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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮の内部情勢と拉致の最新情勢?東京連続集会報告1(2019/07/22)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2019.07.22)

 令和元年7月19日、東京・文京区民センターにおいて、第107回東京連続集
会が開催された。テーマは、「北朝鮮の内部情勢と拉致の最新情勢」。

 トランプ大統領の突然の呼びかけによって3回目の米朝首脳会談が板門店であ
り、内外の注目を集めたが、決まったのは実務協議の再開だけ。今後米朝、拉致
がどう動くのか。その鍵を握るのが北の内部事情、特に制裁の効果だ。今回は、
北朝鮮の脱北者で、自由北朝鮮放送代表の金聖●(王へんに文、キム・ソンミン)
氏をお招きし、北朝鮮の内部情勢と拉致の最新情勢について報告し、西岡会長が
最新情勢を解説した。

■北朝鮮の内部情勢と拉致の最新情勢

◆対北朝鮮制裁の効果はどのくらいか

西岡力(救う会会長)

 こんばんは。板門店でトランプ大統領が金正恩氏に会いましたが、そこで約束
した実務協議も表向きは始まっていないようです。また膠着状態になるのか、い
つ大きな動きがあるのかといらいらする毎日です。

 大きく言うと、トランプ政権も安倍政権も、「時間は我々の側にある」と判断
しています。その判断の根拠は経済制裁が効いているということです。アメリカ
は、北朝鮮がアメリカまで届く大陸間弾道ミサイルを持つことを許しません。北
朝鮮が2年間で3回の核実験をして40発の弾道ミサイルの実験をした時、空母
を3隻送ったり、戦略爆撃機の演習を20回、朝鮮半島周辺で行ったりしました
が、わずか2年前のことです。

 その結果北朝鮮は、核・ミサイル完成の直前になって止め、まだ完成していな
いというのが多数意見です。いつでも再開できるわけですが、止めた。先週から
私はソウルに行って、北朝鮮の内部につながる筋と会いましたが、「まだ完成し
ていない」という話を聞きました。ただ、完成のすぐ近くにいることは間違いな
い。アメリカはそのことを基本的に分かっていて、軍事的圧力ではなく経済制裁
で政策を変えさせる戦略をとっています。

 その経済制裁で北朝鮮の政策を変えさせる対象として、核・ミサイルだけでな
く拉致が入ったというのが今の状況で、そのために私たちは色々やってきたわけ
です。それが効果を上げるかどうかは、経済制裁が一体どれくらい効いているの
か、いつになったら金正恩が降伏をしてくるのか。「経済制裁を止めてくれ」と
言って、実質的な譲歩をしてくるのか。

 金正恩が拉致被害者を返す決断をいつするかということと、経済制裁がどのく
らい効いているかということは相関関係がある。経済制裁が効いているというこ
とは事実なんですが、一体どれくらい効いているのか、どこの部分に効いている
のか、政権を倒すくらい効いているのか、どのくらいもつのか、ということが今
一番の焦点です。

 実は私もそのことのために先週から韓国に行って、北朝鮮につながる人にも会っ
てきました。また、そういうことは北朝鮮内部のことを知っている人に聞かなけ
ればならないということで、去年12月に大きな病気をして復帰した後初めて金
聖●さんに東京に来てもらいました。

 まだ病院に通っている状況で完治したわけではないのですが、活動を再開して
いるということで電話をして、制裁がどう効いているか調べてほしいと頼んだら、
「調べてから行きます」と言って、色々なデータや今北朝鮮の内部と直接電話が
つながりますから、そういう調査をして今日来てもらいました。

 金聖?さんと私は20年近く一緒に、北朝鮮内部に真実を伝える、その真実の
中にある拉致問題も伝えるということをやってきましたので、同志的な関係です
が、まだ大きな病気が完全に治ってない中で無理して来てくださったことに感謝
しています。

 皆さんの手元に金聖●さんが書いてくれたものの抜粋があります。元はA4で
6ページの小論文ですが、それを3ページにしたものを見ながら、「対北朝鮮制
裁の波及効果、金正恩の白旗投降は可能なのか」という題でお話をしてもらいま
す。

 その後私と討論形式で話をし、その後横田拓也・家族会事務局長に感想などを、
島田洋一救う会副会長にアメリカから見た観点などを話してもらいたいと思いま
す。宜しくお願いいたします(拍手)。

◆日韓関係の悪化は、50年間北朝鮮が行ってきた工作が成功したからかもしれ
ない

金聖●(自由北朝鮮放送代表、脱北者)

 お会いできて嬉しいです。韓国ではこの数日、反日感情が盛り上がっていて、
ニュースを見るとそういう記事ばかりで、昨日はソウルの日本大使館前で自殺を
しようとする人がいたりで感情的な反日が盛り上がっているのですが、東京に来
たら皆さんが普通に過ごしていて、何か肩すかしを食ったような感じです。

 実は最近、自由北朝鮮(北韓)放送は北朝鮮向けのラジオだけではなく、ユー
チューブの発信もやっています。そこで先ほど、西岡先生との対談番組を撮影し
たところです。

 私は韓国に来て20年経ちますが、韓日関係について知らないことが多くて、
これまでは北朝鮮で習った通り日本は悪いんだと思ってきましたが、今日様々な
具体的説明を聞いて、単純に日本がフッ化水素の輸出を止めたとか、それが韓国
に対する制裁だという言い方は間違っていると思いました。

 過去にすべて解決していた問題についても、また問題にしているということで
信頼関係がなくなっているというようなことを学ぶことができ、韓国政府がやっ
ていることの問題も理解することができました。

 私は今の状況を見て、黄長▲(火へんに華、ファン・ジャンヨプ、元北朝鮮党
書記、脱北者)先生がよく言っていた話を思い出しました。黄長▲先生は、「日
米韓三画同盟こそが北朝鮮の独裁政権を倒す一番の動力だ。だからこそ北朝鮮は
それを弱めようとしている」と言いました。北朝鮮では日米韓三画同盟のことを
李朝時代の冠と冠のひもに比喩した言い方があるということです。

 冠(かんむり)が韓国で左右のひもが日本とアメリカ。それが結ばれていて韓
国という国が安定する。日韓関係や韓米関係が断絶すると冠は飛んで行ってしま
う。両方大切だ。だからこそそれを切り離すことを北朝鮮は目標にしていた。

 今文在寅大統領の政策の結果、日韓関係がかつてなく悪化しているということ
は、50年間北朝鮮が冠である韓国を吹き飛ばそうとひもを切ろうとしてきた工
作が成功したのかもしれない。そのような印象を持っています。

 今韓国ではテレビも新聞も、反日感情を煽る記事であふれています。「どうす
ればいいんですか」と西岡先生に聞いたら、「勉強しなさい」と言われました。
読むべき本を教えてもらい、見るべき資料を示されました。

西岡 ちょっと補足すると、韓国でも今の日韓関係はおかしいと言って、最近本
が出ています。「反日従属主義に対する反論」という本で、反日民族主義が韓国
を滅ぼしたという内容の歴史学者たちが書いた本で、慰安婦問題でも「性奴隷は
ない」とか、「戦時労働者は奴隷労働をしなかった。日本人と同じ賃金を貰って
いた」とか、「65年の協定でどう解決したのか」とか、「もう蒸し返すべきじゃ
ない」とか、「日本統治時代韓国は経済成長をしている」とか、「土地が40%
奪われたというのは嘘だ」というようなことを、韓国の学者たちが実証的に書い
た本です。

金聖● また最近やっと韓国の一部が報道しましたが、2005年に当時の文在
寅大統領も委員になって、当時の総理大臣が委員長の委員会が作られました。そ
の委員会はなにをしたかというと、日韓外交交渉をした外交文書数万ページを全
部読んで、日韓交渉でどこまで解決したかという韓国政府の公式見解を作ったん
です。

 その資料が2005年8月に出ているんですが、それを見ると、それをさっき
金聖?さんに見せたんです。当時の委員長は今の与党、共に民主党の代表で委員
に文在寅大統領も入っていたんですが、結論は、「日本政府が1965年に韓国
に供与した3億ドルの中に、動員された労働者の補償問題も含まれている。だか
ら補償は韓国政府がやるべきだ」と書いてあるんです。

◆国連制裁は2016年1月の4回目の核実験以降本格化
金聖● 序論が長くなりましたので本論に入ります。私の書いたものの題は、皆
さんご承知の通り、「対北朝鮮制裁の波及効果、金正恩の白旗投降は可能なのか」
ですが、私が西岡先生と付き合っている目的は拉致問題の解決です。日本に何回
も来ましたが、目的はそのことで、自由北朝鮮放送が拉致問題のために何ができ
るかをいつも考えています。

 そういう中で、西岡先生からこのことについて調べろと言われて調べる中で、
経済制裁で拉致問題が解決するのかどうかを深く考えて準備してきました。拉致
問題の解決のためには、究極的には北朝鮮からすべての情報を入手することは大
変困難ですし、北朝鮮の耐性も崩壊しなければならないと、私は考えています。
多分西岡先生も同じ考えではないかと思って一緒にやってきたわけです。

 では経済制裁で北朝鮮の体制をどこまで追い込むことができるのか。そのこと
について考えながら、今日お話ししたいと思います。

 今経済制裁について北朝鮮の当局、そして北朝鮮の住民たちがどう言っている
か。私たちはしばしば北朝鮮の住民と直接電話をして情報を取っていますが、ま
ずそのことをお話します。

 当局は、「経済制裁等というものは我々はずっと受けてきた。建国以来経済制
裁を受けてきた。だから今も昔も変わらない」と。住民たちも同じことをいいま
す。そして去年9月以降、今の制裁の意味を軽く見ようとして、住民たちに、
「自力更生の革命精神を持て」と強調しています。

 「自力更生の革命精神」と言っても、韓国の人でも知らない人が多い。我々北
朝鮮の人間はこういうふうに習っています。金日成将軍が日本軍とパルチザンで
戦っていた時、日本の軍や警察に包囲されていた。

 そういう中で、革命の根拠地で「手りゅう弾を自力で作れ」と言って、193
2年に金日成が命令した。それで40日間かかって試行錯誤しながら自力で手りゅ
う弾を作った。そのことが北朝鮮で言う、「自力更生の革命精神」で、今アメリ
カ帝国主義に包囲されている。その中でも自力更生の精神ですべてを作れ。過去
にできたのだからできるだろう、というのが「自力更生の革命精神」です。

 しかし、皆さんご承知の通り、過去にも北朝鮮に対する制裁はありましたが、
2016年1月の4回目の核実験以降、北朝鮮に対する制裁は、国連が行った制
裁の中でも過去にない、史上最強の制裁が課されています。

 ここに書きましたように、1回目、2回目、3回目の核実験で制裁がありまし
たが、4回目の核実験以降本格化したということです。それは制裁決議2270、
2321、2371、2375、2397、これらの措置では非軍事的措置では70年の国連の歴史
上、最も強力で実効的な措置になっています。

 具体的なことは以下のように書きました。

 安保理決議2270号(2016年3月2日)が北朝鮮の鉱物および原油取り引きへの制裁、
武器取り引き全面封鎖、金融制裁および運送の封鎖、核兵器資金調達に関与した
機関および個人の海外活動制裁. 国連加盟国が自国内に北朝鮮銀行の支店・事務
所開設することを禁止、既存支店・事務所も90日以内に閉鎖するという内容を含
んでいます。

 引き続いた国連安保理決議2321号(2016年11月30日)では、2270号決議で民生目
的で輸出する石炭を制裁の例外にした条項をなくして上限を設定しました。これ
に伴い、北朝鮮の主な輸出品目である石炭輸出を年間4億90万ドル、物量基準750
万トンに制限し、毎年11億ドル(1500万トン)と推定された北朝鮮の石炭輸出規模
は半分以下に制限されました。

 国連安保理決議2371号(2017年8月5日)では2321号で導入した石炭輸出の上限を
なくして、北朝鮮の石炭、鉄、鉄鉱石、鉛、水産物などの輸出を全面禁止にした。
これで北朝鮮輸出の3分の1が遮断されました。また、国連加盟国の新規の北朝鮮
労働者雇用を禁止し、国連安保理理事国による北朝鮮会社との新規合作投資(西
岡注:合弁のこと)を禁止しました。

 また、国連安保理決議2375号(2017年9月11日)では、北朝鮮に入る精油製品の
55%を制限して、対北朝鮮油類供給の30%を縮小しましたが、国連安保理決議2397
号(2017年12月22日)では、2375号決議より進んで対北精油製品供給量を年間200
万バレルから50万バレルに減少させました。

 北朝鮮の貿易関係者の話では、これまでは言ってきた原油と石油精製品が、全
体の20%になった。そしてもう一つ、国連安保理決議2397号(2017年12月22日)
で見逃せないのは、金正恩にとって多額の外貨を稼ぐことができていた外国への
労働者派遣、これが24か月以内に北朝鮮に送り返すことが義務化された。その期
限が今年の12月です。

(2につづく)



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