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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

トランプ大統領面会報告と緊迫する北朝鮮情勢?東京連続集会報告3(2017/11/27)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2017.11.27)

■トランプ大統領面会報告と緊迫する北朝鮮情勢3

◆あと何回核・ミサイル実験を成功させればいいのか

西岡 北朝鮮がいつになったらアメリカ本土まで届く核・ミサイルを持つのか。
あと1年かかるのか、数か月かという議論がよくあります。それは実はあまり正
確ではない。あと何回実験を成功させればいいのかです。

 「火星14」はロフテッド軌道では成功させましたが、まだ通常軌道では打っ
ていません。実は「火星12」というミサイルがあります。これはグアムに届き、
多分アラスカには届くのではないかと言われています。5月にロフテッド軌道で
打って成功しました。そして8月と9月に通常軌道で打ちました。それが日本を
飛び越えたのです。日本を飛び越えるというのは日本を狙ったものではなく、グ
アムやアラスカを狙うものです。それは成功しました。

 北朝鮮の「中央通信」や「労働新聞」を読んでいると、5月の「火星12」の
時は「試験発射」でしたが、8月と9月の「火星12」の発射は、「発射演習」
でした。試験が終わって、実戦配備されて演習しているのです。これは彼らが言っ
ていることで嘘の可能性もあるんですが、報道ではそうなっています。

 そして実際に「火星12」の9月15日の通常軌道での実験は成功しました。
だからグアム、アラスカには届きます。アラスカにアメリカのMD、ミサイル防衛
システムがあります。人はあまり住んでいませんが、MDを狙えるという意味があ
ります。またアラスカにもグアムにも米軍基地があります。

 着々と力をつけている。つまり、どんどん車は接近してきている。ではあと何
回実験をすればということですが、様々な変数があり、私も軍事の専門家ではな
いのでかなり大ざっぱな言い方です。それは分かりやすく説明するためで、拉致
問題を考えるためにも必要なので大ざっぱに言います。

◆広島型の10倍の威力の核実験を成功させた

 まず核実験について言うと、160キロトンを成功させましたが、多分7回目
が必要なのではないか。小型化がまだできていないのではないか。小型化の水爆
実験があと1回以上成功する必要がある。ミサイルは、「火星12」はロフテッ
ド軌道で1回やって、通常軌道を2回やって成功させ、今実戦配備されている。

 「火星14」はロフテッド軌道を2回しかやっていない。通常軌道での実験が
必要です。1万キロ飛ばす。ただ、ロサンゼルス沖なんかに落としたらアメリカ
を刺激しますから、多分グアムとハワイの間くらいで何もないところに向けて1
万キロ飛ばすのではないか。

 それを10月、11月にやるのかなと思っていたんですが、やっていない。やっ
てない間は、いくら時間が経っても、アメリカまで届く核・ミサイルは完成しな
いわけです。やって失敗するかもそれない。だから何か月とか何年というのはか
なり大ざっぱな言い方で、正確に言うにはあと何回実験すれば成功するかと見た
方がいい。

◆アメリカ全土を攻撃する「火星13」はまだできていない

 「火星14」の通常軌道での実験が絶対必要です。「火星14」はロフテッド
軌道で2回実験をして成功していますから、技術的にはいつでも実験できるはず
なのです。それを今やっていないということです。

 それからアメリカを本当に攻撃するのだったら、ニューヨークやワシントンま
で届くものがほしいんです。「火星14」は西海岸までです。実は「火星13」
も開発しています。「火星13」は前から開発していたんですが、まだ実験する
段階に至っていなくて、「火星14」を先に実験した。

 色々な説があるんですが、有力な説は、「火星13」は固体燃料を使うという
ものです。北朝鮮のミサイルの主流は液体燃料です。液体燃料は不安定ですから
入れっぱなしにはできない。撃つ前に入れなければならない。入れる手間がかか
るから、「撃て」と言ってもすぐには撃てない。しかし、固体燃料は入れっぱな
しでいい。すぐ撃てる。その点で脅威が高まるわけです。

 でもまだそれができていないのではないか。「火星13」が軍事パレードに出
てきたりはしたんですが、それも完成させ、ロフテッド軌道で撃ち、通常軌道で
撃つことが必要です。

◆まだ複数回のミサイル実験が必要

 それから、北朝鮮は潜水艦発射弾道ミサイルを持とうとしている。SLBMです。
最近のニュースで、今新浦で大型のミサイルが積める新しい潜水艦を作っている
という映像が流れました。

 潜水艦発射弾道ミサイルは、「北極星3号」です。これを持ちたい。絵は公開
されています。開発しているのは間違いない。しかし、一度も実験していません。

 そこでミサイルではまず、「火星14」の通常軌道での実験をする必要があり、
これで米西海岸が射程に入る。東海岸も射程に入れるためには、「火星13」。
あるいは潜水艦の「北極星3号」なら、近くまで行って撃てるので距離がかせげ
る。これも実験が必要です。

 ロフテッド軌道で撃ってから通常軌道で撃つ実験が必要ですので、複数回の発
射実験を成功させる必要がある。特に固体燃料での長距離の弾道ミサイルを持て
るかどうか。「火星13」がまだ完成していないということは、彼らは固体燃料
の技術をそれほど完全にマスターしているわけではないように見える。しかし、
(チキンレースをしている)米朝はどんどん近づいてきている。

 しかし、9月15日に「火星12」を撃った後、ミサイル発射も核実験も止まっ
ています。本来なら「火星14」は撃てるはずです。「火星13」はまだ実験す
るほどの技術に至っていないかもしれない。あるいは水爆の小型化はまだできて
いないかもしれない。今やらない理由は、技術がまだ追いついておらず、完成し
ていないとも考えられるわけです。

 開発する立場からすると「火星14」は撃てるはずですが、政治的に抑えてい
るというのが今の状況です。

◆なぜ9月15日以降軍事挑発が止まったのか

 専門家の観察ポイントは、なぜ9月15日以降軍事挑発が止まったのかです。
去年もミサイルを十数回撃ちました。今年もずっと撃ってきた。着々と開発をす
すめてきたわけです。それなのになぜ今やめているのか。やめているということ
は開発が止まっているということです。もちろん、設計はしているし、色々なこ
とをやっていると思いますが、目に見えることはまだできていない。

 ここで技術的な壁があって乗り越えられないのなら、1年経っても乗り越えら
れないわけです。しかし、北朝鮮が言うように小型化が成功していれば、西海岸
まで撃てる直前には来ている。当然日本には撃てる。沖縄もグアムも射程に入っ
ているという状況です。

 もちろん日本が射程に入っているということは日本にとって重大な問題ですが、
日本にとってもアメリカ本土が射程に入るかどうかが実は重要な問題です。とい
うのは、日本はアメリカの核の傘で守られているわけです。

 北朝鮮が日本に核攻撃をしたらアメリカは同盟国として北を核で報復する。拡
大抑止と言われています。こういうことで力の均衡をはかっているわけです。し
かし、北朝鮮がアメリカ本土まで届く核・ミサイルを持ってしまったら、日本が
攻撃された時、アメリカが報復したら、今度は北朝鮮がアメリカ本土を攻撃する
おそれが出てくる。その場合、日本を守るためにアメリカが自国の都市を犠牲に
するだろうかという疑問が生まれます。

 フランスのド・ゴール大統領は、ソ連がアメリカ本土まで届く大陸間弾道弾を
持った時に、同じ疑問を提起して独自の核武装をした。一度NATOから出て、独自
にやったわけです。

 イギリスはアメリカとの同盟の中でアメリカを説得して独自の核を持った。原
子力潜水艦を持って、原子力潜水艦が発射できる核を持った。潜水艦は水中にい
ますから、潜水艦に核攻撃はできない。フランスやイギリスが荒廃してやられて
しまっても報復できる。アメリカが報復しなくても、潜水艦の核は報復のためだ
けに持っているわけですから。

 だから安心だ、と。相手は報復されることが分かっているので攻撃してこない
だろうと。第二撃、反撃用に限定したものですが、そういう議論が日本でも起き
ざるを得なくなる。その直前まで今来ているのです。

◆ほとんど輸出ができなくなった

 アメリカはまず、国連による経済制裁を主導した。安保理決議の「すべての手
段を使って」というところまでいっていないのは、まだやるべきことがあるとい
うことで、経済制裁をかけている。

 これまでの経済制裁はシンボル的な意味が強く、それほどダメージはなかった
のですが、7月の2回のミサイル発射に対して8月に経済制裁がかかった。9月
の核実験に対して1週間後に制裁をかけました。

 この2つの制裁を合わせると、北朝鮮の2016年の輸出の合計約28億ドル
のうち、23億ドルくらいがなくなる。石炭と鉄鉱石と、水産物と衣料品を北朝
鮮から買うことを禁止しました。2016年にはそれらで23億ドルくらい稼い
でいたが、もうその収入はなくなる。

 北の貿易相手の9割は中国ですから、主として中国が買っていたので、中国や
ルールを守ればという前提ですが、今のところ守っているようです。その結果、
北朝鮮では外貨収入の8割5分ぐらいがなくなる。

 石油製品、ガソリンなどの輸入については、3割カット。アメリカは全面禁輸
を求めたんですが、中国とロシアの反対で3割カットになった。一定の影響はあ
る。ガソリンの闇市の値段が上がっています。

 また海外に6万人くらいの労働者がいて5億ドル送金しています。外貨で給料
を貰いますがそれはほとんど召し上げて内貨で払ったりしています。この労働者
についても海外で雇うことを禁止したかったのですが、そこまではいかなくて、
新規契約を禁止しました。

 だいたい契約は2年くらいですから、あと2年経つと全部終わりになる。新規
は受け入れないから、ほとんどなくなる。外貨収入を断つことを目的とした制裁
は、じわじわと効いてくる。

 それが効くまえにアメリカの本土まで届く核・ミサイルを持ちたいわけです。
だからできる限りの核・ミサイル実験をしてきたわけです。核実験は去年から今
年にかけて3回もやっている。制裁など関係なくどんどんやっているということ
ですが、制裁が一定程度効いてくるだろうということです。

 従って金正恩としては、実験をしなければアメリカまで届く物を持てませんか
ら実験しなければならない。実験をすると、残っている石油の禁輸、海外労働者
の全面帰国となる。それでも実験をすると、「すべての手段を使ってやめさせる」
という決議が通るかもしれない。

 その決議が通りとトランプ大統領は実際に軍事行動を行うための政治的負担が
なくなる。実験をしないと完成しない。そういうにらみ合いになっている。

◆アメリカは戦略爆撃機を北方限界線を越えて飛ばした

 特に私が注目しているのは、B1Bという戦略爆撃機です。これは世界最強の戦
略爆撃機と言われていて、今年に入ってから11月初めまでに20回飛ばしてい
る。これは惠谷治さんの調査によるものですが、アメリカは全部発表していませ
ん。

 北朝鮮は単にB1Bが飛んできたと発表します。それで分かったりするんですが、
20回も飛んでいっている。B1Bには61トンくらいのミサイルや爆弾が積める。
それがいつも2機で来ます。グアムから2時間で来れます。ある時は韓国の演習
場で爆撃の訓練をやって帰った。日本の航空自衛隊が途中を援護する。韓国空軍
が一緒に援護する。そういうことをやっては帰る。

 B1Bは去年の8月にグアムに配備された。それまでいなかったんです。北が核
・ミサイル実験をするので、去年の実験の後に持ってきた。今年9月23日の深
夜から24日にかけて、これまでにないことをした。

 38度線が休戦ラインになっていますが、海の休戦ラインもあります。これ以
上韓国の軍艦も北の軍艦も来ない。韓国や米軍の軍艦が行かないということで北
方限界線と呼ばれている。NLLと言っています。

 それは海にひかれたラインですが、その北方限界線を越えてBIBが北朝鮮の沖
まで飛んでいきました。これは20回の中で初めてです。元山という北朝鮮の東
の大きな都市の近くまで行って、演習して帰って来たということをアメリカ軍が
発表したんです。

 実はその時、北朝鮮のレーダー波をBIBは受けなかった。普通だと北方限界線
を越えてきたらスクランブルをかけなければならないのですが来なかった。その
ことも発表しました。

◆いつでもアメリカは金正恩を殺すことができることを示したBIB

 私が最近聞いたことによると、平壌ではパニックになった。「なんで分からな
なかったのだ」と。金正恩が防空司令部に、「どうなっているのか調べろ」と言っ
たら、施設が古すぎてBIBは捕まえられない。BIBは本当のステレスではないんで
すが、それに近い。そして積める量が一番多い。バンカーバスターという地下の
基地まで破壊できる爆弾等を持っている。

 まさに金正恩がいる地下施設を攻撃できる、いわゆる斬首作戦に使われると思
われる飛行機がを北方限界線を越えて飛んできたのに、捕まえられなかった。そ
れを極秘にしているのに、流言飛語がどんどん飛んだ。「もう平壌の上空まで来
たらしい」とか「あれは60トンも積めるらしい」とか。これは正しい情報です。

 「あれが来たら核兵器を4、5発持っていてもだめだ」、「うちの国は亡びる」、
「金正恩だけ殺してくれればいいのに」とか色々噂が回っているそうです。それ
で国家保衛部がその噂を広めた人間を今捜査しているけどなかなか捕まらない状
況だと聞きました。

 つまり、いつでもアメリカは金正恩を殺すことができるという軍事演習をやっ
た。レーダーにも引っかからなかった。しかしこれはまだ、心理戦の段階です。
本当に戦争をする気だったら、レーダーに引っかからなかったことを発表しませ
ん。相手の弱点ですから、こっちにとっては貴重な軍事情報なんです。

 それを教えたら何か補完しようとします。それを教えるというのは、まだ本当
に戦争をする段階にはなっていなくて、心理的圧迫を加える段階です。だから心
理戦なんです。本当に戦争をするときには静かにやります。今のように、トラン
プ大統領が「滅ぼすぞ」とか言わないで突然やる。でも心理戦の段階だからやっ
たと言った。そしたら向こうでパニックが起きた。

◆アメリカの心理戦が効いているかも

 アメリカは繰り返し、「核兵器をやめるという前提なら話し合いに応じる」と
言っているわけです。習近平にもそういうことを言って、習近平もそれでいいと
言っている。習近平は特使を派遣しましたが、金正恩は会わなかった。核兵器を
やめるという交渉はまだ始まる状況ではないようです。

 水面下で米朝接触は色々やっているようです。接触をして互いに腹の内を探り
合っていますが、金正恩が今核をやめるということを言ってはいない。アメリカ
は核をやめさせることを前提とした交渉しかしないと言っている。

 ある段階に来て、「アメリカまで届くミサイルを持たせないということでいい」
という裏交渉が成立するかもしれないと言われていますし、「北朝鮮が何発核を
持ってもアメリカの安全保障には影響がない」という人もいるし、アメリカの中
でも議論がたくさんありますが、今のところトランプ大統領は公式には、「核を
やめさせる」と言っていて、北朝鮮が、「アメリカに届く核・ミサイルだけは開
発を中止する」と言ったとしても、北朝鮮はいつも嘘をつきますから、口で言っ
たことを信用できないわけです。検証しなければならない。

 アメリカの保守派の中には、「中国が北を占領して中国が保証してくれるなら、
北朝鮮地域を中国に渡してもいい」という議論もありますが、金正恩が「やめま
す」と口で言ったことを信用しようという議論はほとんどないです。

 検証の問題が難しく、今はにらみ合いが続いていますが、先ほど言った、なぜ
9月15日から風圧がとまっているのか。彼らは実験する必要がある。「火星1
4」を通常軌道で撃ちたいはずなのに、トランプ大統領が国連演説で、「北朝鮮
という国はなくなる」と言ったら、「最高度の報復をする」と金正恩の名前で生
命まで出しました。

 「太平洋上で核実験する」と言っただけで、何もできないのは、9月23?2
4日のことがあった後のことではないか。心理戦が効いているのかもしれない。

 もしかしたら来週にでも撃つかも分かりません。あまり断定的なことは言えま
せんが、少なくとも平壌がパニック状態になっていることは事実で、金正恩の近
くにいる人間は、「このまま行ったらアメリカのバンカーバスターで一緒に殺さ
れるのだったら、金正恩だけを差し出せばいいのか」、「中国もそれを支持して
いる」ということを内部で考えさせるための心理戦なのです。

◆内部矛盾を高めるのも心理戦

 今日の報道では、金元弘という元保衛部長と黄炳瑞という軍の総政治局長が、
組織指導部によって処罰を受けたそうです。韓国の国会で韓国の情報機関が報告
したという報道がありました。黄炳瑞という男はもともと組織指導部にいたんで
す。組織指導部の第一副部長だった。

 今北朝鮮の権力は、張成沢が処刑され、金元弘保衛部長が解任されて、今軍の
総政治局のナンバー2になったんですが、それを主導したのは組織指導部なんで
す。組織指導部全盛時代なのに、今度は組織指導部から軍に派遣された黄炳瑞が
組織指導部によって処罰を受けた。

 組織指導部の中に権力争いが起きたとも思えるような情報なんです。それと心
理戦が何か影響があるかどうか。あるいは経済制裁で外貨がなくなってくる。幹
部たちに対するガソリンの配給も減っている。そういうことの影響が何かあるの
か。もうちょっと様子を見ないとよく分かりませんが、内部矛盾を高めることを
目標に今心理戦をやっているという段階です。

(4につづく)

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