接声を聞くことができたので、こういう気持ちなのかということがよく分かりま
した。帰国したら皆さんの心に合わせて家族の声を送れるように努力したいと思
います。

 金日成時代は配給制が機能していて、住民に食糧が与えられていました。金日
成が1994年に死んだ後、95年から北朝鮮で言うところの「苦難の行軍」時
代が訪れます。

 その時私は13歳でしたが、市場でお腹をすかせて餓死する人をたくさん見ま
した。しかし、その時でも党の幹部、軍人、そして警察等治安関係者には配給が
ありました。

 そして2005年10月から北朝鮮は既存の配給所を廃止して、価格を現実化
する食糧供給所というものを作りました。過去の配給所では米が1キロ8銭(0,
08ウォン)だったのですが、現在は米1キロが4300ウォンになりました。

 ところで北朝鮮の労働者の平均的月給は月3000ウォンから5000ウォン
です。ですから一月の月給で買える米は1キロしかないということです。食べて
いくのが本当に苦しい状態です。

◆北朝鮮の配給性の推移

金聖● もう一度整理してみたいのですが、1945年に日本から解放されて、
48年までは配給制度がなく、農民は自由に市場で米を売り、それを自由に買う
ことができた。

 その後配給制度になりました。規定通り配給されればお腹はすかないのですが、
実は最初から戦争備蓄米という名目で、生産の20%くらいを強制的に取り上げ
ていました。

 そして配給も100%米ではなく、平壌では70%が米で30%がとうもろこ
しで、地方では70%がとうもろこしで30%が米でした。ですから北朝鮮では
金日成、金正日、金正恩以外は肥満の人はいないのです。日本人は肥満の人がい
ますが、北朝鮮ではいくら将軍でもお腹は出ていないのです。それはこの仕組み
からきています。

 そういう中で先ほど、李シヨン局長が話した通り、94年に金日成が死んだ後、
配給制が崩壊しました。皆さんに昔を思い出していただきたいのですが、北朝鮮
はもともと貧乏だったのですが、それでも「教育は無償だ、医療も無償だ、税金
もない」と言って国際社会に自慢していたわけですし、在日朝鮮人に朝鮮学校へ
の支援金というものを、嘘かもしれないですけど、送ってきたのです。

 ところが、94年に金日成が死んだ後、実は、「わが国の子どもたちが飢えて
いる。支援してほしい」と国際社会に訴えたのです。

 北朝鮮の配給は基本的に月2回、15日に1回貰っていたのですが、1月途絶
えるとこたえる。「しかし、まさか完全に止まることはないだろう」と思ってい
たら、また途絶えた。次は出るだろうと思って信じて待っていた人たちが飢え死
にしたのです。

 その状況を見て、「このままでは家の家族も死ぬだろう」と思った人たちが、
自宅にあるテレビや冷蔵庫、腕時計等金目の物を持って農村に行きました。共同
農場は共有ですが、自宅の前には小さな自留地があります。そこでとうもろこし
とか大豆等を植えていたのですが、そこを金目の物と交換したのです。

 そして採れた作物をそのまま食べるのではなく、とうもろこしを酒にして、大
豆を豆腐にしてそれを市場で売ることを始めました。

 その時から住民たちが、自分で農村に行って作物を買って、それを再生産して
市場で売ることが始まり、そのブームが全国で広がる中で、金正日はその動きに
押されて2002年7月1日の「新しい経済措置」というものを出して、工場で
自分が生産したものを自分で処分することができるようにするとか、給料を10
0倍にして市場の売買と同じようにすることをやった。

 その時給料が上がり、その後デノミ(通貨の呼称単位の切り下げ)をやったの
ですが、その結果今の状況のように、労働者の月給が3000ウォンから500
0ウォンで、米の1キロの値段が4000ウォンから6000ウォンという変な
世の中ができてしまった。

 そして最近のニュースを見ると餓死者が出始めた。市場で子どもの乞食(コッ
チェビ)が増えるとか、船を盗んで脱北した家族が、「食べられなくなって逃げ
てきた」というニュースが出ています。

 また驚くべくことに、北朝鮮では自殺は反革命行為で残された家族は政治犯に
なる体制なのにも関わらず、今自殺が増えていて、家族心中が増えているという
ニュースも流れています。

◆「拉致被害者を返せば食糧支援」を北朝鮮が受け入れる可能性がある

 このまま行くと、体制を支えている軍人や治安機関も維持できなくなりますの
で、そういう状況になれば日本政府が、「拉致被害者を返せば食糧支援をする」
と提案し、それを北朝鮮が受け入れる可能性は十分にある。皆さんが、「それに
は期限がある。親の世代が生きている間だ」と言っていることが通じるのではな
いかと私は思います。

 具体的な情報を同僚の記者から聞きたいと思います。

(2につづく)


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