救う会全国協議会

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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

タイで外国人拉致に関する国際会議(2016/11/18)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.11.18)

 11月17日、タイの首都バンコクで外国人拉致に関する国際会議が開催された。
会議の正式名称はInternational Mini-symposium on “Foreigner Abductions by
the DPRK and Responses from International Community”、国立カセサート
大学が主催した。同会議には、韓国、タイ、日本の拉致被害者家族と同3国の
支援NGO関係者、日本政府代表(拉致対策本部室長)、タイ政府代表(外務
省課長)、タイ国家人権委員会のアノーチャ―拉致担当の人権委員などが参加
した。家族会からは増元照明さんが、救う会からは西岡力会長が出席した。午
前9時から午後5時まで熱心な討論が続いた。参加した大学生らが真剣にタイ
人拉致についてメモを取りながら聞いていた姿が印象的だった。関係者による
と、参加した学生のうち半分以上がアノーチャーさん拉致について初めて聞い
たという。
後日、タイで長い期間拉致問題に取り組み、今回の会議でも企画の段階から積
極的に関与していた海老原智治北朝鮮に拉致された人々を救援する会チェンマ
イ代表に会議全体の成果について報告してもらう予定だが、本日は、西岡会長
の会議での報告全文を掲載する。

■日本の拉致被害者救出運動と北朝鮮による国際的拉致の実態

西岡 力(救う会会長、東京基督教大学教授)

1.家族会・救う会の活動について

横田めぐみさんの拉致が明らかになったことを契機として、拉致家族が被害者
の実名を公表して救出運動を行なうことを決断し、1997年3月、家族会(北朝
鮮による拉致被害者家族連絡会、The Association of the Families of Victims
Kidnapped by North Korea (AFVKN))を結成した。当時、実名を出したら証拠
隠滅のために北朝鮮が被害者を殺害するかもしれないと言われていた中での、
重い決断だった。

その家族会を支援するために、日本各地で支援組織が設立され、1998年、「救
う会」全国協議会(北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会、
The National Association for the Rescue of Japanese Kidnapped by North
Korea(NARKN))が設立された。私が「救う会」の会長だ。

また、1997年4月、超党派の国会議員により議員連盟が結成された。さらに現
在、すべての都道府県の知事が「北朝鮮による拉致被害者を救出する知事の会」
を結成し、また都道府県の議員が「拉致問題地方議会全国協議会」を結成し、
救出運動に協力している。

北朝鮮は2002年9月、それまで否定していた日本人拉致を認めるに至った。し
かし、認めたのはごく一部分で、「拉致したのは13人だけ」、「8人は死亡
した」、従って「拉致問題は解決済み」と新たな嘘をついた。

家族会と救う会は、すべての拉致被害者を取戻す国民運動を続けている。署名
は1000万筆を越えた。日本政府は2006年、総理大臣を本部長とする拉致問題対
策本部を設置した。また、同年、拉致問題をはじめとする北朝鮮人権問題の解
決のため北朝鮮人権法が作られた。日本では官民挙げて拉致被害者救出運動に
取り組んでいる。

2014年7月、北朝鮮は特別調査委員会を作って拉致被害者、拉致の可能性のあ
る失踪者などについて再調査を開始した。2016年2月、北朝鮮は一方的に特別
調査委員会の解体を通告してきた。北朝鮮外交官は日本人記者に「調査はすで
に終わっている」と語った。現時点で調査結果は全く明らかにされていない。
そもそも、拉致被害者は厳しい監視の下に置かれているので新たな調査など必
要ない。北朝鮮政府が全被害者を返すと決断すればよいだけだ。早急な決断を
求めたい。

2.北朝鮮による国際的規模の拉致

現在、北朝鮮による拉致が間違いない被害国は、日本、韓国、中国(マカオ)、
タイ、レバノン、ルーマニアの6カ国である。また、拉致の疑いが極めて濃厚
な被害国は、フランス、イタリア、オランダ、ヨルダン、シンガポール、マレ
ーシア、アメリカの7カ国、合計13カ国に被害者が出ている。

2002年小泉首相の訪朝の結果、帰国した日本人拉致被害者5人の中の一人であ
る曽我ひとみさんは北朝鮮で脱走米兵と結婚していた。彼女は別の3人の脱走
米兵の家族と同じアパートで暮らした。その3人の妻も全員、拉致被害者だっ
た。タイのアノーチャー・パンチョイ(Anocha Panjoy)、ルーマニアのドイ
ナ・ブンベア(Doina Bumbea)、レバノンのシハーム・シュライテフ(Siham
Shraiteh)さんだ。

 2005年、曽我ひとみさんご夫妻の証言により、タイ人女性が拉致されている
ことが判明した。家族会・救う会はチェンマイに増元照明家族会事務局長(当
時)と西岡力救う会副会長(当時)を派遣して調査を行ない、曽我さんらが平
壌の同じアパートで暮らしていたタイ女性が、アノーチャー・パンチョイさん
であることを明らかにした。そのとき、アノチャーさんのお父様はアノチャー
さんに会いたいと言い続けながら4か月前に他界されていた。もう少し早く解
明がなされれば、少なくとも娘の消息だけでもお知らせすることが出来たと思
うと残念でならない。
 アノチャーさんの兄スカム・パンチョイさんは2005年12月、訪日し、家族会
・救う会・拉致議連主催の集会で訴えるとともに、曽我さんご夫妻と面会して
平壌でのアノーチャーさんの様子について詳しく話しを聞いた。スカムさんは
その後、継続して家族会・救う会と連繋しながらアノーチャーさんらの救出を
訴えていた。しかし、妹に会えないまま昨年2015年5月に亡くなった。ご冥福
を心からお祈りします。

 帰国した4人のレバノン人被害者によると、北朝鮮の工作員養成所には彼女
たちの他に28人の若い女性がおり,その中にはフランス人3人,イタリア人
3人,オランダ人2人,その他中東や西ヨーロッパからきた女性が含まれてい
た、と証言している。

3.北朝鮮による拉致?4つの時期

 北朝鮮は全世界にわたって大規模な韓国人、外国人拉致を行った。
 北朝鮮による拉致は以下の4つの大きなピークがある。
1.1950年から53年までの朝鮮戦争中の韓国人拉致
2.戦後から1976年までの漁船拿捕を中心とする韓国人拉致
3.1976年金正日の「工作員現地化教育のための教官拉致」指令による韓国、日本、諸外国での拉致
4.1990年代後半以降、脱北者支援など北朝鮮にとって「有害」と判断される行為を行う者たちの拉致

 このうち1.「朝鮮戦争中の韓国人拉致」については「韓国戦争拉北者事件
資料院」(李美一理事長)において詳細な研究、資料収集が行われている。こ
こでは、「金日成の指令の下、約10万人の韓国人拉致が組織的かつ大規模にな
された。朝鮮戦争中の日本人、外国人拉致は確認されていない」という事実の
みを指摘しておく。

2.「漁船拿捕を中心とする韓国人拉致」については、救う会の詳調査で次の
ような事実が明らかになった。
 この時期の韓国人拉致は旅客機ハイジャック1件を除いてすべてが海上境界
線付近に接近した韓国漁船と軍用船を対象としている。また、拉致された漁民
らの選抜作業が行われ、3,692人のうちの88%(3,257人)には北朝鮮の発展像
を見せて政治宣伝のために早期に帰還させ、12%(435人)だけが継続して抑留
され、その中の一部を工作員として使おうとする訓練が実施された。
 北朝鮮から工作員を韓国や外国に派遣して行う拉致は確認されていない。
なお、同時期、秘密隠蔽を目的とする日本人拉致があった。1963年、日本に侵
入した清津連絡所工作員によって日本人漁民3人の拉致がなされたことが確認
されている。1969年に金日成が「必要なら日本人を包摂工作し拉致工作もする
こともできるのだ」と工作部門幹部会議で教示している。しかし、この金日成
教示に基づいてどの程度日本人拉致が実行されたのか、全く分かっていない。
清津連絡所では76年の金正日の拉致指令以前から、日本人拉致を「必要に応じ
てやっていた」というが、その実体は分からない。70年代前半に失踪した日本
人とよく似た人物を工作機関内で目撃したという証言がある。

 3、「金正日の拉致指令による拉致」について少し詳しく述べよう。アノチ
ャーさん拉致もここに含まれる。
 後継者となった金正日は1976年初め、対南工作の新方針を示す中で「工作員
の現地化教育を徹底して行え、そのために現地人を連れて来て教育にあたらせ
よ」と拉致指令を下した。
 拉致指令の翌年の1977年から1978年にかけて工作員の教官にするための日本
人、韓国人、外国人拉致が世界規模で集中して行われた。
 日本人拉致は金正日の拉致指令直後の1977年、78年に集中している。日本政
府認定の17人のうち13人がこの2年に拉致された。また、10カ国、中国(マカ
オ)、タイ、レバノン、ルーマニア、シンガポール、マレーシア、ヨルダン、
フランス、イタリア、オランダの拉致はすべて78年頃に集中している。
 韓国では、1977年、78年に、日本でなされたと同じように工作員が韓国に上
陸して行う拉致が多発した。朝鮮戦争休戦後の韓国人拉致は漁船拿捕を除くと
17人だが、そのうち約半数の8人がこの2年間に集中している。

  76年の金正日拉致指令は秘密とされた。現地化した工作員が韓国や第3国
で身分偽装に成功するためには、秘密保持が求められる。金正日は現地化した
工作員を使って大韓航空機爆破というテロを実行している。拉致指令が明らか
になれば、北朝鮮は、タイはもちろん国連安保理常任理事国のフランスや中国
をはじめとして全世界から糾弾される。拉致問題は日本と北朝鮮の外交懸案で
なく、全世界と北朝鮮の懸案となる。だからこそ、彼らは以上のような拉致の
全貌を必死で隠しているのだ。
 世界規模の拉致の責任者である金正日と異なり、息子である金正恩は拉致に
は関与していない。したがって、相対的に拉致問題を解決しやすい立場にいる。
外部から強い圧力がかかって政権を維持することが困難になれば、相対的に容
易である拉致被害者を返す可能性がある。

 最後に4「1990年代後半以降、脱北者支援など北朝鮮にとって「有害」と判
断される行為を行う者たちの拉致」について見ておきたい。
 1990年代後半以降、人口の15%にあたる300万人が餓死する中、大量の脱北
者が中朝国境を越えた。韓国人キリスト教宣教師や貿易商らが中朝国境地域で
それらの脱北者を助けるようになり、その結果、金正日政権にとって望ましく
ない外部情報が北朝鮮に大量に流入することになる。このころから、国家保衛
部が中国まで出てきて脱北者の取り締まりを行っている。その過程で、脱北者
を支援していた韓国人宣教師などが拉致された。また、2000年代になり脱北者
を支援していた中国国籍朝鮮族が多数拉致されたという有力情報がある。
 2004年8月14日、東南アジア諸国と境界を接する中国南部の雲南省(Yun-nan-sheng)
迪慶(De- chenデチェン)チベット族自治州シャングリラ県(香格里拉Shangri-La県。
旧称、中甸Zhong Dian)で消息を絶った米国青年デヴィド・スネドン(David
Sneddon、当時24)もまさにこの時期の拉致の類型にあてはまる。

 以上、北朝鮮による拉致は日朝2国間の問題でなく、北朝鮮が世界規模で行っ
たテロ事件であることを説明してきた。北朝鮮は自国民の人権を著しく抑圧し
ているだけでなく、世界規模で拉致を行ない、いまだにタイ人を含む多数の無
辜の外国人を不当に抑留し続けている。全世界が力を合わせて被害者を救出し
なければならない。

 最後にタイ政府とタイ国民に3つの提言をしたい。
 第1に、拉致を含む人権侵害を理由に北朝鮮に制裁をかけることだ。国際社会
は今、核ミサイル開発を理由に国連安保理事会決議による制裁をかけている。日
本はそれに加えて拉致問題を理由により強い制裁をかけている。アノーチャーさ
んという拉致被害者を持つタイも拉致を理由に北朝鮮に制裁をかけて欲しいので
す。

 第2に、インドネシアをはじめとする平壌に大使館を持つタイの友好国に、ア
ノーチャーさんのことを詳しく伝えることです。アノーチャーさんと同じ日に拉
致された2人のマカオ人が隙を見てインドネシア大使館に逃げ込んだ。しかし、
インドネシア大使館は拉致について正しい認識を持っていなかったので、マカオ
人被害者を北朝鮮当局に引き渡してしまった。今後、アノーチャーさんが平壌の
タイの友好国大使館に逃げ込むことは十分あり得ます。そのようなケースに備え
て友好国にタイ人が北朝鮮に拉致されている事実を具体的に伝えておく必要があ
ります。

 第3に、タイ国内でアノーチャーさんを返せという声を強く発信することです。
2002年に帰国した日本人被害者は、北朝鮮にいたとき北朝鮮の公式媒体である労
働新聞に、自分の故郷で家族会・救う会が拉致被害者のため集会を開いたと言う
記事を読んだと言います。もち論、その記事では拉致はでっち上げだと集会を非
難していました。それでも北朝鮮にいた被害者はその記事を通して家族や故郷の
人々が自分のことを忘れていなかったのだと分かりうれしかったと語っています。
私たちはアノーチャーさんのことを忘れていないと言う声をバンコクからタイ国
内から全世界から上げましょう。

 帰国した拉致被害者曽我ひとみさんは次のように語っている。「夜になると月
や星を見て、同じ月や星を日本の家族や故郷の人々を見ているだろう、いつにな
ったら日本から助けが来るのだろうかといつも思っていました」。今晩もアノー
チャーさんが北朝鮮で月や星を見上げて、タイの家族や故郷の人々も同じ月や星
を見ているだろう、いつになったらタイから助けが来るのだろうか、と思ってい
るはずです。力を合わせてアノーチャーさんをはじめとする全ての被害者を助け
出しましょう。



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