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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

米朝実務協議後の北朝鮮情勢と拉致問題−東京連続 集会報告2(2019/10/29)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2019.10.29)

■米朝実務協議後の北朝鮮情勢と拉致問題−東京連続 集会報告2

◆トランプ大統領のブロマンス外交

島田洋一(救う会副会長、福井県立大学教授)

 今西岡さんが紹介した「ミサイル防衛レビュー」は、今年1月17日付で国防
総省が発表したものです。その中で、「グアムを含む在日米軍等は北朝鮮の核・
ミサイル脅威の中に入っている」と。アメリカ本土に関しては、「安定的にアメ
リカを核攻撃できるミサイルの実戦配備の日が近づいている」と述べています。

 圧力に関して一言だけ。西岡さんが言ったように、経済制裁と軍事的圧力があ
るわけですが、この2つは連動している面もあります。つまり軍事的圧力をかけ
ることで、戦争が起こるかもしれない国に新たに投資しようとする企業はない。
従って、経済制裁を徹底させるためには軍事的圧力が必要だ、と。これはボルト
ン元安保補佐官あたりの考えです。

 だからボルトン氏は、トランプ大統領氏が金正恩と仲のいい友達を演じるよう
な外交、英語ではブロマンス外交と言います。ブラザーとロマンスを合わせて、
男同士の密接な関係のことをブロマンスと言ったりします。それにボルトン氏は
批判的でした。

 そういう雰囲気を作ってしまうと、制裁違反をしたってアメリカから厳しくや
られないなという雰囲気を世界にばらまいてしまう。やはり、アメリカがいつ攻
撃するか分からないという緊張感を作り出すことが経済制裁を徹底させるために
は必要だという考えです。

 今ブロマンス外交に行っているので、抜け穴塞ぎの作業がこれまで以上に重要
になってくるし、厳しい態度でしっかり対応しなければいけないと思います。

◆ジュネーブ合意の教訓

西岡力(救う会会長、モラロジー研究所教授)

 2018年になって話し合いが始まったわけですが、その話し合いが始まる時
に、安倍総理や私たちが考えたことは、核・ミサイルの嵐の中で拉致の旗が飛ば
されてしまうかもしれない。だから拉致は最重要課題だけではなく最優先課題と
言ってくださいと政府に繰り返し求めたわけですが、安倍総理も同じことを多分
考えていたと思います。

 安倍総理が目指したことは、トランプ大統領に拉致問題をインプットするとい
うことです。トランプ大統領が核で北朝鮮と交渉する時に、拉致も同じテーブル
に上げることができるかどうか。それが核・ミサイルで最高度近くにまで高まっ
た圧力を、拉致解決に利用できるかどうかの分かれ道になる。

 1994年にクリントン政権が爆撃の準備をしたことがあります。寧辺の核施
設だけを限定爆撃する準備をした時、金日成がカーターと会って、「寧辺の核施
設を止める」という譲歩をしました。

 その時アメリカは「それでよし」としてジュネーブ合意を結んだ。北朝鮮は譲
歩したら必ず見返りを求めます。悪いことをして止めたのに見返りを求めるとい
うひどい話です。それにクリントン政権がOKして、45億ドルかかる軽水炉、
原爆を作りにくい原子力発電所をただで作ってやるがアメリカは金を出さないと
いう合意をしたんです。

 その時日本の村山政権に「金を出せ」とアメリカが言ってきて、村山政権は
「10億ドル出します」と約束して、実際5億ドル出したんです。その時村山政
権はお金を出す条件として拉致問題の解決を入れなかった。アメリカも軽水炉を
作る条件に寧辺の核施設を止めることしか出さなかった。

 だから拉致が完全に置き去りにされたまま日本からお金が出るという、我々か
らすれば最悪の合意になった。今回もトランプ大統領に何もしなければそうなっ
た可能性もあったと思いますが、安倍総理はトランプ大統領当選者の時からニュー
ヨークに会いに行き、就任後長い時間ゴルフをした。

◆大枠はできたが2年近く動きがない

 ゴルフのカートの中で拉致の話をずっとしたと、直接話を聞いたことがありま
す。ゴルフで遊んでいると思われるかもしれませんが、カートの中で長い時間拉
致の話をしたと総理は言っていました。

 トランプ大統領は当選するまで拉致のことを全く知らなかったと思います。安
倍総理が繰り返し拉致のことを言い、この問題が重要であると言ったら、北朝鮮
がミサイルを発射し、核実験をしていた2017年10月の国連総会で、「かわ
いい13歳の少女を拉致した北朝鮮は許せない」という演説をするまでになった。

 そしてその後2回も家族会に会ってくださり、有本明弘さんには手紙も書いて
くれた。もう拉致問題がインプットされていますし、この間、5月に我々が訪米
した時アメリカの政府高官は、「トランプ大統領は金正恩に対して首脳会談の席
で3回拉致問題を出した」と。特に今年のハノイでの会談では2回出したと言っ
ていました。

 それも安倍総理の説得でトランプ大統領が拉致問題の深刻さを理解した、家族
の訴えで心を動かされたということが半分はあると思いますが、後の半分は、ア
メリカの取引きの中に拉致を入れて、アメリカは北朝鮮に対して「核・ミサイル
を完全に止めろ。そしたら豊かな国になる」と言っていますが、「俺はお金を出
さない」とも言っています。ジュネーブ合意の時と基本的に同じです。

 しかし、「シンゾー・アベが出すと言っている」、「シンゾー・アベが出す条
件は核・ミサイルだけでなく拉致だ。拉致も話し合え」と。セットになっている
んです。ここまでは作ることができた。つまり核・ミサイル問題が進むと拉致も
進む構造になった。長期的に見て、この状況を目標にしてきたわけです。圧力を
最高度にかけて話し合いに引出し、拉致をテーマにして話し合いをさせる。話し
合いで解決するにはこの方法しかなかった。

 そこまでは来たのですが、シンガポールでの首脳会談の後、北朝鮮は核放棄も
ミサイル放棄もしていません。そして今年のハノイでの首脳会談では、「寧辺の
古い施設だけ放棄するから制裁のほとんどを解除してくれ」というかなり虫のい
い提案をしてきて、トランプ大統領が「あなたは準備ができていないね」と言っ
て、昼ご飯の約束もキャンセルして帰ってしまった。その後、何も動きがない。
先月の実務者協議でも、物別れに終わった、というのが今の状況です。

 なので、枠組みはできたけれども、2年近く動きがないので大変苦しいという
ことです。そこで私は、ある面では我々が求めてきた枠組みができ、頂上が少し
見え始めた。頂上に行くには越さなくてはならない山が二つある。

◆第一の山は米朝協議で核・ミサイル廃棄

 一つは、この圧力に耐えかねて北朝鮮が核・ミサイルをかなりの部分、すべて
というのはリビアだって隠していたということですから100%というのは難し
いかもしれませんが、かなりの部分を放棄する決断をすることです。

島田 リビアは核・ミサイルは全部放棄して、マスタードガス等化学兵器を少し
はずしたんですね。

西岡 毒ガスを隠したんですよね。9割5分とか、9割8分は止めさせなければ
ならない。それをしないと本当に政権が倒れるぞという圧力をかけ続ける。自分
の身も危ないぞという圧力をかけ続ける。

 米朝が安易な合意ではなく、核・ミサイルが無くなったと我々が判断できる程
度の合意ができれば、その合意の中に日本からの経済協力資金が組み込まれてい
ます。金正恩とすると核・ミサイル開発に投資したお金を出せと必ず言いますし、
トランプ大統領も「豊かな国になる」と言っていますので、経済協力資金のスポ
ンサーが必要なわけです。

 従って米朝が進んだら、必ず日朝が進まなければ最後の話し合いにならない。
金正恩は核だけ取られてお金が来ないという取引はしませんから、米朝が終わっ
たらその場で安倍さんとやると想定しています。あるいは時差をおかないでやる。
これが1つ目の山です。

 1つ目の山をもう少し早くできるのではないか、今年の後半にはなにか動きが
あるのではないかと思っていたんですが、その一つ目の山もまだ越せないでいる。

◆2つ目の山は日朝協議、北朝鮮に拉致被害者を出させることができるか

 しかし、一つ目の山を越したからと言ってうまくいくとは限らない。次に日朝
になった時に、現在、米朝が進んだらすぐ日朝が動くことになるという情報がた
くさんありますが、その準備は、めぐみさんたちがもう一度「死んだ」という報
告を出す、あるいは合同調査委員会を作って、めぐみさんたちについては調査を
続ける。それだけでは日本が満足できないだろうから、一人とか二人を出してく
る。できればその人たちに記者会見をさせて、「北朝鮮の暮らしがいいから帰ら
ない」と言わせるというようなことを準備しているのではないかと思われる複数
の情報があります。

 そして去年のシンガポール会談の直後には、国会の中で日朝国交正常化促進議
員連盟が最初の総会で、朝鮮総連の新聞の平壌支局長が呼ばれている。国会議員
が40人、自民党の先生方が半分以上でしたが、その人たちの前で、「拉致問題
は終わっている。解決済だ。死んだ人は生き返らない」という講演をしました。

 もう一人の講師である田中均元外務省局長は、「納得するまで北朝鮮に調査さ
せなければならない。日本も入って調査した方がいい。だから日朝合同調査委員
会を作って、その調査は長引くから日本と北朝鮮に連絡事務所を作ればいい」と
話しました。自民党の総裁選挙に出て次点となった議員は、総裁選挙でその案の
話をしました。

 北朝鮮ではすべての人が毎週土曜日に生活総和という思想点検をします。曽我
さんや蓮池さんたちもやっていました。その資料が中央党の組織指導部に上がっ
ていきます。誰がどこにいるかは登録されているんです。探す必要はない。死亡
したら生活総和から抜けるから分かるんです。

 それなのに合同調査をしましょうと言うのは死因の調査をしましょうというこ
となんです。めぐみさんの骨が埋まっていたという病院の裏側に他の骨も埋まっ
ていて、間違って掘っちゃった。横を掘ってみましょう。出てきたらDNA検査
をしましょう。違っていたらまた掘りましょうということをされるかもしれない。

 そういうことを統一戦線部が準備していることは間違いなくて、そういう方向
で日本国内にも工作をしているんです。だから日朝が動き始めたらすぐ全員が帰っ
てくるとは言えない。もう一つの山がある。

 そこで二つ目の山に備えるべく、日本国内の北朝鮮とつながっている勢力を警
戒しろということに重きを置いて、私はこのところ講演をしたり話したりしてき
ました。

 しかし今、第一の山が動かない。米朝が動かないので次に進まないので、第二
の山についても警戒は続けなければなりませんが、米朝が今、一体どうなってい
るのか、そして中国が裏で北朝鮮をどれだけ支えているのか。そこを突破しない
と次にいけないので、そこについて少しやりましょう。

 先ほど島田さんが、制裁の穴を埋めなければならないという話をしましたが、
米朝が今どうなっているのか、特にボルトン氏の解任がどういう意味を持つのか
を話してもらいます。参考資料として島田さんが「産経新聞」(9月27日)に書
いたコラム(日米が北朝鮮に騙されるとき)を配布していますが、まさにこの観
点で、今の米朝関係をどう見るべきか、トランプ政権が安易な譲歩をすることが
あり得るのかについてお願いします。

◆ボルトン安保補佐官が抜けたのでアメリカの対北スクラムが弱化

島田 これはアメリカ側の体制、ラグビーで言えばスクラムですが、ボルトン氏
が抜けたことで弱くなったということを認識しておく必要があると思います。従っ
て、日本側からアメリカ側への働きかけ、牽制を強化していかなければならない。

 増元照明さんが、チャンネル桜の「増元照明の拉致問題アワー」の9月末の番
組で、私のこのコラムを増元さんの体験を交えながら解説していました。ユーチュー
ブで見れますので参照していただければと思います。

 ボルトン氏は拉致問題に関しても詳しい。詳しいだけならクリストファー・ヒ
ルも詳しく、彼はいつも拉致被害者のリストをポケットに入れていて、来る人毎
に見せて、ちゃんとやっていると言っていましたが、彼はどんどん譲っていった。

 ボルトン氏は理念的にもしっかりしていますし、核拡散防止の専門家です。彼
が2007年に出した回顧録は核拡散防止に関する教科書と言ってもいいくらい
です。彼の体験に基づく色々なものが書かれていて、こういう騙しで相手がくる
とか、IAEAなんてこういう形で騙されるということを逐一書いています。

 ボルトン氏がいなくなって、代わりにロバート・オブライエン氏が安保補佐官
になりましたが、彼はニュースで全く名前が出ないし、はっきり言って存在感が
ありません。彼は企業同士の訴訟を担当していた弁護士で、外交経験はほとんど
ない。大量破壊兵器拡散防止条約に関しても専門知識や経験を持っていない。

 アメリカで言われているのは、ボルトン氏の後任として5人くらい残った中で
一番無難な人間をトランプ氏が選んだと言われています。従って、オブライエン
という安保補佐官が、トランプ氏がおかしな方向に行く時に、「それはだめです
よ」と、止める役割を果たすとは到底思えない。

 ポンペオ国務長官は来年、カンザス州から上院議員選挙に出るんじゃないかと
言われていて、先週も国務長官でありながらカンザス州に入ったりしています。
カンザス州は共和党が絶対落とせない保守系の州ですが、いまちょっと危ない状
況です。だから「是非ポンペオ出てくれ」と共和党の幹部が彼にせっついていま
す。

 選挙になった時に大統領と関係が悪いとマイナスですから、トランプ氏に応援
してもらわないといけない。トランプ氏は共和党支持者の90%から支持を得て
います。従ってポンペオ氏は、トランプ大統領にボルトン氏がやったような諫言
をする姿勢が見えない。保守系のメディアでも最近、ポンペオ氏を揶揄するよう
なものが結構出ています。

 インタビューを受けるとポンペオ氏はいつも、「ザ プレジデント メイド 
イット クリアー」と、大統領が明らかにしているでしょうと言いますが、トラ
ンプは全く明らかにしていない。無理して弁護しています。あまりにも無理して
弁護する姿勢がもろ見えだから、「あの言い方はやめろ」と保守系のベテランの
アドバイザーに言われているくらいです。

 ポンペオ氏も核拡散防止条約の専門家ではない。軍人をやめた後、民間企業に
入り、下院議員になったのは割と最近です。イランの問題で強硬なことを言って
注目されてCIA長官になり、今国務長官ですが、政治経験の非常に少ない人で
す。

 日本ではあまり報じられていないアンドレア・トンプソンという国務次官がい
ます。彼はかつてボルトンが担当していた核拡散防止担当の国務次官ですが、少
し前に辞任しました。それは彼女の夫がロシアでスパイとして逮捕されたからで、
ロシア人です。ロシア人女性のスパイと友人関係で非常に親しかったということ
を、トンプソン氏が自分の就任の際の公聴会でずっと黙っていた。これ極めて問
題だということで彼女が追及され、辞任したのです。

 トンプソンという人はペンス副大統領の補佐官をやっていて、ペンスが国務省
に送り込んだ人です。この人がいなくなったということもあって、アメリカ全体
で強硬派のスクラムが弱くなっています。

 今までもボルトン氏に情報を入れておけば、彼がきちんとトランプ氏に通して
くれると期待できたんですが、今後は安倍総理が直接、トランプ氏にどんどん情
報を入れ、トランプ氏がおかしな方向にいくようならすぐ安倍さんが情報を入れ
る必要が高まっていると思います。

(3につづく)


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