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北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会

北朝鮮最新情勢と救出への展望−東京連続集会報告1(2016/05/17)
★☆救う会全国協議会ニュース★☆(2016.05.17)

 平成28年5月16日、東京・文京区民センターで第90回東京連続集会が開
催された。今回は、「北朝鮮情勢と救出への展望」と題して西岡力・救う会会長
が講演し、家族会の飯塚繁雄代表、増元照明さんも近況を報告した。

 以下、数回に分けて報告します。

■北朝鮮最新情勢と救出への展望−東京連続集会報告1

西岡力(救う会会長、東京基督教大学教授)

◆「Nature」利用のトリック

 こんばんは、西岡です。宜しくお願いいたします。

 何回かこの場で話をしています。大きな動きがないので重なった話になってし
まいますが、今の状況をどう見ているのかということと、朝鮮労働党大会がどう
いうものだったのかについて話を準備してきました。

 今の状況ですが、今年に入って核実験があったりミサイル発射があったりした
時から申し上げていますが、2年前に比べて相対的に有利だと思っています。

 2年前は、横田さんたちがモンゴルでお孫さんと面会し、その後拉致も議題に
した局長級協議が始まり、ストックホルム合意なるものができて、そして特別調
査委員会ができた。

 そういうことで連日拉致問題について報道があり、国会では拉致被害者支援法
の改正案が通り、各地方自治団体では被害者が帰ってきた場合にどうケアーする
かという議論などがされていて、あたかも物事が進むかもしれないという雰囲気
がたくさんありました。

 しかし私はその時、ここでも繰り返し申し上げてきましたが、危ないと思って
いました。私の所に、複数の情報源から入ってきた情報では、「金正恩氏は被害
者を返す決断をしていない」と。「決断をしていないのに、拉致を議題に日本に
接近してきた」と。そして「当面の狙いは拉致以外の墓地(遺骨)や日本人妻を
含む在留日本人で、日本の世論を拡散して、2002年とほぼ同じ内容の報告を
する。その時に新たな死亡の証拠を準備している」と。

 数年前から私の所に入ってきた情報では、「日本に遺骨を出す。前回は他人の
遺骨を高温で焼いて、DNAが出ないだろうと思って出したら、高温で焼いてい
ても、ミトコンドリア法という技術でDNAが検出された」と。

 横田めぐみさんのものだ、松木信宏薫さんのものだといって出した二人分の
「遺骨」ぁら、その二人ではない人のDNAが出たことがあった。

 少し話がそれますが、ご承知とは思いますが確認しておきますと、イギリスに
「Nature、ネイチャー」という雑誌があります。日本政府の鑑定について、
「一定の留保」を付けました。それを北朝鮮が、あたかも金科玉条のように、
「世界の科学者が日本の鑑定に疑義を表した」かのように宣伝しました。

 「Nature」が言ったのは、「日本に提供された骨に他人の垢や汗から他
人のDNAが付着する可能性があるのか、ないのか」でした。それについて帝京
大学の吉見教授に取材したところ、科学者ですから、「北朝鮮でどのように骨が
保存されていたか分からないので、100%ないとはいえない」と答えた。

 「Nature」が言っているのは、他人のDNAが出てきたことについて日
本政府の鑑定に疑義を申立てたわけではないのです。他人のDNAが出てきたら、
そのDNAは高温で焼いたのだからその骨から出るはずはないので、北朝鮮で保
管していた時に持っていた人の垢や汗が付いて、それが出たのではないかという
ことです。科学的に100%とは言えないじゃないかということです。

 ですから、めぐみさんの骨だという証拠にはならない。保存の問題で、99.
9%は本体から出ているのですが、そうでないのも出てくる。日本側が鑑定する
時は、かなり洗浄した後鑑定するんです。

 めぐみさんのものとされた骨からは二人分の他人のDNAが出た。二人分の垢
や汗が入ってしまう可能性は相当低い。そういうことがあったのです。

 北朝鮮は、日本の技術では高温で焼いてもDNAが出てしまって、他人の骨を
その人の骨だといって出すのには限界があると分かったのです。

 当時から私は警戒していたのですが、次は生きている人を殺したり、あるいは
腕を1本切って、本物のDNAを出してくるかもしれないということでした、こ
れはめぐみさんと薫さんの骨が偽物だと分かった直後に、当時幹事長代理だった
と記憶していますが、今の安倍総理もそう言っていました。

 「だからこれからは、死亡の証拠を出せと言うべきじゃない。被害者を返せと
言うべきだ。ここまできて死亡の証拠が一つも出てこなかったということは、も
う生きているということだ。これからは証拠を出せと言うべきではない」、
「証拠を出せと言ったら、腕を1本折って、それを焼いてDNAを出してくるか
もしれない」と。そういう緊張関係でした。

 そういうことがあり得るだろうと思ったので、私は意図的に、「日本の技術で
は、その骨がだれの物かだけではなく、いつ死んだのかも一定程度分かる」と言っ
ていました。これは私もリサーチをしたんですが、ある条件ならば一定程度分か
るそうです。炭素を測定するそうです。

 そういうことを、2004年末、2005年以降、こういう場や、講演する時
に繰り返し言ってきました。北朝鮮側に聞かせるために。

 今度は本物の骨を持ってきても、いつかということが分かります。例えばめぐ
みさんについて言えば、1994年に亡くなったと言っているけれども、本物の
遺骨が出てきて、それが2002年以降であったら虐殺です。そうしたら、
「真相が明らかになったということにはなりませんよ。あなたたちは拉致した人
を虐殺したんだと思いますよ」と。私は民間人ですから自由があります。

 「もしそれが明らかになったら、日本は国連の安保理事会に対して、軍事制裁
を求める」と言っていました。もちろん個別的自衛権の発動も考えるべきです。

 被害者を誘拐して犯人が立て籠もっている時、犯人に対してまず言うべきこと
は、「被害者に手を出すな。手を出したら許さないぞ」です。そういう緊張関係
をもっと作らなければならないと思います。

◆被害者を返したくないが対日接近はしたい

 しかし彼らも、偽の遺骨を出してきたのは統一戦線部だと思いますが、ただ黙っ
ているわけではなかった。「口では日本が嘘をついた」と。「1200度で焼け
ばDNAは出ないはずじゃないか」と。しかし、日本側は誰も、「1200度で
焼けばDNAは出ないことが分かった」とは言っていないんです。

 自分たちが1200度で焼いて2回目に松木薫さんのものという骨を出してき
た時に、「DNAは出なかった」と日本が発表したから、「同じ火葬場で120
0度で焼いたから出ないはずだ」と向こうが言ったのです。

 そう言いながら向こうは技術の研究をした。確かに日本の技術では死亡の時期
も分かる。簡単に「死亡の証拠」といって骨を出すことは難しい。ではそれ以外
の「死亡の証拠」を出せるか。これは大変困難です。

 それ以外の証拠を、彼らは2002年から4年にかけて出せなかったんです。
死亡診断書を出そうとしましたが、偽物だった。新たな死亡診断書を出してきて
も、では最初のとどういう関係があるんだということになります。

 交通事故調書も写真も名前もないものしか出せなかった。では、本当の調書が
ありましたと言えるか。整合性がとれません。そしてそういう紙が本物かどうか
は証明はできないんです。それが死亡の証拠だと言えるか。

 物理的な証拠と言えば、やはり遺骨しかない。そこが焦点になる。その場合に、
死亡時期が分かるかどうかが勝負です。そういうことを繰り返し言ってきました。
多分彼らも、私の発言だけでなく、それぞれの情報関係者の発言も北朝鮮に緊張
感を与えていましたから、彼らも緊張していました。

 しかし数年前から、ある温度で焼いたらDNAは抽出できるが、死亡の時期が
分からない温度帯があるということを北朝鮮は察知して、「ヨーロッパの病院で
実験をしていた」という情報を複数入手しました。

 ある骨が来た。ある温度で焼いた。日本の技術はすぐれているからDNAを抽
出できる。しかしDNAは分かるが死亡の時期は分からない。そこであるずれが
生じる。そういう温度帯があるという実験をしているというのです。大変緊張し
ました。

 そしてもう一つ。これは先ほどの「Nature」の話と関係するんですが、
北朝鮮はもう一つの実験をしている。他人の骨を高温で焼いて、そこに被害者本
人の垢や汗を混入させる。高温で焼くからDNAは出ないが、混入されたDNA
が出る。そういうことができないか。洗浄してもそれが出るようなことはできな
いか。これは「Nature」の逆です。

 そういうことができるのではないかと言われたから、じゃあ実験してみようと
いうことになったのではないかと私は推測しています。つまり、被害者を返した
くないが対日接近はしたいと考えていて、実験しているわけです。

 統一戦線部が最後まで被害者を返すことに反対しているようです。2年前の交
渉は、私が聞いた情報では、統一戦線部が主導しているということだったので、
余計に心配しました。

◆危なかった時期

 日本のマスコミは国家保衛部が主導している、と。2002年の小泉訪朝の時、
田中均局長はミスターXと言われる国家保衛部の幹部柳敬(リュ・ギョン)とい
う男と交渉していた。その柳敬の下にいた人物が交渉に出ていたことが確認され
ているから、前回の交渉と相似形なので希望が持てる、というようなことを報道
していました。

 しかし、前回の交渉と相似形だというマスコミの報道は大誤報です。なぜなら、
前回の交渉は小泉訪朝まで一切秘密にされていたからです。今回は、まだ被害者
も帰ってきていないのに、秘密交渉の相手が誰だということが表に出るというの
は、秘密交渉の常識からはずれています。

 まとめる気が両者にあるなら、話は表に出ないんです。それなのに保衛部の誰
がいたということで希望が高まり、そして日本経済新聞が「30人のリストがあ
る。政府にもう届いている」という報道までして、期待値が上がったわけですが、
逆に私たちはさっき言ったようなことから、返す気がないのに接近してきたと思
いました。

 接近してきたということは、制裁と国際連携が効いたということだと思います
が、返すという決断をしていないのに接近してきたということは、論理的に考え
ると、最悪のこともありえるということです。そして彼らは、その準備をしてい
るという情報がある。

 動きがなかったときは、なかった時でイライラしましたが、2年前は本当にピ
リピリしていました。まずは命を守らなければ救うことはできない。何が出てく
るだろうか、何を考えているのだろうか。だから意図的に色々な所で書いたり、
テレビでも、「我々は分かっていますよ。あなたたちが遺骨を捏造する実験をし
たことも知っていますよ」と言いました。

 情報源との関係もあるので、言えることと言えないことがありますが、なるべ
くはこちらが持っている札を、向こうが切ってくるまでは出したくなかったので
すが、これは危ないと思っていました。

 それからもう一つ言っていました。救う会は生存情報を持っている、と。だか
ら遺骨が出てきたとしても、その遺骨の死亡時期を日本の技術では鑑定できるわ
けですが、それより前か、ごく近い時間までの生存情報がある人について、本物
の遺骨がでてきたら殺したんだということになる。その瞬間に「殺したんだ」と
叫びますよ、と。生存情報をオープンにして、「殺したんだ」と叫びますよ、と。

 2年前の夏の終わりから秋の初めは、そういう緊張関係でした。去年になって
状況が少し変わり、北朝鮮は「拉致についての調査はまだ終わっていない。それ
以外の分科会の調査は終わった。報告書を先に受け取れ」と言ってきました。

 しかし、安倍政権はそれを拒否した。「拉致問題が優先だ」と。先ほど言いま
したように、金正恩は当初、拉致以外のもので日本の世論を拡散させた後、死ん
だということを出そうとしていたのではないかと私は推測していたんですが、ま
ず拉致以外のものを先に出すことが始まった。去年の1月です。

 外務省の局長や課長が一月に2回くらい、どこかで秘密交渉をしているとの報
道がありました。これもおかしな話です。裏交渉がなぜ報道されるのだろうか、
と思ってしまいます。どちらかがリークしているのか分かりませんが。

 そういう中で様々なルートから聞いた話は、北朝鮮が拉致以外の分科会の調査
が終わったので受け取れ、ということでした。ストックホルム合意の文面だけを
読むと、4つの分科会が並行して調査を進め、随時報告すると書いてあります。

 だから向こうは、「合意に書いてあるじゃないか」と言うわけです。しかしこ
ちらは、「何を言っているんだ。遺骨は万の単位、日本人妻は千の単位、特定失
踪者は多くても800とか900、認定被害者は12人だ。そっちが終わってな
いということがあるか」と。

 「意図的に別の物を出そうとしているのではないか、最優先は拉致だ」と。で
すから表の局長級協議は一度も開かれませんでした。一昨年は少なくとも4回開
かれています。しかし、水面下で接触はされていた。

(2につづく)

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